次にくる住みたい街はここだっ! ~流山おおたかの森編~

公開日 2015年05月20日
次にくる住みたい街はここだっ! ~流山おおたかの森編~

千葉県北西部に位置する流山市。江戸川や利根運河が流れる水辺の街として、かつては水運が盛んだったことで知られます。都心からも近いことから、かねてよりベッドタウンとして宅地開発が盛んに行われてきました。そんな流山市のなかでも、とくに近年人気が上昇しているのが「流山おおたかの森駅」周辺の地域。
健全な自然がある場所にのみ生息する「オオタカ」が住む森があることから名付けられた「流山おおたかの森」。近年では商業施設をはじめマンションや戸建て住宅も増え、子育て世帯が続々と増えているとのこと。

千葉県居住者が選ぶ「住みたい街ランキング2015 関東版 <居住都県別>」(リクルート住まいカンパニー調べ)では、昨年の17位から7位に大幅アップ。隣接する茨城県居住者が選ぶランキングでも昨年31位から10位と大きく順位を上げています。さらに、「今後、地価が値上がりしそうな街ランキング」でも15位にランクインするなど、まさに”次にくる”気配をひしひしと感じさせる注目の街なのです。

その人気を支えるものは何なのか……?魅力を探るべく、現地を訪れてみました。

そもそも、流山おおたかの森ってどんな街なの?

まずはエリアの特徴について、写真とともに見ていきましょう。

2005年、つくばエクスプレスの開通にともない「流山おおたかの森駅」が開業

流山おおたかの森駅
秋葉原駅とつくば駅のほぼ中間地点の駅。最短で浅草へ快速で19分、秋葉原へ25分と乗り換えなしで都心へ30分程度で出ることができ、東武野田線も乗り入れている。また、途中駅の北千住駅からは東京メトロ千代田線へ、新御徒町駅では都営地下鉄大江戸線へ乗り換えもできる

駅前の大型商業施設「流山おおたかの森S・C」

流山おおたかの森S・C
駅南口には、ファッションや雑貨をはじめとするショップが集まる「流山おおたかの森S・C」がある。生活雑貨や文具が揃う「ロフト」、食料品や鮮度品を扱う「タカシマヤフードメゾン」、「食品館イトーヨーカドー」など日用品も充実(画像提供:東神開発株式会社)
紀伊國屋書店
「流山おおたかの森S・C」には、東葛エリア最大の約800坪をほこる「紀伊國屋書店」をはじめとする大型のテナントが多数。総座席数約1900席・11スクリーンが完備されている映画館「TOHOシネマズ」では千葉県最大級となる幅60cmのワイドシートで映画を鑑賞できる(画像提供:東神開発株式会社)

専門医院が複数そろう「流山おおたかの森メディカルモール」

流山おおたかの森メディカルモール
「流山おおたかの森S・C」の真向かいにある「流山おおたかの森メディカルモール」は、内科や外科をはじめ小児科、皮膚科、心療内科など専門的なクリニックが入居するビル。医療施設が一箇所にまとまっているので便利

駅周辺では盛んな宅地開発が進む

駅周辺では盛んな宅地開発が進む
マンションをはじめとする大規模な宅地開発を行った駅周辺。約286haにおよぶ土地区画整理事業は1999年度からスタート、洗練された街並みで都会的な雰囲気を創出している。新市街地地区の完成は2018年度を予定

豊かな自然が多く残る街

豊かな自然が多く残る街
流山おおたかの森駅から徒歩22分ほどのところにあるのは、野鳥や草花を観察できる「西初石小鳥の森」。もともと田畑や森林が多く、農家がほとんどだったという駅周辺のエリアには、今でも緑が豊富な公園などが点在しており、自然のなかで子どもが元気に遊ぶ姿が

このように昔ながらの自然と、新しい街並みが同居する流山おおたかの森エリア。宅地開発は今なお進行中で、若いファミリー層から熱い視線が注がれるのも納得です。ちなみに、賃貸物件の家賃相場も1K・1DKが4万4400円、1LDK・2K・2DKが7万2400円(SUUMO・家賃相場2015年3月31日時点)と、なかなかお手ごろなラインといえるでしょう。

