住宅ローンは何歳まで組める?借入時の平均年齢や、年齢別の注意点を解説

公開日 2024年05月16日
住宅ローンは何歳まで組める?借入時の平均年齢や、年齢別の注意点を解説

住宅ローンは何歳まで組めるものなのか、自身の年齢を考えて漠然と不安を感じる人は多いのではないでしょうか。一般的に借入額が大きな住宅ローンは返済期間が長くなるものですが、結婚、出産、教育、老後など、さまざまなライフプランを考えると、何歳まで借りられるかという点だけでなく、借りる年齢に合わせて、借り入れ時に注意すべきポイントも知っておきたいものですよね。
今回はファイナンシャルプランナー(FP)の風呂内亜矢さんに、住宅ローンの借り入れについて、年齢別のアドバイスなどを伺いました。

住宅ローンは何歳まで組める?

住宅ローンは70歳未満まで組めるものが多い

住宅ローンの申し込み可能な年齢は、18歳以上70歳未満が一般的です。

「以前は借り入れ時の年齢の上限は65歳未満という金融機関の方が多かったのですが、定年年齢が引き上げられてきていることもあり、現在は住宅ローンの開始を70歳未満と定めている金融機関が多くなっています」(FP風呂内さん、以下同)

現在も65歳以上になると住宅ローンを組めない金融機関もあるため、気になる金融機関がある場合は申し込み可能な年齢の上限について確認しておきましょう。

住宅ローンの完済時年齢の上限は80歳未満が一般的

住宅ローンは借り入れ時の年齢の上限に加え、完済時年齢についても、通常上限が設けられています。

金融機関によって完済時年齢の上限は異なりますが、一般的には80歳、中には85歳までに完済としているケースもあります。

申し込み可能年齢の上限は70歳未満とされていることが多いと前述しましたが、例えば69歳で住宅ローンをスタートしても、80歳までに完済するとなると、35年のローンを組むことはできません。

もし35年のローンを組みたいと考えて単純に逆算すると、80-35=45となるので、35年の住宅ローンを申し込む上限年齢は45歳となります。45歳を超えて申し込みをすると、借り入れできる期間は35年よりも短くなると考えておきましょう。

各金融機関の借り入れ時年齢と完済時年齢の上限
借入時年齢上限 完済時年齢上限
三菱東京UFJ銀行 18歳以上70歳の誕生日まで 80歳の誕生日まで
三井住友銀行 18歳以上満70歳の誕生日まで 満80歳の誕生日まで
みずほ銀行 満18歳以上満71歳未満 満81歳未満
りそな銀行 満20歳以上満70歳未満の 満80歳未満
ソニー銀行 満20歳以上満65歳未満 満85歳未満(※)
PayPay銀行 20歳以上65歳未満 80歳未満
イオン銀行 満18歳以上満71歳未満(※※) 満80歳未満
※ワイド団信の場合は満81歳未満
※※全疾病団信住宅ローン、がん保障付住宅ローン、8疾病保障付住宅ローンは満18歳以上満50歳未満(筆者調べ)

住宅ローンを組むのは平均何歳?

住宅ローン借り入れ時の年齢の平均は上昇傾向

35年の住宅ローンを組みたい場合、80歳までの完済が上限であれば45歳までに申し込む必要があると紹介しましたが、実際に住宅ローンを借り入れている人は、何歳で借り入れをしているのでしょうか。

住宅ローン借り入れ時の年齢については、2022年度【フラット35】利用者調査によると、2022年度融資利用者の平均年齢は42.8歳となっています。2021年度の41.5歳よりも1.3歳上昇しており、10年前の2012年度の38.9歳からは3.9歳もアップしています。借り入れ時の平均年齢を見ると、年々上昇傾向にあるようです。

平均年齢は42.8歳となっている一方、年代別に統計結果を見てみると、ボリュームゾーンは30歳代で34.2%となっています。30歳未満は11.9%、40歳代は27.4%で、50歳代は15.6%、60歳代以上は10.9%という結果です。

