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リビング・ダイニングは食事をしたり、くつろいだり、家族で長い時間を過ごす場所。間取り選びからこだわって快適なスペースにしたいものです。
今回はマンションのリビング・ダイニングに注目し、縦長・横長・正方形など、空間のタイプごとの特徴を解説。さらに、家具レイアウトの基本から実践までを、ポイントやコツを交えて紹介します。
理想のリビング・ダイニングを実現するために役立ててください。
マンションのリビング・ダイニングは長方形が多く、おもに3つのタイプに分けられます。
1つは、キッチンからバルコニーに向かって長くのびる「縦長リビング」と呼ばれるタイプ、もう1つは、バルコニーに広く面した「横長リビング」と呼ばれるタイプです。
そして最後の1つが正方形となっている「正方形リビング」となります。
それぞれの特徴について解説します。
縦長リビングの間取りは、キッチンからバルコニーに向かってリビング・ダイニングが縦にのび、リビングの横に個室が配置されるパターンが多く見られます。
「キッチン・ダイニング・リビングが縦軸動線でつながり、それぞれをコーナー分けしやすいという特徴があります。横長リビングに比べると壁が多く、家具を配置しやすいです。
また、リビング横に独立した部屋を確保できるメリットもあります。バルコニーに面して大きな窓がある部屋は、明るく風通しもよく、快適な個室になります」(染谷さん、以下同)

一方で窓面積が狭いため、横長リビングに比べると開放感が劣ります。窓から遠くなるダイニングやキッチンは光が届きにくく、日中でも暗くなりがちです。
横長リビングの間取りで多いのは、バルコニーに面して間口いっぱいにリビング・ダイニングが広がり、その奥にキッチンと小さめの部屋を配置したパターンです。
「開口部が広いので開放感があり、全体が明るく気持ちの良い空間になります。奥の部屋はたいてい引き戸で仕切られているので、引き戸を開けてリビングと一体的に使うことができます。モデルルームでは書斎コーナーなどにしているケースが多いです」

ただし、廊下から動線が左右に分かれるため、広さによっては家具のレイアウトが難しいことも。空間を分断しないように、ソファのサイズや配置に注意が必要です。奥の個室は窓がないことが多く、独立した個室として使うには向いていません。
長方形に比べると数は少ないですが、正方形のリビング・ダイニングもあります。60m2以下のコンパクトなマンションで見かける10畳程度の広さでは、どのような家具の配置がいいのでしょうか。
「正方形の特徴は、家具の配置が難しいこと。ダイニングテーブルとソファを両方置こうとすると無理があるので、ソファは置かないなどの割り切りが必要です」
ただし、最近のマンションはリビングと個室の仕切りはスライドウォールが一般的。
リビング横の部屋を一体にして使えば、リビングスペースを設けることも可能です。子どものプレイルームとして使いながら、コンパクトなパーソナルチェアなどを置いてくつろぎのスペースを兼ねてもよいでしょう。

一般的に、リビングの中心になるのはソファやテーブル、テレビです。そこでレイアウトを考える際には、ソファやテーブル、テレビを基準にした基本パターンを押さえておくとよいでしょう。
以下では、ソファを基準としたレイアウト4パターンを紹介します。
ソファとテレビを平行に並べる、オーソドックスなレイアウトです。テレビを窓側に置くか、窓とは反対側に置くか、あるいは部屋の角に斜めに置くなど、自由に選択できます。
例えば日中も家にいることが多い方は、太陽光の入り具合なども気にかける必要があります。
また、テレビの大きさによって見え具合も変わるため、ソファの高さやテレビとの距離を検討するとよいでしょう。

ソファをL字に置くレイアウトです。リビングのコーナー部分に合わせてソファを配置できるため、無駄なスペースが生じません。
複数人で座ると正面から向き合うことはありませんが、来客時などには、かえってリラックスできる場合もあるでしょう。