子育て世帯のニーズを満たす”シティマーケティング”の戦略

かつて流山市は「首都圏30km圏内の陸の孤島」と言われていましたが、ここ10年で人口が約2万人も増加。その原動力となったのが、2005年のつくばエクスプレス開業と、それにともなう流山おおたかの森駅周辺の再開発です。新線開通にともなって計画的に整備されてきた住宅地には、30代の子育て世帯が数多く移り住み、流山市の急激な人口増をけん引してきました。
では、なぜそこまで子育て世帯の支持を得ることができたのか?背景には、流山市役所が10年前から取り組む”マーケティング視点”に基づく街づくりがあるようです。実際にマーケティング業務を担当する、流山市メディアプロモーション広報官の河尻和佳子さんに話を伺いました。
「マーケティングというと、企業が商品開発などを行うときの市場調査などを思い浮かべる方が多いと思います。今では市町村が地元のブランドイメージを高めるためにマーケティング活動を行うことも珍しくありませんが、10年前は自治体に専門の課をおいていること自体が珍しかったんです。当時はつくばエクスプレスの開業前だったので、『発展し続ける街の仕組みづくり』が最初のミッションでした。新線が完成すれば都心に20分台で通勤できますし、そのうえ緑も多く子どもが遊ぶ場所もたくさんある。共働きの若いファミリーにとっても魅力的な環境であることから、定住していただくターゲットを共働き子育て世代に設定することにしました」(河尻さん、以下同)
その後、目指す都市イメージを「都心から一番近い森のまち」に設定し、子育て世帯に響くプロモーションを展開。当時、「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」のキャッチコピーが印象的なポスターが都心の駅を中心に貼られ、大きな話題を呼びました。
また、認知度を高めるだけではなく、子育て環境整備も同時期にスタート。
「例えば、出勤前など朝7時に、駅前のビルにあるステーションまでお子様を連れてきていただければ、バスで保育園まで送迎する『駅前送迎保育ステーション』というサービスをつくりました。このサービスは、人口増加にともなう待機児童を解消させるためにスタートしたもので、バスで送迎することでご自宅から離れた保育園に通わせることができるため、保育園の選択肢が増え、待機児童の解消につながりました。お子様を最大夜9時まで預けられるので、利便性が高く、親御さんの負担も減ったと大変好評です。現在は、150名ほど利用されています」

フォレストキッズガーデン
駅すぐの「ライフガーデン流山おおたかの森」4階にある「フォレストキッズガーデン」では、全国的にも珍しい”送迎保育”を実施。家から離れた保育園でも空きがあれば送迎バスを使って預けることができる(画像提供:流山市役所)

さらに、子育て中のパパママが参加できるイベントも多彩。
「流山おおたかの森駅前広場では、さまざまなイベントを開催しています。昨年の夏には子ども連れで楽しめるオシャレなビアガーデン『森のナイトカフェ』を、夕方5時から夜9時まで4日間開催したのですが、平日にも関わらず4日間で4万人以上の方が訪れて人気を博しました。「皆でお酒を楽しみたいけど子どもがいるから居酒屋はちょっと…」というママたちの間で”ママ会”が行われていたり、仕事帰りのパパが立ち寄ったりと、地元住民を中心に人気があり、さらに近くの駅に住んでいる人たちも集まってきていました。

森のナイトカフェ
昨年南口の広場で行われた「森のナイトカフェ」は、今年も8月5日(水)~8日(土)に開催予定。ちなみに、5月4日(月・祝)には、有機野菜やこだわりの食材を使ったフードが並ぶ市場「森のマルシェ」や、クラフトづくり体験、ガレージセールなど内容盛りだくさんの「流山グリーンフェスティバル」が実施された(画像提供:流山市役所)

街が認知され理解されるようになると、期待感を持って集まる人も多くなります。その期待を裏切らないよう、これからも子育て世帯のニーズをしっかりくみ取り、さまざまな環境を整えていきたいと河尻さんは言います。
「つくばエクスプレスが開業した当時生まれたお子さんも、すでに10歳です。そのため、小中学校の教育環境についても整備を急いでいます。英語教育では市内小中学校に英語指導員を配置、ネイティブのスーパーバイザーが各学校をサポート。ほかにも、算数や数学のサポート教員によるチームティーチングも行っています。また、50クラス編成が可能な小中併設校『おおたかの森小・中学校』も今年4月に開校しました。今後も児童期の教育を中心に充実させていきたいと考えています」
ターゲットを共働き子育て世帯にしぼり、プロモーションやサービスを展開してきた「流山おおたかの森」。自治体が明確な方向性を示し、綿密な戦略による街づくりを進めてきたことが、ここにきて実を結んでいるようです。

