繰り上げ返済の「期間短縮型」と「返済額軽減型」、どっちが有利?

最終更新日 2023年07月20日
ヒッシーのマネー騎士(ナイト)
繰り上げ返済の「期間短縮型」と「返済額軽減型」、どっちが有利?

通常の返済とは別に元金の一部、または全部を返済する繰り上げ返済には、毎月返済額を変えずに残りの期間を短くする「期間短縮型」と、残りの期間を変えずに毎月の返済額を軽減する「返済額軽減型」の2種類があります。そして、前者の「期間短縮型」のほうが有利だといわれることが多いのが一般的です。

「期間短縮型」と「返済額軽減型」の利息軽減

では、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の利息軽減効果を、ケーススタディで比べてみましょう。

CASE
住宅ローン残高3000万円。約100万円を繰り上げ返済するとどうなる?

【住宅ローンの条件】

  • 住宅ローン残高3000万円
  • 借入金利2%(全期間固定)
  • 残り返済期間30年
  • 元利均等返済(ボーナス返済なし)

この条件で、約100万円を繰り上げ返済すると以下の数字になる。

【期間短縮型】
繰り上げ返済額 短縮できる期間 利息の軽減効果
1,048,970円 1年5ヵ月 836,075円
繰り上げ返済額から得られる経済効果

約105万円を今後28年7カ月(=30年-1年5カ月)の間、年2%(1カ月複利)で運用し、28年7カ月後の元利合計(約186万円)で残債を一括返済するのと同じ効果が得られる。

【返済額軽減型】
繰り上げ返済額 軽減できる返済額 利息の軽減効果
1,000,000円 毎月3,696円 330,560円
繰り上げ返済額から得られる経済効果

100万円を今後30年間、年2%(1ヵ月複利)で運用しながら、毎月一定額(3,696円ずつ)を受け取っていくのと同じ効果が得られる。

※ともに繰上げ返済手数料等は考慮していない

結果を見ると、確かに利息の軽減効果、つまり、総返済額の減額効果は、期間短縮型のほうが大きくなります。同じ約100万円の繰り上げ返済で50万円以上効果が違うのですから当然でしょう。

ただし、これはあくまでも利息の軽減効果を絶対額で比較した場合についていえることで、他の要素も考えると、一概に期間短縮型が有利だと言い切れるわけではないので注意が必要です。

利回り換算した繰り上げ返済の効果はどちらも同じ

まず、繰り上げ返済にあてた金額(今回の例では約100万円)から得られる経済効果を利回り計算してみると、実はどちらも同じであることが分かるのです。

期間短縮型のほうは、繰り上げ返済をせずに手元にある約100万円を運用し続けて、28年7カ月後に一括返済するためのお金に充当したと考えると、約100万円が28年7カ月後のローン残高である約186万円になっている必要があります。その金額に達するための運用利回りは、実は借入金利と同じ年2%(1カ月複利)なのです。

一方、返済額軽減型は、手元にある100万円を繰り上げ返済せずに30年間運用しながら毎月取り崩していったと考えると、軽減額と同じ毎月3696円を取り崩していくためには、これも借入金利と同じ年2%(1カ月複利)で運用する必要があるのです。

つまり、経済効果に着目すると、どちらの方法を選択しても、繰り上げ返済した金額から得られる効果は、借入金利で運用するのと同じ経済効果であることが分かります。どちらかがトクなのではなく、基本的には同じだと考えておくべきでしょう。

精神的効果は返済額軽減型のほうが大きい?

次に、繰り上げ返済による効果を実感できる時期で比較してみると、期間短縮型は返済終了時点ですが、返済額軽減型は繰り上げ返済した直後となるので、これも一概に期間短縮型が有利だとは断言できない要因のひとつといえるでしょう。

例えば、今回のケースで2種類の繰り上げ返済の実質的な効果について少し表現を変えて言うなら、期間短縮型は、「今、約100万円を支払えば、28年7カ月後に約186万円をプレゼントします」、返済額軽減型は、「いま100万円を支払えば、来月から30年間、毎月3696円をプレゼントします」と言われるのと同じようなものです。

さて、あなたならどちらを選ぶでしょうか。

意外と多くの人が、毎月3696円の受取りを選択するのではないでしょうか。いくら合計の受取額が約50万円多いとはいえ、28年7カ月後の約186万円が一体どの程度の価値なのか、そんな将来のお金よりも目先の毎月約4000円のほうがそれなりに価値は高いと判断されるからではないでしょうか。

こう考えてみると、返済額軽減型の繰り上げ返済のほうが精神的なおトク感は大きいのかもしれませんね。ぜひ、繰り上げ返済をする際は、どちらがトクだからと思い込まずに、冷静に検討してみてください。とはいえ、家計にそれなりのゆとりがあるのであれば、基本的には絶対額として利息の軽減効果の大きい期間短縮型を優先する方向で問題はないでしょう。

イラスト/杉崎アチャ

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