シューズインクローゼット付きのマンションの後悔しない選び方やリフォーム

最終更新日 2025年06月09日
シューズインクローゼット付きのマンションの後悔しない選び方やリフォーム

(画像提供/スロウル)

脱ぎっぱなしの靴やベビーカー、傘などで雑然としがちな玄関。急な来客の際に恥ずかしい思いをした経験が、多くの人にあるはず。そんな玄関の悩みを解決するのがシューズインクローゼット。使い心地や、後悔しないための注意ポイントなどを、戸建てやマンションのリノベーションを手がけるスロウルの平賀丈士さんに聞きました。

シューズインクローゼットとは?

玄関に併設された、靴のまま出入りできる収納スペースがシューズインクローゼット(シューズインクロゼット)。靴だけでなく、傘などの雨具、コート類など出かけるときに必要なもの一式を収納できる便利なスペースです。広さが確保できれば、ベビーカーや自転車なども収納することができます。

ちなみに、シューズクローク、シューズクローゼットは、備え付けの靴箱を指す場合と、シューズインクローゼットと同じ意味で使われている場合があります。

間取図では、「SIC(シューズインクローゼット)」、「SC(シューズクローク、シューズクローゼット)」と略されています。

マンションにもシューズインクローゼットはある?

新築マンションや中古マンションのシューズインクローゼット、玄関が狭くならない?

シューズインクローゼットは、一般的な玄関よりも広いスペースが必要になることもあって、注文住宅や床面積に余裕のある建売戸建てなど、戸建て住宅で設けられるのが主流でした。しかし、最近では、数は多くはありませんが新築マンションでもシューズインクローゼットが採用された間取りプランが見られます。

また、中古マンションでも、リノベーション済み物件として売り出されるものに、シューズインクローゼット付きを謳う物件が多く見られます。

下の間取図は、玄関ホールをコンパクトにして、玄関横にシューズインクローゼットを設けた新築マンションの例です。靴や傘などを視界に入りにくいスペースにしまえることで、すっきりとした狭さを感じさせない玄関になるでしょう。

玄関横にシューズインクローゼットが設けられた新築マンションの間取り図
玄関横にシューズインクローゼットが設けられた新築マンション(間取図作成/SUUMO編集部)

シューズインクローゼットのあるマンション、どうやって探す?

新築マンションなら、物件のホームページでシューズインクローゼットのある間取りプランが紹介されていることがあります。「3LDK+SIC(シューズインクローゼット)」や「4LDK+SC(シューズクローク、シューズクローゼット)」といった間取り表記があれば要チェック。

中古マンションの場合は、不動産仲介会社で物件探しの条件にシューズインクローゼットがあることを伝えておくといいでしょう。

SUUMOでも下記の手順でシューズインクロゼットがある物件探しをすることができます。
(1)SUUMOのトップページの「買う」から物件の種別(新築マンション、中古マンションなど)とエリアを選択
(2)「沿線・エリアから探す」の下にある検索窓でシューズインクローゼットを検索すると、シューズインクローゼットのある物件がリストアップされます

SUUMOの物件検索サイトからシューズインクローゼットのある物件を探すイメージ
フリーワード検索でシューズインクローゼットのある物件を探せる。シューズインクロークやシューズクローゼットで検索するのもおすすめ(画像/SUUMO)

シューズインクローゼットの使い心地は?メリット、デメリットを聞いてみた

メリットは気兼ねなくモノが置けて、一度にモノが見渡せること

シューズインクローゼットには、どのようなメリットがあるのでしょうか。戸建てやマンションのリノベーションを手がける平賀さんは、自宅のリノベーションの際に広さ約3畳のシューズインクローゼットを設けました。

「玄関から靴のまま中に入って玄関ホールに通り抜けられる2WAYタイプです。玄関ホールとシューズインクローゼットの間は引き戸で仕切ってあります。実は、玄関に扉付きの下駄箱を置くほうが面積効率がいいんです。シューズインクローゼットは、靴のまま歩く通路が必要な分、収納量に対して必要な面積が大きくなります。それでも、使ってみて便利だなと感じるのは、玄関から隠すことができるので濡れた長靴などを気兼ねなくボンと置けるところ。また、オープンな棚にできるので収納してあるモノが一度に全部見渡せるところです」(平賀さん、以下同)

そのほか、ベビーカーや自転車、サーフボードやスキーなどのスポーツ用具、テントなどのアウトドアグッズといった玄関に置くと出入りに邪魔になるものを、すっきりと収納できる点などがメリットです。また、コロナ禍では外で着ていたアウターをリビングなどに持ち込みたくないという人にもメリットは大きいといえます。

シューズインクローゼットのメリット

・収納スペースが増える
・外出時に必要な靴、コート、雨具などをまとめて収納できる
・収納したものが一度に見渡せて、モノを探すために扉を何度も開閉する手間がなくなる
・広さめのスペースならベビーカーや自転車が置ける
・水などの重たいストック食品の収納場所としても重宝
・土のついたものや雨に濡れたものなどを気軽に置ける

