住まいの種別を問わず、希望価格や立地を限定して探した結果、選択肢として残ったのが築古物件だったという回答がほとんどだ。あえて築古物件を選んだというより、実際の家を見てリフォームなどの状態が良く、築年数の古さを特に感じさせなかったのだろう。古いことを感じず、安心して購入に踏み切ったケースが多いようだ。
1位 | 価格の妥当性 |
---|---|
2位 | 面積(全体の広さ) |
3位 | 部屋の数 |
4位 | 間取り、部屋の配置 |
5位 | リビングルームの広さ |
築古物件も一般的な中古物件の選び方と変わらず
買った理由の多くが、魅力的な予算や広さなど、上記の表のように一般的な中古物件を選んだ理由とほぼ同じだった。
新築と違って、多少の傷を付けても気にならない。傷が付くのでは?といった緊張感は不要だ。特に一戸建てでは建物の「味わい」を好む人も多く、マンションでは物件内のコミュニティーが成熟している安心感を挙げる人が多かった。また、種別を問わず「自分好みのリフォームによる物件への愛着」が大きいようだ。
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築古物件への不満の大多数が設備・水まわり・間取り・構造に対する不満など。床が薄く音が響きやすいなど、築古ならではの妥協ポイントを認識していなかったケースも多い。物件を選ぶ際にそうした特徴を確認しておけば、不満を未然に防げる場合も多い。築古物件ならではのデメリットを知ったうえで、購入することが大事だ。
不満を一部解消できた、と回答した人の解決策のほとんどがリフォームによるもの。一方、未解消の理由はリフォーム資金不足と、リフォームで解決できない構造面。事前にリフォームすべき箇所や、部位ごとの必要額の予備知識があれば、ある程度の不満は回避できる。物件選びとリフォームのポイントを見ていこう。
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住んでから後悔しないためには築古物件のメリット・デメリットを事前に知ることが大切。「中古のプロ」の目利きポイントを知って、満足のいく物件選びをしよう!
「マンション評価ナビ」 企画運営(株)風・代表取締役 大久保恭子さん
妥協せずに築33年物件を購入。近著は『お片付けは「家ロジ」で。』(講談社)
性能・構造
劣化の度合い・構造は要確認 不安なら住宅診断の依頼も可
築古物件の傷み具合に不安を抱く人は多い。安心できる物件選びのために、建物の性能・構造に関するチェックポイントを知っておこう。「知り合いに建築士などのプロがいれば、見てもらうといいでしょう。住宅診断(ホームインスペクション)の調査員に依頼すれば、5~6万円前後で客観的にチェックしてもらうことも可能です」
□水道のさび水
さび水が出ないか。管の清掃や取り替えなど修繕計画はあるか
□給排水管のつまり
お風呂に水を溜め、勢い良く排水されるか。修繕計画の有無も確認
□換気扇の吸い込み
空気が流れるかどうか、実際に換気扇を回してみる
□電気容量・電気配線
契約アンペア数、容量アップや配線工事が可能か、費用も含め確認
□天井
劣化でシミが発生していないか、低さや梁による圧迫感がないか
□床・スラブ厚
厚さや防音フローリングなど音対策の有無。リフォームの制約など
□外壁・基礎
外壁や基礎部分にひび割れ、表面のはがれ、雨垂れのシミはないか
□柱
傾きがないか、重りをつけた糸などを垂らしてチェックする
□耐震構造
1981年以前の旧耐震基準の物件は耐震診断・補強していればOK
□雨洩り
天井や壁にシミはないか。家具を動かしたり天井裏もできれば確認
□空調方法
機器に不具合がないか。全館空調の場合は使用量の規定もチェック
管理・コミュニティー(主にマンション)
築年数に応じた管理の状況や居住者のコミュニティーを確認
建物が古いほど、メンテナンス状態は管理の影響を受ける。「これまでどのような修繕工事が行われたのか、今後の修繕計画はどうか、修繕積立金の残高に不足はないかといったことを確認すべきです。古くからの居住者の生活スタイルに左右されることも多いので、売主や管理組合の理事長にコミュニティーの様子を聞いてみましょう」
□修繕履歴書の有無
必要な修繕が実施されているか。計画など書類が保管されているか
□収支決算報告書
管理費や修繕積立金の滞納がないか、管理組合の収支をチェック
□長期修繕計画
25年以上の計画が策定され、修繕積立金残高に不足がないかを確認
□共用スペース
外廊下に私物がないか、自転車置場が乱雑でないかなどのマナー面
□セキュリティ
管理員の駐在時間、死角になる場所がないか、監視カメラの有無
□ペット
飼育できるか、可能な場合は飼える種別や数、サイズもチェック
□居住者の賃貸・事務所比率
賃貸や事務所の比率が高いと物件への愛着や意識が薄いといわれる
□居住者の年齢層
居住者の年齢や構成については管理組合理事長や売主に聞いて確認
□居住者向け掲示板
居住者同士の交流が活発か、サークル活動やイベントの有無を確認
□フロントサービス
サービスの内容、料金、窓口が開いている時間帯・曜日など
□管理組合の活動
理事の選出方法、総会の出席率、理事会の開催頻度などをチェック
※長期修繕計画などは仲介会社に依頼すれば管理組合や管理会社から取り寄せてもらえる ※コミュニティー活動などの様子は居住者に聞くとよい
リフォーム
入居前後に必要かつ可能なリフォームの箇所をチェック
入居前後にどこにどの程度のリフォームが必要か、またそれが可能かどうかを知っておくことが大切だ。「古いマンションは配管工事などに莫大な費用がかかることも。分譲会社の系列のリフォーム会社なら、構造に通じている場合も。買うときに建物診断やリフォームを実施できるリニューアル仲介というサービスも、増加中です」
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築年数に応じてどんなリフォームが必要になるのか? 一般的な修繕箇所と費用の目安を知っておこう。築古物件を買うときとリフォームの予算を組むときの参考にしてほしい。
下のグラフの通り、物件検討時は築浅希望でも結局築20年超物件を購入した人が3割もいた。
新築物件供給数に比べ多く、選択肢が多いといえる。
中古物件は選択肢が多く、価格も魅力的だ。「立地や広さを妥協せず買える点がメリットです」(大久保さん)という面もある。それだけに、物件の特徴を把握して買うことが重要だ。例えば、築古物件の場合、既に何度かリフォームを実施している場合が多いが、箇所によってリフォームのタイミングは異なる。不動産会社にリフォーム履歴を確認し、必要な修繕がなされているか確認しておくことが大事だ。
築20年超えの中古住宅は、価格や立地や物件の造りがしっかりしているかなど条件や要望に適うかを考えよう
物件価格の安さに加え、気軽な住み心地と成熟したコミュニティが形成されていることも
住んで気付いた不満として設備や水まわり・間取りなどを上げる人が多いが、リフォームで解決できる場合も