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「マンションはエレベーターなしでも問題ないの?」と悩んでいる方は少なくありません。特に4階・5階のマンションでエレベーターがない物件は、毎日の階段の上り下りや将来の生活への影響が気になるところです。一方で、エレベーターなしのマンションは家賃や購入価格が抑えられるなどの魅力もあります。
この記事では、マンションでエレベーターが必要になってくるのは何階からか解説するとともに、エレベーターの有無によるメリット・デメリットを紹介します。さらに、エレベーター付きマンションを選ぶ際に確認しておきたいポイントなども解説しているので、マンション選びで後悔したくない方はぜひ参考にしてください。
マンション探しをしていると、5階建てや6階建てでもエレベーターがない物件や、3階建ての低層マンションでもエレベーターがついている物件などさまざまです。では、エレベーターの設置には基準や決まりがあるのでしょうか。
建物でエレベーターを設置しなければならない基準は、実は階数ではなく高さ。建築基準法(第34条)で、高さ31m超の建物に「非常用の昇降機」、つまり「エレベーター」の設置が義務付けられています。
エレベーターを設置しなければならない「高さ31m超」の建物は、何階建てに相当するのでしょう。建物の階数は建物の高さではなく、それぞれのフロアがどれくらいの高さの空間になっているかで違います。各住戸の天井が高いほど、階数は少なくなりますが、高さ31mのビルやマンションは一般的には7~10階に相当します。
つまり、6階建て以下程度のビルやマンションにはエレベーターの設置義務はありません。でも、4階や5階の住戸でもエレベーターなしの生活は大変。設置義務はないとしても、その建物を利用する人や、暮らす人の利便性考えて設置されているケースが多いのです。
サービス付き高齢者向け住宅などの高齢者向けの共同住宅では上とは別の基準が設けられており、3階建て以上の場合にエレベーターの設置義務が設けられています。これは国土交通省の「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に定められているもので、居間から食堂、浴室など、階をまたぐ移動をより安全にするためです。
立地条件や間取りなどが希望と合っているマンションが見つかった場合でも、4階・5階でエレベーターがなかった場合、生活に不便が生じないか不安に感じる方も多いでしょう。実際に、4階・5階の物件でエレベーターなしの場合、負担はどれくらいかかってしまうのでしょうか?
4階と5階では、体への負担に意外と差があります。4階であれば「運動不足解消になる」と前向きに捉えられることもありますが、5階になると上り下りの回数が増え、息切れや膝への負担を感じやすくなる傾向にあります。
また、買い物帰りで荷物が多い日や、雨の日・夏の暑い日などは、5階まで階段を上ることが大きなストレスになることも少なくありません。体調が悪い日もケガをしてしまった日も、上り下りをする必要があります。日常的な負担をどこまで許容できるかが、4階と5階を分ける大きな判断ポイントといえるでしょう。
子育て中の家庭では、エレベーターなしの4階・5階物件は特に注意が必要です。ベビーカーを持っての階段移動や、子どもを抱えながらの上り下りは想像以上に負担が大きく、外出自体が億劫になってしまうケースもあります。さらに買い物袋なども加われば、体力もかなり消耗してしまうはずです。近年はベビーカーを1階の共用部分に置ける物件もありますが、そうでないと4階・5階の階段の上り下りは大変です。
また、子どもが成長した場合も、部活動の道具や通学用の荷物などが増え、階段移動の大変さはさらに増します。将来的に家族構成や生活環境が変わる可能性がある場合は、短期的な住みやすさだけでなく、長期的な視点で無理なく暮らせるかを考えることが大切です。
