上棟式・棟上げ式とは? ご祝儀や手土産、大工さんへのお礼はどうする? 流れや服装も理解しよう

最終更新日 2024年11月05日

上棟式・棟上げ式とは? ご祝儀や手土産、大工さんへのお礼はどうする? 流れや服装も理解しよう

マイホームづくりがはじまるまで、「上棟式」というものを知らなかった人も多いのではないでしょうか。この記事では、上棟式について“基本のき”から解説。上棟式目的やタイミング、必要な準備、知っておきたいマナーなどを、一級建築士のYuuさんにお話をうかがいました。

上棟式とは?

まずは、上棟式がそもそも何なのかからご紹介します。

上棟式の概要

木造建築で家を建てる場合、柱や梁を組み立てた後、屋根の一番高い位置に棟木(むなぎ)という横架材が取り付けられます。この取り付け作業やそれにかかる儀式を「上棟式」といいます。このほか、棟上げ(むねあげ)や建前(たてまえ)と呼ばれることもあります。

上棟式の目的

上棟式とは、棟上げが無事終わったことを感謝し、今後の工事の無事を祈る儀式です。近年は省略されるケースも増えていますが、一生に何度もあることではないので良い思い出になりそうですね。

「上棟式は無事建物が完成することを願い、上棟できたことを工事関係者と一緒にお祝いする場で、棟上げのタイミングで行う式典です」(Yuuさん、以下同)。

プレハブ工法や2×4工法などでは棟上げという工程がないため、上棟式を行わないというケースもあるようですが、もちろん行うことも可能です。なお、上棟の工程がある木造住宅の場合でも、上棟式をするかしないかは、主催者である施主の判断でOK。もともと神事だった上棟式ですが、最近では工事関係者への慰労やご近所へのあいさつやお披露目の場としての役割のほうが大きくなっているようです。

上棟式のタイミング

では、上棟式は家づくりのどのタイミングで実施されるのでしょうか。

上棟式を行う時期

先述のとおり、上棟式を行うのは棟上げのタイミングです。多少の差はありますが、おおむね着工から1カ月~1カ月半で上棟を迎えると考えておきましょう。特に、基礎工事が済むと棟上げまではさほど時間がありません。上棟式を行う場合は、着工前などの早いタイミングで現場監督やハウスメーカー・工務店の担当者(以下、担当者)などに相談しておきましょう。

上棟式の日程の決め方

では、上棟式の日程はどのように決めるものなのでしょうか。

「上棟式は上棟後の縁起のいい日に行うのが一般的です。冠婚葬祭などの場合は六曜(先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)を参考に日取りを決めるのが一般的ですが、建築の場合は十二直という暦注を基に選定した建築吉日(建、満、平、定、成、開)から日取りを決めます」

ただし、大安であっても、十二直の三隣亡(さんりんぼう)にあたる日などは避けたほうがいいなど、独特の慣例があるそう。日程は、前もって早めに担当者と打ち合わせをして決めておくのが安心です。

上棟式の準備

はじめての上棟式、慌てないよう早めに準備をはじめましょう。ここからは、上棟式にあたって必要となる準備について解説します。

上棟式の準備項目

上棟式までに準備するものは以下のとおりです。地域によって違いもありますので、不明な点は施工業者と相談しながら準備しましょう。なお詳細や予算については、次章の「上棟式の予算は?」で詳しくご紹介します。

参加人数の確認

  • 上棟式でご祝儀を渡す人数
  • 宴会の参加人数(実施する場合)

一般的に、上棟式には施主の家族のほかに工事関係者が出席します。棟梁(大工を統率する責任者)、現場監督、担当者、設計者、職人3~4人など、家族以外の参加者は7~8人程度のことが多いようです。ご祝儀や内祝い、直会(なおらい)(上棟式の後に実施される宴会)の準備などにかかわるので、事前に参加する人数をきちんと把握しておきましょう。

上棟式で使う品物

  • 米、塩、酒、果物や野菜などのお供え物
  • 餅やお菓子(餅まきを行う場合)
  • ご祝儀

食事・飲み物など

  • 参加人数分の宴会の食事や飲み物

上棟式の予算

気になる上棟式にかかる費用ですが、簡易なものであれば予算は10万円程度。お供え、ご祝儀、宴会などの飲食費が主な支出になります。それぞれの内訳を見てみましょう。

上棟式の費用内訳

「米、塩、酒、果物や野菜などをお供えとして施主が用意します。飾り物などは上棟セットという形で販売されているものもあり、施工者側が手配してくれることもあります。何を準備するかは担当者に聞いておきましょう。全部で1万円程度に収まると思います」

お酒、野菜、果物といったお供えは1万円程度

次にご祝儀ですが、金額は地域によって異なるそう。どの程度が一般的か、こちらについても担当者などに相談しておくと安心です。

「一般的には棟梁や現場監督は1万~3万円、職人やその他の関係者は3000~1万円程度。またご祝儀と一緒に渡す引出物も用意するものですが、大体3000~5000円程度のものを用意される方が多いようです」

棟梁へのご祝儀は1万~3万円程度

最後に飲食費ですが、出席者への昼食として2000円程度の仕出し弁当などを用意する方もいる一方、乾きものやお菓子と飲み物だけという場合もあります。

「直会を行わない場合もあるので、かかる費用はケースバイケースです」

お弁当、お茶、ビール、おつまみといった飲食費は1人2000~3000円程度

式の内容によってプラスαの出費も

結婚式などと同様に、お祝いの儀式というものは盛大にやるほど費用がかかるもの。上棟式の場合も簡易なものではなく、神主を呼んで神式の儀式を執り行う場合などには、玉串料などを用意する必要があります。また、地域によっては、近隣の方を招いて、祈願の後に餅まきなどを行うこともあるようです。

