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屋根部材の一部である広小舞(ひろこまい)とは、どの部分を指し、どのような役割があるのでしょうか?そして広小舞が腐食したり壊れたりした場合にはどう対応したらよいかなど、広小舞の基礎知識について、優建築工房の大坂さんに教えていただきました。
私たちが外から見ることのできる屋根は、「屋根材」や「仕上げ材」と呼ばれるもので、屋根のほんの一部です。屋根の構造はどのようになっているのか、簡単に確認してみましょう。
まず、一般的な屋根の骨組みの部分についてです。屋根の高さを支えているのが小屋束で、小屋束は、棟木と母屋を支えています。さらに、棟木と母屋は垂木を受けて支えるという構造になっています。
次に、骨組みの上に乗る下地や仕上げ材は、屋根の下地となる野地板と呼ばれる板が、垂木の上に張られます。広小舞は垂木の上、野地板の一番軒先側に取り付けられる板のことです。野地板の上には、下葺き材が葺かれます。下葺き材まで完成したら、その上に、瓦などの仕上げ材が葺かれ、私たちが普段目にするような屋根になります。

広小舞はどの部分を指すのでしょうか。
「普通の屋根は、垂木(たるき)という屋根を支えている長い木材があり、その上に野地板(のじいた)と呼ばれる板があり、さらにその上に瓦などの仕上げ材が乗っているという構造になっています。その野地板の一番外側、鼻先の部分についているのが広小舞です。

「もともとは瓦屋根をつくるときに使われていたものですが、瓦屋根以外の屋根をつくるときでも、なにかしら広小舞にあたる部材は使いますね。屋根の仕上げ材に合わせてさまざまな形状があります。薄い板のようなものもありますし、断面が三角形になっているものもあります」(優建築工房の大坂さん、以下同)
広小舞の役割を説明する前に、関連する屋根材の他の部位について紹介します。
| 部位 | 役割 |
|---|---|
| 棟木(むなぎ) | ・屋根の頂(一番高い位置)にあり、垂木を支えている |
| 垂木 | ・棟木から垂直に、垂れるような形で付けられており、屋根の下地を支えている ・屋根の長さ×4cm×4.5cm程度の立方体の木材を45cm間隔で取り付けることが多い(木材の大きさは費用や、どの程度頑丈につくるかで変わる) |
| 鼻隠し | ・垂木の切り口の部分を隠している |
| 野地板 | ・垂木の上に張る板で、瓦などの仕上げ材の下地の役割がある |
| 軒桁(のきげた) | ・屋根組の一番下、屋根と柱の間にあり、垂木を支えている |
| 軒天(のきてん) | ・軒の裏側(下側)部分のことで、垂木や野地板などを隠し見た目を整える ・雨や日差しから外壁を守る |
| 破風板(はふいた) | ・屋根が三角に見える側に立ったときに見える山形の部分のこと |
広小舞には、主に5つの役割があります。順番にみていきましょう。
野地板の上には瓦などの仕上げ材があるので、基本的に雨に濡れることはありません。ですが、一番鼻先の部分は仕上げ材に覆われていないので、雨や湿気の影響を受けて劣化しやすいという特徴があります。広小舞があると野地板が守られるので、劣化しにくくなります。
野地板はベニヤ板を使うことがほとんどなのですが、ベニヤ板は合板なので、湿気などで接着面が劣化してバラバラになってくることがあります。広小舞は、基本的に無垢(むく)材(丸太から切り出したままの、貼り合わせなどをしてない木)を使います。合板である野地板の切り口の部分に無垢の木である広小舞をつけることで、合板を鼻先まで伸ばした場合のように、先端がバラバラになったり、波打ったりすることを防ぎます。
前述したとおり、垂木は多くの場合「屋根の長さ×4cm×4.5cm」程度の細長い木材です。サイズは、費用やどの程度頑丈につくるかによって変わります。広小舞は、破風板と同じようにこの垂木の振れ止めという役割もあります。
瓦は、一段下の瓦に頭の部分を載せることで角度を保っています。そのため、一番軒先側の瓦は角度がつかなくなってしまいます。広小舞の厚みの部分に瓦の頭が載ることで、すべての瓦の角度がそろい、見た目も美しくなります。
軒先を下から見上げたとき、野地板のベニヤが見えるよりも、無垢材の広小舞が見えた方が、見た目が良くなります。広小舞には化粧材のような役割もあります。
前述しましたが、広小舞は丸太から切り出したままの木材である、無垢材を使うのが一般的です。どのような種類の木が適しているのでしょうか?
「なるべく水や湿気に強いものが良いので、スギやヒノキが多いのではないでしょうか。伝統的な茶室や純和風の邸宅を建てるときには、ヒバやサワラなどといった、耐久性の高い素材を使う建築会社もあると思います」