マンションにエレベーターがないと不便に感じる方は多いですが、実際にはエレベーターなしのマンションにも住むメリットはありますし、逆にエレベーター付きマンションにもメリットとデメリットがあります。そこで、マンションのエレベーターの有無でどのようなメリット・デメリットがあるのか、解説していきましょう。
エレベーター付きマンションに住むメリットは以下の通りです。
エレベーター付きの最大のメリットとして、高層階でも日常の移動が楽になる点が挙げられます。もしエレベーターがなかった場合、毎回階段を使う必要があるため、非常に大変です。
例えば、仕事でヘトヘトになり疲れている状態でも階段を上って帰宅する必要がありますし、忘れ物をして取りに行こうとしてもまた階段の上り下りをしなくてはなりません。たとえ2~3階に住んでいたとしても、エレベーターがあることで日常の移動が楽になることから、備わっていたほうが安心といえます。
重い家具や重い荷物をを部屋に運びたい場合にも、エレベーター付きマンションはメリットが大きいといえます。エレベーターがあれば階段を使わず、スムーズな搬入出が可能です。
また、小さい子どもと外出する際にベビーカーを使う場合、エレベーター付きマンションなら子どもを乗せた状態で1階まで降りることができます。エレベーターがなかったら、子どもを抱えながらベビーカーを持って階段を下りることになるため、移動にかかる負担が大きくなってしまいます。
今はまだ階段での上り下りで苦労がなかったとしても、高齢になると上り下りがきつくなる場合もあります。これは、年齢とともに人間の筋肉量は減少するだけでなく、間接の痛みや変形、内耳機能の低下によるバランス能力の衰えなどが影響しています。このように、高齢者になって身体能力が衰えると、以前に比べて階段の上り下りがつらくなってくるのです。
マンションを購入する場合、老後まで長く住み続けたいと考える方も多いでしょう。そういった場合にエレベーター付きマンションであれば、階段の上り下りが難しくても外出しやすく、高齢者にとっても住みやすい環境になるといえます。
同じ地域に同じような間取りで家賃も変わらない価格のマンションが2つあり、違いがエレベーターの有無だけだったら、需要があるのはエレベーター付きマンションになるでしょう。エレベーター付きマンションを希望する方が多いのは、大きな荷物の運搬が大変だったり、老後に足腰が弱った場合でも外出しやすかったりするためです。
マンションを購入する場合は売却することも念頭に置きつつ、資産価値をできるだけ維持できる物件を選ぶことが重要となりますが、エレベーター付きマンションは一定の需要があり、資産価値も安定しやすいです。そのため、資産価値や賃貸需要などを考慮するのであれば、エレベーター付きマンションを選んだほうがよいでしょう。

エレベーター付きマンションは荷物が運びやすく、子育て世帯から高齢者まで幅広くニーズのある物件となります。ただし、すべてがよいというわけではありません。例えば、以下のようなデメリットがあります。
エレベーターを安全に使用するためには定期的な検査・点検とメンテナンスが欠かせません。点検や検査、メンテナンスにかかる費用は、年間で約30万円~50万円といわれています。年間にかかる費用は管理費で徴収されることになるため、エレベーターなしのマンションに比べて管理費が高くなる傾向にあります。
また、同様に修繕積立金も高くなりやすいです。修繕積立金は建物や設備を修繕するための費用として活用されます。エレベーターはマンションの所有者が権利を持っている共用部分に該当することから、万が一故障した場合は所有者全員で負担することになります。エレベーターなしの物件でも修繕積立金はありますが、エレベーターがない分積立金額が抑えられているケースも考えられます。
朝の通勤時間帯や帰宅時間帯といったエレベーターの利用者が集中しやすい時間帯の場合、待ち時間が発生することもあります。例えば寝坊をしてしまい急いでいたとしても、エレベーター待ちの時間が発生していれば、遅刻になる可能性が高いです。
特にエレベーター待ちが発生しやすいのは、1基あたりの戸数が多かったり、分速が遅かったりする場合などです。例えば1基あたりの戸数は50戸に対して1基の割合が目安となります。また、エレベーターの分速は30~50mが主流です。これよりも1基あたりの戸数が多かったり、分速が遅かったりする場合は、エレベーター待ちの時間が発生する可能性が高まります。
