中古マンションを買おうと決めたら、まず何から始めればいいのでしょうか。購入までの流れや、住宅ローンの申し込みのタイミング、リフォームをする場合、現金で購入する場合の違いなども気になります。この記事では、基本的な流れのほか、用意する書類など準備が必要なポイントも解説します。
中古マンションを購入しようと決めてから、物件を探し、売買契約をして入居するまで、どんなダンドリで進むのでしょうか。多くの場合、売主と買主の仲介をする不動産仲介会社の担当者が教えてくれるため、心配はいりません。しかし、無理のない資金計画を立てたり、売買に必要な書類を余裕も持って揃えたりするためには、事前に購入の流れを知っておくのがおすすめです。
住宅ローンで中古マンションを購入する場合、中古マンションを買ってリフォームをする場合、現金で中古マンションを買う場合の購入の流れを見てみましょう。
中古マンションの購入で知っておきたいポイントを、購入の流れに沿って解説します。下の図は、住宅ローンを使って中古マンションを購入する場合のおおまかな流れです。中古マンションの購入を決めてから入居まで、どんなステップがあるか、目を通しておきましょう。
中古マンションはさまざまなタイプの物件が売り出されています。いざ物件探しを始めたときに迷わないよう、自分がどんな中古マンションを購入したいのか、まずは物件への希望や条件を整理。立地や間取り、広さ、価格、築年数、方角、何階の住戸か、小規模な物件がいいか、タワーマンションなど大規模な物件がいいかなど、自分の暮らし方に合う物件のイメージを固めておきましょう。
希望条件が多いと、全ての希望を満たす物件に出合うのは難しくなりますから、希望条件の優先順位を決めておくことも必要です。また、同居する家族やパートナーがいる場合は、全員で話し合って、物件への希望を統一させておくことも大切です。
希望のエリアでどのような中古マンションが販売されているか物件の情報をチェック。不動産仲介会社に希望条件を伝えて探してもらうこともできますし、SUUMOなどの検索サイトを使って自分で探すこともできます。SUUMOの中古マンション物件検索サイトでは、検索結果に出てきた物件を担当している不動産会社も表示されます。
気になる物件が見つかったら不動産仲介会社に内見を申し込みます。自分で勝手に見に行くのはNG。モデルルームが公開されている新築マンションと違い、中古マンションは施錠されていますから住戸内を見ることはできません。必ず事前に申し込みをしましょう。
内見の際には、窓からの眺望や、採光や通風の妨げになるような建物が近くにないか、キッチンやトイレなど住宅設備機器の機能は十分か、リフォームの必要はあるかなど、現地でしかわからない点をチェック。また、共用部分のエントランスや廊下、エレベーターなどの管理状況のほか、周辺環境も見ておきましょう。
なお、すでに購入したい物件をしぼりこんでいたとしても、複数の物件を見学するのがおすすめ。実際に見てみることで、より理想に近い物件に巡り合うかもしれませんし、比較検討することで物件の価格の相場も見えてきます。
購入したい物件が決まったら、不動産仲介会社に購入申し込み書(買付証明書)を提出します。購入希望者が複数いる物件の場合、申し込んだ順に優先順位が決まるのが一般的です。価格交渉をする場合は、優先順位が一位になっているタイミングか、物件によっては購入申し込み書で希望購入価格を提示します。
購入申し込みや価格交渉に売主側も同意したら、物件の売買契約に進みますが、その前に大切なのが重要事項説明です。「重要事項説明書」には、売買される物件の概要や法令上の制限、敷地や建物の状況、共用部分の管理について、売買契約の条件など重要事項が記載されています。専門用語も多く、一度目を通しただけで理解するのは難しいこともあります。売買契約と重要事項説明は同じ日に行われることが多いのですが、しっかり自分で理解するためにも、事前に書類のコピーを受け取って、わからない点については説明を受けるようにしましょう。
購入価格や契約時に支払う手付金の金額が決まり、重要事項説明を受けたら、売買契約です。不動産売買契約書に署名捺印し、買主が手付金を支払うと売買契約が締結されたことになります。
売買契約時には売主に対して手付金を支払います。手付金は物件価格の5%~10%が一般的です。また、不動産仲介会社への仲介手数料の半分をこのタイミングで支払います。
契約後は、住宅ローンの本審査を申し込みます。
住宅ローン契約が済んだら、残金決済と引き渡し。売主、買主、不動産仲介会社、金融機関の担当者、司法書士が集まり、金融機関の応接室などで行われます。なお、司法書士の同席なしでも残金決済を行うことはできますが、登記関係の書類のミスがあった場合に登記までに時間がかかること、抵当権設定が行われる場合は金融機関から司法書士の同席を求められることなどから、司法書士は同席するのが一般的です。ネット銀行など店舗のない金融機関からの借り入れの場合やローンを利用せず現金で支払う場合は、不動産仲介会社や司法書士の事務所などで決済が行われます。
