注文住宅の相場・価格「1000・2000・3000・4000万円台」の家の違いは?家を建てるときの注意点も 一級建築士が解説!

最終更新日 2023年09月29日
注文住宅の相場・価格「1000・2000・3000・4000万円台」の家の違いは? 一級建築士が解説!家を建てるときの注意点も

間取りや設備、インテリアなどを自分で選んでいく注文住宅は、予算に合わせて何にお金をかけるかのやりくりができる。しかし、いくらでどんな家が建てられるのかが分からなければ、自分の予算が満足できる家を建てられる金額なのか、どんなグレードの設備を選べばいいのかイメージすることも難しいだろう。そこで、注文住宅の平均床面積と平均建築費のデータをもとに相場感を参考にしてみよう。注文住宅の建築費の価格帯によって、どんな家が建てられるのか、ハウスメーカー選びのポイントなどを、一級建築士の佐川旭さんに聞いた。
※注文住宅の平均床面積と平均建築費のデータを2020年度のデータに更新しました(2020年8月)

注文住宅でかかる費用の内訳は?

注文住宅を建てるときは、「土地の購入」「家の建築」の2段階の手続きを踏むことになる。ここでは、「土地の購入時」、「家の建築時」に支払うお金の内訳を説明する。

土地の購入時に支払うお金

内訳としては、手付金(物件価格の5%~10%)、購入物件の残代金(物件価格-手付金-住宅ローン借入金)、購入諸費用(印紙税・仲介手数料の半金)となる。購入諸費用は「土地代金+家の工事費用」の6%~10%が目安となる。ただし、土地の条件や建築工事のスケジュールや住宅ローンの借り方によってはこれより多くなることも。家の建築を行う会社(工務店、ハウスメーカー、ビルダー、設計事務所、など)には、全体的なスケジュールや資金計画の相談ができる会社もあるので、建築会社を先に選んで相談しながら土地を選ぶのも方法のひとつだ。

家の建築時に支払うお金

工事契約時に工事契約金・建築確認申請費、着工時に着工金・地鎮祭費用、上棟時に中間金・上棟式費用、引き渡し前には建築費の残代金・建物の登記費用(不動産登記・抵当権設定登記時に必要な登録免許税など)などがかかる。(地盤に不安がある場合は、見積もりのタイミングで地盤調査費用などが別途発生するケースもある)
また、上記以外で引き渡しまでに支払う購入諸費用としては、ローン借入費用(事務手数料・保証料・火災保険料など。つなぎ融資が必要なローンもある)、これに加えて税金などの清算金。

(詳細については、SUUMO住活マニュアル「家を建てる・土地を買う手続きと費用」を参照)

(価格帯注)
※建築費1000万円台・2000万円台・3000万円台・4000万円台の価格帯に分けて解説するが、各価格帯でどんな家が建てられるかはハウスメーカーによって異なるため、詳細は依頼先のハウスメーカー担当者やモデルハウスで確認を
※各価には土地取得費は含まれない

みんなはどんな注文住宅を建てているの?広さと建築費の平均は?

注文住宅を建てている人は、どれくらいの広さの家に、いくらくらいの費用をかけているのだろう。住宅金融支援機構のデータによると、住宅面積の全国平均は約124.4m2、建築費は約3532万円。地域によって平均的な広さや建築費にバラツキはあるが、約130m2(約40坪)くらいの広さの家を建てる場合、建築費に3000万円台後半の費用がかかりそうというイメージができるだろう。

2020年度に建てられた注文住宅の平均床面積と平均建築費
床面積 建築費(土地代含まず)
全国 約124.4m2 約3532万円
首都圏 約123.9m2 約3808万円
近畿圏 約127.4m2 約3740万円
東海圏 約126.5m2 約3604万円
その他の地域 約123.4m2 約3354万円

「1000万円前後」から「上限無し」まで、注文住宅の建築費は建てる人の予算次第

販売価格が決まっている建売住宅と違い、建てる人の家にかけられる予算によって建築費を調整できるのが注文住宅のメリット。ハウスメーカーでも1000万円前後から建てられる家や、2000万円台、3000万円台、4000万円台など、さまざまな価格帯の住宅商品を用意している。