エレベーターがすぐ隣にある部屋は、一見移動が便利なように感じられますが、実際にはエレベーターの稼働音やアナウンスの音声などが気になる可能性があります。特に夜間や早朝にエレベーターを使う人がいる場合は注意が必要です。
また、エレベーターの前は人の出入りが多く、話し声や生活音が気になる方もいるでしょう。低層階であってもエレベーター設備室が近いと振動や騒音が伝わる場合もあるため、設備の配置も考慮した上で部屋選びが重要になってきます。音の感じ方は人によって異なるため、必ずしも気になるとはいえませんが、音に敏感な方は事前に室内から音の聞こえ具合をチェックすることが大切です。
エレベーターは電気で稼働していることから、停電が発生すると使えなくなってしまいます。エレベーターが動かなくなることで、高層階に住んでいる人は階段でしか上り下りできなくなり、水や食料の確保なども難しくなります。
また、停電以外にも点検時にエレベーターが利用できなくなるリスクもあります。1基あたり点検・メンテナンスにかかる費用は、約50分~80分です。ただし、状況によっては2時間近くかかってしまう場合もあり、その時間帯はエレベーターを使って買い物ができなくなります。

エレベーターがないマンションに住むと、以下のようなメリットが得られます。
エレベーターは設置するために高額な費用がかかりますし、電気代や維持・保全のための点検・メンテナンス費用もかかってきます。そのため、エレベーター付きマンションの家賃や購入価格は、エレベーターなしのマンションに比べて高い傾向にあります。
また、エレベーターなしのマンションはエレベーター付きマンションに比べて需要が低く、家賃や購入価格を安く設定されるケースも少なくありません。同じ立地や間取りでも、エレベーター付き物件より初期費用や月々の住居費を抑えられるケースが多く、住宅コストを重視する人にとっては大きなメリットです。
家賃や購入価格に加え、エレベーターなしのマンションであれば管理費や修繕積立金も低く抑えられる場合があります。エレベーターは定期点検や将来的な更新工事が必要となるため、管理費や修繕積立金が高くなりがちです。
国土交通省の長期修繕計画ガイドラインでは修繕周期の例として、エレベーターの取替(交換工事)の周期は26~30年としています。交換にかかる費用も1基あたり約800万円~1500万円、場合によっては2000万円以上かかる場合もあります。一度にこの費用を出すのは難しいため、修繕積立金に上乗せされ毎月少しずつ徴収されていくのです。
エレベーターなしのマンションであれば、こうしたエレベーターの維持管理費は上乗せされず、最小限に抑えられるため、長期的に見てランニングコストの負担を軽減できます。
エレベーター付きマンションでは、稼働音や停止音が気になるケースもあります。エレベーターが隣になかったとしても、機械室が部屋の近くにあることでエレベーターのチェーンを巻き上げる音が響き、高周波の騒音に悩まされてしまう場合もあるでしょう。
エレベーターがない物件であれば、機械音や人の乗り降りによる騒音が発生しにくく、共用部や部屋の中が比較的静かな住環境になりやすい点もメリットのひとつです。
日常的に階段を使うことで、自然と運動量が増える点もエレベーターなしマンションならではの特徴です。階段の上り下りは下半身の筋力維持や心肺機能の向上につながる可能性があり、健康志向の人にとっては前向きに捉えられるポイントになります。
厚生労働省が公開した「アクティブガイド 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、座りっぱなしにならないよう階段の使用を推奨しています。わざわざ運動の時間を確保しなくても、階段の上り下りで毎日気軽に運動効果が期待できるでしょう。特に日頃からあまり運動していない人や、車で移動したり仕事で座りっぱなしの状態が続いたりする人にオススメです。
