ユニット工法とはどんな住宅?メリット・デメリットや費用相場、注意点について解説

公開日 2025年10月21日

ユニット工法とはどんな住宅?メリット・デメリットや費用相場、注意点について解説

ユニット工法は独自の特性を持つため、住居の選択肢のひとつとして注目されることがあります。本記事では、ユニット工法とはどのような家なのか?プレハブ住宅との違い、メリットや注意点、費用の相場、ユニット工法で家を建てる際に気をつけるポイントについて解説します。おしゃれなユニット工法の実例も紹介します。

ユニット工法とは?

ユニット(構造体)を組み合わせたユニット工法の住宅のこと

ユニット工法とは、あらかじめ工場で製造された「ユニット」と呼ばれる箱型の構造体を、建設現場で組み合わせて完成させる工法の住宅のこと。

ユニット工法とプレハブ住宅との違い

ユニット工法はプレハブ工法の一種ですが、ユニット工法はより工業化を進めた工法になります。

プレハブ住宅は、壁や床などの部材を工場で製造し、現地で組み立てる方式という点ではユニット工法と同じですが、ユニット工法ほど一体化された構造ではありません。ユニット工法は、ユニット単位で設計・製造されるため、より完成度の高い状態で現場に搬入されます。また、施工期間がほかの工法よりも短いことが多く、スピードに優れています。

コンテナハウスとの違い

「コンテナハウス」はユニット工法と誤解されることがありますが、ユニット工法とは異なるものです。

詳しくは、下のリンクからご覧ください。

ユニット工法のメリット

ここでは、ユニット工法の具体的なメリットについて深掘りしていきましょう。

高品質な施工が可能

ユニット工法は、主要構造体を工場で生産するため、天候や職人の技術に左右されにくく、均一で高精度な施工が可能です。高水準での品質管理が行われているため仕上がりのばらつきが少なく、安定した施工が可能です。

工期が短く、スケジュールが組みやすい

現場での組み立て作業が少なく抑えられるため、他の工法と比較し、着工から完成までの期間が大幅に短縮できるのも大きなメリット。基礎工事を除けば、1~2日で建物の形が完成するケースもあり、スケジュール調整がしやすい点も魅力です。

耐震性に優れている

ユニット工法は耐震性に優れた設計が採用されているため、地震などの自然災害に対して高い安全性を備えています。接合部の強度も高く、揺れに対する耐性がしっかり確保されています。

ユニットを組み合わせて柔軟な設計ができる

ユニット工法は、ユニットを組み合わせることで、間取りや空間構成を柔軟に変更することができます。柱の少ない構造により大開口の設計も可能なため、開放感たっぷりの空間を実現できます。
また、ユニットを追加することで増改築も可能です。

ユニット工法のデメリット

一方で、ユニット工法のデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。しっかりと押さえておきましょう。

運搬・設置に制約がある

ユニットは大型の構造体であるため、搬入経路や設置場所に制限が生じることがあります。狭小地や交通量の多い地域では、クレーン作業や搬入スケジュールの調整が必要になるため、注意しましょう。

カスタマイズに制限がある場合も

ユニット工法はユニットの組み合わせの自由度が高い一方で、ユニット単位で規格化されることから、特殊なデザインや細かな仕様変更には対応しにくいケースもあります。

住宅メーカーが手がけるユニット工法の特徴

住宅メーカーが採用するユニット工法は、断熱性、耐震性、気密性などの住宅性能が高く、間取りや空間の広がりを柔軟に設計することができるため、吹抜け、大開口、天井高など、注文住宅ならではの空間演出が可能です。
そこで、ユニット工法の代表的な住宅メーカーであるセキスイハイムとトヨタホームのユニット工法の特徴について紹介します。

セキスイハイムのユニット工法
セキスイハイムのユニット工法は、住宅の大半を屋根付きの工場内で製造することで現場での作業を抑えられるため、高精度な施工による安定した品質を実現しています。窓や玄関ドアも原則取り付け済みの状態で設置されるため、雨天でも安心して施工が進められ、スケジュール管理がしやすいのも大きな利点です。

構造には、独自の「ユニットテクノロジー」を採用。高層ビルにも使われる技術を応用した「ボックスラーメン構造」は、柱と梁を強固に接合し、ユニット同士を一体化させることで、揺れに対する耐性を高めています。

ユニットの組み合わせによって柱の少ない広々とした空間設計が可能で、吹抜けや大開口などの間取りにも対応。断熱性や気密性にも優れており、四季を通じて快適な住環境を提供します。

ボックスラーメン構造のイメージ
天井梁・柱材・床小梁・床梁は粘り強く高い復元力を持つ鉄鋼素材を使用。柱材は角形鋼管を使用することでねじれの力に強さを発揮(画像提供/セキスイハイム)

トヨタホームのユニット工法
トヨタホームのユニット工法は、自動車製造で培った生産管理や品質保証のノウハウを活かし、住宅の約85%を工場内で完成させることで、天候や職人の技術に左右されない安定した住まいづくりが可能です。

最大の特徴は、鉄骨ハウスメーカーで最も太くて強い125mm角の柱を使用した強靭な構造体です。その代名詞ともいえる技術の1つが「ワイドスパン工法」です。非常に強度の高い柱のため、耐力壁に頼らず、4つのユニット結合部の柱を取り除くことができ、最大35畳の大空間、開放感のあるLDKや吹抜けなど、自由度の高い間取りが実現できます。

また、ユニットとユニットの間隔を250mm単位で調整できる独自の技術「ワイズジョイントS」によって、敷地形状や生活スタイルに合わせた柔軟な空間設計が可能に。例えば、LDKの拡張や収納スペースの確保など、従来のユニット工法では難しかった設計にも対応できます。

ワイドスパン工法の住宅イメージ
鉄骨のユニットの連結部を強靭な梁で補強することにより、構造体の強さを保ちつつ柱のない大空間が実現可能(画像提供/トヨタホーム)

ユニット工法の費用相場は?

