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カントリーインテリアといっても、いくつか種類があり、それぞれ特徴が異なります。この記事では、カントリーインテリアの種類やカントリーインテリアが似合うおしゃれな家にするポイント、部屋別にできる工夫を、(一社)国際カラープロフェッショナル協会の理事を務めるとおみねきよみさんに伺い解説します。
カントリーインテリアとは、欧米の田舎暮らしを感じさせる、素朴で温かみがあるインテリアスタイルを指します。
「プラスチックや工業製品はあまり使わず、木を多用するため、自然や手づくりの温かみを感じられることが特徴。ベースカラーはブラウンと白。ブラウンはカントリーインテリアの種類によって使われる木材の明るさや色味が違います。また白は緊張感があるピュアホワイトではなく、ブラウンの色味にあわせ、アイボリーやオフホワイトなどが選ばれます」(とおみねさん/以下同)
カントリーインテリアは、大きく次の4種類があります。
・アメリカンカントリー
・ブリティッシュカントリー
・フレンチカントリー
・北欧カントリー
それぞれの特徴と、スタイルの中心となる色を紹介します。
アメリカンカントリーは、アメリカの開拓時代を思わせる、素朴さのなかに力強さを感じさせるインテリアスタイルです。日本でもっともなじみがあるカントリーインテリアで、パイン材のような明るいブラウンがメインカラーになります。

ブリティッシュカントリーは、イギリスの田舎暮らしをイメージさせるインテリアスタイルです。ダークなブラウンがメインカラーで、素朴でシンプルでありながら、重厚感と高級感を感じさせることがブリティッシュカントリーの特徴です。

フレンチカントリーは、南欧風、プロバンス風ともいわれる、フランス南部の田舎暮らしを思わせる、温かみのあるインテリアスタイルです。自然の心地よさを感じさせるオフホワイトをベースカラーに、明るめの木をペールトーンのブルーやピンクなどでペイントします。色は用いるものの、コントラスト感は低くし、少し可愛く甘めなテイストであることがフレンチカントリーの特徴です。

北欧カントリーは、スウェーデンやノルウェー、デンマーク、フィンランドなどの北欧諸国の田舎を思わせるインテリアデザインで、最近とくに人気があります。色は白を基調とし、明るい色味の木材を使用し、金属はほとんど使わないことも、北欧カントリーの特徴です。

まずは、カントリーインテリアのスタイル別に、デスクやチェストなどの家具の選び方から紹介します。
アメリカンカントリーでは、家具にはパイン材やオーク材のような明るめのブラウンで、節目がありどこか力強さを感じさせる木材を使用。曲線も直線も入ったデザインで、ハンドメイドテイストがある素朴な家具が似合います。さらにトールペイントを施すと、よりアメリカンカントリーの雰囲気が出るでしょう。
ブリティッシュカントリーでは、直線的なデザインで、脚がないもしくは短い脚で重心が低くずっしりした重厚感のある家具が選ばれます。オークやウォールナットなど赤茶系の木材が使われ、引き出しに框(かまち=囲み枠)が施されているような、アンティークなデザインが似合います。
甘いテイストのフレンチカントリーでは、曲線を意識した猫足など、フェミニンなデザインの家具が多く見られます。取っ手には真ちゅうが使われ、ペールブルーやピンクなどの淡い色を少し剥げたように塗装した、アンティークな雰囲気のある家具がマッチします。
北欧カントリーでは、家具に明るい色調の木材が使われ、直線的でスッキリとしたデザインで、曲線を取り入れる場合でも控えめであることが特徴。一人掛けのコロンとした印象の椅子やスツールなどを置くとおしゃれです。

続いてカントリーインテリアの種類別に、ラグやカーペット、クッションカバー、ベッドスプレッドなどのファブリックの選び方も教えていただきました。
アメリカンカントリーでは、コットンのギンガムチェックが定番。色は明るくビビッドな色を使いましょう。またパッチワークやキルトなど、手づくり感があるファブリックも似合います。
ブリティッシュカントリーは、ダークな色合いの植物柄や花柄のデザイン、トラディショナルなタータンチェックなどが好まれます。ファブリックの素材も厚みがあり、重厚感と落ち着きを感じさせることも特徴です。
フレンチカントリーは、透け感のあるレースやフリルなど柔らかく軽やかで優しげなファブリックが似合います。また小さな花柄のような甘いデザインもよく選ばれます。
北欧カントリーでは、大柄で素朴な北欧柄が多く見られます。ほかにはかぎ針編みのカーテンなども北欧の田舎の雰囲気を演出できます。

外観にまでカントリーにこだわりたい場合は、スタイルにあった外観を検討するとよいでしょう。代表例を紹介します。
【例】
・アメリカン:ログハウス
・ブリティッシュ:暗めの窓枠を選び重厚感を出す
・フレンチ:アーチ型の門でプロバンス風に
・北欧:太陽光をたっぷり取り入れられる大きな掃き出し窓が付いた外観デザイン

