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中古マンションを購入する際、消費税が課税されるのか気になる人も多いのではないでしょうか。今の消費税の税率は10%。消費税がかかるのかどうかによって、資金計画が変更になる可能性もあります。
そこで今回は、中古マンションの価格表示には消費税が含まれるのか、中古マンション購入で消費税が課税されるのか、かかる場合とかからない場合があれば、その違いについてもオイコスの大森広司さんに伺いました。中古マンション購入時に気になる住宅ローン控除や税金の軽減措置などについてもあわせて解説します。
まずは、そもそも消費税とはどのような税なのか、また中古マンションに消費税がかかるのかなどを確認しておきましょう。
「消費税は、国内で取引される商品・製品やサービスなどに対して課される国税(と地方税)です。法人や個人事業主(個人として事業を営む者)などの事業者が、事業によって得た売上に対して課税されます。
ただし消費税が課税されるのは、事業者のなかでも『課税事業者』に限られます。前々事業年度(個人事業主は前々年)の課税売上高が1000万円未満の法人や個人事業主などは『免税事業者』となり、消費税が課税されません」(大森さん/以下同)
2023年現在、消費税の標準税率は10%。一部は8%の軽減税率が適用されていますが、お酒や外食を除く飲食料品などの購入が対象であり、中古マンションは軽減税率適用の対象外です。
中古マンションには消費税がかかるケースとかからないケースがあります。具体的にどのようなパターンがあるのかを知っておきましょう。
「中古マンションに対する消費税は『課税事業者が事業の一環として売却する』ときにかかるのが原則です。
例えば、不動産会社などの法人が個人からマンションを買い取り、リフォームやリノベーションをしたうえで販売するケースです。これを『買取再販』といいます。『リフォーム済物件』『リノベーション済物件』として建築会社や不動産会社などが売主となって販売しているものを見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。中古マンションの購入で消費税がかかるのは、ほとんどがこのパターンです。
法人ではなく、課税事業者である個人が事業の一環として中古マンションを売却するケースも消費税がかかることになります。個人事業主として不動産取引を行う、投資用として賃貸していたマンションを売却するなどが考えられます」
「課税事業者が事業として行うものでなければ、中古マンションの売却に消費税はかかりません。
例えば事業を営んでいない個人が、マイホームや別荘としていた中古マンションを不動産会社に仲介を依頼して売りに出すケースで、中古マンションの売買ではもっとも多くみられるパターンです。
また売主が法人の代表者や個人事業主であっても、自宅としていた中古マンションを、事業としてではなくプライベートで売却するような場合には、消費税は課税されません」

中古マンションについても、課税事業者が事業としてマンションを売却する場合には10%の消費税が課税されます。
「なお中古マンションの購入というと、建物内で区分所有する住戸(建物)のみが対象になると思われがちですが、実際は区分所有割合に応じて共有する敷地(土地)の持分もあわせて購入します。
このうち消費税が課税されるのは建物部分のみで、土地に対しては消費税がかかりません。土地は消費される性質のものではないためです。そのため中古マンションの消費税を計算するときは、建物部分にのみ10%をかけて算出します」

「中古マンションの価格を表示するときは、総額表示することが義務づけられています。消費税がかかる場合には税込金額となっているので、表示されている価格に別途消費税が加算されることはありません。そのため購入に際して『消費税が課税されてもっと高くなるのでは』と気にする必要はないでしょう。
購入を検討する人にとって、中古マンションに消費税が加算されるかどうかが関係するのは、主に購入時の費用となる『仲介手数料』と『住宅ローン控除』です」
この2点においてどのように消費税がかかるのか、どう影響するのかを次章以降で確認していきましょう。
仲介手数料とは、住宅を売買するときに売主と買主の間に入って意見の調整や契約事務などを行う不動産会社(仲介会社)に支払う手数料のことです。売主が不動産会社であるなど、売主から直接購入する場合にはかからない費用ですが、個人の売主から購入する場合には不動産会社が仲介をするため、仲介手数料がかかります。
「仲介手数料は、購入した中古マンションの『税抜価格』に対して一定の料率をかけた金額が上限です。そのため同じ価格で売り出されている中古マンションでは、非課税の物件と比べ、消費税込みの物件を購入するほうが、仲介手数料の上限が少し安くなります。
例えば総額表示が3800万円のマンションで考えましょう。このマンションが非課税物件であれば3800万円に対して仲介手数料がかかります。一方、税込3800万円、そのうち消費税300万円の物件なら、仲介手数料は消費税を差し引いた3500万円で計算します。
この場合の仲介手数料の上限は、非課税物件では132万円ですが、課税物件だと122.1万円です(※)。このように、表示されている物件価格が消費税込みかどうかは、仲介手数料の金額に影響するのです」
※仲介手数料の上限は「(税抜物件価格×3%+6万円)+消費税」で計算(400万円以上の場合)

