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5人家族がマンションで暮らすなら、どんな間取りで広さは何m2くらい必要なのでしょうか?5人家族で快適に暮らすヒントを探るため、2LDK~4LDKの間取りにはどんな特徴があるのか、快適な部屋割りはどう考えるのか、物件選びの注意点などを解説。不動産仲介の経験も豊富な不動産エージェントの山本直彌さんに話を聞きました。
5人がマンションに暮らす場合、どれくらいの広さがあればいいのでしょう。快適と感じられる広さは家族構成や年齢などによってケースバイケースではありますが、国土交通省が一応の目安となる広さの水準を示しています。
国土交通省の「住宅基本計画」で示されている居住面積水準は2種類。1つは「健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積」を示す「最低居住面積水準」。もう一つは「豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積」を示す「誘導居住面積水準」です。どちらの面積水準も、下表のように、住む人数が多いほど広くなるほか、子どもの人数や年齢によっても違ってきます。
例えば、大人5人(夫婦と両親、10歳以上の子ども1人など)の場合は、最低居住面積水準は57m2、誘導居住面積水準は109.25m2。大人2人と子ども3人(夫婦、2歳、5歳、8歳の子ども)の場合は最低居住面積水準は45m2、誘導居住面積水準は85m2です。
最低居住面積水準と誘導居住面積水準は広さに差があります。どちらの広さがあればいいのでしょうか?
最低居住面積水準はその家族構成で暮らすことが可能な最低基準の広さだということ。
「最低居住面積水準はその家族構成で暮らすことが可能な最低基準の広さです。実際にその広さで暮らすとなると非常に狭く感じるはず。快適に暮らすことを前提にするなら、目安にするのは誘導居住面積水準のほうが適しています」(山本さん、以下同)

実際に購入されているマンションは、どれくらいの広さなのでしょうか?2024年3月15日にリクルートが発表した「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」では、2023年に首都圏で契約された新築分譲マンションの平均専有面積は64.7m2。なお、5人家族も含まれる子どもあり世帯の場合は70.8m2が平均専有面積となっています。購入されているマンションの広さの平均は、5人家族に必要な広さの目安になる誘導居住面積水準よりも狭く、快適に暮らすには工夫が必要になりそうです。
契約者全体 64.7m2
東京23区 62.1m2
東京都下 66.5m2
神奈川県 66.9m2
埼玉県 64.4m2
千葉県 66.7m2
シングル男性世帯 52.9m2
シングル女性世帯 48.7m2
夫婦のみ世帯 66.7m2
子どもあり世帯 70.8m2
シニアカップル世帯 66.8m2
5人家族の一戸建ての間取りについて読む
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2LDKのマンションは10畳以上の広さのLDK(リビング、ダイニング、キッチン)と、2つの居室がある間取りで、広さは50m2~60m2台が目安です。
5人家族が2LDKで暮らすなら、向いているのは夫婦とまだ小さい子どもが3人という家族構成。乳児や幼児なら個室がなくても済むでしょうから、2つの居室を家族の寝室や子どもの遊び場などに割り振ることができます。ただし、子どもたちが成長して個室を欲しがったり、受験期がやってきたりすると、2LDKは手狭になります。将来的に広めの住まいに住み替えることも視野に入れて、売却しやすい物件を選ぶことが大切です。

マンションの2LDK間取りについてもっと詳しく
→2LDKの間取りの特徴や、マンション探しのポイントを解説。購入も賃貸も住みやすい間取りは?
→2SLDKとは?間取り図の例や2SLDKのメリット、具体的な活用方法を解説
3LDKは10畳以上のLDK(リビング、ダイニング、キッチン)と、3つの居室がある間取りで、広さは60m2~70m2台が目安です。
「分譲マンションの3LDKの広さは70m2台が目安ですが、最近は不動産価格の高騰を背景に、専有面積をコンパクトにして価格を抑えた物件も見られます。そのため、都市部では60m2台も珍しくなく、主寝室になる部屋に6畳の広さを確保すると、残りの居室は4畳~4.5畳など狭くなる傾向にあります」
マンションは戸建てのように増築することができません。子どもが小さい時期は十分な広さだとしても、子どもが高校生になると5人家族で3LDKに住むのは狭く感じる可能性があります。子ども全員に個室を与えるために、親がリビングに布団を敷いて寝る期間があったという人もいます。将来も居室の広さは十分か、使いやすいレイアウトになっているかなど、十分に検討することが必要でしょう。

3LDKのマンションのメリットは、ほかの間取りに比べて供給数が多いこと。SUUMOで検索してみると、東京都内で分譲されている新築マンションのうち、3LDK(3K、3DK含む)は296件(2024年11月7日現在)。4LDKの45件に比べると圧倒的に多いのが2LDK、3LDKです。立地や広さ、部屋の配置、共用設備や管理サービスの充実度など、住まいに求める希望条件が多い5人家族でも、さまざまな物件から検討することができます。ただし、3LDKは個室が3つなので、家族構成や子どもの年齢によっては部屋をどう使うかの工夫が必要になります。
| 間取りタイプ | SUUMO掲載件数 |
|---|---|
| 1LDK(1K、1DK含む) | 156件 |
| 2LDK(2K、2DK含む) | 280件 |
| 3LDK(3K、3DK含む) | 296件 |
| 4LDK(4K、4DK含む) | 45件 |
マンションの3LDK間取りについてもっと詳しく
→3LDKのマンションは何人住める?どんな間取りがわが家のライフスタイルに合う?
4LDKは10畳以上のLDK(リビング、ダイニング、キッチン)と、4つの居室がある間取りで、広さは80m2台が目安ですが、都市部では少しコンパクトな70m2台後半の物件や、逆に100m2を超えるようなハイグレードの物件も見られます。
5人家族で暮らす場合も、主寝室のほかに子どもの個室を確保しやすく、部屋の割り振りや狭さで困ることもあまりないでしょう。将来、子どもが進学や就職で巣立った後は、空いた部屋を書斎や趣味の部屋にしたり、リビングに隣接する居室の間仕切りを撤去して、LDKを広くしたりなど、家族の変化に合わせて部屋割りの変更も楽しめます。
ただし、4LDKは供給数が少ないため、希望のエリアで見つけることが難しいケースもあります。

