ホームインスペクションの費用は? 中古戸建や新築戸建購入を後悔しないための住宅診断とは

最終更新日 2025年12月15日
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ホームインスペクションの費用は? 中古戸建や新築戸建購入を後悔しないための住宅診断とは

中古住宅を購入したいけど瑕疵(かし)が心配……そんな方にオススメなのが「ホームインスペクション(住宅診断)」です。ホームインスペクションとはどのようなことをするのか、メリットとデメリット、ホームインスペクションの費用や流れについて、ホームインスペクション会社のさくら事務所に伺いました。

ホームインスペクションとは?

住宅の状態を専門家が診断すること

ホームインスペクションとは、建築士などの専門家が、住宅のコンディションについて調査を行い、瑕疵の有無や補修すべき箇所、その時期などを客観的に診断することです。住宅診断や建物検査と呼ばれることもあります。

「住宅診断という呼び方は、英語のホームインスペクションを日本語にする際に弊社がつくった言葉です。お医者さんが人間の病気を診断するように、住宅の状態を検査や調査するだけでなく、診断してアドバイスをするという意味を込めています」(さくら事務所 代表取締役社長 大西倫加さん。以下同)

ホームインスペクションは、主に住宅の売買時に利用されます。

「現在は新築戸建の購入時に利用されるケースが多いです。新築戸建のほうが中古戸建と比べるとマーケットが大きいこともありますが、竣工検査のときにホームインスペクションを入れやすいこともあるでしょう。

ただ、近頃の中古マーケットの伸びに応じて、『中古戸建を購入するから利用したい』というご相談が増えています。中古は検討から契約までのタイミングが短いため、ホームインスペクションを入れにくい面はありますが、購入時にリスクヘッジをしたいという買主は増えていると感じます」

ホームインスペクションのイメージ
ホームインスペクションとは住宅の状態を専門家が診断すること(画像/PIXTA)

建物状況調査とは、調査の範囲が異なる

2018年に施行された改正宅建業法では、中古住宅の売買時に、仲介会社は建物状況調査を実施する事業者を斡旋(あっせん)するかを伝えることと、建物状況調査を実施した場合はその結果を説明することなどが義務化されました。

「建物状況調査とは2018年、宅地建物取引業法に規定された既存住宅の調査です。既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が調査し、報告書にまとめます。

調査項目はおおよそ40項目程度で、全箇所でなく抜粋調査であること、また簡易な状態の記載を行う報告書のみ提出されるのが特徴で、建築士から直接アドバイスなどを受けることはできません。

一方、ホームインスペクションは調査会社によって若干の違いはあるものの、弊社の場合100項目を超える全体調査を行うこと、また報告書だけでなく依頼者に直接アドバイスを行ったり、ご質問ご相談をお受けするスタイルをとっているのが大きな違いです。より詳しく建物の状況を知りたい場合は、ホームインスペクションを利用することをおすすめします」

ホームインスペクションのイメージ
ホームインスペクションは、床下や屋根裏など建物の深い部分に入り、表面からは見えにくい部分も調査するのが一般的(画像提供/さくら事務所)

売主から見たホームインスペクションのメリット・デメリットは?

売主のメリットは、売却後のトラブルを防ぎやすいこと

ホームインスペクションを利用する売主のメリットは、調査結果(=建物の状態)を開示して売却すれば、契約後のトラブルを防ぎやすいことです。さらに、中古と新築ではそれぞれにメリットがあります。

「新築の場合、物件の売主は不動産会社などの事業者が一般的です。工事の終了時にインスペクションを入れて不具合がないかチェックしておけば、より良い状態でお施主様との竣工検査に臨めると思います。

中古の場合、売主はほとんどが個人で、そこに住まわれていた方です。住んでいた方が丁寧にメンテナンスしていると建物のコンディションが良いケースが多く、ホームインスペクションで現状を明確にすることでより高く売却できる可能性があります」

売主のデメリットは、修繕費がかかる可能性があること

売主のデメリットは、新築・中古問わず、ホームインスペクションの結果次第で修繕費がかかる可能性があることです。特に中古戸建で雨漏りやシロアリなどの被害があると、修繕部位が広くなり、修繕費が高くなる傾向があります。

「中古物件のホームインスペクションを依頼される売主の多くが『建物の状態が分かると売れなくなるかも』と危惧されますが、それは誤解だと思っています。

買主は、その物件の立地や価格を気に入り、購入を希望されるケースがほとんどです。仮にインスペクションで瑕疵が見つかっても、引き渡し前に修繕したり、その分を値引きしたりすることで納得して購入されるケースが多いのです。

