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収入が安定し、家族も増えてくると、マイホームの購入を意識し始めます。しかし、マイホームは人生最大の買い物になるため、慎重になっている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、マイホーム購入を検討している人に、後悔しないためのポイントなどを紹介したいと思います。
いざ、家を買いたいとなっても、購入タイミングを迷う方も多いのではないでしょうか。国土交通省 住宅局の「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」の調査結果から「年齢別」「年収別」「ライフステージ別」の購入時期を探ってみましょう。
「注文住宅」「注文住宅(新築)」「分譲戸建住宅」「分譲集合住宅」は 30 歳代が最も多く、「注文住宅(建て替え)」「リフォーム住宅」では60歳以上が最も多いという結果でした。「既存(中古)戸建住宅」「既存(中古)集合住宅」では、30歳代と40歳代が共に30%前後を占めています。
一般的な住宅ローンの借入期間が最長35年であることを考えて、定年前後、もしくは退職金で完済できることを想定し、30代で家を購入する人が多いのでしょう。

購入者の平均世帯年収は注文住宅(三大都市圏)が最も高く 1042 万円。注文住宅は全国平均も 907 万円です。また、分譲住宅購入者の平均年収はいずれも800万円台後半で、中古住宅は集合住宅が平均717万円、戸建住宅が平均699万円となっています。

ライフステージ別に購入時期を考えてみましょう。
結婚を機に引越す際、賃貸ではなく家を購入するというのも選択肢のひとつです。結婚時に将来の計画を話し合うことも多いため、資金計画などが立てやすいというメリットがあります。
ただし、将来子どもが生まれたり、転勤や転職など、生活に変化が起こる可能性がある点は頭に入れておきましょう。
子ども部屋の準備や育てる環境を重視するのであれば、このタイミングで検討するとよいでしょう。
将来、2人目、3人目が欲しいという場合は、複数の部屋の準備についても考慮する必要があります。
教育方針や育てる環境を考えて家の場所を決めることができるタイミングです。近隣の治安や学校に関する情報集めも重要になります。
昇給・昇格など、給与が上がったタイミングで家の購入に踏み切るケースもあります。収入が増えることで住宅ローンの借入可能金額が増えるかもしれませんが、きちんと完済するためにも将来の収入の増減や役職定年なども考慮する必要があります。
購入するマイホームの目安は「年収の5倍~7倍」とされています。これをもとに計算すると、例えば年収600万円の人は、「3000万円~4200万円」の家なら無理なく買えることになります。
しかし、家を買う場合はほとんどの人が住宅ローンを利用するため、「年収の何倍まで」ということよりも、「無理なく返済を続けられること」が重要になってきます。また、用意できる自己資金(頭金)の額や想定する借入期間、利用する住宅ローンの金利等によって、「無理なく買える家の額」が大きく変わるため、それぞれの状況にあわせて考える必要があります。こうしたことを念頭に、自分なら年収の何倍くらいなら無理なく家を買えるのか、次のような手順で計算してみましょう。
1)毎月の返済可能額を計算する
毎月の収入から生活費など必要なお金を引いて、無理なく返済ができる金額を計算してみましょう。
2)借入期間を計算する
自分の年齢をもとに、あと何年働けるのかイメージしてみましょう。なお、住宅ローンには完済時の年齢に上限があり、金融機関がそれぞれ設定しています。
3)検討している金融機関の金利をチェックする
複数の金融機関の住宅ローンをチェックして、できるだけ有利な条件で借りられる金融機関を探しましょう。給料の振込先や公共料金の引き落とし先などは、条件が合えば優遇金利が適用されるため要チェックです。
4)シミュレーションしてみよう
返済計画・資金計画をもとに、住宅ローンのシミュレーションをしてみましょう。

住宅ローンにはさまざまな条件がありますが、ここでは全期間固定型の目安金利1.9%でシミュレーションしてみます。