素朴でナチュラルなテイストを大切にするカントリーインテリアは、内装も漆喰(しっくい)の塗り壁と木材、煉瓦やタイルなど、自然素材で仕上げると雰囲気が出ます。
「塗り壁で仕上げるとぐっと雰囲気はよくなりますが、高額になってしまいがちですし、拭き掃除もできません。『汚れてくるのも味』と思えるのならよいのですが、最近は塗り壁風クロスなどもありますので、そちらを検討するのもおすすめです」
建具に使用する木や色味を家具とあわせると、全体的な統一感が出ます。扉には、真ちゅうのドアノブが付いたヴィンテージ感がある木製のものを選ぶとよいでしょう。真ちゅうのドアノブには、飾りがあるデザインだとよりカントリーになります。ヴィンテージ感にこだわり、高級感を出し過ぎてしまうと、カントリーのイメージからは外れてしまうため注意しましょう。

カントリースタイルのインテリアで整えたいときには、照明は温かみが感じられる電球色のペンダントライトが似合います。部屋が明るくなりすぎないように全体照明を抑え、間接照明を取り入れるとより雰囲気が出ます。
雑貨についてはスタイルにかかわらず、例えば時計や額縁などもアンティークなものを選ぶとよいでしょう。工業を思わせるようなものは避け、金属であってもホーロー製品を選ぶと、どこか温かみが感じられます。またカゴ製品も、どのカントリースタイルにも似合います。
カントリーインテリアが似合う家にするために、部屋別にできる工夫を紹介します。
リビングは、スタイルにあった家具を据え、それぞれの特徴を備えたファブリックを添えることでカントリースタイルを演出しましょう。
【例】
・アメリカン:年代物のロッキングチェアーとパッチワークのタペストリーなどを飾る
・ブリティッシュ:脚のない低いどっしりしたソファに植物柄のクッションを置く
・フレンチ:カラーをうまく使い、ベースとなる明るいアイボリーの壁の部屋に、ペールピンクやブルー、グリーンなどのペンキが剥げたような家具を配置
・北欧:明るい色調の家具を配置し、クッションにはかぎ針編みや北欧柄のカバーをかぶせる
スタイルにあった色をメインに、アンティークに仕上げていきます。システムキッチンは框が付いた木製扉で、スタイルの色に近いものを選ぶとよいでしょう。
またキッチンツールについても、例えばホーローの調理器具、陶器のキャニスター、木製のカッティングボードやブレッドケースなど、温かみが感じられるものをそろえるのがおすすめです。

寝室は、ベッドやサイドテーブルなどを木製のものにし、ファブリックもそれぞれのスタイルにあった色目やデザインのものを選ぶとスタイル別に特徴を出せます。とくにベッドは大きな面積を占めるので、スタイルにあったデザインのものを選ぶとよいでしょう。
玄関やトイレのような狭い空間は、スタイルにあった色味のドアや棚を選ぶほかに、小物でカントリーの雰囲気を出すのがおすすめです。
例えば壁にフックを付けてドライフラワーやホウキを飾るとカントリーっぽくなります。玄関ならカントリー調のスツールを置いたり、ちょっと古びたトランクをオブジェとして飾ったりしてもよいでしょう。

基本的に白とブラウンで構成されていますが、スタイルによってブラウンのテイストと白の分量が異なります。例えばアメリカンカントリーなら黄色っぽいブラウン、ブリティッシュカントリーなら赤茶など、色味や明るさなどをそれぞれのスタイルにあった色で統一することが、失敗しないポイントです。
プラスチックや金属など、人工的な素材をできるだけ避けることもポイントです。
取り入れる場合でもできるだけツヤ感がないものにする、落ち着いたトーンのものにするとよいでしょう。
家具や小物でカントリーインテリアの雰囲気を演出できますが、あれもこれもとたくさん置いてしまうとごちゃごちゃしてしまいます。おしゃれに仕上げたいのであれば、部屋に置く家具や小物は厳選し、うるさくなりすぎないよう気を付けましょう。
最後にあらためて、とおみねさんにカントリーインテリアが似合う家づくりについてのアドバイスをいただきました。
「木材を多用するカントリーインテリアは、経年変化で日に焼けたり手の脂がなじんだりしてだんだん味が出てきます。
ただ、カントリースタイルの家具や小物は高価なものが少なくありません。家を建てるときに全部そろえようとすると予算がふくらんでしまうので、最初から吟味して、いいものを少しずつ買い足していくのもおすすめです」
カントリーインテリアとは、欧米の田舎暮らしを感じさせるインテリアスタイルのこと
カントリーインテリアにはアメリカン、ブリティッシュ、フレンチ、北欧の4種類があり、それぞれ特徴が異なる
カントリーインテリアが似合う家にするには、スタイルごとの色で全体の統一感を出すことがポイント