エレベーターがないマンションでは、混雑状況や他の住人の利用状況を気にする必要がなく、外出や帰宅のタイミングで待ち時間が発生しません。朝の通勤・通学時間帯や、帰宅が集中する夕方以降でも、自分のペースでそのまま移動できるため、時間的なロスや小さなストレスを感じにくい点が特徴です。
また、エレベーターの点検や故障によって利用できなくなる心配もなく、日常生活の動線が安定しやすいというメリットもあります。短時間の外出やゴミ出しなども気軽に行えるため、日々の行動がスムーズになり、生活リズムを崩しにくい点もエレベーターなしマンションならではのメリットといえるでしょう。

エレベーターがないマンションに住むと、不便さや住みにくさを感じる場合もあります。例えば、以下のようなデメリットには注意が必要です。
エレベーターがない場合、移動はすべて階段になるため、階数が上がるほど身体的な負担は大きくなります。4階・5階程度でも、毎日の通勤・通学、買い物帰りの荷物を持った移動は想像以上に大変に感じることがあります。いくら体力に自信がある方でも、毎日のように4階・5階を上り下りすることになると、負担が大きいと感じてしまうかもしれません。
また、天候が悪い日や体調が優れない日には、階段移動自体がストレスになることもあり、生活の快適さに影響を及ぼします。休みながら・ゆっくりでも部屋までたどり着けますが、これを何度も繰り返すことになるため、後悔につながるリスクが高いです。
エレベーターがないマンションでは、引越し作業や大型家具・家電の搬入を階段で行うことになるため、手間とコストがかかりやすくなります。作業時間が長引いたり、追加料金が発生したりするケースもあり、入居時や買い替え時の負担は小さくありません。エレベーターがないマンションで上階に引越すと追加料金がかかりやすいので注意してください。
また、階段の幅や形状によっては、搬入自体が難しい家具が出てくる可能性もあります。幅や形状以外にも、手すりの有無や踊り場の天井の高さにも注意が必要です。なお、階段で運べなかった場合、低層階に住んでいるのであればクレーンを使って窓から大型家具を搬入できます。ただし、クレーンはよりコストがかかってしまいます。
エレベーターがないマンションは、若いうちや健康なうちは問題なく暮らせていても、将来的な体力低下によって住みにくさを感じやすくなる点に注意が必要です。加齢による筋力や持久力の低下だけでなく、ケガや病気、妊娠・出産など一時的な身体の変化によっても、階段の上り下りが大きな負担になる可能性があります。
また、日常の買い物や通院といった外出のハードルが高くなることで、行動範囲が狭まり、生活の質が下がってしまうケースも考えられます。将来的に親と同居する可能性がある場合や、長く住み続けることを前提にしている場合は、今の暮らしやすさだけでなく、数年後・数十年後のライフステージを見据えて無理なく生活できるかを検討することが大切です。
エレベーターなしマンションでは、階数が高いほど敬遠されやすく、賃貸・売却時に需要が下がる傾向があります。その結果、空室期間が長引いたり、価格を下げざるを得なくなったりするケースも考えられます。
エレベーターは建築基準法で高さ31mを超える建物に対して、エレベーターの設置を義務付けています。6階建て以下のマンションにはエレベーターがついていない場合もあることから、移動の負担も考慮して階数が高いほど需要も下がってしまうのです。将来的な資産価値や住み替えのしやすさを重視する場合は、上階特有のリスクとして理解しておきましょう。

エレベーターなしマンションは、メリット・デメリットがはっきり分かれる住まいです。そのため「安いから」「立地がよいから」といった理由だけで選ぶと、入居後に不便さを感じてしまうこともあります。ここでは、どのような人に向いているのか、反対に注意が必要な人の特徴を整理して紹介します。
エレベーターなしマンションは、日常的な階段利用を負担に感じにくい人に向いています。例えば若い人や体力に自信がある人、日頃から運動習慣があり階段の上り下りを前向きに捉えられる人であれば、快適に暮らせる可能性が高いでしょう。