例)年収600万円・固定金利・金利1.9%・借入期間35年・元利均等返済方法・ボーナス払い 10万円×年2回
毎月の返済額を8万円(ボーナス返済 10万円×年2回)でシミュレーションすると、借入額が約3472万円で、無理なく返済できる金額は年収の約5.8倍になります。もしも、返済期間だけ30年に短縮し、そのほかの条件を同じにしてシミュレーションすると、借入額は約3105万円で、無理なく返済できる金額は年収の約5.2倍になります。
■年収600万円
・毎月の返済可能額:8万円、ボーナス月10万円×年2回
・固定金利1.9%(元利均等返済)
| 借入期間 | 借入額 | 無理なく返済できる金額 |
|---|---|---|
| 30年 | 約3105万円 | 年収の約5.2倍 |
| 35年 | 約3472万円 | 年収の約5.8倍 |
自分が無理なく返済できる金額がいくらになるかの目安は、住宅ローンのシミュレーションツールで試算することができます。用意できる頭金の額や月々の返済可能額などをもとに、自分の目安を計算してみましょう。
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→SUUMO住宅ローンシミュレーション
1)返済額は「家賃並み」の言葉に注意
モデルルームなどを訪れると、営業担当者から「月々の返済額は家賃並み」と勧められることがあります。実際にシミュレーションしてもらうと、確かに家賃並みの返済でマイホームを手にできるため、購入を決断する後押しになることも多いようです。
営業担当者の「月々の返済額は家賃並み」というフレーズは決して間違いではありません。しかし、実際に不動産を手に入れると固定資産税や修繕費用などの支出があるほか、全期間固定金利以外のプランで住宅ローンを組んでいる場合は、将来金利が上昇して月々の返済額が増えるリスクがあります。こうした出費があることを理解したうえで、資金計画を立てることが大切です。

2)頭金も必要だけど、予備費は残しておく
住宅ローンを利用して家を買うときに用意するのが「頭金」。頭金をたくさん用意すれば借入額が少なくなり、返済が楽になります。さらに、最近の住宅ローンには、一定割合以上の頭金を用意すると金利が優遇されるプランも用意されているため、できるだけ多くの頭金を準備したいところです。
しかし、手元資金を残さず、貯金の大半を頭金に充ててしまうと、勤務先の業績悪化による収入減や転職、病気など、万一の場合に返済を続けられなくなります。住宅ローンを申し込む場合には、万一の場合でも返済を続けられるよう、ある程度の予備費を残しておくことも大切です。
3)親から資金援助してもらう場合は税金に注意
親から資金援助を受けて家を買う場合には、贈与税が課税されないように注意しなければなりません。贈与税は、年間110万円を上回る贈与に対して課税され、税額もかなりの負担になります。そのため、親から住宅資金を受ける場合には、「住宅取得等資金贈与の非課税の特例(※1)」や「相続時精算課税制度(※2)」などを活用して、税負担を抑える工夫が必要です。また、親から住宅資金の借り入れをする場合でも、贈与とみなされないように借用書を作成し、預金口座に振り込むなどして返済の事実を残しておきましょう。
※1 父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の取得等資金を受け取る場合、省エネ等住宅の場合には1000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までが非課税になる制度
※2 親や祖父母からの生前贈与について、将来の相続時にその分を相続財産に加えて税額を計算する制度。最大2500万円の贈与まで贈与税が非課税になる。贈与税の一般的な課税制度(暦年課税)と選択して利用。住宅購入の場合、※1の制度と併せて最大3500万円まで贈与税が非課税になる
親から資金援助を受ける際の方法については、以下のページで詳しく紹介しています
●親から資金援助を受ける3つの方法<贈与、借り入れ、共有>