売却後のトラブルを避けるためにも、建物の状態を開示して契約することが、売主にとって真のメリットといえるでしょう」

売主のメリット・デメリットまとめ
■メリット
  • 調査結果を開示して売却すれば、契約後のトラブルを防ぎやすい
  • (新築の場合)より良い状態で買主との竣工検査に臨める
  • (中古の場合)現状を明確にすることでより高く売却できる可能性がある
■デメリット
  • ホームインスペクションの結果次第で修繕費がかかる可能性がある
瑕疵による値引きのイメージ
ホームインスペクションで瑕疵が見つかっても、値引きや引き渡し前の修繕により売却はスムーズに進むことが多い(画像/PIXTA)

買主から見たホームインスペクションのメリット・デメリットは?

買主のメリットは、状態が明らかな住宅を手に入れられること

買主のメリットは、住宅の状態を明らかにしたうえで購入できることです。さらに、中古と新築はそれぞれにメリットがあります。

「新築の場合、竣工検査と併せてホームインスペクションを行えば施工不良を徹底的にチェックでき、施工不良が見つかったら引き渡しまでに設計図どおりへの修繕を要求できます。もし建売住宅の購入契約の前なら、大きな不具合が発覚したときに購入をやめる判断もできます」

中古の場合、何らかの瑕疵が見つかったとき、それは修繕できるのかと、修繕する際の費用を把握したうえで購入を検討できます。修繕費用が分かれば、それを元に価格交渉もしやすくなるでしょう」

買主のデメリットは、競合負けする可能性があること

買主のデメリットは、他に購入希望者がいる場合、そちらに流れてしまう『競合負け』をする可能性があることです。

「最近は中古住宅のニーズが高まっているため、ホームインスペクションを行いたいと申し出ると、調査・診断期間が必要なことや、売主や管理組合などに許可を得る手間などが敬遠され、他の購入希望者を優先されるケースもあるようです」

買主のメリット・デメリットまとめ
■メリット
  • 住宅の状態を明らかにしたうえで購入できること
  • (新築の場合)施工不良をチェックでき、施工不良が見つかったら引き渡しまでに設計図どおりへの修繕を要求できる
  • (中古の場合)瑕疵が見つかったとき、修繕できるのかと、修繕する際の費用を把握したうえで購入を検討できる
■デメリット
  • 他に購入希望者がいる場合、そちらに流れてしまう『競合負け』をする可能性がある
中古住宅購入で他の希望者が優先されるイメージ
ホームインスペクションの手間や期間が敬遠されて、他の購入希望者が優先されてしまうことも…(画像/PIXTA)

ホームインスペクションの費用相場は?

ホームインスペクションの費用は、住宅の種類や広さ、調査内容、診断報告書作成の有無などで変わります。さらに、同じ調査内容でも、ホームインスペクション会社によって費用は異なります。ここでは基本的な調査・診断の費用相場をご紹介しましょう。

マンションの基本的な調査・診断は4万~6万円が目安

マンションの基本的な調査とは、専有部分をチェックし、施工不良や不具合の有無を報告してくれるというもので、報告書は文字情報のみが一般的です。写真付き報告書の作成を依頼したり、共用部分の管理状況もチェックするサービスを付加したりすると、その分料金は高くなります。

一戸建ての基本的な調査・診断は5万~7万円が目安

一戸建ての基本的な調査とは、水まわりや廊下を含めた室内、屋根裏、床下などをチェックし、施工不良や瑕疵の有無を報告してくれるというものです。マンションよりも費用が高いのは、調査項目の数が多いことと、調査のために床下や屋根裏など深い部分に入る必要があるためです。

一戸建ての報告書も基本的に文字情報のみとなります。写真付きの報告書の作成を依頼したり、ファイバースコープのような専門機器で壁の内側をチェックするサービスを付加したりすると、その分料金は高くなります。

ファイバースコープカメラを使ったインスペクションの様子
ファイバースコープカメラを使ったインスペクションの様子。天井裏やコンセントなどから壁の内側を通して構造躯体や床下部分などをモニターで確認。記録や計測も可能(画像提供/さくら事務所)

ホームインスペクションの流れは?