河尻さん
「流山おおたかの森」駅周辺の雰囲気にひと目惚れして、6年前に家族と引越してきたという河尻さん。民間企業で培ったマーケティングのノウハウを街づくりに活かしている。マーケティング課は河尻さんのほかにも、広告代理店などの企業出身者3名が所属

住民主体のコミュニティを育む街

また、河尻さんによると、最近では地元の住民が主体となって「街を良くしよう」「リアルなつながりを持とう」という、アクティブな動きもみられるようです。
「最初は、住民の方たちのつながりが生まれる仕掛けを、自治体が推進していったほうがいいのかと考えたりもしていたのですが、いまでは私たちが動くまでもなく、住民の方主体でコミュニティをつくる動きが活発化しています。30代の子育て世帯を中心に、自ら活動をしていこうという想いを強く感じます」(河尻さん)
そんな、フロントに立つ住民の代表といえそうな、おふたりに話を伺いました。まずは、働く女性のワーク&ライフをサポートする市民団体「ヒカルエ」の副代表で、「母になるなら、流山市。」のポスターモデルにもなられた尾崎えり子さん。ご自身は香川出身で学生時代は東京に、夫も同じく地方出身で流山おおたかの森には縁もゆかりもなかったそう。
「子どもを身ごもったとき、どこで子育てしようかいろいろ探したところ、景色が自分のふるさとに似ている流山おおたかの森を選びました。自然が多いところで子育てしたいなと思ったんです。ただ、知り合いがいなかったので、初めての子育ては友達づくりに苦労しました。同時に、働くことと子育てを両立できる自信も知識もなく悩んでいたんです。そこで、地域で子育てしている人たちをネットワークでつなぐ場、仕事と子育てをどうしているかノウハウを共有する場をつくりたいなと考えました。そんな時、同じ想いを持っていた現在ヒカルエの代表でもある近藤美保さんと知り合い、働く女性やママたちをサポートする団体を一緒につくろうということになりました」(尾崎さん、以下同)
ヒカルエは現在、育休中の過ごし方や不安を相談し合う「育休後カフェ」を中心に、さまざまなセミナーを実施しています。以前は大手コンサルティング会社に勤めていた尾崎さんご自身も、”流山×子ども×企業”で街の活性と次世代を担う子どもの育成を目指す会社「新閃力」を1年前に起業。Googleと中高生がタッグを組んで流山市の抱える課題を解決するアプリ制作イベントをコーディネートしたり、流山の農家と小学生がコラボし商品開発するなど、さまざまな事業を展開しています。
「移り住んでくるとき、流山おおたかの森がノーブランドだったところにも、すごく魅力を感じたんです。都内に通勤するにあたって、30分圏内をみると総武線沿いや西東京方面はどこも街が出来上がっていたので、街づくりにおいてこれから自分が何か新しいことを始められそうな期待を持てるところに惹かれました。流山おおたかの森は、いま人が増え続けているのでビジネスチャンスも多いです。例えば、流山で学童保育サービスを始める企業からプロデュースの依頼を受けることもあります。これからの流山の街づくりにあたって、今後も非営利活動とビジネスの両面から、どういうサービスを提供していけるか考えていきたいです」

尾崎さん
尾崎さん(左)がプロデュースした、苦手なほうれん草が大好きになる商品を子どもたちの手でつくる「魔法のほうれん草ペースト商品開発プロジェクト第一弾!!in流山」の様子。精力的に活動される尾崎さんは、今年5月から、市内に在住するママの起業を応援するため開校される流山市主催の「創業スクール」の講師も務めるそう(画像提供:株式会社新閃力)