金融機関からの融資実行で買主の口座に振り込まれたお金で、売主に売買代金が支払われ、所有権移転や抵当権設定などの登記手続き準備が整ったら、買主に鍵が渡され物件の引渡しとなります。不動産仲介会社への仲介手数料の残金も支払います。
引き渡しが済んだら入居のタイミングは買主次第。すぐに引越しをすることもできますし、リフォームやリノベーションをして工事が完了してから引越すケースもあります。
新築マンションの購入の場合は、引き渡しや入居はマンションが完成してからになるため、購入を申し込んでから入居まで1~2年かかるケースもあります(完成済みの新築マンションの場合は、即入居も可能)。一方、中古マンションの場合は売主が居住中で、引き渡しまでに時間が必要な場合を除いて、残金決済が終わればすぐに入居したり、リフォームをしたりすることが可能。購入を決めてから入居までにかかる日数は、購入する人が物件探しにどれくらい時間をかけるか、引き渡し後にリフォームやリノベーションの工期がどれくらいかによって異なります。
中古マンションを購入してそのまま住むのではなく、リフォームやリノベーションをする場合は、施工会社選び、工事のプランニング、工事の契約なども行う必要があります。
中古マンション購入の流れはこちらでご確認ください。
中古マンションを購入してリフォームする場合、工事のスタートは物件の引き渡しが完了してからです。しかし、引き渡しを終えてからリフォームの検討を始めたのでは、入居するのに時間がかかってしまいます。
購入したマンションの管理費や修繕積立金を支払いながら、現在の住まいの家賃もかかる場合は経済的な負担にもなるでしょう。
引き渡し後、スムーズに工事を始められるよう、リフォーム会社探しは早めに始めて、リフォームへの希望も整理しておくのがいいでしょう。リフォーム会社によっては希望の家やリフォームプランに合わせて物件探しもしてくれますから、その場合は中古を買ってリフォームしようと思い立った時点で、リフォーム会社探しを始めるのがおすすめです。
下の図は、中古を購入してリフォーム、リノベーションをする場合のおおまかな流れです。
リフォームの依頼先が決まっている場合、購入したい物件の内見に同行してもらうと、希望のリフォームが実現できる物件なのか、プロの目で確認してもらうことができ、より理想に近い住まいを形にすることができます。
購入物件が決まった時点で、まだリフォーム会社が決まっていなければ、複数の会社にプランへの希望や予算を伝えて見積もりを出してもらう相見積もりを検討しましょう。
購入物件が決まったら売主の許可を得て、リフォーム会社に物件を見てもらい、ラフプランと見積もり金額を出してもらい、比較検討の上、依頼先を決めます。引き渡し前の現地調査ができない場合は、物件の決済・引き渡しが完了してからリフォーム会社各社に現地を見てもらいましょう。
中古マンションの購入費用とリフォームやリノベーションの費用を、「住宅ローン」+「担保不要のリフォームローン」でまかなう方法もありますが、手間がかかりますし、リフォームローンは金利が高め。そこで、購入とリフォームの費用をまとめて借りられるローンを検討してみましょう。
全期間固定金利で一定の要件を満たす場合に金利引き下げが受けられる【フラット35】リノベのほか、民間の金融機関によっても、購入+リフォーム費用をまとめて借りられるローンがあります。金融機関に相談してみるのがおすすめです。
中古マンションを現金で購入する場合、ローンの利息が不要などのメリットのほかに、いくつかの注意ポイントがあります。
現金で購入する場合の大きなメリットは住宅ローンの利息や手数料、抵当権設定費用、保証料などの出費が不要になること。その分を、リフォーム代にまわせるなど効率的なお金の使い方ができます。
また、住宅ローンの仮審査や本審査の結果を待つ日数分、入居までの所用期間を短縮できます。
現金での中古マンション購入には注意点も。ローンの諸費用が不要だからと無理をして現金で購入し、預貯金がゼロになってしまうと、今後、まとまった出費が必要になった際に困ることになります。家具や家電の購入費は足りるか、子どもの教育費は確保できているかをしっかり確認しておきましょう。
また、大規模修繕工事を控えているマンションで修繕積立金が不足しているため、まとまった金額の支払いが必要になるケースがあります。入居後、預貯金がない状態での大きな出費は大変ですから、修繕積立金を集める予定はないかなど、売買契約の前に不動産仲介会社を通して確認してもらうようにしましょう。
中古マンション購入の流れは、資金調達方法やリフォームの有無で異なる
住宅ローンで中古マンションを購入する場合、物件探しと同時に住宅ローン探しもスタートしたい
中古マンションを買ってリフォームする場合、物件探しと同時に施工会社探しやプランの検討を始めたい
現金で購入する場合は、住宅ローンの保証料、利息、抵当権設定費用などが不要になる