また、家賃や購入価格、管理費など住居コストをできるだけ抑えたい人にも適しています。短期間の居住を予定している場合や、将来的な住み替えを前提としている人であれば、家賃などを抑えられるというメリットを活かした、合理的な選択となることもあります。また、静かな住環境を重視する人や、エレベーター待ちのないシンプルな生活動線を好む人にも向いているといえるでしょう。
階段移動が日常的な負担になりやすい人には、エレベーターなしマンションは不向きです。特に高齢者や体力に不安がある人、持病がある人にとっては、毎日の上り下りが生活の障害になる可能性があります。
子育て中でベビーカーを使用する家庭や、重い荷物を持って出入りする機会が多い人も注意が必要です。また、自分は体力に自信があり、階段の上り下りが苦ではない場合でも、人を家に呼ぶ機会が多い場合、来訪者から嫌がられる可能性もあります。
長期間住む予定があり、将来のライフステージの変化を見据える場合には、エレベーター付きマンションのほうが安心して暮らし続けられる選択肢となるでしょう。
エレベーターなしのマンションを実際に契約して住んでみると、人によっては後悔につながる場面も少なくありません。具体的にどのような場面で後悔しやすいのか、5つのポイントを紹介しましょう。
エレベーターなしマンションで特に後悔しやすいポイントとして、買い物や通勤で階段の負担が想像以上に大きい点が挙げられます。例えば買い物をして2リットルのペットボトルを2本購入した場合、約4kgの重さがかかることになります。この状態で階段を上ると、重量がある分普段より負荷がかかり、体力も消耗しやすいです。
また、買い物をしていなくても、仕事で疲れているのに毎日階段を上らないといけないという負担もあります。買い物に関してはネットスーパーや配達を活用すれば解決できるかもしれませんが、通勤時に発生する階段の負担は改善が難しいです。
引越しで大型の家具・家電を部屋に搬入する場合、エレベーターなしのマンションだと引越し業者から追加料金を請求される場合があります。1階であれば請求されませんが、2階以上になると階段から運び入れるために、ある程度スタッフの数を確保しなくてはいけないため、追加で費用がかかってくるのです。
追加料金がかかるからといって友人・知人に依頼し、引越しを手伝ってもらったとしても、階段での搬入は時間も労力もかかりますし、慣れていない分ケガや家電を落として故障するリスクもあります。このように、引越しや模様替え、家電の買い替えなどで大型家具・家電を搬入しようとすると、エレベーターのないマンションは想定以上にコストがかさむ可能性があるため、後悔につながりやすいです。
今の生活が続いている以上、エレベーターがないマンションに住んでいても不便さは感じないという方もいるでしょう。しかし、エレベーターがないことで将来のライフステージの変化に対応しにくくなり、結果的に住み替えを余儀なくされ、後悔する可能性もあります。
例えば、エレベーターなしのマンションに住み始めたのが独身時代で、その後結婚をして2人でそのマンションに住むことになった場合、自分は良くても結婚相手は体力がなく、移動負担が大きいと感じるかもしれません。また、妊娠をして妊婦さんになると、これまで階段移動は負担に感じたことがなかったのに、子ども分の重さがプラスされることから、階段の上り下りがつらく感じてしまいます。子育て中は子どもを抱えながら階段を上り下りすることもありますし、子どもが成長し、独立した後は加齢によって体力が落ち、階段の上り下りがきつくなる場合もあります。
このように、エレベーターがないマンションは各ライフステージで住みづらさを感じやすいです。ライフステージの変化に合わせて、住みやすい環境かどうか見直すことも大切です。
毎日ゴミ出しをする場合、エレベーターなしの負担が積み重なり、後悔につながってしまう場合もあります。出すゴミによって重量は変わりますが、例えば資源ゴミや燃やさないゴミ、ダンボールなどをまとめて出そうとすると、重たいゴミを持って階段を下りなくてはいけないため、非常に大変です。いくら一人暮らしで出るゴミの量がそれほど多くなかった場合でも、2週間分もゴミが溜まればかなりの量になってしまいます。