テーブルを挟んで2つのソファを向かい合わせに設置します。広いリビングや応接室、オフィスで見かけることが多いレイアウトです。
そのため、自宅でお客様を迎える機会が多い人におすすめです。ただし、テレビを置く場合は横向きで視聴する形になるので、テレビをよく観る人には向いていません。
また、ソファを2つ設置するため、部屋の広さも必要になります。

中央に配置したテーブルを囲むように、ソファをコの字型に設置します。テレビも正面から観ることができ、人数の多い家族に適したレイアウトです。
対面型レイアウトと同じく、こちらのレイアウトも部屋の広さが必要になります。
また、来客時はお客様によって横に座るか、正面に座るかを選べるため、便利です。

リビングが縦長でも横長でも、できるだけ広々と使いたいものです。その場合、家具の配置や色合いを工夫してみましょう。
ここでは、狭いリビングを広く見せるコツを3つ、紹介します。
食器棚や本棚など背の高い家具は、できるだけ入り口近くに配置しましょう。反対に、小棚やソファなど背の低い家具は、奥にまとめて配置します。
これは遠近法を用いたレイアウトで、手前に背の高いものを置くことで、より奥行きがあるように感じられます。
部屋を広く見せたいなら、床は明るい色がおすすめです。
色の塗られた面積が同じでも、見え方は色によって異なります。一般的に明るい色のほうが大きく見えるため、床の色を明るくすると、部屋が広く感じられます。白やベージュ、ライトグレーなどは、インテリアの邪魔をしない色です。
賃貸などでもともとの床の色が濃い場合は、明るい色のラグを敷いてもよいでしょう。また、床だけでなくカーテンやソファなど大きさのある家具も、明るい色を使うことで同じ効果が得られます。
床や壁に余白がないと、圧迫感があり部屋が狭く感じられます。そのため、家具の置きすぎや、壁全体にインテリアグッズを飾るようなことは避けたほうが無難です。
参考までに、家具が占める割合は、床の面積に対して3分の1がベストとされています。
また、家具の配置にも注意が必要です。先述したように、本棚など背の高い家具は、部屋の入り口など死角になりやすい場所に設置します。
ソファやテレビなどはできるだけ壁際に寄せ、部屋の中央を空間として空けておくと、床面積が広く見えます。
ここからは実際のレイアウトをもとにリビング・ダイニングに置く家具のレイアウトについて、インテリアコーディネーターの荒井詩万さんに聞きました。
はじめに、リビング・ダイニングのメイン家具であるソファについて解説します。
「最近はカウチタイプが人気ですが、ゆっくり足を伸ばしてくつろぎたいなら、1列型のソファにオットマンをプラスする方法も。フレキシブルに動かせるので、前に置けばカウチ、対面に置けば来客時にも便利です」(荒井さん、以下同)
ソファとダイニングセットを横に並べて配置します。
ソファに座ったときにダイニングやキッチンにいる人とも視線が合うため、会話が交わしやすい点が特徴です。一方で常にキッチンが丸見えになり、特に来客時など、散らかった印象を与える可能性があります。
どこにいても全体に目が届きやすくなるため、家族でよく会話を交わす家庭や、小さな子どもがいる家庭にもおすすめです。

ダイニングセットとソファを分けるレイアウトです。キッチンやダイニングに背を向ける形でソファを配置すると、空間を明確に区別できます。
部屋の中央にソファを置く場合は、圧迫感が生じないよう背が低めのソファを選ぶとよいでしょう。
食事は食事で集中し、ソファはリラックスするスペースにしたい人に向いています。それぞれの空間のインテリアを変えると、雰囲気の違いも楽しめます。

ソファを窓に向けて設置します。窓の外へ視線が抜けるため、風景や開放感を楽しめます。
高層マンションなど眺望のよい住宅や、別荘などでも人気があるレイアウトです。
テレビを置く場合は、部屋のコーナーに置くか、画面の角度を変えられるタイプなどで対応しましょう。

