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都心の駅チカ物件や再開発地のタワーマンションなどでは、中古になっても購入時の価格から落ちずに、場合によっては購入時よりも高く売却できる物件もあります。将来的に高く売れそうなマンションなら、少し無理をして買うという選択肢はあるのでしょうか。
例えば、6000万円で買ったマンションに10年間住んで、買ったときの価格と同じ6000万円で売れたとしたら、10年間の実質的な住居費は、修繕積立金や管理費、固定資産税、都市計画税などの維持費の負担と、住宅ローンの利息負担だけですんだことになります。
これは、立地条件や間取りなどが同程度の賃貸物件に同じ期間住んだ場合と比べて、住居費負担が軽くなるはずです。
住宅の価格というのは、一般的に、建物部分の価値は経年劣化によって下がっていきます。一方、土地部分の価値はその時々の需給関係によって決まってきます。つまり、土地部分の価値が変わらなくても、建物部分の価値が下がっていくので、住宅の価格は経過年数によって下がっていくのが一般的なのです。
しかし、近年は首都圏を中心に土地部分の価値が上がってきているだけでなく、世界的な物価上昇による資材の高騰で建物部分の価値も上がり、不動産価格そのものが全体的に上昇傾向にあるようです。
首都圏の新築マンション平均価格も2021年度には平成バブル期の高値を超えるなど、価格上昇が続いています。特に東京23区の上昇が著しく、2023年度には1億円の大台を突破して大きなニュースになりました。
下のグラフは国土交通省がまとめた不動産価格指数の動きです。マンション価格の上昇傾向が顕著なことがわかります。

首都圏の中古マンションの成約物件の平均m2単価の推移を見ても、2002年あたりを底値に上昇傾向が続いています。地域による違いはありますが、東京都区部では中古マンションの価格も平成バブル期並みになってきていることがわかります(下図参照)

ということは、ここ最近の住宅価格の動向は、経年劣化による下落圧力よりも、不動産市況による上昇圧力のほうが大きいかもしれないということです。つまり、買ったマンションの価格が下がりにくい状態だといえるでしょう。

首都圏エリア別中古マンションの成約物件の平均m2単価のグラフを見てもわかるとおり、上昇ピッチが速くなっているのは、東京都の特に都区部であることがわかります。千葉県や埼玉県はそれほど上昇ピッチが速いとは言えないでしょう。
したがって、高く売れそうな物件、もしくは、大きく値下がりしなさそうな物件というのは、当然ながら立地条件のよい都心の物件に限定される可能性が高いといえそうです。
そういう物件であれば、価格が大きく下がる可能性が低くなっていきますので、多少「無理をして」買ったとしても、誰もが欲しいと思ってもらえるような物件、つまり、すぐに買い手がつくような売りやすい物件であれば、ケガは少なくてすむはずです。
もちろん、FPとしては「無理をして」買うことはオススメしません。60歳を超えて返済が続くような超長期のローンを組むとか、毎月の返済額が多くて生活に支障をきたすとか、無茶なローンの組み方で買うことは当然避けるべきです。
とはいえ、最終的には自分で決めるものです。きちんとリスクを認識したうえで、それでも買いたいとか、将来売却したときにトクをする可能性に賭けたいというのであれば、買ってみるのもひとつでしょう。将来のことは「神のみぞ知る」ですから。
ただし、最悪の場合は、価格が大きく下がって、ローン残高が多くて売りたくても売れない状況に陥る可能性もゼロではないことを頭に置いておいてくださいね。
マンションは買ったときの価格で売れれば、賃貸に住んでいた場合に比べて住居費負担が軽くなる
近年は首都圏を中心に不動産価格そのものが全体的に上昇傾向
東京都の特に都区部では中古マンションの成約物件の平均m2単価が急ピッチで上昇中
立地条件のよい都心の売りやすい物件なら、多少無理をして買ってもリスクは小さそう
超長期の返済や家計負担の大きな返済額など、無茶な借り入れは避けることが大切