先の通り中古マンション価格は税込で表示されているため、販売中の中古マンションが非課税物件か課税物件かは、一見して判別できない場合もあります。正確な税額を知りたいときには、その物件を扱う不動産会社などに確認するとよいでしょう。
中古マンション購入時には、住宅ローン控除以外にも以下のような税金の軽減措置が用意されています。
| 税金の種類 | 内容 | 軽減措置 |
|---|---|---|
| 不動産取得税 | 中古マンション取得時に課される地方税 | 本則4%が3%に軽減(適用期限:2027年3月31日) |
| 登録免許税(所有権移転登記) | 売主から所有権を移転登記する際にかかる国税 | 建物分について本則2%が0.1~0.3%に軽減(適用期限:2027年3月31日) |
| 固定資産税 | 不動産を所有する人にかかる地方税。固定資産評価額×標準税率1.4%が課税される |
|
制度の対象となるには一定の要件を満たす必要があるため、不動産取得税と固定資産税については購入する中古マンションがある自治体、登録免許税については法務局の窓口で確認するようにしてください。
中古マンションの購入時には、先に紹介した仲介手数料以外にもさまざまな費用が発生し、それらについても消費税がかかるもの・かからないものがあるので確認しましょう。
中古マンションの購入時には、通常の買い物と同様に課税事業者が提供するものやサービスを購入する場合に消費税がかかります。具体的には、以下のようなものがあります。
| 司法書士報酬 | 司法書士に購入した中古マンションの所有権移転登記を依頼した場合などに支払う成功報酬 |
|---|---|
| 住宅ローンの事務手数料 | 住宅ローンを借り入れる手続きを行う際に支払う手数料 |
中古マンションの購入にかかる費用で、消費税がかからないのは以下のようなものです。
| 印紙税 | 売買契約書に対してかかる税金 |
|---|---|
| 登録免許税 | 所有権移転登記に際してかかる税金 |
| 不動産取得税 | 不動産を取得した際にかかる税金 |
| 住宅ローンの保証料 | 住宅ローンの支払いが万一とどこおった際に備え、保証会社に支払う保証料 |
| 火災保険や地震保険料 | 購入する中古マンションが火災や地震にあったときに備え、火災保険や地震保険に加入する際の保険料 |
「各種税金に消費税をかけると二重課税となるので、消費税がかかることはありません」

最後にあらためて大森さんに、中古マンション購入時の消費税についてのポイントを伺いました。
「中古マンションの価格は総額表示が義務なので、消費税がかかる場合であっても、ポータルサイトやチラシなどに記載されている価格にはすでに消費税が含まれています。別途消費税が加算されることはないので、購入に際して『さらに消費税がかかるのでは』と心配する必要はありません。
中古マンションに消費税が含まれているかどうかは、特に仲介手数料に関係します。消費税が含まれる買取再販の物件の仲介手数料は、消費税を抜いた物件の建物部分のみにかかるので、仲介会社から仲介手数料の金額を提示されたときに確認しておくことが大切です」
中古マンションの消費税は、売主が課税事業者で、事業の一環として売却するときにかかる
消費税がかかっている中古マンションは、仲介手数料の上限が安くなる
中古マンション購入時には、不動産取得税、登録免許税、固定資産税などの軽減措置もある