マンションの3LDK間取りについてもっと詳しく
→4LDKマンションの間取りの特徴や、選び方のポイントは?購入、賃貸で住みやすい間取りに出会うコツ
5人家族なら、4LDKなど部屋数が多めで専有面積も広いマンションのほうが、部屋割りに悩まず、空間にもゆとりを感じることができます。とはいえ、4LDKのマンションや、100m2を超えるマンションは分譲されている物件数自体が少ないこと、広い物件は価格が高い傾向にあることなどから、マンションの主流の70m2程度の3LDKを選ぶケースも多いでしょう。そこで、3LDKに5人で暮らす場合、子ども部屋の使い方にどのような工夫ができるかを考えていきましょう。
子どもに個室を与えるか、与えるなら何歳からにするかは各家庭の考え方次第ですが、夜眠るときに両親と一緒の乳児や幼児の時期は、1人1部屋の個室は不要でしょう。
下の間取図は、子どもが乳児、幼稚園児、小学生の場合。主寝室で夫婦と乳児、幼稚園児が寝て、小学生の子どもには個室を与えた部屋割りです。子どもが小さい時期限定ではありますが、リビングの横の部屋が空きますから、ここを夫婦の在宅ワークのスペースに使ってもいいですし、間仕切りを開放して子どもたちの遊び場にするのもいいでしょう。

男の子同士、女の子同士のきょうだいは、2人で1部屋を使うこともできます。2段ベッドと机2台を置くスペースがなければ、個室は寝室として使い、勉強はリビングにスタディーコーナーで、という方法もあります。同性同士の子ども2人で部屋を共有し、異性の子どもは個室を使い、大人と子どものプライベート空間を分ける部屋割りは、子どもと生活パターンの違う大人のストレスも減らすことができます。

子ども3人が同性同士の場合、2つの居室を勉強部屋と寝室に分けて使うこともできますし、受験勉強に集中したい時期の子どもには個室を、ほかの2人は1室を共有するという部屋割りも可能です。時期によって部屋替えをすることで、「自宅内引越し」に備えて物を増やしすぎない、きょうだいで共有するベッドや机などの家具を大切に使う習慣がつく、などの良い面も生まれます。

子どもたちが、進学や就職、結婚で家を巣立つと、3LDKのマンションで暮らす人数が減り部屋数に余裕ができます。3人の子どものうち、1人が巣立てば4人家族となり、主寝室のほかに、子ども部屋が2部屋確保できます。もう1人が巣立てば夫婦と子どもの1人が、それぞれの個室を持つことができます。今は5人家族でも、将来的には同居する人数が減るのはいつごろなのか、それまでの期間、部屋割りの工夫で3LDKでの暮らしに満足できそうかを考えて、物件探しをするのも住まいの選択肢を広げることになります。

5人家族で暮らすのであれば、広くて部屋数が多い4LDKがゆとりをもって部屋割りができます。4LDK以外は検討しない、という世帯もあるでしょう。
「4LDKのマンションは専有面積が大きいため管理費や修繕積立金のほか、固定資産税も同じマンションの他の住戸よりも高くなります。将来、ランニングコストが負担にならないか、購入する前に考えておくことが大切です」
負担になりそうな場合は、中古マンションも視野に入れる(ただし、中古マンションは入居当初から管理費や修繕積立金が高い場合があるので注意)、部屋割りの工夫ができそうなら広めの3LDKも検討してみるといいでしょう。
5人家族にはいろいろな家族構成があります。
「ご夫婦とお子さん3人のご家族のほか、ご夫婦どちらかの親御さんが1人亡くなられて、ご夫婦と2人のお子さん、親御さんの5人で暮らすというケースもあります。このように高齢の方と暮らす場合、大切にしたい視点がバリアフリーかどうか、ということです」
特に、中古マンションの場合は、水回りの床に段差があったり、手すりがつけられていなかったりなど、高齢者が安心して暮らすための準備がされていないことも。バリアフリー仕様になっていない場合は、リフォームで変更できるかを確認するといいでしょう。その際、エントランスにスロープがあるか、共用廊下は車椅子が人とすれ違えるかなど共用部分もチェックしましょう。
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夫婦と10歳以上の子ども3人の5人暮らしなら109.25m2が快適に暮らせる広さの目安
分譲マンションは60~70m2台、3LDKが主流
3LDKのマンションは、5人家族でも部屋割りの工夫はいろいろできる
高齢の親との同居なら住戸内や共用部分がバリアフリーかどうかをチェック
マンション・ビル管理、不動産仲介の経験を経て、マンション管理コンサルタント・不動産エージェントの業務に従事。これまでに50棟を超えるマンション管理フロント業務、500件以上の不動産仲介を経験。2020年4月 株式会社さくら事務所へ参画。2023年にはさくら事務所・執行役員、らくだ不動産・副社長執行役員に就任。マンション管理士、管理業務主任者、マンション維持修繕技術者、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。