一人暮らしの60代がマンション選びで大切にしたいことは?5つのポイントを解説

公開日 2024年08月29日
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一人暮らしの60代がマンション選びで大切にしたいことは?5つのポイントを解説

60代を迎え、一人暮らしのマンション選びに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。賃貸物件を借りるのか購入するのか、間取りや設備はどうするのかなど、考えることは少なくありません。そこで本記事では、60代の一人暮らしに適したマンション選びで大切にしたいことを、bluebirdの須崎健史さんに伺い解説します。快適で安全な、そして楽しみながら暮らせるマンション選びの参考にしてみてください。

60代のマンション一人暮らし 将来を見据えて貸借と購入のどちらがよいか見極める

60代の一人暮らしでマンションを借りるメリット・デメリット

メリット

60代の一人暮らしでマンションを借りることは、購入と比較すると初期費用を抑えられることがメリットです。賃貸マンションでは、入居時に必要なのは礼金・敷金と前家賃程度ですみますが、60代でマンションを購入するには、多くの頭金が必要になりがちです。

「賃貸マンションに住むことは、不動産を相続資産として持たずにすむことも、とても大きなメリットだと思います。不動産は現金や預貯金、株式などと異なり簡単に分割できないので、将来相続が発生したときにトラブルの種になる傾向があるためです」(須崎さん/以下同)

デメリット

「賃貸マンションを選ぶデメリットは、そもそも賃貸借契約を結ぶこと自体の難易度が高いことです。家主の多くは孤独死などを警戒し、高齢者への賃貸を敬遠する傾向があるためです。

また賃貸マンションであれば『将来家賃の負担が重くなったら住み替えできる』と考えがちですが、今後転居しようと思っても、同様の問題でかなり困難になることはよく理解しておく必要があります」

また賃貸マンションの場合、家賃を払い続けても自分の資産になることはなく、支払いが一生続く点もデメリットといえるでしょう。

60代の一人暮らしでマンションを借りるメリット・デメリット
マンションを借りるメリット・デメリット
マンションを借りるときには、自分にとってのメリット・デメリットをよく考えよう(イラスト/いぢちひろゆき)

新築・中古マンションを購入するメリット・デメリット

メリット

マンションを購入するメリットは、賃貸物件の高齢者への貸し渋りが社会問題となっているなか、将来的な住居に対する不安が解消されることです。

「マンションを購入すれば自分の資産となるため、将来的に施設に入ることになったとしても、売却すれば入居費用の元手になります。また資産が多い場合は、マンションを購入すると相続税対策にもなります。相続する際、不動産は、金融資産よりも低く評価されるためです。

ただし不動産を資産として持つことで、相続税は減らせるものの、実際に相続が発生したときに相続トラブルになる可能性があります。相続税対策でマンション購入を考えるのであれば、あらかじめ相続について相続人になる人達と話し合っておく必要があるでしょう」

デメリット

マンションを購入するデメリットは、購入時の初期費用が高いことです。住宅ローンの多くは、完済時年齢を80歳未満としており、60代で借り入れる場合には一定の頭金が必要になるケースが多く、月々の返済額も大きくなりがちです。

70歳まで再雇用されたとしても、その後10年間も年金からのローンの返済が続きます。変動金利で借りた場合、金利が上がって返済できなくなる可能性もあるでしょう。

そのため、定年退職が近い人やすでに退職している人は、住宅ローンを組むこと自体の難易度が高いと考えられます。また住宅ローンの返済が終わったとしても、管理費や修繕積立金、固定資産税がかかり続け、住居費の負担がゼロになるわけでもありません。

60代の一人暮らしでマンションを購入するメリット・デメリット
マンション購入のメリット・デメリット
マンションを購入するときには、今後のキャッシュフローをよく検討しよう(イラスト/いぢちひろゆき)

自分の経済状況と今後のライフプランにあわせて判断することが重要

60代の一人暮らしで賃貸マンションに住むのか購入するのかは、まずは自分の経済状況をよく把握することが重要です。そもそもある程度まとまった資金がなければ、購入を検討するのは難しくなります。