また、外出時に下まで行ってから忘れ物があることに気付いた場合、再び階段を上って取りに行く必要があります。階段の上り下りが億劫になり、忘れ物があっても重要なものでなければ諦めることになるかもしれません。
宅配便や郵便物の受け取りが想像以上に負担になる
マンションで宅配便を利用する場合、玄関先まで持ってきてもらったり、宅配ボックスを活用したりできます。しかし、なかには玄関での手渡しに抵抗があったり、宅配ボックスが備わっていなかったりして、自分がエントランスまで行き荷物を受け取る場合もあります。
このようなケースだと、エレベーターなら問題ありませんが、階段しかない場合は荷物を受け取るだけで想像以上に負担を感じてしまいます。受け取りが億劫になることでコンビニ・営業所受取を利用する場合もありますが、重さのあるものだと持ち帰るのも大変です。

毎日の生活利便性や将来的な体力の衰え、売却する際のことなどを考えた場合、3~4階以上に長く住むならエレベーター付きの物件を選ぶのがオススメです。ではエレベーター付きのマンションを借りる、または購入する際に、どのようなところをチェックすればよいのでしょうか。
一口にエレベーターといっても、その大きさや種類などはさまざま。画像を見ながら確認してみましょう。
エレベーターで、人や荷物を乗せて昇降する箱状の搬器は「かご」と呼ばれています。この「かご」の形は大きく分けて「P型」と「R型」の2タイプ。
「P型は正方形に近い横長のタイプ。R型は奥に長い縦長のタイプで、パネルで仕切られたトランク付きのものがあります。マンションでは急病人を運ぶためのストレッチャーや棺の搬入・搬出があるため、パネルを外すことで奥行きが広がるトランク付きR型のエレベーターが望ましいでしょう。今は、P型よりもR型を設置しているマンションのほうが多くなっています」


エレベーターの「かご」の大きさも重要です。小規模なマンションのエレベーターには3人乗りなどコンパクトなものもありますが、大型家電や家具、ピアノなどの搬出入を考えると、9人乗り以上がいいでしょう。
特に、マンションのエレベーターのサイズが小さいと、引越しで大きな荷物を搬入する際に困ることになります。せっかく購入した家具や家電がエレベーターに入らなければ、クレーンで引き上げるなど別の方法で住戸に入れる必要があり思わぬコストがかかります。
高さ31m超のマンション(31mは10階建て前後)には、建築基準法(第34条)でエレベーターの設置が義務付けられており、さらに高さ31m超の建物に設置されるエレベーターは下記の寸法以上でなければならないとされています。
かごの内包寸法 間口1.8m以上、奥行1.5m以上、高さ2.3m以上
有効出入り口 幅1m以上、高さ2.1m以上
定員 17名以上
積載 1150kg以上
このサイズであれば、車椅子なら2台、標準的な大きさのベビーカーなら3台は入りますし、冷蔵庫などの大型家電も入ります。大型家具でも最近は分離させて運べるようになっていることが多いので、心配はないでしょう。
ただし、高さ31m以下の建物のエレベーターには上記のようなサイズ規定はありません。定員が6名や9名程度の小さなエレベーターが設置されていることもありますから、物件探しの際や家具購入前にエレベーターのサイズをチェックしておくことは大切です。
エレベーターのあるマンションでも、住戸数に対して設置台数が少な過ぎるとすぐに満員になってしまってなかなか乗れない心配が。反対に、設置台数が多過ぎるとメンテナンスの費用や毎月の管理費・修繕積立金、賃貸なら共益費が負担になります。どれくらいの設置台数が適切なのでしょうか。
一般的に50戸のマンションなら1台、80戸なら2台程度がストレスの少ない台数の目安といわれています。ただし、同じ100戸でも各階10戸ずつの10階建てのマンションと、各階4戸で25階建てのマンションでは、エレベーターを利用する住人の人数は違ってきます。階段を利用する人が多い1~2階の住戸数が多いマンションよりも、3階以上の住戸数が多い高層マンションのほうが適切な台数は多くなります。
