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平屋の間取りは2LDKや3LDKが多く、4LDKは案外少ないものです。そこで、平屋で4LDKの間取りをつくるときに必要になる広さや、プランニングで気をつけたい点などを桧家住宅の営業担当の皆さんに伺いました。さらに、4LDKの平屋実例を3つ紹介。間取りのほか、価格や住み心地などを参考にしてください。
4LDKの平屋を建てたいとき、最初に気になるのは「どのぐらいの広さが必要なのだろう?」ということではないでしょうか。
「私が4LDKの平屋をご提案する場合、建物の延床面積は30坪、およそ100m2を目安にしています。この30坪に駐車スペースを加えた分が、必要になる土地の広さです」(桧家住宅 東京支社 新宿営業所(瀬田展示場)所長 多並芳将さん)
駐車スペースの広さは、車種、何台分確保するか、敷地と道路の状況などにより大きく異なります。これから土地を探す方は、必要な駐車スペースもプラスした広さをイメージしておくとよいでしょう。
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部屋数が多い4LDKの場合、最も気をつけたいのは生活動線や家事動線を短くすることです。平屋の場合、特に「長方形」の間取りがオススメです。長方形の形状であれば効率的な空間利用が可能となるほか、自然と動線が短くなりやすいといったメリットもあります。
「動線を短くするには、廊下をできるだけなくし、水まわりは一カ所にまとめることが大事です。例えば、LDKを住まいの中心に配置し、そこからすべての部屋にアクセスできる間取りなら動線もコンパクトになります。
年齢を重ねると移動に手すりが必要になることがありますが、動線が長いと、その分手すりの設置箇所も長くなります。今の利便性はもちろんですが、先々の安全性を考えても、動線を短くできるような間取りをつくりたいですね」(桧家住宅 埼玉支社 モラージュ菖蒲展示場 津野弘二さん)

家事の中でも洗濯に関する動線は、洗う・干す・たたむ・しまうの一連の作業が必要になるため、長くなりがちです。
「最近は、脱衣室と洗面室を分け、洗濯機は脱衣室に置く間取りが人気です。分けておくと脱衣室を室内干しスペースとして活用しやすく、娘さんが洗面室を使っているときでもお父さんは自由に着替えや入浴ができます。
洗面室か脱衣室に隣接させてファミリークロークを設ければ、家族の洗濯物をいちいち個室まで運ばずに済みます。ただ、隣接させると湿気が入りやすいので、クローク内に全館空調を引き込んだり、換気窓を設けたりするなどの配慮をしましょう」(多並さん)

ワンフロアが広い4LDKの平屋の場合、採光と通風を意識しながら窓の位置を決めないと、家のすみずみまで光や風が届かなくなる可能性があります。
「LDKの一部を勾配天井にして高窓を設ければ、光を取り入れやすく、窓の高低差による換気ができるようになります。ただ、南や西向きの高窓は日が入り過ぎてまぶしく、夏は部屋が暑くなり過ぎることがあります。また、高窓の掃除はかなり大変で、天井が高い部分の照明交換には費用が生じます。
勾配天井と高窓は人気の高いプランですが、私はメリットとデメリットの両方をお伝えしたうえで、お客様に選択していただくようにしています」(多並さん)

限られた延床面積の中に、居室スペースと収納スペースの両方を十分に確保するのは難しいものです。
「壁には納戸やパントリーなどの収納ではなく、窓を優先して設けたいので、広い収納が欲しいというお客様には小屋裏や中二階を活用する間取りをご提案しています。
小屋裏を収納にするときには、大きな物でも安全に出し入れできるように、固定階段の設置をオススメしています。中二階を設けるときは、上部はデスクを造作してワークスペースに、下部を収納にするケースが多いですね。下部は複数方向にドアを設けると物の出し入れがしやすくなり、通路も兼ねられるので、さらに使い勝手がよくなります」(桧家住宅 千葉支社 幕張B展示場 主任 根岸貴子さん)


建物高が低い平屋は、ともすると平坦で面白味のない外観になってしまいます。この問題を解決するために、「コの字」型の間取りを採用するのも1つの手です。コの字型は、建物に自然な凹凸を生み出すほか、視覚的な魅力を高めてくれます。
「家の形を四角にして寄棟の屋根にすると、倉庫や公民館のような外観になってしまいます。印象的な外観をつくるなら、家の形をL型やコの字型にしたり、屋根を片流れにしたりするなど、建物全体に凹凸をつくるとよいでしょう。
道路付けや方位にもよりますが、ファサード(家の正面)の軒を深くしたり、ポーチ柱を立てたりすれば、重厚な邸宅の趣も演出できます」(根岸さん)


