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パっと見たときには気づかなくても、見れば見るほどツッコミたくなる変な間取り・面白い間取りがあります。今回お話を聞くのは、間取り図の妙に魅了され、最大で19万人の登録者数を誇る「間取り図大好き!」コミュニティの管理者を経て、現在は人気のリアルイベントの「間取り図ナイト」を運営する森岡友樹さん。編集部と一緒に変な間取り、面白い間取りを見ながら、“ああでもない、こうでもない”と好き勝手に妄想を膨らましちゃいます!
玄関に入ったら、すぐにキッチン。ここまでは、一人暮らしのワンルームでよくあるスタイル。でもここからいきなり迷路に入り込んじゃいます。温水器、タンクもよく分からないんですけど、本来ならくつろぎのスペースであるはずのリビングルームに、ドドーンと鎮座しているのは、大手メーカーのジェットバス。その隣には岩盤浴もあって、もはやこの部屋はお風呂のためだけに作られた秘密の園なのか!? それとも無類のお風呂好きが特別に作った部屋!? とにかく不思議な間取りです。確かにサウナ―が流行っているけれど、これはどうして…やり過ぎにもほどがある(笑)。

この部屋の目玉はなんといっても、大手メーカーのジェットバスです。メーカー名までちゃんと間取り図に書かれているのって珍しい。でも、ほかにも「100人乗っても大丈夫!」のCMでおなじみの某メーカーの物置が敷地内にある物件で、そう書かれているのを見たことがありますけどね(笑)。
実はこの物件、あるマンションのワンフロアを丸ごと全部購入したオーナーさんがダイニング、寝室、お風呂と部屋ごとに別々の機能を持たせたくて作ったみたいです。このオーナーさんがマンションを出ることになって売却を始めたけれど、このお風呂の部屋だけどうも取り扱いに困っていたようでした。
間取り図を見てから数秒後、肝心な情報が盛り込まれていないのに気づきます。描いた人のおっちょこちょいな一面まで見えてくる不思議な間取りです。では、ツッこませていただきましょう。まず、メインの作業場(アトリエ)ですが、広い!?とパッと見ではそう思うでしょう。でもよく見てください。ここには平米数の記載がない。洞窟である3.24m2よりは広いと思いたいけど、それだってこの時点では確信を持てないわけです。なんともおかしな間取りですよね。
それによ~く見るとなぜかバス停まで徒歩3~5mって書かれています。親切なようで、親切じゃない。それに、徒歩であるかどうかで距離変わらないですしね、なんでわざわざ徒歩って書いたのかも気になりますよね。洞窟っていう以前に不思議な要素がたっぷり盛り込まれた間取りなのです。

実はネットでググると、物件の崖の手前に立っていた外観画像が出てきたんですよね。それでも行ってはないんですけど。どうやらこの洞窟は、戦争時代の防空壕(ごう)じゃないかと思うんですよ。倉庫としても可!!って書かれているけれど、3.24m2ってそれほど大きなものを入れられるようなスペースでもないんですよね、残念ながら。で、そっちの広さは書くのにメインの作業場(アトリエ)の方は書かないの?というのが気になりますよね? それとも本当は書くつもりだったのが、忘れちゃったのかも!? でもバス停までの距離も書いてあるし、自動販売機もあるって教えてくれています。描いている人の親切でおっちょこちょいな人柄まで透けて見えるような味わい深くて不思議な間取りです。
一見すると、普通の一軒家。でも間取り図の右手を見てください。うねうねとした手書きのところには物々しく、岩盤って書かれているじゃないですか。そもそもどこから地下につながっているのかも気になるし、この物置スペースがまるで映画に出てくる隠し部屋みたいで怖くもある、ちょっとおかしな間取りです。

