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家を建てるとき、バルコニーをつくる・つくらないも迷いどころのひとつですが、それによって何がどう変わるのでしょうか。暮らしの快適さや利便性、コストの違いなどについて、ダイワハウスの住宅系設計室・堀野健一さんに話を聞きました。それぞれのメリット・デメリットを比較し、家づくりのヒントにしてください。
洗濯物を干したり、外でリラックスしたりとさまざまな目的で使われるバルコニー。家づくりでも多くの人が設置していますが、最近では設置について迷うケースも増えているようです。
その理由として考えられるのは、
とダイワハウスの堀野さん。「共働き世帯などを中心に時間や天気を気にせず洗濯したい家庭が増え、花粉やPM2.5などへの懸念もあり、外干しよりも室内干しや機械乾燥のニーズが高まってきました」。さらにドラム式洗濯乾燥機やガス衣類乾燥機の性能が向上したことも、外干し離れに拍車をかけているようです。
とはいえ、バルコニーをつくる目的は洗濯物干しだけではないため、実際、バルコニーの設置率が減少するまでには至っていないのだそう。次の章からは、バルコニーをつくらないとどのようなメリット・デメリットがあるのか解説します。

バルコニーをつくる場合と比べると、つくらない場合は「建築費用やメンテナンス費用、掃除にかかる手間を抑えられるなどのメリットにつながることがあります」と堀野さん。ただし、場合によってはそうとも限らない部分がありますので解説します。
バルコニーをつくらない場合、不要になる設備や工事があり、建築コストの削減につながることがあります。
■バルコニーをつくらない場合、不要になるもの
ただし、バルコニーの形状によるなど、いくつか例外となるケースもあるため、詳しくはこの後の章で解説します。
バルコニーの床の防水層は、雨漏りを防ぐために定期的な塗り替えや修繕が必要です。バルコニーをつくらない場合、このメンテナンスにかかる手間と高額な費用が不要となります。
なお、バルコニーの外壁部分や屋根の塗り替えは、外壁全体の塗装工事に含まれると考えれば、バルコニーの有無によってコストに影響しません。
常に外気にさらされているバルコニーは、砂やホコリ、落ち葉、鳥のフン、虫の死骸などが溜まりやすい場所です。特に排水溝の詰まりを防ぐことは大切なので、日常的な掃除が必要となります。バルコニーをつくらない場合は、これらの掃除にかかる手間がなくなります。

バルコニーは、空き巣などの不審者にとって侵入のための足がかりとなったり、人目を避けて窓を解錠するための隠れ場所になったりすることもあります。バルコニーをつくらないことで、2階以上の窓への侵入経路は大幅に制限されるため、家の防犯性の向上につながります。
さらに、バルコニーに外干しした洗濯物から、家族の属性や生活パターンが外部に推測されるリスクもありますが、バルコニーがなければこれも軽減されるでしょう。
バルコニーをつくらないと外壁に凹凸が少なくなり、シンプルでモダン、スタイリッシュな外観デザインを実現しやすくなります。複雑な装飾がなくなるので、建物の外観がすっきりと整った印象になるでしょう。
また、容積率の範囲内であれば、バルコニー分の面積を室内に取り込むことで、部屋を広くしたり、収納スペースを増やしたりなど、居住空間のレイアウトの自由度を高めることが可能です。
バルコニーをつくらないことによってさまざまなメリットがある一方、
と堀野さん。デメリットや注意すべき点もあるので詳しく解説していきます。
バルコニーをつくらない場合、出入り口に使われる掃き出し窓ではなく、腰高窓が設置されることが多くなります。面積の大きい掃き出し窓の場合と比べ、室内に取り込める光の量が制限されたり、開放的なイメージがなくなったりすることもあります。
また、バルコニーがあると、それが庇代わりとなって下の階に日陰をつくってくれますが、バルコニーがない場合、日差しが強くなりすぎるため、新たに庇を設ける必要が出てくることもあります。
バルコニーがないと、2階以上の部屋のエアコンの室外機置き場に困るケースがよくあります。1階の地面に室外機を置くためには、2階からダクトを延ばす必要が出てくるため、冷暖房効率の低下や設置にかかるコスト増につながったり、美観を損ねてしまうことも。
特に外観の正面に長いダクトを設置するしかない場合、外観デザインの魅力が半減してしまうかもしれません。エアコンと室外機の設置場所も視野に入れてプランニングする必要があります。
室内外を緩やかにつなぐ役割も持っているバルコニー。特に2階のリビングに隣接するバルコニーがない場合、外部空間との連続性が希薄になってしまいます。室内から直接外に出る動線がないので、気軽に外に出て気分転換をしたり、ガーデニングを楽しんだり、アウトドアリビングとしてくつろいだりすることも難しくなってしまうでしょう。

前述したように、バルコニーをつくらない場合のデメリットも多いですが、やっぱり必要だったと思い直したとしても、後付けが難しいので注意が必要です。
バルコニーは建物本体と一緒に設計・施工されるのが一般的なので、後付けしようとすると、構造、デザイン、さらにはコスト面にも影響が出てしまいます。
バルコニーをつくらない場合はその分の建築コストが不要となりますが、「バルコニーの設置方法などによっては、コストへの影響があまり出ないケースも多いようです」と堀野さん。どのような場合にコストへの影響が出るのか、解説していきます。
主には、バルコニーが建物の外に突き出すように設置するか、1階の屋根の上に乗るように設置するかなどによって違います。
■バルコニーが建物の外に突き出すように設置する場合
バルコニーのためだけに発生する工事が多くなるため、つくる・つくらないによってコストは大きく変わります。
■1階の屋根の上に乗るように設置する場合
バルコニー1階の屋根としての工事を兼ねるため、バルコニーをつくらなかったとしても、それほど大きなコストダウンにはならないのが一般的です。
つくる・つくらないで迷っているなら、両者のケースで見積もりを出してもらって比較しましょう。

あらかじめプランの大枠が決まっている規格型住宅の場合は、バルコニーの有無にかかわるような大きな変更や減額はできないケースも多いようです。
例えばもともとバルコニーが設置されているプランの場合、それをなしにするという変更そのものができないことが一般的。なしに変更できたとしても、それによって減額になることは少ないようです。いずれにしても、既存のプランの変更を希望するなら建築会社に確認しましょう。
バルコニーをつくる場合・つくらない場合には、両者にメリット・デメリットがあり、家族のライフスタイルや家事の仕方、家全体のプランなどにより、どちらがいいのかは変わるといえそうです。
例えば主に洗濯物を干すためにバルコニーの設置を考えている場合は、室内に物干しスペースをつくったり、洗濯乾燥機やガス乾燥機などを設けたりすることで、バルコニーの設置は必須ではなくなるかもしれません。
また、2階以上で過ごす時間が長く、気軽に外とのつながりを持ちたい場合などは、広めのバルコニーを隣接させることにより、アウトドアリビングとしてさまざまな使い方ができるようになるでしょう。
バルコニーの用途や、家族が希望する暮らし方、エアコンの室外機置き場などについてもよく考えて、メリット・デメリットを比較し、後悔のないようプランニングしましょう。
バルコニーについてもっと詳しく
→バルコニーとベランダの違いは?それぞれの特徴やメリットなどを解説
バルコニーをつくらない場合、建築コストやメンテナンス、掃除にかかるコストや手間を抑えられることも
バルコニーがないと、日差しの取り入れ方が難しい、エアコンの室外機置き場に困ることもある
バルコニーをつくらない場合、外部空間とのつながりや避難経路といった生活上の利便性についても考慮しよう