階段の手摺(手すり)の高さに基準はある? 取り付けの位置や寸法、介護向けの注意点も

最終更新日 2024年11月20日

階段の手摺(手すり)の高さに基準はある? 取り付けの位置や寸法、介護向けの注意点も

階段を安全に上り下りするために欠かせない「手摺(手すり)」。住まいの階段の手すりの高さはどの程度にするべきか、目安などはあるでしょうか。今回は階段の手すりの高さについて、生活デザイン設計室サンクの古屋茂子さんと、建築資材などを幅広く扱う大建工業(DAIKEN)に伺いました。

階段の手すりの高さに基準はある?

最適な手すりの高さは、使う人によって異なります。標準的な高さ、子ども向けの高さ、高齢者向けの高さのそれぞれを見ていきましょう。

階段の手すりは75~85cmの高さが目安

階段の手すりの高さに法的な規定はありませんが、目安として床から手すりのトップまでを75~85cmの高さに設置するのが一般的です。

「階段の手すりの標準の高さは75~85cmといわれています。リフォームの場合は施工時に実際に手すりに手を当てて、手の力が入りやすい場所に合わせて高さを調整することも少なくありませんが、大体標準的な高さの範囲で設置することがほとんどです」(古屋さん)

家族で身長差がある場合は、階段の手すりの使用頻度の高い人に合わせて設置するなどの対応をすることになりますが、日本人の標準的な身長の場合、階段の手すりの高さが75~85cm程度であれば問題なく使用できるそうです。

子ども用の手すりの高さ

家族に小さな子どもがいる場合などには、高さ75~85cmの手すりの下にもう1本、子ども用の手すりをつけることもあります。

「子どもの成長は早いので、自宅の階段に子ども用の手すりをつけるケースは多くはありませんが、つける場合、低いほうの手すりの高さの目安は60~65cmとなります。この程度の高さであれば、幼児が大人に手を引かれて歩くときの手の高さと同じくらいになるので、階段を昇降する際の子どもの安心感にもつながると思います」(古屋さん)

こども家庭庁が注意を呼びかけるほど、子どもの転落事故は多いもの。手すりを設置すると、親も子どもも安心できるでしょう。

手すりの高さの目安
標準的な階段の手すりの高さは75~85cm。二重手すりにする場合は、低いほうは60~65cmが目安(イラスト/長岡伸行)

介護の必要な高齢者向けの手すりの高さ

腰が曲がり、うつむき気味で上り下りをするような高齢者がいる場合は、手すりを低めに設置したほうが使いやすいこともあります。

「階段の手すりが高すぎると重心が後ろになり、安定感を欠きます。また、腰が曲がっていたりすると、階段を下りる際の不安感も増すので、低めの手すりのほうがつかみやすく、バランスをとりやすいと思います」(古屋さん)

使いやすい手すりの高さは、身長だけに左右されるのではなく、使う人の体の状態によってもさまざまです。高齢者や、持病のある人が使用する場合は、標準的な高さや位置にとらわれすぎず、体の状態などを建築会社やリフォーム業者に伝え、相談して使いやすい高さに設置するようにしましょう。

介護保険における住宅改修を受けられることも

築年数が古い家は、階段に手すりがないというケースも少なくありません。要介護認定で要介護等などに認定されている場合、階段に手すりをつけるリフォームは介護保険の住宅改修の対象になります。高齢の家族などのために、手すりを設置するリフォームを検討する人はあわせて確認してみましょう。

階段の手すりを持って歩くシニア女性
高齢者が使用する場合は、高すぎる位置に手すりを設置しないよう注意(画像/PIXTA)

手すりを設置する際の注意点

階段に手すりを取り付けるとき、高さ以外にも気をつけておきたいことがあります。より安全に、そして安心して階段を昇降できるようになる5つのポイントを教えてもらいました。

手すりを壁の両側に取り付ける

階段の手すりは片側にだけ設置されていることが多いですが、両側に設置したほうがより安全に階段を昇降することができます。

「従来の一般的な住宅では、廊下や階段の幅は壁芯から壁芯で91cm程度。実際の幅は75cmくらいしかありません。さらに両側に手すりを取り付けるとその分狭くなるため、片側にだけ設置するというケースが多くなります。しかし、やはり両側の壁に手すりがあったほうが安全性も安心感も高まるので、階段の幅に余裕がある場合は、検討するのもよいでしょう」(古屋さん)

両側の壁に設置した手すり
両側の壁に設置した手すり(画像/PIXTA)

手すりの両端を壁側に曲げる

手すりの先端に洋服などを引っ掛けてしまうと、転倒などの事故につながる可能性も。そのような引っ掛かりを防ぐためには、手すりの端を壁側に曲げておくことが有効です。

「手すりの先端を床側に曲げるケースもありますが、引っ掛かりを防ぐという目的では、壁側に曲げたほうがより安心です。壁側に曲げておけば、小さな子どもが先端に頭をぶつけるようなことも防ぐことができます」(古屋さん)

壁側に曲げて設置した手すり
壁側に曲げて設置した手すり(画像/PIXTA)

グリップを取り付ける

一般的に、60代を超えると握力は少しずつ弱くなっていきます。高齢者の場合は手すりをしっかり握れなくなっている可能性もあるため、グリップ付きなどすべりにくい手すりにすると安心です。また、リフォームで後付けすることができる手すり用グリップなどもあるので、そのような滑り止め部材を従来の手すりに取り付けるという方法もあります。

「グリップをつけることで階段の昇降を補助でき、滑り止めにも効果的です」(大建工業)

手すり用のグリップ
手すり用のグリップ(画像提供/大建工業)

上階の壁に縦の手すりをつける

さらに、高齢者の場合などは、上階の壁に縦の向きに手すりをつけるのも一案です。あまり見かけない形状ですが、上り下りや方向転換をサポートしてくれ、体を持ち上げやすくなる効果が期待できます。

縦の手すり
上階の壁に設置された縦の手すり(画像/PIXTA)

上り口、下り口の水平部分の手すりを長めにする

階段を昇降し終える部分に体の幅程の長さの手すりがついていると、動作の転換時に体をうまく支えられるそうです。

「30~40cmくらいの水平の手すりがあれば十分ですが、50~60cm程度取り付けられるのであれば、なおよいと思います」(古屋さん)

水平部分の手すり
水平部分の手すり(画像/PIXTA)

使う人に合った適切な高さの手すりが階段についていると、階段の昇降が安心です。新築・リフォームの際には、階段に手すりを設置することも検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

階段の手すりは75~85cmの高さが目安

子どもや高齢者がいる場合は低い位置にもう1本設置すると安心

高齢者にとって高すぎる位置の手すりは後ろ重心になり危険

グリップ付きなど、使用する人に合わせて使いやすいものを選択する

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取材・文/島田美那子、SUUMO編集部 イラスト/長岡伸行
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