シングルマザーが家を買う。 家を建てる際の考え方、年収から見る返済額の目安やローンの注意点も解説!

最終更新日 2024年11月08日
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シングルマザーが家を買う。 家を建てる際の考え方、年収から見る返済額の目安やローンの注意点も解説!

女性ひとりで家計を支える母子家庭にとって、住居費の負担は大きいもの。「毎月の家賃が高すぎる」「老後に住む家はどうしよう」など、このまま賃貸に住み続けていいものか悩んでいる人もいるでしょう。今回はもう一つの選択肢である住宅購入について、シングルマザーが家を買うメリットや住宅ローンの審査基準などを解説。ご自身もシングルマザーであるファイナンシャルプランナーの井上美鈴さんに聞きました。

賃貸か、購入か?シングルマザーが家を買うメリット

今後の住まいを考えるとき、賃貸と持ち家、2つの選択肢があります。しかし、「母子家庭が家を買うのは無理」と、最初から諦めているシングルマザーもいるようです。まず、シングルマザーが家を買った場合にどんなメリットがあるのか、賃貸との違いを整理してみましょう。

もしものときに子どもに家を残せる

家を買うときに多くの人が利用する住宅ローン。ほとんどの金融機関では、住宅ローンを組む際に「団体信用生命保険」への加入が条件となっています。これは住宅ローンの契約者が死亡、または高度障害になってしまったときに、残りの住宅ローンの支払いを肩代わりしてくれる保険です。

「万が一、契約者である母親に何かあったときは、住宅ローンの返済が免除され、子どもに持ち家を残すことができます。もしもの備えができるのは、賃貸にはないメリット。また、団体信用生命保険に加入する分、従来の生命保険は死亡保障の部分を減らし、保険料を下げることができます」(井上さん、以下同)。

将来的に住居費の負担が軽くなる

退職までに住宅ローンを完済すれば、その後は住居費の負担が減ります。物件や資金計画によっては、住宅ローンの毎月返済額を今の家賃より低くすることも可能。賃貸に住み続けた場合は、退職後も家賃の支払いは続き、賃料が上がる可能性もあります。

「住居費の負担が減るとはいえ、例えばマンションの場合は、住宅ローン完済後も管理費や修繕積立金などがかかります。そうした費用を、自分ひとりの年金と貯蓄で払っていけるかどうかシミュレーションをしておくといいでしょう」

住宅ローン完済後もかかる費用
マンション:管理費、修繕積立金、駐車場代、固定資産税・都市計画税
一戸建て:メンテナンス費用、固定資産税・都市計画税

設備やセキュリティの質が高め

例えば分譲マンションは、同程度の広さの賃貸物件に比べて、一般的に設備や内装のグレードが高め。水回りの設備が充実していると家事が効率よくこなせ、インターネット環境が整っていれば、リモートワークや子どもの学習環境も快適になります。遮音効果の高い床材や壁材が採用されているケースも多く、騒音や振動も軽減されやすいです。

また分譲マンションには、オートロックやダブルロック、管理人が常駐するなどセキュリティが充実している物件も多くあります。母親の不在時も子どもが安全に過ごせる家を探しやすいといえるでしょう。

自由にリフォームやDIYができる

賃貸物件では室内のリフォームが制限されているケースが多く、壁に釘を打つのもためらわれるもの。その点、持ち家は、ちょっとしたDIYはもちろん、子どもの成長やライフスタイルの変化に合わせて、将来のリフォームも自由です。(ただし、マンションの場合は、管理規約による制限があることも)

将来的に住み続けられる家になる

家を購入してローンを完済すると、買った家は自分の資産になります。賃貸に住み続けた場合、家賃をいくら払っても何も残りません。将来にわたって住み続けられる家を持つことは、将来の安心にもつながります。

シングルマザーが家を買うデメリット

シングルマザーが家を購入する際には、いくつかのデメリットがあります。主に物件購入の費用と、メンテナンスにかかる手間や費用が大きな課題となります。

物件購入の費用がかかる

シングルマザーにとって、家を購入する際の最大のデメリットは高額な初期費用です。住宅ローンを利用したとしても、頭金や諸費用など、まとまった金額が必要となるでしょう。

あくまで一つの目安となりますが、新築物件では物件価格の3~7%、中古物件では6~13%程度の諸費用が発生するといわれています。例えば、3000万円の中古物件を購入する場合、180~390万円の諸費用がかかる恐れがあります。そのほか、引っ越しに伴う費用もかかります。

さらに、一般的に物件価格の1~2割の頭金も求められることが多く、同じ例では300~600万円の現金が必要となるでしょう。これらの費用は、シングルマザーにとって大きな負担となる可能性が高く、貯蓄が十分でない場合は家の購入を諦めざるを得ないケースもあります。また、住宅ローンの返済も長期にわたって続くため、将来の収入の変動や予期せぬ出費に対する不安も大きくなりがちです。