「餅まきなどをする盛大な上棟式になると、総費用が30万円くらいかかることもあります」

上棟式で餅まきをしている様子。紅白の餅を拾う家族。
餅まきが行われる地域もあり、また地域によっては小銭やお菓子、タオルなど、餅以外のものをまくこともあります。

上棟式の流れ

最近では簡略化が進み、神主を呼ばないことも多くなっているようですが、もともと上棟式は神社から神主を呼んで執り行う神聖な儀式。祈願の際は神社などで行うのと同様、「二礼二拍手一礼」の作法で行います。式の内容は地域によってさまざまですが、祈願の後には直会や関係者の紹介、施主のあいさつなどを行い、最後にご祝儀などを配ってお開きとなります。

上棟式の具体的な流れ

地域にもよりますが、上棟式の基本的な流れは決まっています。具体的な流れやポイントをチェックしましょう。

(簡易な上棟式)
  • 棟梁が棟木に幣串(へいぐし)と呼ばれる飾り物をつける
  • 祭壇に神饌(しんせん)を供え、飾り物を飾る
  • 棟梁が建物の四隅の柱に、水、塩、米、酒をまいて建物を清める
  • 棟梁の祈願
  • 施主・関係者の祈願
上棟式で、お供え物に一礼をする棟梁と4人家族

四方固めの儀

上棟式にはいくつか重要なポイントがありますが、とりわけ大きな意味を持つのが「四方固めの儀」です。上記手順の3のとおり、家の四隅に水、塩、米、酒をかけることで、建物を清め、無事に工事が完了するよう祈ります。

直会の実施

上棟式の後に実施される宴会を「直会(なおらい)」といいます。かつては当たり前に実施されていましたが、最近は省略されることも多いようです。

「直会を行うと、工事関係者と施主がコミュニケーションを図るいい機会になります。主催者は施主になるのですが、進行や段取りなどは現場監督や大工の棟梁(大工を統率する責任者)が主導で進めてくれます」

直会の実施の有無も事前に決め、参加者に伝えておきましょう。

上棟式の服装

神聖な儀式だからこそ、上棟式を行う際にはいくつか気をつけたいポイントがあります。そのひとつが「服装」です。

施主の服装

上棟式の際、施主の服装に特に決まりはありませんが、お祝いの儀式ということで、フォーマルな服装で臨む人が多いようです。フォーマルといっても結婚式などで着る礼服などではなく、男性の場合、スーツやジャケットを着て、ネクタイを締めた格好などが定番のようです。当日は記念写真を撮ったり、近所の方にあいさつをしたりすることもあるので、きちんと身だしなみを整えておきましょう。

参加者の服装

親族やご近所さんの上棟式に参加する際、服装に悩む人も多いでしょう。こちらも服装に決まりはありませんが、一般的にはフォーマルで落ち着いた服装を選ぶ人が多いよう。ただし、必ずしもスーツやジャケットである必要はありません。ジーンズや半パンなどのカジュアルすぎるアイテムは避け、フォーマルに見える服装を選びましょう。

上棟式のマナー

上棟式を行う際は、参加者はもちろん、ご近所にも配慮する必要があります。最後に、知っておきたい上棟式のマナーを解説します。

ご近所へのあいさつ

通常は着工前にご近所へのあいさつを行っているはずですが、上棟式で餅まきなどを行う場合は近隣の方に集まってもらうので、事前に日程の案内などを兼ねて、再度あいさつ回りをしておくといいでしょう。

「上棟式の際の近隣へのあいさつについては、マナーなど地域差があるものです。工事関係者などに確認をして、地域の慣例にならうと安心です」

手土産やご祝儀の渡し方

ご祝儀は、上棟式がはじまるまでに責任者や現場監督に手渡しましょう。相手へのお礼の言葉や簡単なあいさつを伝えながら渡すと好印象です。封筒には、お金を入れて氏名まで記載しましょう。

また、ご祝儀とあわせて手土産を渡すことも多いです。日持ちする飲み物やお菓子、紅白餅、お赤飯などが主流で、こちらは参加者が上棟式を終えて帰るタイミングでお礼の言葉とともに渡しましょう。

大工さんへのお礼の渡し方

工事をしてくれた大工さんにお礼には、数千円程度のご祝儀やお礼品を用意する方が多いよう。お礼品の場合は紅白のもろわな結び(蝶結び)の水引きをかけ、「上棟式 内祝」や「上棟式記念」と書かれた熨斗をつけるとよりていねいな印象になります。こちらも手土産と同様、上棟式を終えて帰るころに渡しましょう。もし上棟式後も続けて作業する場合は、作業の邪魔にならない休憩時間や帰り際に渡すのがオススメです。

まとめ

上棟式は棟上げのタイミングで行う儀式で、主催するのは施主だが、進行は建築会社がやってくれる

簡易なものであれば予算は10万円前後

上棟式に服装の決まりはないが、フォーマルに近い服装がオススメ

式の内容やかかる費用については地域によって異なるので、担当者に地域の慣例を聞いておくと安心

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取材・文/島田美那子、SUUMO編集部 イラスト/ワタナベモトム
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