また、親子で楽しめる音楽イベントを主催する「おとえん」の代表・稲村陽さんは、流山に移り住んで約3年半。2児の父でもある稲村さんは、終の棲家として選んだ流山を自分たち市民の力で魅力的な場所にしていこうとチャレンジしている一人です。
「交通の便がいい、ショッピングセンターがある、街並みが整備されているというところがまず注目されていると思います。ただ、実際に住んでみると、積極的に流山を選択して移り住む人が多く、『自分たちで街をつくろう』という面白い人がたくさんいることが大きな魅力だなと感じています。例えば、大きな企業が入って街づくりをしているエリアもあると思うのですが、流山おおたかの森の場合、これから街をどうしていくかはそこに暮らす住民たち次第というところがある。それを楽しもうとする人が集まっているから面白いのかなと。なにかやりたいけどきっかけがないという人が、行動に移そうとするときには皆でサポートする、そんな団結力も感じられる街なのです」(稲村さん、以下同 )
そう語る稲村さん、かつてはDJやヒップホップダンサーとして活躍していたのだとか。その後、大手の書店に長らく勤務していたそうですが、自治会長を務めたことをきっかけに地域活性に興味を持ち、市内で職を得たのだそう。そのかたわら、現在も、おとえんで音楽イベントを主催しています。
「イベントに参加した人たちがつながること、そして長期的には参加した子どもたちが大きくなったときに、同じようなイベントを地元でやってくれるといいなと思っています。地元にこういう面白いことがあると、子どもたちの地元愛も濃くなっていくのではないでしょうか。自分自身も流山を老後まで楽しめる街にしたいので、世代を超えて引き継いで行きたいと思っています」
人が街を形づくっていくうえで、重要なのはきっかけ。一度、コミュニティができたらあとは自然とつながりが増幅していくもの、と稲村さんは話します。

Family Disco Nagareyama
クラブに行かなくなってしまったパパやママも、子どもと一緒に大音量で気兼ねなく踊れるとあって、これまで開催された全回とも大盛況!今年の5月6日(水・祝)には、おとえんの活動1週年の集大成として、大規模イベント「Family Disco Nagareyama」を開催(画像提供:おとえん)

オオタカが住む自然からリアルな学びを得る

流山おおたかの森を語るうえで、誰もが口をそろえるのが「自然」の魅力。その特徴について、NPO法人「さとやま」の樫聡さんに話を伺いました。
「流山おおたかの森駅から徒歩10分の場所にある、『市野谷の森』を中心に、かつては田んぼや里山が広がっていました。現在はつくばエクスプレスの開通で整備が進んだものの、自然もまだまだ豊富に残っています。オオタカをはじめタヌキやノウサギなどが住んでいるのですが、都内まで20分台の場所に、こうした生態系が残る場所はほとんどありません」(樫さん、以下同)
そんな自然を体感するべく、「さとやま」では市野谷の森をフィールドに、子ども向けの自然観察会を定期的に行っているのだそう。
「おおたかの森の生態系の紹介をして、そのあと野鳥とか昆虫を観察するという内容です。また、8月にはホタルとか夜の生き物の観察会を行っていて、セミの脱皮とかも観察できるのでとても人気です。子どもたちが生き物に直接触れ合う機会は最近少ないものです。ですので、そういう機会は貴重ですし、子どもたちも観察会にくると興味津々で参加してくれます。観察会は募集から1週間くらいで、すぐに定員が埋まってしまうくらいの人気なんですよ」

野鳥や野草、昆虫を観察する会
毎月第1日曜日には、定例で市野谷の森やその周辺を中心に、野鳥や野草、昆虫を観察する会を実施。運がよければオオタカを間近で観察することもできる(画像提供:NPO法人さとやま)

新しい路線の開通にともない生まれた「流山おおたかの森駅」。流山市役所が実践した戦略的なマーケティングによって生まれた街の輪郭は、30代の移住者を中心により魅力的なものへと変化してきています。生活利便性の高さだけでなく、30代を中心とした子育て世帯のパワーと発想、そして感性が街をより進化させています。若手世代のエネルギーが後押しとなって発展し続ける街「流山おおたかの森」は、これからの日本の街づくりのお手本になるかもしれません。

まとめ

流山おおたかの森駅は、2005年のつくばエクスプレス開業にともないできた駅

近年、30代の子育て世帯が数多く移り住み人口が増加している

自然が豊かで、住民主体のコミュニティなどによりさまざまなイベントが開催され、子育て環境としても良い

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