メンテナンスの手間や費用が発生する

持ち家を所有することで発生するもう一つの大きなデメリットが、メンテナンスにかかる手間と費用です。賃貸物件と異なり、持ち家の場合は建物の修繕や設備の更新などすべてを所有者自身が負担しなければなりません。

例えば、屋根の補修、外壁の塗り替え、水回りの修理など、定期的なメンテナンスが必要となります。これらの作業は専門知識や技術が必要なことも多く、専門会社に依頼する費用を見込んでおく必要があります。また、突発的な故障や破損に対しても迅速に対応する必要があり、急に金銭的な負担がかかる可能性もあります。
「メンテナンス時期と教育費ピーク時期が重なると大変です。奨学金、教育ローン含めて借金がかさむ場合があります。特に、稼ぎ手がひとりであるシングルマザーは収入が増やしにくいです。購入前に、メンテナンス時期、家族のライフイベントの時期をきちんと見据えた資金計画をしたいものです」

シングルマザーは住宅ローンを組める?

住宅ローンの審査で測られるのは返済能力

住宅購入を検討しようと思ったとき、気になるのが住宅ローンの審査です。「シングルマザーでも住宅ローンを利用できるの?」と不安の声も聞きます。

「住宅ローンの審査で金融機関が考慮するのは、年収や勤続年数、健康状態、借入時と完済時の年齢、物件の担保評価など。基本的に母子家庭であることが不利になることはなく、金融機関の審査で返済能力があると認められれば、住宅ローンを組むことができます」

重視されるのは、借りたお金をちゃんと返していくための返済能力。となると、年収はいくらぐらい必要なのでしょう。派遣社員や契約社員でも住宅ローンを組むことはできるのでしょうか。

「近年増えている女性向け住宅ローンは、年収や勤続年数に関する条件が緩めです。なかには年収100万円以上から利用でき、派遣社員や契約社員にも対応するものも。金利優遇など特典も多く、病気やけがで働けなくなった場合に備えた保険や、がんと診断されたら住宅ローンの返済が免除されるがん団信が付いたものもあります」

女性向け住宅ローンの例

女性向け住宅ローンが増えているとお伝えしましたが、ここでは一例として、りそな銀行が提供する女性向け住宅ローン「凛 next」を取り上げてみました。

【利用者の条件】
前年の税込年収100万円以上、勤続年数1年以上(給与所得者以外の場合は、勤続または営業年数が3年以上の方)など。派遣社員・契約社員も相談可。団体信用生命保険への加入必須。(団信保険の保険料は銀行負担)

【特徴】
就業不能時あんしん保険付き(けがや病気で就業できなくなった場合に、住宅ローンの月々の返済をカバー)、3大疾病保障特約が選択可能、金利優遇、繰り上げ返済手数料無料

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シングルマザーと子どものイメージ
(写真/PIXTA)

いくらぐらいの家が買えるか、目安を知ろう

では、自分の収入でいくらぐらいの家が買えるのでしょう。下の表は、年収別に住宅ローンの借入額の目安を示したもの。用意できる頭金があれば、それをプラスした金額が、自分に買える家の目安になります。借りられる額と返せる額は違うので、教育費などを払いながら返していけるのかシミュレーションしてみましょう。

年収から見る住宅ローン借入額と毎月返済額の目安

一般的に住宅ローン総額が年収の5~6倍だと安心といわれていますが、年収別の住宅ローン借入額と毎月返済額の目安を下表にまとめてみました。

税込年収 借入額(目安)/年収5倍 毎月返済額(目安)
400万円 2000万円 6.5万円
500万円 2500万円 8.2万円
600万円 3000万円 9.8万円
700万円 3500万円 11.4万円
800万円 4000万円 13万円
900万円 4500万円 14.7万円
1,000万円 5000万円 16.3万円
※住宅ローン金利1.9%、35年返済、元利均等返済など、ボーナス時加算なしの条件で試算。※条件によっては表記の金額を借りられないケースもある。

頭金がなくても家の購入は可能ですが、頭金があった方が毎月の返済額が楽になります。また、頭金を入れないと、家を売ることになったときに売却資金でローンを完済できないリスクがあります。

実際、2024年3月にはマイナス金利政策が解除され、固定金利は上昇傾向にあります。固定金利の金利上昇に伴い、変動金利にも影響が出ることは確かでしょう。しかし、変動金利で住宅ローンを借りた場合には「5年ルール」や「125%ルール」が適用されるため、急激に金利が上昇するわけではありません。金利型のリスクをきちんと理解したうえで、選ぶことが重要です。

こうした金利変動リスクも理解したうえで、自分に見合った金利を選ぶことが重要です。

「上の表はあくまでも年収ベースの目安です。年収が同じでも、家族構成や生活費の使い方、教育費のかけ方などは家庭によって違い、安心な借入額も変わってきます。資金計画を立てるときは、あらゆる可能性を考慮して慎重にシミュレーションすることが大切です」