シューズインクローゼットを設けた家の例を写真と間取り図で紹介
玄関から続くシューズインクローゼット。三和土(たたき)から見える場所には扉付きのシューズボックス、扉で隠すことができる位置にはコート掛けなどオープンな棚を設けた(画像・間取図提供/スロウル)

デメリットは部屋の広さが削られること

デメリットを挙げるとすれば、シューズインクローゼットの分、玄関や部屋の床面積が狭くなることでしょう。

間取りによっては、玄関と隣接した部屋がなくなることも。でも、その場合は、思い切って広い収納スペースにするのもよいのではないでしょうか。土間部分を大きくとると、自転車やバイクのメンテナンスをしたり、アウトドア用品やスポーツ用品の手入れをしたりといった作業が天候を気にせず家の中でできます。そういった作業がしにくいマンションにこそ作業スペースを兼ねたシューズインクロゼットがあると便利だと思います」

シューズインクローゼットのデメリット

・スペースがとられる分、玄関や部屋の床面積が狭くなる
・靴やコートの所有数が多くない世帯では、せっかくの収納スペースが使い切れないことがある
・一戸建ての場合、冬は三和土が冷えるため玄関全体が寒く感じられることがある

シューズインクローゼットのパターンを事例で紹介

シューズインクローゼットは、扉の有無や動線によって使い勝手が違ってきます。ここでは、4タイプのプランを事例で紹介。シューズインクローゼット付きのマンションや建売戸建てを選ぶ際に参考にしましょう。

出入りしやすいオープンタイプ

下の写真は、玄関の一部を壁で仕切り、扉は設けないオープンなタイプ。来客からシューズインクローゼットの内部が見えなくなる位置に間仕切り壁を設けているので、内部の収納棚も目隠しの扉は不要です。扉を開閉する手間がない分、モノを出したり閉まったりがラクなプランです。

扉のないオープンなタイプのシューズインクローゼットの事例
扉のないオープンタイプのシューズインクローゼット。玄関ホール側から内部は見えるが、来客からは見えにくい(画像・間取図提供/スロウル)
オープンタイプはこんな人におすすめ!

・コンパクトな玄関でもシューズインクローゼットが欲しい
・モノをスピーディーに出し入れしたい
・シューズインクローゼット内に湿気がこもらないようにしたい

扉を設けたクローズドタイプ

シューズインクロゼットの出入口に扉を設けたタイプは、内部が見えなくなるため、収納棚が整理しきれていなくても気になりません。観音開きの扉のため、開閉に必要なスペースが小さく、玄関に靴が置いてあっても扉の開け閉めがスムーズです。壁の上部を空けることで通気性も確保できます。

写真の事例では、扉の近くに傘や長靴が収納しやすいスペースがあります。家を出て、雨が降り出しそうな気配に気づいて傘をとりに戻るときに、サっと取り出しやすく便利です。

扉を設けたクローズドタイプのシューズインクローゼットの事例
扉で内部を隠すことができるクローズドタイプのシューズインクローゼット。壁上部を空け、ルーバー扉にすることで通気性も確保(画像・間取図提供/スロウル)
クローズドタイプはこんな人におすすめ!

・収納の中を来客に見られたくない
・収納スペースは玄関から独立させたい
・片付けが苦手

シューズインクローゼットを通り抜けられるツーウェイタイプ

玄関側と室内側の2カ所に出入口を設けたツーウェイタイプ(ウォークスルータイプ)。シューズインクローゼット内で靴を脱いで靴箱に収納したら、サンダルなどに履き替えることなく、そのまま家の中に入れます。

収納棚を設ける壁面が減る分、同じ広さのクローズドタイプよりも収納量は少なくなりますが、家を出入りする際の動線はスムーズです。帰宅時に、家族は必ずシューズインクローゼットを通ることにすれば、玄関は靴のないスッキリと片付いた状態を保てます。

通り抜けられるツーウェイタイプのシューズインクローゼット
写真の左側が玄関スペース。右側がシューズインクローゼット。帰宅して靴を脱いだらそのまま家の中へ(画像/PIXTA)
ツーウェイタイプはこんな人におすすめ!

・玄関に靴やサンダルを置きたくない
・収納量よりもスムーズな動線を優先したい

趣味の場にもなるプラスアルファタイプ

シューズインクローゼットを、靴やコートなどの収納スペースとしてだけでなく、趣味を楽しむ場としても使えるようにするプラスアルファタイプ。広さが確保できれば、ちょっとした日曜大工やアウトドアグッズの手入れなどが可能です。また、棚をオープンにして趣味のグッズを飾るなど、見せる収納にするのも楽しい使い方です。

収納する場にも趣味の場にもなるシューズインクローゼットの事例
趣味のアウトドアグッズなどをセンスよく飾って楽しんでいる事例。扉を設けずオープンなプランにして、あえて来客の目にとまるようにしている(画像提供/スロウル)
趣味スペースも含んだプラスアルファタイプはこんな人におすすめ!