セキスイハイムやトヨタホームなど住宅メーカーが手がけるユニット工法を用いた住宅の価格は、坪単価でおよそ70万~100万円が目安。仕様や設備、地域によってこの範囲に収まらない場合もありますが、工期の短縮やメンテナンス性の高さを考慮すると、長期的なコストパフォーマンスは良いと言えるでしょう。

ユニット工法でおしゃれな住まいを実現した実例

では、ユニット工法で実現したおしゃれで快適な住まいの実例をご紹介。ぜひ、プランニングの参考にしてみましょう。

心地よさを追求した贅沢な日常を楽しむ家

中庭を囲むようにコの字型に配したプラン。大空間のLDKに入ると、右手には開放感たっぷりの吹抜けとスケルトン階段、左手には高さを抑えたおこもり感のあるリビング、そしてその先にはダイニングキッチンと、奥行きのある空間が広がります。モダンでありながら、心地よさと安心感を追求したことで、空間にゆとりや豊かさが生まれ、贅沢な日常を楽しんでいます。

リビングイン階段のある大開口のLDK
リビングは三方を壁で囲み、おこもり感を演出。上部のコーブ照明はキッチン側までつながり、奥行きを生み出している(画像提供/セキスイハイム)
中庭を囲むコの字型の間取り1階
中庭を囲むコの字型の間取り2階

1階のリビングとキッチンはあえて区切ることで、それぞれ集中できる空間に。リビングでくつろぐ家族を邪魔することなく、水まわりや2階へと移動できるように動線を工夫

コンパクトな「完全分離型」の二世帯住宅

「完全分離型」の二世帯住宅。約36坪の限られた大きさの土地で、二世帯の住まいと車2台の駐車スペースを確保できる3階建てに。子世帯と親世帯は、玄関に設けた内扉を通じて行き来することもできるため、両親と一緒に住む安心感を感じつつ、お互いに心地よい距離感を保てます。

子世帯のLDK
明るい木目とグレーでまとめられた、柔らかな印象の子世帯のLDK。散らかりがちなスペースは見せない工夫も(画像提供/セキスイハイム)
3階建ての完全分離型二世帯住宅の間取り1階
3階建ての完全分離型二世帯住宅の間取り2階
3階建ての完全分離型二世帯住宅の間取り3階

1階は二世帯の玄関と親世帯の居住スペース、2・3階は子世帯の居住スペースに

遊び心たっぷりのインナーガレージのある家

中庭やインナーガレージなど、たくさんのこだわりを詰め込んだ、機能的で華やかでスタイリッシュな住まい。使っていくうちにDIYなどで好みに仕上げることを前提にした“つくり込み過ぎない”ガレージは、愛用する車やバイクが入っても、さらに遊びのスペースが取れる広々とした空間になっています。

複数のユニットを組み合わせた美しい外観
大判タイル、細身のタイル、セラミックウォールを組み合わせた外観。ガレージの内装は黒を基調にし、建物外壁の一部とコーディネート(画像提供/トヨタホーム)
インナーガレージのある間取り1階
インナーガレージのある間取り2階

ユニット工法のメリットを活かし、柱や構造壁に邪魔されない広々としたLDKを実現

ゾーニングと動線の工夫で家族も来客も心落ち着く平屋

ゾーニングと動線の工夫で、来客が足を踏み入れるパブリックスペースと、家族しか使わないプライベートスペースをさりげなく分離したことで、誰もが落ち着いで過ごせる住まいを実現。パブリックスペースには生活感が出にくいよう配慮し、インテリアはデザインだけでなく、使用する素材にもこだわり、上質感あふれる和モダンの空間に。プライベートスペースは家事のしやすさを最優先し、家事がスムーズに片付く動線になるようプランニングしました。

和室とフラットにつながるLDK
自然素材をふんだんに使い、シンプルな色使いでまとめて広々とした心地よいLDK。和室は、天然木の縦格子を使った引き戸を全開すればリビングと一体化し、閉めれば独立した客間として使える(画像提供/トヨタホーム)
ゾーニングを工夫した平屋の間取り
ワンフロアの東南側半分をパブリックゾーンに、北西側半分をプライベートゾーンに分けた間取りにすることで、来客も家族も落ち着いて暮らすことが可能に
まとめ

ユニット工法は、プレハブ工法のひとつで工場で製造された高精度な構造体を現地で組み立てる住宅方式

ユニット工法は他の工法と比較して短工期なのが特徴。セキスイハイムやトヨタホームのユニット工法は、設計の自由度と施工効率の両立を実現

コンテナハウスとは構造や施工方法が異なる

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