「そのほか、子どもの有無や関係性などにも影響を受けると思います。とくに子どもがいなかったり、あるいは疎遠になっていたりして、不動産会社に緊急連絡先を提示できない場合は、ほかに頼れる親族がいなければマンションを借りるのはかなり難しくなるでしょう。近年、部屋を借りる際には保証会社を付けることがほとんどですが、高齢者に関しては、いざというときに身元を引き受けてくれる人がいるかどうかを重視する家主が多いためです。

一方、マンションを購入する場合では、出口まで考えておくことが重要です。将来、介護が必要になったときに頼れる身内はいるのか。それとも売却を視野に入れるのか。売却を見据えるのであれば、購入する時点で、売却を前提とした物件選びが重要になるでしょう」

60代のマンション一人暮らしは利便性の高さとアクセスのよさを重視する

商業施設や医療機関、介護施設が近いと安心

60代で一人暮らしするマンションは、商業施設や医療機関、介護施設へのアクセスがよい立地を選ぶと、より高齢になったときに安心して暮らせます。

「とくに近くにどのような介護施設があるのかを調べることは重要です。高齢になると、若い頃に比べて適応能力が落ちるので、住み慣れた環境から別の場所に移るのは想像以上に大変です。そのため介護が必要になったときでも、住み慣れたマンションに暮らしながら介護を受けられる。また施設に入ることになったときでも、慣れ親しんだ地域に住み続けられる。そんな場所を選ぶことをおすすめします」

交通の利便性が高いと便利

60代でも電車に乗って都心へ買い物に出かけるようなアクティブな人であれば、都心までの距離が近く、さらに駅近のマンションだと便利です。

「ただ、高齢になると、電車で頻繁に移動することは減ってくるのが一般的です。そうなると、電車の利便性よりも、先ほど紹介した商業施設や病院、介護施設などへのアクセスのよさが重要です。それらを巡回するコミュニティーバスが発達していると、老後も暮らしやすいと思います」

施設を巡回するコミュニティーバス
都心へのアクセスよりも、生活に関わる施設への利便性が高いほうが暮らしやすい(イラスト/いぢちひろゆき)

親族や友人が近くに住んでいると心強い

自分の兄弟姉妹や子どもとの物理的距離が近いマンションなら、いざというとき頼れるという心理的な安心感があります。

「子どもや親族との関係が良好であれば、親族が近くにいれば大家さんの心証がよくなり、マンションを借りやすくなるメリットがあります。

ただ、60代で一人暮らしを考えるような人は『子どもや親族には頼りたくない』と自立心が強い人も少なくありません。その場合は、親しい友人が多いエリアを選んだほうが、楽しく過ごせるのではないかと思います」

一人暮らしでも楽しみが得られる余裕がある間取りを選ぶ

広さはワンルームよりも1LDKや2LDKがおすすめ

60代で一人暮らしをするとなると、老後資金を考え、できるだけコストを抑えようと考えてしまいがちです。しかし資金に余裕があれば、購入・賃貸のどちらでも、ワンルームや1Kよりも1LDKや2LDKなど空間に余裕があるマンションを選ぶと、心にも余裕のある暮らしができます。

「これまで住んでいた家よりも狭い部屋で暮らすのは、心理的に難しく感じる傾向があるので、一人暮らしであっても3LDKを検討する人もいます。また購入の場合は、自分が住むことだけでなく、今後相続や売却することも考慮したうえで広さを考えたほうがよいでしょう」

ベランダやバルコニーが広いとガーデニングや家庭菜園を楽しめる

マンションに広いベランダやバルコニーが付いていると、ガーデニングや家庭菜園も楽しめます。外出が負担に感じる年齢になったときでも、適度に日を浴び、自然を感じる生活ができるでしょう。

ガーデニングを楽しむシニア男性
ベランダが広いマンションだと、ちょっとしたアウトドア気分を楽しめる(画像/PIXTA)