「床面積100m2~120m2(30坪~40坪程度)の注文住宅で考えた場合、建築費として多いのは2000万円~3000万円台。この価格帯は住宅商品も多いボリュームゾーンです。1000万円台はさまざまな工夫で建築費を抑えた家。4000万円台以上は高級仕様な家といえます」(佐川さん、以下同)

どの建築費を選ぶかは予算次第だが、ハウスメーカーや住宅商品を選ぶ前に、それぞれの価格帯でどんな家が建てられるのかを見ていこう。

【1000万円台の注文住宅】シンプルな外観や間取りでコストを抑えた家

「まだ若くて予算はないけれど早く家を持ちたい、教育費や趣味など家以外のことにお金をかけたい、予算を抑えて早くローンを完済してしまいたいなど、コスト重視の人に選ばれる価格帯です。建築費は家の形に左右されることが多いので、凹凸の少ない長方形や正方形のシンプルな家が多い傾向にあります」

材料費の単価が高い外壁材や屋根は、使う量が多いほど材料費がかさんで建築費を押し上げる。また、コの字型やL字型、中庭を建物で囲んだロの字型の家、出窓が多くあったり、外壁を凹ませてベランダを多く設けたりなど凹凸の多い外観デザインは、同じ床面積でも建物の表面積が多くなり、材料費も足場代も高くなる。複雑なデザインは施工の手間もかかるので人件費も増える。このようなコストのかかる要素をなくした、シンプルな外観デザインで建築費を低く抑えることができたのが1000万円台の家だ。長方形や正方形で、1階と2階の床面積が同じ総2階建てで、屋根は本を伏せたような形の山形の切妻屋根や、傾斜が1面の片流れ屋根の家がコストが低い。

イラスト
(左)切妻屋根(右)片流れ屋根

「1000万円台の家は、内装も単価が安く、塗り壁に比べて施工日数も短くてすむビニルクロスを主に使い、間取りもシンプルです」

あまり凝った間取りや無垢材(合板や集成材ではなく、丸太から切り出した自然のままの木材)や漆喰(しっくい・消石灰に糊などを加えて水で練った塗料)などの自然素材を多く使うことはできないが、シンプルな空間だからこそどんなテイストの家具でも合わせやすかったり、カーテンやソファのカバーなどファブリックを変えるだけで部屋の雰囲気を違うものにできたりなどのメリットもある。

ハウスメーカーによっては、複数の家族構成やライフスタイル、年代に合わせた基本設計プランを用意して設計にかかる手間や日数を削減したり、標準仕様の設備や内装材、外壁材などを大量仕入れすることでコストを抑えたり、設計から施工、現場管理まで自社内で行うことで中間マージンを省いたりなどの工夫で価格を1000万円台に抑えている。つまり、性能を落とした結果の1000万円台ではなく、性能は保ったままで手頃な価格に抑えて提案することも可能なのだ。

【2000万円台の注文住宅】予算配分のメリハリで夢が叶えられる家

2000万円台でどんな家が建てられるかは、どこにお金をかけるかによって違ってくるので一概には言えない。1000万円台に比べれば予算に余裕はあるため、せっかくの注文住宅なのだからと、家づくりへの希望を次から次へと盛り込んで、予算オーバーになりがちな価格帯でもある。予算内に収めようとすると希望のすべてを実現することはできないかもしれないが、内装は安価なものにしてシステムバスはミストサウナなどの機能もあるグレードの高いものにするなど、予算配分を工夫することで夢を実現できることも。

「家を建てると、建築費以外にも家具を買い替えたりなどのお金がかかります。建築費の予算が2000万円台という人は、建築費以外も含めた家にかかわるコスト全体で予算配分を考えてもいいでしょう。例えば、内装にはコストをかけずに自然素材のいい家具を入れるとか、家具の買い替えはせずに今使っているものをそのまま使い、家具購入費を圧縮した分でドアや窓にいいものを使うといったこともできます」