ここからは、これまでSUUMOで紹介された実例から、3つの4LDKの平屋実例をピックアップしてご紹介します。


「子育て中は生活のほとんどが1階だし、平屋なら将来も暮らしやすそう」と考えていたSさん夫妻。みんなが集まり楽しく過ごせる家にしたいという希望もあり、広々としたLDKのある平屋を建てられました。
間取りは、玄関側に家族や来客が集まるLDKと和室のパブリックゾーンを、反対側には個室や洗面・浴室などのプライベートゾーンを配置。LDKにスペースを割き、充実した“家族団欒タイム”を楽しめるようにしています。
玄関に土間収納を配し、土間収納を経由して洗面室・浴室に行ける動線を確保。また、玄関ホールからキッチンに直接入れる動線により、買い物帰りに重たい食材の運び込みもラクに。毎日の帰宅・家事の動線を考慮した、暮らしやすい間取りになりました。

【DATA】
延床面積:99.25m2
本体価格:2000万~2499万円
家族構成:夫婦+子ども2人
設計・施工:アイフルホーム


アウトドアもインドアも大好き!というIさんファミリーは、広々としたリビングと小屋裏収納、プライバシーの確保と家族の楽しみを両立させた屋上スペースが特徴的な平屋を建てられました。
勾配天井のリビングは、現しの梁をアクセントにした開放感あふれる空間です。将来車椅子を使うことになっても暮らしやすいように、隣接する空間への出入口には引き戸を採用しています。また、小屋裏収納は、固定階段を設けて上下移動や物の出し入れをしやすいように。2つの子ども部屋にはロフトを設けるなど、収納スペースを十分に確保されています。
屋上スペースの「青空リビング」は、BBQや家庭菜園、子どものプール遊びなど、アウトドアライフが満喫できる場所に。家族のライフスタイルに合う住まいを手に入れ、Iさんはとても満足されていました。

【DATA】
延床面積:107.23m2
本体価格:1800万円
家族構成:夫婦+子ども1人
設計・施工:桧家住宅


長女の小学校入学を機に定住の家を持つ決意をしたHさん。「高齢で2階に上がるのは大変」という希望もあり、年齢を重ねても暮らしやすい平屋の住まいを建てられました。
間取りは、家の中心にLDKを配し、玄関側に浴室・洗面スペース、奥側に個室を設けることでプライバシーを確保できるようにしています。約23畳のLDKは天井を吹き上げ、アジアンリゾートのように家具をゆったりと置くことで、家族みんなが居心地良く過ごせる空間になりました。
玄関からLDKへの動線は、廊下を経由する来客用動線と、シューズクロゼットと洗面脱衣室を経由する家族用動線の2WAYに。洗面脱衣室は、成長した姉妹が安心して使えるように、壁を立てて脱衣スペースと洗面スペースとを分けています。

【DATA】
延床面積:116.50m2
本体価格:1994万円
家族構成:夫婦+子ども2人
設計・施工:アイフルホーム
平屋で4LDKの家を建てるには、一定の広さの土地が必要になります。ただ、階段のないフラットな住まいは家族が顔を合わせやすくなるため、コミュニケーションを取る機会が多くなります。
「LDKを間取りの中心に据えれば、そこを通って個室や洗面・浴室に出入りするので、自然と家族の様子がわかります。テレビの音などが気になりやすい受験期や在宅ワークを考慮して、廊下を挟んだ部屋を1つ設けておけば、家族全員がより快適に生活できるでしょう。
上下移動のないフラットな平屋は、掃除がしやすく、将来も安心して暮らせる住まいになります。4LDKの場合、2階建てを検討する方が多いのですが、広い土地が確保できれば平屋を検討するのもよいと思います」(多並さん)
4LDKの平屋の延床面積は30坪、およそ100m2が目安になる
部屋数が多く、ワンフロアが広い4LDKは、生活動線や家事動線を短くすることと、採光と通風を確保することで、快適で利便性の高い住まいになる。小屋裏や中二階を活用して広い収納をつくるのもオススメ
建物全体に凹凸をつけて、“平坦な印象の外観”を防ぎたい