依頼先を選ぶポイントは3つ

ホームインスペクションはここ10年ほどで認知度が高まり、ようやく全国各地に専門の事業者や個人が増えています。ネットで検索して複数の事業者を見つけたとき、どのような視点で選べばよいのでしょうか。依頼先を選ぶ3つのポイントを紹介します。

1.どのような人が現場で診断するのか
「ホームインスペクションは建築士などの有資格者が行うという規定はなく、専門機関で研修を受ければ調査ができます。弊社では建築士の資格をもつインスペクターが調査し、建物状況だけでなく、設備の使い方、建具の自分でできる簡単なメンテナンスなどをプロ目線でアドバイスしています」

2.売主側に属する事業者や個人は避けたほうがよい
「物件を早く売りたいために、調査範囲を最小限にして瑕疵を見つけにくくする、仮に瑕疵を見つけても忖度(そんたく)して『グレー』と報告されてしまうなどの可能性は否めません。特に、インスペクションを無料で実施しているケースは注意して下さい」

3.ローン借入れやローン控除に必要な証明書や診断書を作成してもらえるか
「例えば、住宅ローンに【フラット35】を利用したい場合、適合証明書や瑕疵保険付き住宅保証書などが必要で、ローン控除を受けるためには耐震診断書が必要になるケースもあります。調査はするものの、これらの書類は作成しない事業者もいるので、必要なら事前に確認しておきたいですね」

瑕疵保険付き住宅保証書のイメージ
瑕疵保険付き住宅保証書の例。中古住宅購入時に【フラット35】を利用する場合、必要になる(画像提供/さくら事務所)

利用のタイミングは契約前がベスト

住宅購入時にホームインスペクションを利用したい場合、ベストタイミングは売買契約前です。

「契約前に専門家に診断してもらえば安心して購入できますし、瑕疵が見つかったら購入を中止することもできます。

ただ、中古住宅の場合、早く契約できるほうが優先されることがあるので、その場合はまず契約し、引き渡し前に利用するとよいでしょう。契約後に瑕疵が見つかっても契約解除は難しいのですが、引き渡し前までに修繕することを求めたり、修繕に必要な費用の請求交渉ができます」

調査・診断にかかる時間は2~3時間程度

ホームインスペクションにかかる時間は、建物の種類や広さ、調べる箇所の数にもよりますが、2~3時間程度が一般的です。ただし、床下や屋根裏に進入して調査、あるいはコンクリート状態など機材を用いた調査では、さらに1~2時間程度の時間が必要になります。

調査・診断の報告は、依頼者が調査に同席していると終了後に行われるケースもあります。書面の報告書は、調査後、数日から1週間後に郵送などで送付されます。

ホームインスペクションの写真付き報告書のイメージ
写真付き報告書のイメージ。報告書に写真があるほうが視覚的に理解しやすいうえ、入居後、補修・メンテナンスやリフォームを行うときに資料として活用できる(画像提供/さくら事務所)

ホームインスペクションで中古住宅への不安は本当に解消できる?

中古住宅の診断実績が豊富な会社へ依頼したい

雨風から人の暮らしを守る住宅は、年月を経るとどこかに不具合が生じるのが普通です。

「中古住宅を購入するなら、ホームインスペクションを入れることを強くおすすめします。ただし、中古住宅は建物の状態が物件により大きく違うため、インスペクションがとても難しい面があります。一級建築士の資格をもっていれば正しくチェックできるということでもありません。

弊社では、リフォームの現場監督などで中古住宅をたくさん見ている経験者が多いですし、経験がない者にはしっかりとした研修を実施しています。このような『プロ人材』ができるだけ多い会社、また調査だけでなくコンディションや対処法についてアドバイスに注力している会社に依頼することが不安解消に役立つでしょう」

中古住宅なら補修が必要な箇所があるのは当然と考えると、売買に際して重要なのは『建物の現状を正確に把握すること』といえます。トラブルを避けるためにも、中古住宅の専門知識や調査経験が豊富なホームインスペクターに依頼し、納得したうえで購入したいですね。

まとめ

ホームインスペクションとは、建築士などの専門家が、住宅のコンディションについて調査を行い、瑕疵の有無や補修すべき箇所、その時期などを客観的に診断すること

メリットは建物状態を開示したうえでの売買ができるので、トラブルを防ぎやすいこと。デメリットは状況により修繕費が生じたり、他の購入希望者を優先されたりすること

ホームインスペクションの費用相場は、マンションで4万~6万円、一戸建てで5万~7万円。写真付きの報告書作成や専門機器を使用してより詳細な調査を依頼する場合、プラスで費用が発生する

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取材・文/山南アオ 
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