おっしゃる通り、これは一軒家の間取り。廊下を挟んで左が母屋で右が離れ、そういう住まいでしょうね。そして気になるのが地下の岩盤って文字です。もしかすると、この住まいは傾斜地に建てられていて、地下の壁が岩盤に接しているということを伝えたかったのでしょうか。でもその親切心があだになり、逆に意味が分からなくなっています。もし地下の壁が岩盤だとしても、それって現地案内のときでいいんじゃない!? おかしいというか、なんと言えばよいんでしょうね(笑)。
でもまさに親切に細かく分かりやすく説明しようとして混乱をきたすこの感じに笑顔にさせられますよね。
細長~い間取り。和室が2部屋? それとも3部屋? 和室って夏はゴロっと寝転がるだけで気持ちよくお昼寝できるし、優れものよね~とのんきに間取りを見ていたら、ふと、不思議な点に気づきました。
みなさんの中には、もうお気づきの方もおられるかもしれません。この物件には2つ玄関があるのです。テラスに外側に開く玄関、そして右側には内側に開くタイプの玄関があるのです。少し頭がうねうねしてきたかもしれませんね。玄関につながるテラス、そこを通ってつながるテラスを経ての玄関。この住まいへのメインの玄関は右側のものが正解!?なのか、謎は深まるばかりです。

ここ、和室に上がれるか上がれないか分からないですよね。はき出し窓かもしれないし、腰高窓かもしれないし。(どちらにしても四畳半の部屋は内窓しかない。)
上がれないなら玄関とわざわざ表記する意味が分からず、逆にここから上がれるなら奥の玄関は勝手口になるわけですよね。
でもじゃぁどうしてこういう通過できる玄関をわざわざ作ったのかが問題になるんですよね。京都の通り庭とかなら分かるのですが、キッチンをそっちに移動させる理由が分からないし、そもそもマンション物件として掲載されていたので…うーむ。
実に不可解でおかしな間取りです。右側の玄関は内側へ、左の玄関は外側に開くように書かれているのは、本当なのか、それとも単なる間違いなのでしょうか。私にも読み解けません(笑)。本来、間取り図を分かりやすくしようとすると、作り手の狙った感じがどこかに出てしまうんですけど、この間取り図からはそういう様子も見て取れません。偶然にできてしまった間取りなのか……。なんとも不思議な間取りです。これはこれで何時間でも見ていられる間取りです。
パッと見たとき、広々としたお庭があるので、すてきな日本家屋!と思わずほっこりして、目を細めちゃいました!でもこの物件、ただモノじゃありません。庭の下にかっこで弓道場って書かれているじゃないですか。弓道って、あのテレビとかでときどき見る弓道場でしょうか。お正月とか、イベントでしかご縁がないと思っていた弓道ができるなんて非日常的。はてさて、ニーズがあるのかなんていうのは、やぼというものでしょうかね。ちょっと不思議なおうち、でも幸せな気分になります。

この建物の私道には自動車5台くらい置けるスペースがあります。この物件では2点、興味深いところがあります。一つは募集の際に条件があり、月1~2回、弓道のサークルが弓道場を使うので、その使用を許可してくれる人というのが前提条件だったこと。そしてもう一つが、セキュリティーがしっかりとした間取りということです。間取り図を読み解くと、土間が2カ所あることに気づきます。下の土間から和室6帖に上がると、住人のプライバシーを侵さずに、弓道場へと移動できます。それに弓道場にもトイレがあるので、「トイレ、お借りします~」なんてこともありません。
今どき、11部屋もある大豪邸だけで驚くのですが、間取り図を見ていると、明治や大正、昭和初期の富裕層が住むような住まいを妄想してしまいます。さてこれも実はおかしな間取りです。ぼんやりと眺めていると、気になり始めたのが2カ所にあるトイレ。左にあるWCはいいんです。でも右側のWC、トイレはどうでしょう。手前には物置と書かれたスペースがあります。廊下、なら分かるのですが、トイレの前に物置。トイレに行きたければ、絶対にモノは置けませんよね。なんとも不思議な間取りです。