エレベーターの設置台数は「輸送能力」と「待ち時間」によって決められるのが一般的。輸送能力とは定格速度のことで、エレベーターの定格速度は一般に45~105m/分で数字(1分当たりの昇降距離)が大きいほど輸送能力が高いといえます。
「待ち時間は混雑時の平均待ち時間のことで、エレベーターが1台のマンションでは90秒以下、2台では60秒以下になるように設置することが好ましいというのが、エレベーターのメーカーが設定する基準です」
下に、高層マンションの場合のエレベーターの輸送能力と3階以上の居住人口から算出した、エレベーターの設置台数の目安をまとめましたので、参考にしてください。
| マンションの階床数 | 3階以上の居住者数 | エレベーター設置台数の目安 |
|---|---|---|
| 10階建て | 100人 | 1台(90m/分) |
| 200人 | 1台(90m/分) | |
| 400人 | 2台(60m/分) | |
| 600人 | 3台(60m/分) | |
| 15階建て | 100人 | 1台(105m/分) |
| 200人 | 1台(105m/分) | |
| 400人 | 2台(90m/分) | |
| 600人 | 3台(90m/分) | |
| 20階建て | 100人 | 2台(105m/分) |
| 200人 | 2台(105m/分) | |
| 400人 | 2台(105m/分) | |
| 600人 | 3台(105m/分) |
エレベーターと住戸の位置や距離が近いほうが生活には便利。しかし、注意したいポイントもいくつかあります。
自分が音を気にするタイプなら、物件見学の際にはエレベーターが昇降するときのモーター音や扉の開閉音が住戸内まで聞こえないかを確認しましょう。特にエレベーターと住戸が壁一枚隔てているだけ、という位置の場合は注意が必要です。
「エレベーターに隣接していると、モーター音や扉の開閉音が気になる場合があります。新しい物件でも、モーター音は完全には防ぐことはできません」
エレベーターと住戸の距離は、暮らし心地に影響します。エレベーターが住戸から近いと外出や帰宅のたびに歩く距離が短い点がメリットです。しかし、エレベーターホール付近は人が集まります。なかには大声で話したり、長時間話したりする住民がいることも。また、エレベーターホールはその階の人たちみんなが利用するため、エレベーターホールに近い住戸ほど住戸前の廊下を通る人が多くなり、話し声や足音が気になるもの。寝室の窓が廊下に面している間取りの場合は、人が通る気配だけでも気になって眠れないということもあるでしょう。
内見時には、エレベーターホールと住戸までの廊下を歩く靴音が部屋の中でどう聞こえるかを確認するといいでしょう。中古マンションの場合は、これまでにエレベーターホールからの騒音などが問題になったことはないかを、不動産仲介会社を通して管理組合に尋ねておくのがオススメです。
エレベーターホールからの距離が遠い場合は、エレベーターの音や靴音、人通りなどが少ない静かな環境が得られやすいですが、エレベーターまでの遠さを面倒と感じる場合もあります。
エレベーター内が清潔に保たれているか、ゴミが落ちていないか、タバコや生ごみなどの臭いがしないかも大切なチェックポイントです。マンションの清掃は管理会社が依頼する清掃会社や清掃スタッフが行いますが、契約内容によって清掃の頻度が違ったり、清掃会社やスタッフによってていねいさに差が出たりします。
「管理組合があまり機能していなかったりすると、エレベーター内の壁等にいたずら書きや汚れがありがち。エレベーターの内部やエレベーターホールがきれいに保たれているかもチェックしましょう」
エレベーターのメンテナンスができていないマンションは、ゴミ置き場や駐車場など他の共用スペースのメンテナンスも不十分な可能性があります。マンションの管理状態を知る上でもぜひチェックしたいポイントです。
密室になるエレベーターは防犯や安全面も重要です。
