階段に手すりを取り付ける リフォームの注意点や費用の目安は?

公開日 2021年06月04日
階段に手すりを取り付ける リフォームの注意点や費用の目安は?

階段は家の中でも事故が起きやすい場所。落下や転倒などを防ぐためにも安全な手すりをつけておきたいものです。今回は階段に手すりを取り付ける際の注意点や費用について、生活デザイン設計室サンクの古屋茂子さんと、建築資材などを幅広く扱う大建工業(DAIKEN)に伺いました。

階段の手すりはなぜ必要?

落下を防ぎ、階段を安全に利用するため

階段の手すりは空間コーディネートのデザイン性を高めるアイテムーの一つでもありますが、その最も重要な役割は、階段の段差につまずいたり、滑ったりしたときなどに落下を防ぐということにあります。手すりは、事故防止対策として有効です。

階段の手すりは空間コーディネートのデザイン性を高めるアイテムーの一つでもありますが、その最も重要な役割は、階段の段差につまずいたり、滑ったりしたときなどに落下を防ぐということにあります。手すり「階段を昇降する際に、ちょっとつかまる場所があると安心感につながります。落下などの事故を防ぐ目的に加え、階段の手すりは動作の際のバランスをとったり、動作がラクになるようサポートしたりする役割もあります」(古屋さん)

階段の手すりは空間コーディネートのデザイン性を高めるアイテムの一つでもありますが、その最も重要な役割は、階段の段差につまずいたり、滑ったりしたときなどに落下を防ぐということにあります。また、家を新築する場合、階段の手すりについては、建築基準法施行令第25条により、「床から1mを超える高さの階段の片側には手すりを設けなければならない」と定められており、「両側に側壁がある場合も、少なくとも片側には手すりを設置すること」が義務付けられています。ただし、平成12年(2000年)の法改正前は、階段の両側に側壁があれば、手すりは必要なかったため、築年数の古い住宅の階段には、手すりのないものも少なくありません。古い家で、階段に手すりがないという場合は、リフォームで手すりをつけることで、階段を昇降する際の安全性や安心感を高めることができます。

手すりがない古い住宅の階段
古い住宅には、手すりがない階段もある(画像/PIXTA)

階段の手すりを取り付けるときの注意点は?

使う人に合った高さに設置する

階段に手すりを設置する場合の注意点として、安全安心を考えた位置に設置するという点が挙げられます。例えば、手すりが高すぎると足腰の悪い人は体重をかけて歩きにくかったり、逆に低いとつかみ損ねて転倒するリスクがあります。

つまり、手すりを安全に使用するためには、適切な高さに設置するということが重要になります。

「階段の手すりを設置する高さは、一般的には750~850mm程度の位置と言われています。日本人の平均的な身長の範囲であれば、標準的な高さである750~850mmに取り付けておけば問題ないと思います(人体採寸(人体スケール)に基づく)。

手すりを取り付けるリフォームの際などは、実際に使う人の手を手すりに当てて高さを決めるケースも少なくありませんが、標準的な高さの範囲内で設置することがほとんどです」(古屋さん)

手すりの高さの目安
標準的な階段の手すりの高さは75~85cm。二重手すりにする場合は、低い方は60~65cmが目安(イラスト/長岡伸行)

階段の手すりの高さについてもっと詳しく
階段の手すりの高さ 取り付けるのは何cmが正解?

目的に応じた形を選ぶ

階段の手すりは高さだけでなく、目的などに合わせて形状を選ぶことも大事です。例えば、丸い棒状の手すりであれば、手を滑らせるように歩けるため、スムーズな移動が可能です。また、平らな手すりであれば、体重をかけ、もたれて歩くこともできるなど、形状によって使い心地も異なります。

「高齢者の場合は握力が弱くなっていることもあるため、滑りにくいグリップ手すりや、後付けも可能な手すり用グリップを取り付けるのも効果的です。また、ウイルス対策として抗ウイルス機能付きの手すりという選択肢もあります。DAIKENでは手すりの太さは32型(直径32mm)と35型(直径35mm)のラインナップがありますが、基本的に歩行補助は35型、立ち上がりなどをサポートする動作補助は32型と考えています」(大建工業)

「握力が弱くても握りやすいのは細めの手すりになりますが、平らな手すりの場合は手のひらで押すように体重をかけることができるので、使う人や用途に合わせて選ぶといいでしょう」(古屋さん)

丸い手すり
丸い手すり
手を滑らすことができ、歩行がスムーズ(画像提供/大建工業)
平らな手すり
平らな手すり
体重をかけ、もたれて歩くこともできる(画像提供/大建工業)

DIYよりもリフォーム業者に依頼するのが安心

階段の手すりを設置するのはDIYでも可能ではありますが、手すりは安全な歩行をサポートするものであることを考えると、DIYよりもリフォーム業者に依頼するのが安心です。

「手すりを取り付ける場合は、壁内部の間柱にきちんと固定する必要があります。DIYで行う場合、下地のある部分にきちんと固定されないと強度を担保できません。体重をかけたときに外れてしまうと事故につながりかねないため、注意が必要です」(古屋さん)

危ない留め具
きちんと固定されていない手すりは、事故の原因にも(画像/PIXTA)

階段の手すりのリフォームの費用はいくら?