そう、この間取り図で不思議なのはトイレです。トイレの前や隣には左右に広がる廊下があるのですが、右のトイレのドアは、その廊下側に開くようには作られていないのを理解すると、どんどん不思議の沼に落ちていきます。なぜトイレの前に物置があるのか、物を置くと入れないところに謎めいたミステリーを感じます。
2階建ての一戸建てもしくは、メゾネット賃貸なのでしょうか。1階の玄関から家に入ると、階段の上った先には吹き抜けがある? それとも洋室6畳へと続くのか!? 1階が2階の間取りで、2階が1階の間取りの間違い!?なのでしょうか。考えれば考えるほど、まるで船酔いしたように頭がグルグルしちゃうのは果たして筆者だけ!? よくよく見ると、ありえない間取り図なんです。

吹き抜けとは、床が存在しないという意味。だから階段がどこにつながっているのかが分からないんです。もしかすると、1階のこの部分は「吹抜」ではなくて、使用不可のためのバツ印だとしたら、どうでしょうか。こうしたレアな間取りが出回っているのを見つけたときには、「やった!」という気分になります。
Q.どうして変な間取り、面白い間取りが生まれるのでしょうか。
森岡さん(以下森岡):間取り図には確たるルールがありません。今では動画や画像などがウェブで閲覧できるようになり、便利になりましたが、ひと昔前までは広さと部屋数、家賃くらいの情報しかありませんでした。戦後、日本人の生活様式が目まぐるしく変わりました。もちろん物件に求めるニーズもものすごい速度で変わるわけです。一方で大家さんは自分の持つ敷地にがんばってニーズに合った物件を建てるわけですが、そこが変形地であったり、狭小地であったりする場合も多いわけです。東京のような大都会だと特に。その時点でもう無理がある物件もそこそこあるわけですが、変わりゆくニーズや物件によっては用途の変更などに合わせて増改築を繰り返す中で不思議な間取りになることも多かったようです。もちろん、不思議な大家さんによる不思議な増改築もあったようですが(笑)。 街中の間取り図はフリーダム!かつありえないものもまだ残っているのです。
Q.変な間取り&面白い間取りに住むといいことってありますか?
森岡:まず、愛着が湧きやすいですね。大学時代、私は大阪の南部にある大学近くの傾斜地に建てられたアパートに住んでいたことがあります。そこは3階が入り口で私は1階に住んでいたんですが、外に出るのに毎回、3階にわざわざ上がらないといけません。疲れたときはなかなかしんどかったです。でも一方で、面白い間取りもしくは変な間取りの物件に住むメリットはあります。それは地域の同じ広さの物件と比べると、比較的リーズナブルな価格で借りられることが多いことです。一般的に不便と考えられることがご自身にとって不便でなければ、リーズナブルな家賃のところが見つかるかもしれません。
森岡:変、もしくは面白い間取りを見るのであれば、何時間でも見てられます。
面白い間取りだからといって、必ずしもデメリットがあるとは限りませんが、見るのと、住むのでは意味が変わってきますからね。普通の間取りでもそうするように慎重に選んだ方がよいのに変わりはありません。毎日生活するうえで、どんな不便があるのかなど、細かいイメージをしながら物件を選びたいものです。
ちょっと友達にネタとして話せそう、というような軽いノリで変な間取りや面白い間取りの物件を借りるのはおすすめできません(笑)。住み始めてから不便くらいで済めばいいのですが、毎日嫌いな階段の上り下りが発生するようなことになりかねませんからね。
森岡:不動産初心者は、変な間取り、面白い間取りは住むのではなくて、存分に鑑賞するのがおすすめ。鑑賞するときも1回眺めた後に何度も「こうかも、ああかも」と妄想を膨らませると面白いです。「これはありえないな~」とか「ここはなんだか不思議だな~」と思いつつ、行間を楽しみながら、まるで現代美術のように脳内で読み込んで連結させていく。ストーリーを作り上げていけば、何倍も間取り図を楽しめるはずです。
変な間取り、面白い間取りは何度も何度も見て楽しむべし
ありえない間取りの場合はリーズナブルな家賃で住める可能性もある
魅力的な間取りはアートのように楽しめる優良コンテンツ。観賞すればするほど、味わい深い