マイホームは簡単に買い換えができないため、長く・快適に住み続けられる場所で家を買うことが重要です。特に近年は自然災害が頻発し、洪水や土砂災害などが多発していることから、市区町村などが公表しているハザードマップを事前に確認して、災害の発生リスクをチェックしておきましょう。また、小学校や中学校などの教育施設の場所、商業施設や医療施設は充実しているのかなど、周辺の環境も確認しておきましょう。
マイホームは戸建てとマンション、新築と中古でそれぞれメリットとデメリットがあります。家を買ってから後悔しないように、それぞれの特徴を事前にチェックしておきましょう。
メリット
・管理費や修繕積立金の支払いが不要
・マンションのように使い方で制約を受けない
デメリット
・建物の維持管理に気を配らないと建物が傷んでしまう
・修繕のための費用を積み立てておかないと、リフォーム費用を工面しなければならない
メリット
・オートロックや管理人在住など、セキュリティが充実している
・共用部分の管理・清掃を管理会社がしてくれる
デメリット
・管理費や修繕積立金の支払いが必要になる
・規約があり、ペットを飼えないなどの制約を受ける
メリット
・新しい設備が備わっている
・当面の間、修繕の必要がない
デメリット
・中古に比べて価格が高い
・広告費などの販売費用が上乗せされていて、割高なことがある
メリット
・新築に比べて価格が安く、割安な物件も多い
・実際の建物を確認してから購入を決められる
デメリット
・建物が古いほど修繕が必要で、修繕コストも高くなりがち
・設備が古く、快適性が劣ることがある
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 戸建て | ・管理費や修繕積立金の支払いが不要 ・マンションのように使い方で制約を受けない |
・建物の維持管理に気を配らないと建物が傷んでしまう ・修繕のための費用を積み立てておかないと、リフォーム費用を工面しなければならない |
| マンション | ・オートロックや管理人在住など、セキュリティが充実している ・共用部分の管理・清掃を管理会社がしてくれる |
・管理費や修繕積立金の支払いが必要になる ・規約があり、ペットを飼えないなどの制約を受ける |
| 新築 | ・新しい設備が備わっている ・当面の間、修繕の必要がない |
・中古に比べて価格が高い ・広告費などの販売費用が上乗せされていて、割高なことがある |
| 中古 | ・新築に比べて価格が安く、割安な物件も多い ・実際の建物を確認してから購入を決められる |
・建物が古いほど修繕が必要で、修繕コストも高くなりがち ・設備が古く、快適性が劣ることがある |
もしも、家を買ってから後悔した場合、買い換えも選択肢の一つになります。
賢く家を売るためのポイントは、以下の記事で紹介しています
●不動産売却を成功させるコツ。売却の準備~引き渡しまでの流れを5ステップで解説
家を買う場合には、物件価格以外にもさまざまな諸費用がかかります。諸費用は現金での支払いとなるため、資金計画を立てる場合には、こうした費用についても事前に確認し、あらかじめ用意しておきましょう。
購入時に必要な費用
・住宅ローンの手数料(事務手数料、保証料など)
・売主との間で交わす契約書に貼る印紙代
・不動産業者へ支払う仲介手数料(仲介物件の場合)
・登記費用(所有権保存・移転登記、抵当権設定登記に必要な登録免許税)
・登記を依頼する司法書士への報酬
・不動産取得税(引き渡しの数カ月後に納税通知書が届く。軽減措置を受ける場合は所定の期間内に都道府県の税事務所に申告が必要)
購入後に必要な費用
・火災保険等の保険料(最長5年契約。再契約時に保険料を支払う)
・分譲マンションの場合には管理費や修繕積立金(毎月支払う)
・固定資産税(毎年納税。1月1日時点の所有者に対し、4月~6月ごろに納税通知書が届く)
マイホーム購入は人生最大の決断ともいえます。家を買った後に後悔しないため、今回ご紹介した内容を参考に検討をしてみましょう。
収入が安定し始める30代から40代が住宅ローンを利用しやすく、多くの人がそのタイミングで家を買っている
購入するマイホームの目安は「年収の5倍~7倍」とされているが、大切なのは住宅ローンの返済を無理なく続けられるように資金計画を立てること
家を買ってから後悔しないよう、事前に返済シミュレーションをすると同時に、購入後もさまざまな出費が必要になることを理解したうえで資金計画を立てることが大切