10年間の推移の傾向としては、ボリュームゾーンが30歳代であることは変わらないものの、年々割合は縮小しており、40歳代以上の層の比率が上がっています。

また、この年代別の比率からわかるように、条件的に借り入れが可能な年齢であっても、やはり60歳代以降になると、住宅ローンを利用する人は少なくなります。

【フラット35】利用者 住宅ローン借り入れ時の平均年齢と年齢別割合
平均年齢 60歳以上 50歳代 40歳代 30歳代 30歳未満
2022年度 42.8歳 10.9% 15.6% 27.4% 34.2% 11.9%
2021年度 41.5歳 9.0% 14.1% 26.5% 36.2% 14.1%
2020年度 40.3歳 7.4% 12.1% 25.4% 39.8% 15.3%
2019年度 40.2歳 7.0% 11.3% 25.9% 41.7% 14.2%
2018年度 40.1歳 7.1% 10.7% 25.5% 42.3% 14.3%
2017年度 40.0歳 7.0% 10.8% 25.1% 42.9% 14.3%
2016年度 39.8歳 6.7% 10.3% 24.9% 44.5% 13.6%
2015年度 39.8歳 6.7% 10.0% 25.2% 45.2% 13.0%
2014年度 40.4歳 8.0% 10.6% 24.8% 44.3% 12.3%
2013年度 39.6歳 6.9% 10.1% 22.7% 46.8% 13.4%
2012年度 38.9歳 6.1% 8.6% 22.1% 48.8% 14.4%
参照:2022年度 【フラット35】利用者調査(出典/住宅金融支援機構)

住宅ローンは何歳までに組むのが理想的?

申し込み可能年齢の上限はあくまでも上限で、審査が通らないこともある

住宅ローンの借り入れには審査がありますが、その際ポイントとなる数値として年収倍率と返済負担率というものがあります。

年収倍率 借入額が年収の何倍かを示す数値で、一般的に借り入れ金額は年収の7倍程度が目安などと言われる
返済負担率(返済比率) 返済額が年収の何割を占めるかを示す数値

返済負担率が高くなると、審査が厳しくなる可能性を考えておかなければなりませんが、同じ金額で比較すれば、借入期間が短くなるほど、返済負担率は上がります。

45歳を超えて35年の住宅ローンが組めなくなると、年齢が上がるほど返済負担率が上がってしまい、審査が通らなくなる可能性もあります。

「例えば、本来ならば7000万円の物件を購入できた人が、5000万円の物件しか買えなくなるというように、年齢的に住宅ローンを組むことはできても、予算を落とす必要が出てくるようなケースも考えられます」

高齢になると団信に入れないことも

住宅ローンを借り入れる場合、団信(団体信用生命保険)への加入は原則必須です。

団信は、住宅ローンの利用者が死亡や高度障害状態になった場合などに、住宅ローンの残高をゼロにすることができる保険で、住宅ローンの申し込みには、団信への加入が必須となっていることがほとんどですが、もし加入しないで住宅ローンを借り入れ、万が一のことが起きた場合は住宅ローンを返済していかなければなりません。

「年齢が上がるにつれて、健康面の心配もあります。団信は生命保険の一種のため、健康状態が悪かったり、直近で大きな病気をしたりしていると加入できないということがあるため、そのリスクを考えておく必要があるでしょう」

団信の審査に落ち、加入できないとなった場合、持病などがあっても加入しやすい、条件が緩和された『ワイド団信』を検討するという方法もありますが、ワイド団信にも審査があります。

また、どの団信の審査も通らないという場合は、団信加入が任意の住宅ローンを選択する方法もありますが、万が一死亡した時の大きなリスクを伴うため、慎重に検討する必要があります。

保険のイメージ
(画像/PIXTA)

年代別・住宅ローンを借り入れる場合の注意点

『何歳まで住宅ローンを組めるのか』というのは、各金融機関の設けている年齢の条件を見ると、『70歳未満で、80歳までに完済できること』が、1つの目安になりますが、住宅ローンを申し込む年齢が若くても、申し込みの上限に近い年齢であっても、自分自身の収入やライフプランなども考えて、住宅ローンの計画を立てる必要があります。

ここからは、30歳代から60歳代の年代別に、住宅ローンを借り入れる際に、特に注意しておきたいポイントを見ていきましょう。

30歳代で住宅ローンを借り入れる場合の注意点

30歳代だけでなく、全世代に当てはまることではありますが、特に若い世代の人が住宅ローンを借り入れる際は、退職時の住宅ローンの残高をきちんと把握しておくことが重要だと言います。

「月々の返済額については負担感などを想像しやすいものですが、若い世代の人は特に20年後、30年後、退職時の住宅ローンの残高まできちんと想像できていないことが多いと思います。

現在の返済額が無理のない金額でも、変動金利で借り入れている場合などは、金利が上昇して毎月の返済額が上振れする可能性もあります。今の家計を考えるだけではなく、中長期で健全に家計を回していけるかという視点が必要です。

例えば、ライフプランが変更したときに対応しやすいように、売りやすい物件を選ぶというのも、1つの選択肢かもしれません」

30代で住宅ローンを組むことは、比較的余裕を持って返済期間を設定できるというメリットがありますが、住宅ローンを完済するまで長い期間がある分、先々までを見通して計画を立てることが必要になります。

