SUUMO(スーモ)は、住宅・不動産購入をサポートする情報サイトです。
意外と意識していない人が多いシロアリ対策。床下など目に見えない場所だからこそ、しっかり対策しておくことが重要。そこで、マイホームをシロアリの被害から守るために、シロアリの特徴や侵入経路、シロアリから家を守るためのポイントについて、公益社団法人 日本しろあり対策協会から教えてもらった。
シロアリは「アリ」という名前であるが、アリとは全く異なる食性と生態系の昆虫。アリは女王を中心とした社会性昆虫であるのに対し、シロアリは女王と王のペアを中心とした社会性昆虫で、アリのように女王シロアリを中心としたコロニーを形成し、コロニーには数万から数百万の個体が生息する。
「日本には20種類以上のシロアリ が生息していますが、住宅に被害を及ぼすと言われているのは、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリの主に3種類。それぞれ特徴が異なり、ヤマトシロアリとイエシロアリは高温多湿を好み床下から侵入し被害を及ぼします。ヤマトシロアリは加害場所が巣であり、巣は加害場所と共に移動します。イエシロアリは地中などに固定の巣をつくって蟻道を行ったり来たりするので加害性が高く、被害が大きくなりやすいのが特徴で、場合によっては被害が2階にまで及ぶケースも。一方、アメリカカンザイシロアリは乾材シロアリの一種で、乾材をエサにするので屋根裏などどこからでも侵入します。そのため、マンションなどで内装に使用している木材や家具などでも被害が報告されています」(日本しろあり対策協会担当者、以下同)
発生エリアについては、ヤマトシロアリは日本全域であるのに対し、イエシロアリは関東南部~沖縄エリアと北限があり、アメリカカンザイシロアリについては被害エリアが点在している。
シロアリは木を中心とした雑食性昆虫のため、加害性が強く、木柱、まくら木、木柵、杭木などの木材を食害する。また、生きた樹木や農作物、ゴム類、繊維類、皮革類、煉瓦やコンクリート、鉛や薄板など軟らかい金属を加害する場合も。シロアリの侵入経路は主に土中からだが、ベタ基礎の隙間や水道管とコンクリートの隙間もある。主な被害箇所は水まわり、玄関等である。

「それぞれの住宅の強度の差異があるので一概には言えませんが、阪神大震災発生時にはシロアリ被害の有無によって住宅の倒壊などの被害状況は異なったという調査結果も。シロアリの被害が家の耐久性にも影響を及ぼすこともあります」
「ヤマトシロアリとイエシロアリは高温多湿で暗いところを好むので、床下の木材などに被害を及ぼすことが多く、被害が確認しづらい。床が軋んだり、畳が凹んだりすることが遭った場合はシロアリの被害を疑ってみてください。
床下を覗いたときに蟻道が見つかれば、シロアリがいる証拠。範囲まではわからないですが、被害を及ぼしていることが確認できます。一方、アメリカカンザイシロアリの場合はフンを出すので、それを見つけたら被害に合っていることがわかります」
シロアリは1年のうちコロニーを広げる時期があり、その時期だけ羽をつける。そのときはシロアリが目視できるタイミングでもある。種類によって時期が異なり、ヤマトシロアリ4~5月の日中、イエシロアリ5~6月の夜間、アメリカカンザイシロアリはほぼ1年中不定期に羽をつける。
| 種類 | ヤマトシロアリ | イエシロアリ | アメリカカンザイシロアリ |
|---|---|---|---|
| 特徴 | ・頭部は、ほぼ円筒形で体長の約1/2の長さ ・防御物質である乳白色の液は出さない ・高温多湿を好むため、床下に多い |
・頭部は卵形で体長の約1/3の長さ ・虫に触れると、頭部先端から乳白色の液(防御物質)を出す |
・体長がイエシロアリの約2倍で頭部が体長の約1/3の長さ ・触角の基部から3番目の環節が長大 ・防御物質である乳白色の液は出さない |
| 生息地 | 日本全域 | 関東~沖縄 | 暖かい地域(詳細は不明) |
| 侵入経路と被害 | ベタ基礎の隙間、水道管などの管とコンクリートの隙間、玄関などから侵入し、巣はつくらず床下を加害する。被害は腐朽と同時に起こることが多い | ベタ基礎の隙間、水道管などの管とコンクリートの隙間、玄関などから侵入し、床下に巣をつくり加害速度も速く、加害性が高い。被害は建物全体に及ぶ場合も | 屋根裏などから侵入し、建物の乾燥した木材や、ピアノ・ステレオ・たんす・鏡台・机などの家具類を食害する |
シロアリ被害の疑いがある、または被害が確認できた場合、どのようにして駆除をすべきか?
「シロアリによる被害の範囲は広範囲にわたることも多く、1箇所を駆除しても安心できません。必ず業者に依頼するようにしましょう。駆除費用は1坪当たり1万円程度が目安(一般財団法人 経済調査会)ですが、被害状況や地域によって費用もさまざまなので、事前にしっかり見積もりを取りましょう」

また、駆除にかかる日数については半日~3日くらいが目安だが、被害の状況や建物の状況によって変動するので、見積もりと併せて確認を。基本的に住みながらでも可能だが、駆除内容によっては駆除期間仮住まいにするかについて検討しよう。
「当協会はシロアリの防除施工を行う技術者の資格制度として「しろあり防除施工士」の認定を行っています。しろあり防除施工士は、防除施工に必要な知識を有し、防除施工標準仕様書に沿って安全かつ確実な施工を行っているので、シロアリ駆除は知識と経験の豊富なプロに任せましょう」
シロアリ被害に遭ってからでは駆除するためのコストがかかってしまうため、シロアリ被害を予防するのが第一。では、どのようにして予防すればいいのだろうか?
「シロアリの予防にはとにかく点検が大事。5年に一度は防除施工(防蟻処理)をすることをお勧めします。新築の場合必ず防除施工(防蟻処理)を行いますが次第に効果が落ちていくので、5年を目安に防除施工(防蟻処理)を行うと良いでしょう。屋根や外壁などは劣化に気づきやすいですが、普段見えない床下は見逃しがちなので、定期的な点検と防除施工(防蟻処理)をすることが家を守ることにつながります」

また、中古物件を購入する場合は、防除施工(防蟻処理)の履歴、点検状況の確認を。必要に応じて床下の防除施工を行うようにしよう。
「シロアリを予防するためには、なるべく高温多湿を避けること。通気性をよくすることが大事になってきます。イエシロアリなど比較的暖かいエリアで発生するケースが多く、地域性も影響しやすいため、気候の暖かいエリアにお住まいの方はより意識しましょう。また、土地を購入する際には、ジメジメしやすい場所でないか土地の履歴を確認するといいと思います」
シロアリの特性を知り、しっかりと対策をすれば、長持ちする家づくりが可能に。そして、万が一シロアリの被害に遭った場合も、どのように駆除すればいいかを知っておけば安心だ。
家に甚大な被害を及ぼすシロアリはヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリの主に3種類
ヤマトシロアリとイエシロアリは高温多湿で暗いところを好むので、床下の木材などに被害を及ぼすことが多く、被害が確認しづらい
シロアリによる被害の範囲は広範囲にわたることも多く、防除・駆除は必ず業者に依頼しよう
5年に一度は定期点検と防除施工(防蟻処理)を行うようにしよう