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「光熱費が節約できる」「環境にやさしい」などのイメージがある、断熱性能の高い家。電気代が高騰を続けるなか、これから家を建てるなら「断熱性能の高い家にしたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。その一方、「性能を上げたからといって、実際の生活や暮らし方にそんなに違いが出るものなの?」と疑問に感じる人もいるようです。
そこで今回は、実際に高断熱を意識して、愛知県に2020年に「断熱等級6」の家をつくられた、“暮らしかた冒険家”の伊藤菜衣子さんにお話を伺いました。
― まずは伊藤さんが、『断熱性能にこだわった家づくりをしたい』と考えられた理由を伺えますか?
「実は、今の家を建てる前に住んでいた札幌の家を、断熱等級6に断熱リノベーションしたのです。外壁をはがし、約30年前に施工した断熱材が傷んでいなかったので、その外側にさらに断熱材を追加したら、驚くほど生活が変わりました。外気温がマイナス10度の冬の朝でも、室温は17度くらい。6~8時間くらい無暖房な状態です。家の中ではフリースなどの上着がいらないので洗濯物が減ったり、家が快適になることで、家事が減ったことには驚きました。
実際に暮らしてみるまでは感じていなかったような些細な生活のなかのストレスがたくさん減り、快適な暮らしを知ったことで、『この環境以外の家には住めない』と思うようになりました。それが、『新築する家は断熱性能にこだわろう』と思ったきっかけです」(伊藤さん)

― 実際に建築家に「高断熱の家づくり」を相談するときは、どのような希望を伝えられたのか、具体的に教えていただきたいです。
「断熱性能の高い家での暮らしの快適性を知ってしまっていたので、今の家を建てるときには、建築家に『断熱等級6』にしたいことをまず伝えました。あとこれは、断熱には関係ない生活動線のこだわりですが、ワンフロアで生活したいことを伝えました。
また窓は、ガラスを三重(防火地域のため一部、二重)のものにし、サッシは樹脂にこだわりました。一般的には窓の前に立つと温度差を感じるものですが、今の家はその感覚がないので、ソファもベッドも窓の前に置いています」(伊藤さん)
―「高断熱の家」を考えるとき、エアコンの効率が上がり光熱費が減ることを期待する人も多いと思います。今の家に住み始めて、やはり冷暖房費は下がったのでしょうか?
「今の家は2階建てで、延床面積が約90m2なんですが、エアコンは2階の勾配天井につくった小屋裏に設置している14畳用の1台だけです。1階には床暖房もあるんですが、そちらは1日20分くらいだけ稼働させています。これだけで家中、一年中、適温になります。
高い所にあると、暖房時は床のあたりが寒くて、天井付近が暑くなりすぎるように思うかもしれませんが、難しいことは置いておきますが、気密性能が高いと暖かい空気が上から逃げることがなくなり、部屋のなかの高い所と低い所の温度差は2度ほどしかないんですよ。エアコンの設定は、一番弱い「微風」にしていることがほとんどです。高断熱の家なので、それだけでずっと暖かさを保てます」(伊藤さん)

「電気代については、安くなったわけではありません。ただ、同じ電気代で、快適な温度を保てる面積がぐんと広がったイメージです。
例えば普通の家だと人がいるリビングは冷暖房しても、水回りや廊下、寝室まで適温に保ったりしないですよね。それがこれまでリビングを暖めるだけだったのと同じ電気代で、家全体を暖められるようになりました」(伊藤さん)
― 断熱性能の高い家を建てたいと考えたとき、建築会社はどのように探せばよいのでしょうか?
「技術力については、気密測定までしてくれる会社なら、より信頼性は高くなります。気密測定が義務ではないなか、あえてやろうという業者さんは、それだけ真摯に高断熱な家づくりに取り組んでいて、自信があると考えられるからです」(伊藤さん)
― なるほど、気密性能が低ければ外気が侵入してしまうため、断熱性能に加えて気密性能を高めることも重要になるということですね。それでは最後に、これから「断熱性能を重視して、注文住宅を建てたい」と考えている方に向けてお言葉をいただきたいです。
「限りある予算のなかで家を建てるときには、何かを選んで何かを捨てないといけなくなります。断熱性能は目に見えないものなので、重要性がわかりにくいかもしれません。けれども間違いなく生活の質が上がるので、ぜひ取り組んでいただきたいです」(伊藤さん)
家の断熱性能を高め、少ないエネルギーで家全体を暖められるようになれば、家のどこにいても快適に過ごせます。断熱性能が高い家に住むと、これまで感じていた暮らしのちょっとしたストレスがなくなる、という伊藤さんのお話は実感がこもっていました。
断熱性能が高い家づくりにおいては、知見と経験がある建築会社を探すことが何よりも大切です。伊藤さんのお話を参考に、技術力のある建築会社を、ぜひ探してみてくださいね。