片引戸とは?種類や特徴、メリット・デメリットを図で解説!

最終更新日 2024年02月29日
片引戸とは?種類や特徴、メリット・デメリットを図で解説!

片引戸を取り入れたいけれど、「どのタイプを選べばいいの?」「どんなことに気を付ければいいの?」と悩む人も多いのでは。ドアには開き戸のほかに引戸もあります。引戸には、開閉のスタイルやレールの取り付け位置によってさまざまな種類があります。片引戸は、引戸の一種です。片引戸の種類や特徴、取り入れた際のメリット・デメリットについて、大建工業の坂田恒さんに教えてもらいました。

片引戸は引戸の種類のひとつ

引戸(片引戸)のバリエーション

「引戸とは、戸を横にスライドして開閉するもの全般をいい、古くから日本の建築に用いられ、日本人には馴染み深いドアです。最近では、おしゃれなデザインの引戸も登場し、洋風の住宅にも多く用いられています。引戸のうち、最もポピュラーなのが、戸をスライドさせ、片側方向に開閉するタイプの『片引戸』で、壁面に余裕がない場合におすすめです。さらに、片引戸には、扉の枚数が2枚以上ある『2枚片引戸』『3枚片引戸』や、壁に設けた戸袋と呼ばれるスペースに戸を収納する『引き込み戸』(別名ポケット引戸)などのバリエーションがあります。引戸には、この他に、2枚の戸を両側に分けてスライドさせて開閉する引き分け戸、2枚の戸を行き違わせて開閉する引き違い戸などもあります」(大建工業の坂田さん。以下同)

片引戸の基本的な仕様
片引戸の基本的な仕様のイラスト
戸の下部につけた戸車で、敷居に設けたレールを滑らせて開閉する構造。標準的なサイズは、有効開口が750mm(元画像提供/大建工業 イラスト/杉崎アチャ)

引戸(片引戸)の種類

引き分け戸

引き分け戸のイラスト
両側に引き分けた戸をおさめるために、左右に引き代が取れる壁面スペースが必要(画像提供/大建工業)

引き違い戸

引き違い戸のイラスト
2枚の戸を行き違わせて開閉するタイプ。壁に戸の引き込みスペースはなく、左右どちら側にも開閉できる(画像提供/大建工業)

一般的な片引戸

片引戸のイラスト
開口部の左右のどちらかに扉を引き込むスペースが必要(画像提供/大建工業)

3枚片引戸

3枚片引戸のイラスト
開口部の左右のどちらかに、3枚分の戸を引き込むスペースが必要(画像提供/大建工業)

引き込み戸

引き込み戸のイラスト
戸を壁の中に引き込むための戸袋がある(画像提供/大建工業)
引き込み吊戸の写真
開くと戸が見えなくなるため、空間がすっきりして見える(画像提供/大建工業)

引戸(片引戸)には、レールの位置により3つのタイプがある

「引戸はレールによって戸をスライドさせるものですが、レールを取り付ける位置により、下記の3つのタイプがあります。1. 下部(敷居)にレールを設けたタイプと2. 上部(鴨居)にレールを設けた吊り戸タイプのほか3. 壁の外側にレールをつけるアウトセットタイプもあります。

一般的に住宅によく用いられているのは、敷居にレールを設けたタイプです。アウトセットタイプでは、壁に上吊りレールを付け、開口部を塞ぐように扉を取り付けます。リフォームで古いドアを取り外し、ドア枠の上から壁を壊すことなく取り付けられるので、スピーディーに導入できるのがメリットです。しかし、戸と壁の間に隙間が空くため、片引戸の中でも特に密閉度は低くなります」

敷居にレールを設けたタイプ

敷居にレールを設けた片引戸のイラスト
敷居にレールを設けた片引戸。敷居は、ドア枠のうち、床に隣接する下部のもの(元画像提供/大建工業 イラスト/杉崎アチャ)

鴨居にレールを設けた上吊りタイプ

片引戸上吊りタイプのイラスト
鴨居にレールを設けた片引戸。鴨居は、引戸の上枠のこと(元画像提供/大建工業 イラスト/杉崎アチャ)

壁の外側にレールを設けたアウトセットタイプ

片引戸アウトセットタイプのイラスト
壁の表面にレールを取り付けるアウトセットタイプの片引戸(元画像提供/大建工業 イラスト/杉崎アチャ)

片引戸には左・右がある

片引戸の基本的な仕様

「戸を引き込む壁を控え壁と呼ぶのですが、大建工業では、控え壁側に立ったとき、右側に開口があるのを『右引き』(引手が右側にあり、扉を左に引いて開ける)、と左側に開口があるのを『左引き』(引手が左側にあり、扉を右に引いて開ける)と呼びます。開口すると、戸が控え壁へおさまる構造になっています」

右引き・左引きのイラスト
右引き・左引きのイラスト
上の図が、左に引いて開ける「右引き」で、下の図が、右に引いて開ける「左引き」(元画像提供/大建工業イラスト/杉崎アチャ)