40代で住宅ローンを借り入れる場合の注意点

低金利が続いていることもあり、最近は頭金なしのフルローンを選択する人も少なくありません。特に、20歳代、30歳代の場合は、頭金が貯まるまで待つよりも、早く住宅ローンをスタートさせることで、定年までの完済を目指すというケースもあるでしょう。しかし、40歳代で住宅ローンを借り入れる場合は、ある程度頭金を入れることを考えましょう

「特に40歳代後半の場合は、完済までの期間が短くなります。頭金なしのフルローンになると、借入額によっては返済負担率などの面で、審査が厳しくなることもあります。

また、退職時の住宅ローン残高も少なくしておいた方がいいので、40歳代で住宅ローンを組む場合は、ある程度頭金を入れることは検討した方がいいでしょう」

できるだけ頭金を入れて借入額を抑えた方が、毎月の返済額も抑えられ、支払う利息も少なく済みます。

頭金を多く入れると、その分無理のない返済計画にはなりますが、40歳代の場合は教育費の負荷が大きく、手元にできるだけ資金を残して生活を円滑に回したいというケースもあるでしょう。借り入れの際、頭金をどの程度入れるべきかは、自身の家計のバランスを見て判断するようにしましょう。

50歳代で住宅ローンを借り入れる場合の注意点

50歳代の人は団信への加入などを考えると、早めに決断するのが安心です。

「50歳代は健康面が心配になる時期でもあるので、新規で借り入れる人だけでなく、借り換えの人もラストチャンスかもしれないと考えましょう。

また、50歳代から住宅ローンをスタートさせる場合、退職金を使って繰上げ返済をするかどうか、繰上げ返済をした後、老後の生活が回るのかという心配をする人もいるかもしれませんが、退職金を使わずに完済を引き延ばしても、繰上げ返済をした場合よりも総返済額が増えてしまいます。50歳代で住宅ローンを借りるのであれば、ある程度退職金で返済する算段をつけておく必要があります」

なお、50歳代で借り入れる場合は退職までの期間がほかの世代よりも短い分、5年固定、10年固定などの固定金利期間選択型の固定金利を検討しやすいと言います。

「50歳代の場合は5年から10年のタイミングで、退職を控えているというケースが多いでしょう。退職金がもらえるまでの期間、金利を固定しておいて、退職金で住宅ローンを完済できれば終了するため、全期間までの固定金利を求める必要がありません。若い世代よりも、50歳代の場合は期間選択型の固定金利も選びやすいでしょう」

60歳代で住宅ローンを借り入れる場合の注意点

60歳代でローンを借り入れて住宅購入をするという場合は、その住まいをその後どのように活用していくかを、よく考えておくことが重要です。

「60歳代になると住宅ローンを組むのは、なかなか難しいケースもありますが、もし住宅ローンを組んで住まいを購入するのであれば、購入する物件にその後どのくらい住み続けるのかという観点を持っておくことが必要です。

将来、施設などに移り住む可能性があるのなら、そのタイミングで売却したり、人に貸したりできる物件かどうかは考えておきましょう

また、自身が高齢でも、成人した子どもがいて新居を購入するという場合は、『親子リレーローン』を検討するという方法もあります。親子リレーローンとはスタート時は親が返済を行い、親が退職した時点で子どもが返済を引き継ぐローンです。

「親子リレーローンの場合は、子どもの方の審査に比重が置かれます。

親から子が引き継いて返済していくことになるので、子どもが引き継いだ後も、納得できるような物件を選ぶよう、きちんと協議しておくことが欠かせません」

どの世代も、ライフプランに合った資金計画が大事

借り入れ時の年齢が45歳を超え、そこから高齢になるほど、借入期間は短くなり、同じ借入額であれば月々の負担は大きくなります。年収負担率が上がると審査も厳しくなるため、住宅ローンは借りられても、購入できる物件の予算は限られてくる可能性があります。

また、若い世代であっても、返済期間に余裕があるからといって借り入れすぎると、ライフステージが変わってきたタイミングで、家計が回らなくなってしまうことも考えられます。

どの年齢でも、退職時に住宅ローンの残高がどの程度になりそうかなど、きちんと将来を考えた上で、無理のない計画を立てることが大事です。

『何歳まで住宅ローンを組めるのか』というのは、金融機関の利用条件などを見ると、70歳未満で80歳までに完済できることが一般的な目安とはなりますが、誰でもが当てはまるということではありません。自分の年収と借入額、完済までの期間、健康リスクなど、総合的に考えておくことが必要です。

まとめ

住宅ローンの申し込み可能年齢は18歳以上70歳未満、完済時年齢の上限は80歳が一般的

借り入れ年齢の平均は上昇傾向にあるが、高齢になり健康不安などがあると、団信に加入できないという可能性もでてくるので注意

何歳で借り入れる場合でも、無理のない借入額でライフプランを考えた資金計画を立てることが大事

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構成・取材・文/島田美那子
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