ここではソファの配置を紹介しましたが、セットで考えたいのがテレビの位置。テレビを見ながらくつろぎたいなら、はじめにテレビの位置を決めて、それに合わせてソファやテーブルを配置してもよいでしょう。
「テレビはソファの前が定番ですが、最近はテレビをあまり見ない人や、パソコンで見るという人も増えています。なかにはメインのテレビは寝室に置き、リビングには子ども用に小さなテレビがあるだけという家庭も。リビングでの過ごし方によって、テレビの位置はフレキシブルに考えるとよいと思います」
次に、ダイニングテーブルのレイアウトについて解説します。ダイニングテーブルを決める際には、サイズのほか、キッチンとの関係を重視しましょう。
ダイニングテーブルは長方形、正方形、円形がスタンダードです。食事をするときの平均的なスペースは、1人当たりの幅60cm×奥行き40cm。この数字を知っておくとサイズ選びの参考になります。
「配置は、キッチンから離れすぎず、配膳や片付けの動線がスムーズであることが大前提です。
対面型のオープンキッチンの場合、キッチンカウンターにつけてテーブルをT型に配置すると、ダイニングスペースがコンパクトにまとまります」
長方形のダイニングテーブルは、壁やキッチンカウンターにぴったりつけることができ、レイアウトしやすいタイプです。
横幅が広いため、4人以上の家庭で使う場合や、食事スペースを広くとりたい人に向いています。
2人暮らしやファミリーなら、人数分の食事スペースに余裕分を加えた幅135~180cmくらいがおすすめ。奥行きは85cmがゆったり使えます。
正方形のダイニングテーブルの魅力は、置き場所を選べる自由度が高い点にあります。壁につけて配置するほか、カウンターに並べて置くと、その分スペースを広げられます。
正方形のコンパクトで均整が取れたスタイルで、ダイニングをスッキリ見せてくれる点が特徴です。一人暮らしには75cm×75cm、2人暮らしには100cm×100cmなど、余裕をもったサイズを選ぶと使いやすいでしょう。
円形のダイニングテーブルは角がないため、圧迫感がなく、部屋全体がやわらかい印象になります。輪になって座るので、温かい雰囲気になるのも魅力です。
角のあるテーブルに比べて、ぶつかってケガをする心配もありません。特に小さい子どもがいる家庭では、安心して使えるでしょう。2人なら直径70cmが目安。椅子を引くと放射線状に広がりスペースをとるため、広めのダイニングにおすすめです。
よほど広い間取りでない限り、大きなソファとダイニングテーブルを置くのはなかなか難しいものです。ここでは、リビング・ダイニングを上手に利用するために、適した家具の選び方を解説します。
ダイニングとリビングのどちらにボリュームをおくかを考えておくと、レイアウトがスムーズに決まります。また、リビング・ダイニング兼用の家具を利用する方法もあります。
ダイニングで過ごす時間を長くとりたいなら、ゆったりと余裕のあるダイニングセットを用意しましょう。ダイニングテーブルの幅は、180~210cmの大きいものがおすすめです。
ダイニングテーブルを広くとる代わりに、リビングのソファはサイズを小さく、あるいは1人掛けのチェアとオットマンだけにするなど、コンパクトにまとめるとよいでしょう。


リビングで過ごす時間が長い人は、ダイニングテーブルは小さめのものを選び、リビングにボリュームをもたせましょう。
夫婦2人家族であれば、ダイニングはコンパクトな正方形テーブルにして、リビングに大きめのカウチタイプのソファを置くのもおすすめです。


「食べる」と「くつろぐ」の両方を叶えたい人には、リビング・ダイニング兼用の家具も選択肢の一つになるでしょう。
リビング・ダイニング兼用の家具は、イスはくつろげるソファタイプでありながら、通常のダイニングテーブル&チェアと同じように食事ができる高さに設計されています。家具を少なくできるため、部屋を広く使うことが可能です。
必要最低限のモノだけで暮らしたいミニマリストや、子どもが遊べるスペースを確保したい人、食事後はソファに移動せず、そのままくつろぎたい人にもおすすめです。