片引戸を取り入れるメリット

開き戸に比べて省スペースで開閉できる

開き戸は、前後に体をよけるスペースを確保する必要がありますが、片引戸は横に戸をスライドさせるので、開き戸に比べて空間を有効に使えます。

開閉幅を調整できる

開き戸の場合、基本的に、閉めるか全開するしかありませんが、片引戸は、左右にスライドするため、自由な位置で戸をとめることができます。そのため、通気の調整も簡単です。

開放感がある

片引戸は、居室と居室を間仕切るためにも使いますが、開けたままにすれば、2室を広い1室として使うことができます。さらに、吊り戸タイプの片引戸なら、床にレールを設ける必要がないため、2室の床材を敷居で区切る必要がありません。同じ床材を張り続けることができるので、一体感・開放感がより高まります。

片引戸を取り入れるデメリット

音漏れがある

戸をスライドするために、枠との間に隙間を設けているので、戸を閉めたときの密閉度は開き戸に比べて低く、遮音性も低くなります。

レールの掃除が必要

敷居にレールがあるタイプは、レールや戸車に髪の毛やほこり・ゴミが絡む可能性があります。これにより、戸がスムーズに走行できなくなることがあるので、定期的に掃除をする必要があります。

戸の跳ね返りがある

閉めるときの力が強いと、戸が縦枠にあたって跳ね返ってくる場合があります。最近では、最後にテンションがかかり、ゆっくり戸が閉まる機能がついているので、跳ね返りを防ぐものが主流です。

ラクラクローズの画像
ラクラクローズの画像
大建工業の「ラクラクローズ」は、閉まりきる直前にブレーキがかかり、指挟みを防ぐ機能。戸先と戸尻両方に設けられているため、開けるとき・閉めるときの両方で作動するので安心(画像提供/大建工業)

片引戸はどこに適しているか

場所別おすすめ

トイレ・脱衣所・クローゼット

「片引戸は、ウォークインクローゼットやトイレ、脱衣所など廊下に面した小さな空間の間仕切りに使われることが多いです。開き戸より隙間があるので、脱衣所など湿気がこもりやすい場所にもよいでしょう」

トイレの片引戸
トイレの片引戸の画像
壁の中に戸を引き込むタイプの片き戸(引き込み戸)をトイレに(写真/PIXTA)

廊下

「開き戸を開けたとき、体をかわすスペースがとれない廊下の突き当たりや扉同士がぶつかってしまう場所には、片引戸が使われます。また、開き戸の場合、廊下に面した居室からの出入りの際、ドアを開けたときに扉と人とがぶつかる可能性があるため、その点でも片引戸の方が安心です」

玄関ホールと廊下の境に設けられた片引戸
玄関ホールと廊下の境に設けられた片引戸の画像
開き戸を設けるスペースがない玄関ホールに面した廊下に片引戸を使用(写真/PIXTA)

リビング・ダイニング

「広い空間を間仕切るなら、2枚片引きや3枚片引きなど、2枚以上の扉を用いた引戸が向いています。引き分け戸や4枚引き違い戸などもおすすめです。リビング・ダイニングの間仕切りやいずれ間仕切りたい子供部屋などに使えば、大開口を実現できます」

リビングに設けた3枚片引戸
リビングに設けた3枚片引戸の画像
リビングに設けた3枚片引戸。扉3枚分の開口がとれる(写真/PIXTA)

リフォームで片引戸にしたい場合の注意点

ドアを片引戸にする場合

「開き戸を片引戸にリフォームする場合、壁の中に戸を引き込む片引戸だと、壁を壊す必要が出てきます。アウトセットタイプは、既存の壁の表面にレールを取り付けて戸を吊り下げるので、大掛かりな壁の工事をする必要がなく、リフォームにおすすめです。ただし、レールを取り付けるためには、壁に十分な下地が必要なので、施工会社さんに相談してください」

鍵を後付けするなら

「既存の片引戸に、鍵(錠)を後付けできる部材がオプションで用意されている場合もあるので、カタログをチェックし、リフォーム会社さんや施工した工務店さんに相談しましょう」

片引戸に後付けできる鍵(錠)
片引戸に後付けできる鍵(錠)の画像
hapia(ハピア)のオプション部材「サムターン錠」。既存の片引戸に取り付けるための加工を現地で行えば、後付けで鍵(錠)が取り付けられる。(大建工業の対応製品に限る)(画像提供/大建工業)

開閉のバリエーション豊かな片引戸。場所別に用途に合った片引戸を選び、部屋のスペースを有効活用しましょう。

まとめ

引戸は、開閉形態によってさまざまな種類があり、最もポピュラーなのが片引戸。片引戸にはレールの位置によって3タイプがある

片引戸のメリットは、開閉の際にスペースをとらず空間を有効活用できること

片引戸のデメリットは、開き戸に比べ隙間が多く、気密性が低いところ

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取材・文/内田優子 イラスト/杉崎アチャ
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