「家屋番号」や「地番」は普段の生活で使わないため、自宅の家屋番号や地番も知らないという人もたくさんいるでしょう。しかし不動産登記や不動産売買などでは重要な「番号」。ではどうやって調べればいいのでしょう? 今の時代、簡単に検索できる? 忙しい人でも簡単に調べられる方法を司法書士の清水さんに教えてもらいました。
「家屋番号」とは不動産登記法上、建物を特定するための番号のこと。法務局が登記される建物に付する番号です。同様に、土地を特定するための番号が「地番」で、一筆(※)の土地に対して1つの番号が付されます。どちらも固定資産税などの課税でも不動産を特定するために使用される「番号」で、家屋番号は基本的に地番を基に付されます。
※1:一筆/「筆」は土地1つの単位。一筆(いっぴつ)二筆(にひつ)……と表記される
一方、私たちが郵便物の送付などでよく使う「住所」は、多くの場合、「住居表示に関する法律」により、各市区町村が定めます。つまり、登記簿謄本上の「家屋番号」「地番」「所在」とは異なる番号なのです。
「昔は家屋番号と地番、住所は同じ番号でしたが、分筆(※2)や建て替え、同じ土地の上に複数の建物が存在する等が起きると、市街地ではそれぞれの住所を地番だけでは特定しづらくなっていきました(その理由は後述します)。そうなると郵便物を届けにくくなるなど、何かと支障をきたすことになります。そこで『住居表示に関する法律』が制定され、地番と住所とは異なる住所表記が使われるようになったというわけです」。
※2:分筆/一筆の土地を分ける場合に分筆(ぶんぴつ)という
家屋番号は基本的に地番に基づいて付されますが、同じ土地に複数の住戸がある分譲マンションの場合はそうはいきません。そこで住戸毎に家屋番号が付されます。
たとえば1200番地という地番にある分譲マンションの場合、かつて101号室は1200-1、102号室は1200-2……というように101号室から順に付されていたため、305号室が1200-18など、部屋番号と数字が違いわかりにくかったのですが「最近の多くのマンションは101号室なら1200-101、102号室は1200-102というように、部屋番号を利用するようになっているので、わかりやすくなっています」。
同じ土地(地番)で建物を建て替えた場合、古い建物と新しい建物を区別できるように、新しい建物には新しい家屋番号が付されます。先述したように、家屋番号は建物を特定するための番号ですから、たとえ同じ地番でも新しい建物と古い建物は明確に分けて付されます。
また、大きな一筆の親の土地を分筆せずに子世帯の家を建てるなど、一筆の土地に複数の建物が建つこともありますが、その場合、下記のようにそれぞれ別々の家屋番号が付されます。
逆に二筆の土地にまたがって建物が建つこともありますが、その場合、たいていは建物の床面積が大きい方の土地の地番が家屋番号になります。
市町村合併などで所在地の名称が変わった場合、法務局のほうで登記簿謄本の内容を自動で変更してくれます。ですので土地や建物の所有者が何か手続きを行う必要はありません。ただし、住所の末尾の番号が変わる場合は、申請が必要となります。その際の登録免許税は非課税です。
家屋番号を調べる方法はいくつかあります。家屋番号が必要になる状況は、主に不動産売買を行う際だと思いますが、その際に最も簡単な方法は、その建物を管理している不動産会社に聞くことです。たいていは不動産会社が調べてくれます。
またその建物の所有者に固定資産税の納税証明書や、権利書で物件を確認させてもらえば、そこに家屋番号が記載されています。
地番がわかるなら、最寄りの法務局へ行き、物件調査のため登記簿謄本を取得するという方法もあります。登記簿謄本には家屋番号が記載されています。手数料は1通600円です。
法務局へ行かなくてもインターネットで確認することもできます。下記「登記情報提供サービス」に登録して地番を入力すれば、当該建物の家屋番号も地番と同じ場合が多いです。こちらは手数料が334円です。
地番はわからないけれど、住所ならわかるという場合は、まず住所から地番を調べ、そこから家屋番号を調べましょう。上記の「登記情報提供サービス」では地番検索サービス(地図)も利用できますが、その地図には、いわゆる私たちがよく使う「住所」が赤字で、地番が青字で表示されています。まず赤字の住所で該当する建物を探し、そこに書かれている青字を見れば地番がわかります。後は上記の「地番から家屋番号を調べる方法」で調べることができます。
またその建物の所在地を管轄している法務局へ行って、備え付けの「ブルーマップ」でも住所から地番を調べることができます。利用は無料です。ブルーマップは上記「登記情報提供サービス」の地図同様、住所が赤字、地番が青字で表示されています。
なお1つの建物の敷地が合筆(二筆以上の隣接する土地を1つの土地に合体させる)されていたり、分筆されていると、地番が変わっています。変わる以前の地番から家屋番号を特定するには、上記の「登記情報提供サービス」などで、古い地番の土地の登記簿謄本や閉鎖謄本等を取得して調査してみましょう。たとえば地番40-1と40-2が合筆されたなら、たいてい新しい地番はそのどちらかです。40-1が分筆された場合は、40-1の謄本の表題部に「40-2に分筆」などと記載がありますから、40-2を調べてみましょう。公図を取得してみるとわかりやすいかもしれません。それでもわからない場合は法務局に相談しましょう。
先述の通り、不動産会社に聞くか、所有者の固定資産税の納税証明書を見せてもらえばわかります。
確かに最近は部屋番号が家屋番号に使われていることがほとんどですが、昔のマンションは違ったので、法務局で確認したほうがよいでしょう。
かなりレアケースですが、未登記の建物だった場合、当然家屋番号はありません。この場合、所有者が登記を行わないと売買できませんし、未登記物件を相続した場合や、売却や担保を設定する場合には登記する必要があります。登記をすれば家屋番号が付されます。
この記事は、2022年3月9日現在の情報です
「家屋番号」は家を特定するために法務局が付す番号
同じ敷地・同じ地番でも家を建てかえたら、新しい家屋番号が付される
家屋番号を知りたい場合、不動産会社に聞けばたいてい教えてもらえる