リビング・ダイニングのレイアウトを決める際には、プランニングが大事です。お気に入りの家具を置いてみたものの、大きすぎて邪魔に感じる……などということにならないよう、あらかじめしっかりプランを立てましょう。
ここでは、リビング・ダイニングのレイアウトの進め方について解説します。
「レイアウトを決める際には、ダイニングはこのぐらいの広さ、リビングは少しコンパクトで、ここを子どものコーナーにしたいなど、間取図上で大まかなゾーニングを決めて、そこに置ける家具のサイズ感を考えていくとよいでしょう」
ゾーニングとは、建物の空間を機能や用途別に効率的に配置することをいいます。まずは間取図を用意して、ゾーニングを考えてみましょう。どこにどの家具を置くかプランができたら、次は置ける家具のサイズを知るために部屋の寸法を測ります。
新築マンションの場合、ほとんどの寸法は間取図に記載されていますが、一般的に壁芯からの寸法となっており、実際の寸法とは少し異なります。そのため、気になるところは必ず内覧会などで実際の寸法を測りましょう。中古マンションの場合も、必要な箇所は自分でメジャーを用意して測ります。
測っておくべき箇所は以下のとおりです。
「忘れてはならないのが、実際に家具を置いたときに家族がスムーズに動けるかどうかです。動線が十分でないとストレスになり、快適なリビング・ダイニングとはいえません。座ったり、立ったり、モノを運んだり、掃除機をかけたりするときにどうか、間取図を見ながら動線をシミュレーションしてみましょう」
家具を搬入する前に、それぞれのサイズ(幅、奥行き、高さ)を測り、置きたい場所に置けるかどうかを確認します。必要なのは「最大部分のサイズ+動線」になるため、購入前の家具はパンフレットなどで調べて確認しておくとよいでしょう。
以下は、動線を考える際に必要な数値です。家具のサイズにプラスして考えてみてください。

家具をレイアウトするときには、ほかにも知っておきたいポイントがあります。染谷さんと荒井さんに、快適なリビング・ダイニングにするためのコツをアドバイスしてもらいました。
「家族がいろいろなことをして過ごすリビング・ダイニングには、こまごまとしたモノが集まってきます。すっきり暮らすためには、見えないようにしまいたいモノ、部屋に飾って楽しみたいモノなどの収納場所をきちんと用意しておくことが大事です」(染谷さん)
「家具が多いとどうしても窮屈な印象になってしまいます。家具は部屋の面積の3分の1程度にして、床の空きスペースを3分の2ぐらい確保するのがベスト。
また、床は面積が広いために、床の印象が部屋全体の印象につながります。明るい色を採用して部屋を広く見せたり、高級感のある素材を使用したりするなど、こだわってみてもよいでしょう」(荒井さん)
「部屋のなかに1カ所、視線を集めるフォーカルポイントをつくると空間が締まります。フォーカルポイントとは建築用語で「見せ場」のこと。
部屋に入ったときに視線が行く対角線上にフォーカルポイントを置くと、奥行きが強調されて部屋に広がりが出ます。大きめの観葉植物を置く、壁に絵や写真を飾るほか、クロスの色を変えてアクセントを付ける方法もおすすめです」(荒井さん)
リビング・ダイニングのレイアウトを考える際には、「どう暮らしたいか」を明確にすることが重要
家族の顔が見えて会話が交わせる空間にしたいのか、ゆとりや眺望などリラックスできる空間を求めるのかなど、まずは希望するライフスタイルを考えよう
家具の配置や大きさなどは、事前にしっかりプランニングすることが大事
●取材協力
建築家 染谷正弘さん
「コミュニティをデザインする」という発想のもと、マンションや一戸建てなどの住宅設計を中心に活躍。日本大学理工学部・大学院、文化学園大学で長年教鞭をとる。『日本のインテリアデザイン全史』共著(柏書房)。
インテリアコーディネーター 荒井詩万さん
CHIC INTERIOR PLANNING 主宰。個人邸のコーディネート、リフォームなど150件以上を手がけ、住む人に寄り添う心地よい空間づくりが人気。インテリアスクールや大学の講師としても活躍。著書に『今あるもので「あか抜けた」部屋になる』(サンクチュアリ出版)。
株式会社アクタス
カリモク家具株式会社