「自分の後ろから乗ってくる人の様子がわかるように、かご内に鏡が設置されていることが重要です。また、防犯カメラが設置されているかもチェックしましょう。最近の防犯カメラは、かご内の様子がエレベーターホールにあるモニターで確認できるものがあります。自分が乗ろうとしているエレベーターに、誰が乗っているかがわかるだけでなく、乗っている人も外から見守られている安心感があります」
そのほか、ペット可マンションでは、ペットが乗っていることをエレベーターホールのパネルに表示させるボタンが設置されているケースも。動物が苦手な人がそのかごに乗ることを避けたり、複数のペットが乗ることで動物同士のケンカが起きたりすることを防ぐ効果があります。

「最近多くなってきているのは、LEDライトや水、ビニール袋などが収納されているスツール型のボックス。停電などで閉じ込められるなどの非常時に明かりや水があると安心です。普段は、椅子として使うことができます」
防犯カメラや非常時用の収納ボックスは後からでも導入できるものです。このような防犯や安全性をアップする対策がとられているマンションは、管理組合や物件オーナーが良好な住環境づくりに力を入れているといえるでしょう。
また、エレベーターは建築基準法で年に1度の定期検査が義務付けられています。きちんと検査を受けているかは、かご内、またはエレベーターホールに掲示されている、写真のような「建築基準法検査済証」で確認できます。

大規模なマンションの場合、複数のエレベーターが設置されているだけではなく、高層階用と低層階用でエレベーターを分けて効率的に利用できるよう工夫されています。
また、セキュリティの高いマンションでは、来訪者は訪問先の住戸のある階でしかエレベーターを降りられない、居住者も自宅のある階以外では乗り降りができないなど、居住者または居住者が許可した人以外がそのフロアに立ち入ることができないシステムになっている物件も多いです。
日々、進化を遂げているエレベーター。最後に、マンションのエレベーターの最新機能と技術を紹介します。
エレベーター内外にAI機能を搭載した「スマートエレベーター」も進化しています。メーカーによって、以下のような機能があります。
こうした技術は年々進化しており、今後も快適性や安全性を高める機能の導入が進んでいくでしょう。
環境への配慮も重視される昨今、エレベーターの省エネルギー化も進んでいます。一例として消費電力抑制のために回生電力の活用やLED照明の採用、照明・換気装置自動休止機能の採用、エレベーターシステムの効率化などが挙げられます。
一部のメーカーで、ギヤレス巻上機や機械室レス構造(※)が採用されているのもトピックのひとつ。変速機やガイドレールで必要だったオイルを減少させることは省資源化、ひいては環境保全につながります。
※ギヤレス巻上機:直流を交流に変換するインバータ制御を用いることで、ギヤードタイプ(ギアあり)の巻上機よりもスムーズな加速・減速を実現。機械室機器の小型化、省電力化、快適性の向上に貢献する。
※機械室レス構造:巻上機や制御装置をコンパクト化し、屋上機械室を不要にした構造。高い走行性能や省エネ性が期待できる。
昨今の地震リスクの高まりを受けて、非常時対応機能も強化されています。地震発生時の自動停止機能のほか、大きな揺れが生じる前の初期微動を感知して最寄り階で乗客を降ろす機能やいち早い脱出につながる遠隔診断による仮復旧機能なども。脱レール防止対策や各部位の補強、ロープ外れ対策など、ハード面の耐震性も強化されています。
毎日使うエレベーターが使いにくいと、小さなストレスが積み重なってしまいます。快適な暮らしができるよう、物件探しの際には広さや台数、安全性などをしっかりチェックするようにしましょう。
エレベーターがない物件のコストは安いが長く住むには負担が生じがち
設置台数は50住戸に1台といわれるが、建物の形状によって適切な台数は違ってくる
待ち時間は1台なら90秒以下、2台ある物件なら60秒以下だとストレスが少ない
エレベーターホールに近いほうが便利だが音の問題に注意
防犯や安全対策も忘れずに確認しよう
最近はAI活用エレベーターや非常時対応に優れたエレベーターも