【3000万円台の注文住宅】実現したいことを叶えやすい家

全国で建てられている注文住宅の平均的な建築費用は約3532万円。3000万円台の家というのは、3000万円前半までは平均的なグレードと広さの家を建てられる価格帯、3000万円後半は平均よりも設備や建築資材のグレードをアップさせたり、家の大きさを広げたりすることが可能な価格帯といえる。3000万円台なら、すべての希望は実現できなくても、好きなデザインや間取り、憧れの設備などをいくつか導入できそうだ。

「3000万円台で建てるなら、予算に合わせてお金をかけるところ、コストを抑えるところのバランスをとるといいでしょう。壁は部屋によってビニルクロスと漆喰などの自然素材を使い分けるとか、外観デザインに凝りたいなら内装材を安いものにするとか。LDKの床には無垢材を使い他の部屋はクッションフロア(クッション性のある発泡層を含んだシート状の床材)にするなど、自分たちが家の中で何を、どこを重視するかを考えることが必要です。予算の中でできること、できないことを選ぶことになるため、プランを決めるまでの時間がかかりがちなのがこの価格帯で建てるケース。家族で迷ったり話し合ったりする時間を通して、自分たちがどんなライフスタイルを望むのかを考えるよい機会にもなるはずです」

【4000万円台の注文住宅】さまざまなプランが実現可能な家

延床面積100m2~120m2(30坪~40坪程度)の注文住宅とすると、建築価格4000万円台は予算に余裕のある価格帯だ。

「家へのこだわりの強い人が希望をプランに盛り込んでいくと、4000万円以上の建築費になる傾向があります。つまり、4000万円台の家というのは、さまざまなプランが実現可能な価格帯だということです」

中庭のあるロの字型やコの字型の家など、凹凸が多く外壁面積が多くなるプランも可能。室内の素材も施工に手間と日数がかかるためコストがかさむ漆喰などの自然素材をふんだんに使えたりもする。建築費4000万円台は、予算内に抑えることを一番のポイントとせずにプランニングができる価格帯といえそうだ。

イラスト
コの字型の家

「玄関から廊下、LDKまで同じ無垢材のフローリングにして空間の一体感と高級感を出したり、吹抜けなど施工にコストがかかるプランも取り入れやすくなるなど、家の中のプランのバリエーションも多くなります。150万円~180万円の高価格帯のシステムバスを設置したり、100万円程度かかる無垢材のウッドデッキを作ることも難しくありません」

注文住宅の建築の依頼先は、アフターフォロー体制をチェック

多くのハウスメーカーでは、手頃な予算で建てられる家からハイグレードな家まで、幅広い価格帯の住宅商品を用意している。気になるハウスメーカーに自分の予算内で建てられそうな住宅商品はないかをホームページで情報収集したり、モデルハウスや完成見学会で担当者に聞いてみるといいだろう。

では、建築の依頼先をどのハウスメーカーにするかは、価格帯のほかにどんなことに注意すればいいのだろうか。

「ハウスメーカーを選んだ理由に『営業担当者と話が合った』『営業担当者が親切だった』という声をよく聞きます。しかし、人柄や相性だけでなく、家づくりにどんな知識を持っているか、プロとしての視点でアドバイスをしてくれる人かを重視するべきです。ハウスメーカーは営業と設計は違う人が担当することが多いので、営業担当者が家づくりに精通していなければ、施主からの希望がその家族に合っていないプランであってもそのまま通してしまい、暮らしにくい家が完成してしまう可能性も。また、家を建てたあとのアフターフォロー体制をよくチェックすることも大切。ハウスメーカーの営業担当者は、転勤や異動で家を建てたエリアを離れることもあります。後任の担当者の対応がそれまでと違ってトラブルになることもあります。会社として引き渡し後のメンテナンスや点検、対応などが整備されていると安心です」