手すりの材質や機能などによって費用は変わる

気になるリフォーム費用についてですが、階段の手すりの価格は、手すりの材質や機能、階段の形状などによって異なります。

「階段の手すりは木質のものが一般的ですが、オープンなタイプのリビング階段などではアイアンなど、デザイン性を重視して異なる材質のものを使用することもあります。手すりの価格はさまざまですが、一般的な木質のものに比べ、デザイン性の高いものや、異なる材質のものになると、値段は高くなる傾向があります」(古屋さん)

また、階段が踊り場のないストレート階段か、回り階段かなどの形状の違いに加え、片側に取り付けるか、両側に取り付けるかなどでも、手すりの長さや設置に必要な部材の数も変わるため、リフォーム費用に影響します。

階段や手すりの形状別価格の例

※各例の価格は定価。工事費等を除く材料費のみ(データ提供/大建工業)

Case1 両側に側壁がある箱型直階段(14段の場合)
両側に側壁がある箱型直階段
両側に側壁がある箱型直階段(14段の場合)の手すりの参考価格
部木名 価格 必要数
左側 右側
丸棒ストレート4000 8000円/1本 1本 1本
エンドブラケット(※1) 2100円/1個 2個 2個
ブラケット横用(※2) 2200円/2個 4個(2個セット) 4個(2個セット)
参考合計価格 1万6600円 1万6600円
(※1)手すりを固定するために端に取り付ける金具
(※2)手すりを固定するために棒の中間部に取り付ける金具
4mのベーシックな丸棒ストレート手すりを設置した場合の参考価格。手に馴染むゴム集成材タイプのものにすると1本当たり9300円

両側に手すりを設置すると、階段の幅が狭くなるため、両側に側壁がある場合は、手すりは片側だけに取り付けることも多いそうです。

「直階段で片側に手すりを付ける場合、上りの時に手すりに力をかけて上りたいということであれば、上りの際の利き手側に設置するということになりますが、下りる時の安心感を重視するのであれば、下りの際の利き手側に設置するという場合もあります。また、階段の近くにドアなどがある場合は、ドアの開閉の邪魔にならない方の壁に手すりを設置するのがいいでしょう」(古屋さん)

Case2 両側に側壁がある箱型回り階段(14段右回りの場合)
両側に側壁がある箱型回り階段
両側に側壁がある箱型回り階段(14段右回りの場合)手すりの参考価格
部木名 価格 必要数
左側 右側
丸棒ストレート4000 8000円/1本 1本 1本
丸棒ストレート2700 5800円/1本 1本
エンドブラケット 2100円/1個 2個 4個
ブラケット横用 2200円/2個 11個(6個セット) 1個(1個セット)
フレキシブルジョイント(※3) 3000円/1個 4個
参考合計価格 4万3200円 1万8600円
(※3)手すりの曲げ部の接続に使用する金具
4mと2.7mの丸棒ストレート手すりを設置した場合の参考価格。ゴム集成材タイプのものにすると4mタイプのものは1本当たり9300円、2.7mタイプのものは7000円

回り階段で手すりを片側だけにつける場合は、階段の踏面が短い方を避け、階段外側に手すりを取り付けることが多いそうです。つまり、このケースで片側のみに手すりを付ける場合は左側に設置するのが一般的です。

Case3 片側に側壁があるオープン階段(14段の場合)
片側に側壁があるオープン階段
片側に側壁があるオープン階段(14段の場合)でオープンアルミタイプ手すりの参考価格
部木名 価格 必要数
手すり 2万8000円/1本 1本
親支柱5セット(※4) 12万500円/5本 5本(1本セット)
パネル3段用(※5) 17万5800円/2個 4個(2セット)
参考合計価格 50万100円
(※4)パネルや手すりを設置するための柱
(※5)厚さ8mm、アクリル樹脂
前出の2例とは異なる、オープンアルミタイプの手すりを設置した場合の参考価格。参考合計金額にはパネルなどの価格も含まれる

ここで紹介した階段や手すりの形状別の価格の例は材料費のみで、これに加えて施工費用などがかかります。階段の形状や選択する手すりによって、リフォームにかかるコストもさまざまですが、自分の住まいの階段に合わせて、使いやすいものを選びたいものです。

例えば、介護リフォームの場合は階段の手すりの設置は介護保険の対象になるので、お住まいの市町村などに問い合わせてみるのもいいでしょう。助成を受けるには要介護認定が必要になるため、早めに確認が安心です。

階段の上り下りの際に不安を感じることがあるような場合は、安全に階段を使用できるよう、手すりのリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

階段の手すりは落下を防止し、安全に利用するために必要

安全を考えて設置する必要があるため、DIYよりもリフォーム業者に依頼するのが安心

階段の形状などによってリフォーム費用は異なり、介護保険を利用することもできる

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取材・文/島田美那子 イラスト/長岡伸行
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