・広めのスペースが確保できるので収納以外にも使いたい
・趣味を楽しむスペースが欲しい
・見せる収納を楽しみたい

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後悔しないシューズインクローゼットづくりのコツ&玄関の収納事例5選

リフォームやリノベーションでシューズインクローゼットをつくるときの注意ポイントは?

どれくらいの広さがあればいいのかをチェック

リフォームやリノベーションの場合、自分の好みのタイプや広さのシューズインクローゼットがつくりやすくなります。その分、プランニングで迷うことも出てくるでしょう。

例えば、広さはどれくらいが適しているのでしょうか。
「当社にプランニングを依頼される方のうち、約3人に1人がシューズインクローゼットを希望されます。
多いのは1~2畳くらいの広さ1畳は家族4人分の靴を収納できる程度の広さ、2畳あれば靴のほかにコート掛けのスペースなども設けることができます

収納は広すぎても使いにくくなるケースがあるとか。
「わが家の場合の失敗なのですが、シューズインクローゼットの土間部分が広かったため、せっかく玄関ホールからも出入りできるツーウェイタイプなのに、床部分から収納棚に手が届かないんです。靴を取り出しに行くために靴やサンダルを履かなければならず面倒でした。土間部分を狭くすればよかったなと思います」

シューズインクローゼットのプランニングの際は、帰宅したとき、外出するときにどのような動線で収納棚を使用するのか、具体的にイメージすることが大切です。

シューズインクローゼットが広すぎて失敗した事例の間取り図
シューズインクローゼットの土間部分が広すぎて、モノの出し入れをするときに靴をはかなければならない

中古マンションの場合の制約や注意点

中古マンションのリフォームやリノベーションでシューズインクローゼットを設ける場合、制約になるのは広さの問題です。マンションは増築ができませんから、限られた床面積の中で収納や部屋の広さをやりくりする必要があります。

玄関がもともと狭い間取りの場合、玄関そばの部屋の一部または全部をシューズインクローゼットにする方法はありますが、その分、生活するためのスペースが減ってしまいます。収納と部屋の広さのバランスを考えることが大切です。

「注意したいのは玄関近くに浴室やトイレ、キッチンといった水まわりスペースがある場合です。水まわり設備は排水管に勾配をつけるために床下に空間が必要になります。移動距離によっては既存の床下の深さでは勾配がつけられないことも。床を高く上げることで排水管の勾配を確保し、水まわり設備を移動させる方法もありますが、築年数の古いマンションでは階高(かいだか:床からコンクリートの構造体までの高さ)が低いケースも多く、天井の内装を撤去したとしても圧迫感が生まれるため、水まわりの移動ができず、シューズインクローゼットのスペースをとることが難しくなります」

玄関に近い場所にキッチンなどの水まわりが配置されているマンションの例
玄関の近くに配置された水まわり設備が、マンションの構造上、移動ができない場合、玄関スペースが広げられずシューズインクローゼットをつくることが難しい(画像/PIXTA)

中古戸建ての場合の制約や注意点

中古戸建ての場合、増築が可能なら玄関にシューズインクローゼットを追加することも可能ですし、玄関近くに水まわり設備があっても移動させやすいため、予算の制約はありますがプランの自由度は比較的高くなります。

「玄関の三和土は冬になると冷えて、冷気が室内に影響します。そこで、当社の場合は土間に床暖房を設置するケースが多くあります。また、シューズインクローゼットの外壁にドアを設けて、家の中からも出入りできる物置を増築できるのも中古戸建てだからできるプラン。収納スペースが増えることでシューズインクローゼットだけでは入り切らないキャンプ道具や自転車などもまとめて収納できます」

一方で、構造による制約も。

「戸建ての場合、玄関の三和土は家の基礎よりも低くなっているのが一般的。そのため、三和土と同じ高さで土間を広げるには、基礎をカットしたり壊したりする必要があり、構造上難しいことがあります。フラットにできない場合は、シューズインクローゼットが一段高くなります」

靴以外にもさまざまなものが収納でき、スッキリと片付いた玄関にできるシューズインクローゼット。扉の有無や広さ、出入口の数によって使い勝手が違ってきますから、それぞれの特徴を知ってわが家に合うタイプを選ぶようにしましょう。リフォームやリノベーションで設ける場合は、物件によってプランに制約が出ますから、リフォーム会社、リノベーション会社に早めに相談することが大切です。

まとめ

シューズインクローゼットとは玄関に併設された靴のまま出入りできる収納スペースのこと

戸建てだけでなく、新築マンションでも採用されている

中古マンション、中古戸建ての場合はリフォームやリノベーションで設けることができる

扉の有無や広さ、出入口の位置や数によって使い勝手が異なる

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取材・文/田方みき イラスト/つぼいひろき
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