「屋根は、住んでいる方が自分で長持ちのためのケアをするのはなかなか難しい部位です。
屋根の劣化を早めるような要素を知っておき、劣化が進んでいないか目で見てチェックをするのが良いと思います。屋根の異変に気づいたら、きちんとした検査を業者にお願いしましょう」
屋根の劣化が早まりやすい要素を紹介します。
沖縄など台風が多い地域は屋根も傷みやすくなります。
雪の多い地域も、屋根の負担が大きくなります。積雪量の多い地域であれば、当然雪に耐えられるような設計になっていますが、住んでいる方も自覚をもって本格的な雪の季節の前に目視でチェックをしておくと良いでしょう。
雨樋(あまどい)に落ち葉が詰まってしまい、雨が樋からあふれてしまうことがあります。屋根は雨の流れを計算してつくられているので、想定外の部分に雨がかかると劣化につながります。
そして屋根に生えた雑草にも気をつけましょう。雑草の根が屋根の下に入り込み、劣化を早めることがあります。
屋根はさまざまな素材の組み合わせなので、一部が壊れたり劣化したりすると、その影響はいろいろなところにでてきます。
「例えばですが、最近の日本の住宅で一番よく使われているコロニアルという素材で仕上げをしている場合、広小舞が劣化すると仕上げ材の下に風が入りやすくなり、台風でコロニアルが飛んだり割れたりする可能性が高くなります。
瓦の場合は、広小舞の劣化や腐りによって瓦が波打つようにゆがんだり、瓦が脱落したりする可能性があります。また、広小舞の劣化によって瓦が下にずれていくこともあります」

野地板や垂木を守ってくれる広小舞ですが、その広小舞自体が腐食したり壊れたりしているかは、どのようにたしかめたら良いのでしょうか?
「基本的には、プロの業者に相談してください。一般の方が屋根に上ってチェックをするのは危険です。
ですが、広小舞は瓦などと違って、下から屋根を見上げたときに目で見ることができる部分です。ときどき自分でも広小舞の状態を見て、変色、腐食などの劣化がないかチェックしておくとなお良いと思います。また、軒先や鼻先も、木材がバラバラになっていたり、波打ったり、風でパカパカ動いたりしていないか一緒に確認しておきましょう。
ただし、屋根は目に見えない部分がほとんどなので、なかなか異常や劣化に気付きにくいもの。目視で異常がないからといって、点検や修理が不要というわけではありません。
家を建ててくれた建築会社に、どのくらいの頻度で点検をしたらよいのか確認しておきましょう。その頻度を守ったうえで、自分でもときどき目でチェックし、異常があればプロに相談というかたちが理想的です」
通りがかりの業者や、訪問営業で「屋根の修理が必要ですよ」と言われたら、どうしたら良いのでしょうか?
「いきなり知らない業者に屋根の修理や点検を申し出られても、屋根の上にあげないようにしましょう。点検だけなら無料と言われたり、当日中に直してあげると言われたりすることもあるようですが、それでもお断りすることをオススメします。
一度屋根の上に上がられてしまったら、そこで何をしているのか住民の方にはわからないからです。壊れているから今すぐ修理が必要と言われても本当なのか、料金が正当なものかも判断がつきませんよね」
もし屋根の修理が必要と言われても、いったん断り、家を建ててくれた業者や知人の紹介をはじめ、信頼できる業者に見てもらいましょう。
信頼できる業者を見つけるところからスタートする場合は、複数の業者に見積もりをしてもらって比較するのがオススメです。
広小舞は軒先の先端、垂木の上に取り付ける少し厚めの板で、スギやヒノキの無垢材が一般的
野地板を守り垂木の振れ止めになり、瓦の角度を調整し、下から見上げたときの見た目を良くしてくれる
広小舞が劣化すると、屋根の仕上げ材が浮いてしまったり、部分的に波打ってしまったりという不具合がでる