住宅ローンを組む際のポイント

住宅ローンを組む際は、慎重に検討したうえで、自分の置かれた状況に合わせて適切な選択をする必要があります。まず、取得する住宅について、どのくらいの広さや住宅設備や建材のグレードを求めるのか、どこに家を購入または建築するのかを明確にしましょう。それが決まったら、借入先を選びます。銀行(民間金融機関)の住宅ローン、公的融資(財形住宅融資)、【フラット35】などの選択肢がありますが、それぞれの特徴を理解するように努めましょう。

また、住宅ローンを決める際は、金利タイプや返済方法、諸費用、団体信用生命保険(団信)などの条件を総合的に比較検討することが大切です。金融機関のネームバリューや規模の大小で判断するのではなく、自分のライフプランに合致した住宅ローンを選ぶようにしましょう。

シングルマザーが利用できる公的な貸付制度もチェックしよう

シングルマザーが家を買う場合は、公的なサポートも利用できます。

「ひとり親家庭が利用できる国の資金貸付制度があります。東京都では『母子福祉資金・父子福祉資金』と呼ばれているもので、住宅を購入する場合には150万円まで無利子で資金を借りることができます。転居費用の貸し付けもあり、限度額は26万円。ただし、貸し付けの決定には審査があります」

自治体によっては、マイホームの取得を応援する助成金や補助金を設けているところもあります。利用できる制度がないかどうかチェックしてみましょう。

シングルマザーが家を買うときの注意点

物件選びについて、シングルマザーが家を買うときの注意点を紹介します。

住環境は整っているか

「シングルマザーの生活は時間との闘いです。私自身も通勤の利便性を考えて転居した経験がありますが、通勤時間はなるべく短くしたいもの。保育園などのお迎えがある人は、職場と保育園の動線のよさもポイントです」

さらに小・中学校が近くにあるか、病院やスーパーはそろっているかなど。できるだけ時間のロスなく、親子がゆとりを持って暮らせる環境を選びたいものです。

「子どもが通うことになる学校の評判を気にするシングルマザーも多いようです。もし子どもが学校になじめなかった場合に、賃貸とは違い簡単に引っ越しができないことを踏まえて、学校に関する情報収集を十分にしておくことをオススメします」

将来のライフスタイルの変化に対応できるか

「子どもの成長は親が思っているより早いもので、あっという間に巣立っていきます。広い家を買っても、子どもが独立すると部屋を持て余すことになるかもしれません。また、シングルマザーのなかには、子どもの進路選択に合わせて親子で地方に転居するケースも。コロナ禍以降テレワークが進むなど働き方、生活の変化を視野に入れた家選びが大切です。」

子どもの成長や独立だけでなく、母親自身の再婚もあるかもしれません。ライフスタイルが変化して住み替えることになったときに、売りやすい、貸しやすい家を選ぶことです。

「駅に近いなど立地条件がよければ、将来も売ったり買ったりしやすいでしょう。広さや間取りなどの希望条件に、売りやすさという視点も加えて、家族が幸せになれるマイホームを選んでください」

シングルマザーでマイホーム購入が向いている人

最後に、マイホーム購入が向いている人の特徴をご紹介します。

  • 住むエリアが決まっている(当面変わる予定はない)
  • 急な所得減少のリスクが低い
  • 住環境にこだわりたい
  • 定年退職後の固定費を削減したい
  • 子どもに資産を残してあげたい
  • 現在高い家賃を払っている
  • 無理なく完済できる年齢である

まず大前提として、賃貸物件と違って住宅を購入すると“その場所”で住み続ける必要があります。もちろん売却も可能ですが、譲渡損失が発生する恐れもあるため、「長期にわたり今と同じライフスタイルを継続予定か」「急な収入減の可能性がないか」などを考慮したうえで慎重に検討する必要があるでしょう。また、賃貸物件と違って自分好みの空間を整えられるのもマイホームの強み。「キッチンを広く取りたい」「ペットと住みたい」など、住環境にこだわって生活したい人にはマイホーム購入は向いているでしょう。

ローンを組むときの年齢も重要なポイント。多くの住宅ローンでは年齢条件が定められており、例えば先ほどご紹介した「りそな女性向け住宅ローン『凛next』」では借入時の年齢が満20歳以上満70歳未満で、最終返済時の年齢が満80歳未満の女性とされています。もちろん年齢を重ねてからローンを組んで短期間で返済することも可能ですが、毎月の返済額が大きくなり負担になります。無理なく完済できるように十分シミュレーションしておきましょう。

ただし、上記はあくまで一例です。「こんな人じゃないと」というわけではないので、気になっている方は一戸建てや分譲マンションなどの物件情報をぜひチェックしてみてください。

まとめ

シングルマザーが家を買う一番のメリットは、万が一のときに子どもに家を残せること

母子家庭であることは関係なく、返済能力ありと認められれば住宅ローンを組める

簡単には引っ越せないから、学校の評判を含め、住環境はしっかりチェックしたい

将来まで視野に入れて、ライフスタイルの変化に対応できる家を選ぶことが大切

先が見えづらい今だからこそ、余裕のある資金計画が必要

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構成・取材・文/小宮山悦子、SUUMO編集部
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