60代のマンション一人暮らし バリアフリーへの配慮や防犯性能、省エネ性能も確認する

バリアフリー対応だと安心

60代で一人暮らしをするマンションは、室内に段差が少なく、車椅子でもとおれる通路幅になっている「バリアフリー対応」を選ぶと、高齢になっても安心して暮らせます。

「住戸はもちろん、例えばエントランスなどの共用部分もバリアフリーになっているか確認しておくとよいでしょう」

防犯性能もチェックする

一人暮らしをしている高齢者は、防犯面も気になる点です。マンションを借りる、あるいは購入するときには防犯性もチェックすることが大切です。オートロックになっていて、さらにエントランスだけでなく住戸の玄関もモニター付きインターホンになっている物件を選ぶとよいでしょう。

「共用部分に人が集まれるようになっているマンションだと、コミュニケーションを取りやすくなります。人とつながっておくことは、とてもよい防犯対策になります」

モニター付きインターホン
玄関のインターホンもモニターが付いていると安心(画像/PIXTA)

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省エネ性能も重視する

「60代で一人暮らしをするのであれば、マンションを選ぶときには省エネ性能も重視することをおすすめします。それは、高齢者は『ヒートショック』による死亡数が多いためです」

ヒートショックは、急な温度差により血圧が急激に変化することが原因で起こります。浴槽内での不慮の溺死者数は交通事故死亡者数のおよそ2倍にも及びますが、その一因はヒートショックとされています。ヒートショックを防ぐためには、住戸内の温度をできるだけ一定に保つことが有効で、そのためには断熱性能と気密性能を高めることが重要です。

「2025年4月以降、新築されるすべての建築物について、国が定める省エネ性能の基準に適合していることが求められるようになりました。それに先行し、2024年4月からは、住宅の省エネ性能を表示する制度も始まっています。そのため新築マンションであれば、高い省エネ性能が期待できます。

中古マンションを購入したり借りたりする場合も、省エネ性能は年々向上していることを考えると、多少高くてもできるだけ新しい物件を選んだほうが、健康的な暮らしを送りやすくなると思います」

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老後もふまえマンションの築年数やメンテナンス計画をチェックする

賃貸マンションは借り換えが困難になることを理解しておく

賃貸物件は、60代でも身元保証がしっかりしていないと入居審査が厳しく、さらに高齢になればその難易度は上がる傾向があります。70代、80代になったときに、マンションの劣化がひどく転居を考えたとしても、実現はかなり困難になると考えられます。

そのため60代で一人暮らしをする賃貸物件は、できるだけ築年数が浅い物件を選ぶことを考えるとよいでしょう。

マンションを購入するなら今後の大規模修繕計画などを確認しておく

マンションを購入する場合は、今後の大規模修繕・修繕積立金の計画とあわせ、中古物件の場合は実際の修繕積立金が十分かをチェックしておくと安心です。

「マンションは、修繕積立金が必要な修繕に対して足りていないといったケースも少なくありません。また物価が上がるのにともない、建築コストも上昇します。今後修繕計画が変更になったり修繕積立金が増額されたり、管理費の見直しなども考えられるということが『当然ある』前提で、余裕を持って資金計画を考えることが重要です」

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老後の資産計画を立てるシニア
マンションを購入するなら、管理費などの値上がりを資産計画に織り込んでおこう(画像/PIXTA)

家族がいるならまず相談を! そのうえで万一の事態を想定した決断をしよう

最後にあらためて須崎さんに、60代でマンションでの一人暮らしを検討している人に向けてアドバイスをいただきました。

「マンションを借りるにしても購入するにしても、何かあったときのことを前提に決めることをおすすめします。マンションを借りるのであれば、万一の事態にかけつけて対処してくれる人がいることが前提となります。また購入する場合には、資産として相続や売却しやすい物件選びが必要です。

とくに子どもがいるならまずは相談しておくと、借りるのも購入するのもスムーズに進めやすくなります。お金の話はしにくいと考える場合は、ファイナンシャル・プランナーなど第三者に専門家として話を聞いてもらうことを検討するのもおすすめです」

まとめ

60代を過ぎるとマンションを借りる難易度が高くなっていくことを理解しておこう

マンションを選ぶときは、必要な施設への利便性の高さを優先すると老後も暮らしやすい

60代の一人暮らしでは、できるだけ築浅で省エネ性能が高いマンションを選ぶのがおすすめ

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取材・文/佐藤カイ(りんかく) イラスト/いぢちひろゆき
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