Case1 建築費2000万円台で建てた家を見てみよう

静岡県 Hさんの家

建築費 :2000万円台前半
延床面積:99.19m2(1階51.32m2、2階47.87m2
竣工  :2017年
設計・施工 ユニバーサルホーム

写真

シンプルなデザインに木目調の玄関ドアや上げ下げ式の2つ並んだ窓、屋根の下のアイアン(鉄製)調の妻飾り(屋根の下の三角形の壁面に付ける装飾)でかわいらしさを、塗り壁調の外壁であたたかみをプラスしたナチュラルフレンチスタイルの外観。屋根には、日本建築で使われる濃い色の和瓦に比べて、軽やかな質感のある欧風洋瓦を使用。外壁には断熱性や耐火性、遮音性などに優れた高性能外壁材ALCを使うことで安心で快適な住まいに仕上がっている。

写真

外観デザイン同様、室内空間もシンプルだけれど、あたたかみとかわいらしさのある雰囲気。1階にも2階にも無垢材のフローリングを使っているほか、造り付けの飾り棚やAVボードなどにも無垢材がふんだんに使われている。家族が自分の部屋へ行くときに必ずリビングを通ることになるリビングイン階段や、リビング全体が見渡せるキッチンは、家族のコミュニケーションを大切にする施主の希望を実現したプランだ。

写真

リビングの大きな窓に設けられた、室内の縁側のような「ヌック」。自然光の中でくつろぎながら、ソファー等にいる家族との団らんを楽しめる場所だ。窓からは玄関アプローチや駐車場が見えるので、子どもは帰ってくる家族を待ちながらここで遊んで過ごしているそう。

Case2 建築費2000万円台で建てた家を見てみよう

兵庫県 Sさんの家

建築費 :2000万円台
延床面積:125.23m2(1階68.73m2、2階56.50m2
竣工  :2017年
商品名 :CXシリーズ
設計・施工:クレバリーホーム

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Sさんは、モデルハウスで見たカフェスタイルのキッチンにひと目惚れし、ずっと憧れていた南欧テイストのマイホームの建築をスタート。屋根にはまだら模様が味わいを出しているS瓦を使い、ファサード面(正面)にはかわいらしいロートアルミの妻飾りをアクセントに。白いタイルとレンガ調のタイルを組み合わせるなど南欧テイストにこだわった外観デザインは、訪れる友人たちからも「かわいい」と言われるそうだ。

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Sさんが家づくりで最も力を入れたのはLDK(リビング・ダイニング・キッチン)で、ワンルーム構成の開放的な間取りにしたいという希望を実現し、天井に配した木目調の梁と三連の窓が印象的な空間に仕上がった。キッチンは、 カウンターに貼られたモザイクタイルや框扉(かまちとびら※)でカフェのような雰囲気に。家族で料理ができる広さと、ダイニングとつながったオープンなキッチンは、妻はもちろん子どもたちもお気に入り。以前にも増してお手伝いをしてくれるようになったとか。
※扉の上下左右4辺に木材の枠を組んでいるデザインの扉。

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主寝室は1面にウッディなアクセントウォールを使うことで落ち着いた隠れ家的な空間に。空間を広々と使うために、ウォークインクローゼットは扉を設けずにオープンにしてある。クローゼット内の通風がよく、衣類の出し入れがしやすいのもメリットだ。

注文住宅は同じ価格帯でも、施主がどこにお金をかけるかによってプランが違ってくる。同じ広さ、同じ建築費でも、「内装は安価な材料を選び、キッチンにたくさんお金をかけた」という家もあれば、「設備も内装も外装も、平均的なものを選んだ」という家も。どんな家が建てられるかは、まずは無理のない予算、そしてどこにどれくらいお金をかけるかという施主の考え方次第。注文住宅を建てるなら、どんな家が居心地がいいか、暮らしやすいかを家族で集まって話しあうことから始めよう。

まとめ

注文住宅でかかる費用の内訳は、「土地の購入時」と「家の建築時」の2段階の手続きで支払いが発生する

注文住宅の建築費は「1000万円前後」から「上限無し」までと、建てる人の予算次第

建築の依頼先をどのハウスメーカーにするかは価格帯のほかに、営業担当が家づくりに精通しているか、家を建てたあとのアフターフォロー体制のチェックも大切

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取材・文/田方みき
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