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暖炉の炎がもたらす癒やし効果と、温かさを備えつつ、インテリア性が高くエコにも配慮している「バイオエタノール暖炉」。
居間に暖炉と聞くと価格が高く、工事が必要などハードルの高さがイメージされます。しかし、その点でも意外に手軽な「バイオエタノール暖炉」とは、一体どんなものなのでしょうか? バイオエタノール暖炉の認可や普及を促進する一般社団法人日本バイオエタノール暖炉協会、一般社団法人日本暖炉ストーブ協会に伺いました。

ホテルのロビーやプールサイド、バーなどで、センスのよいインテリアとして炎が空間を彩っているのを見かけたことはありませんか? これは、バイオエタノール暖炉と呼ばれ、2011年ごろから登場した暖炉です。
「当協会がバイオエタノール暖炉として東京消防庁に設置許可をもらっている製品はエコスマートファイヤーという商品です。これらは5つ星ホテルでの導入から火が付き、今では湾岸エリアのマンション居住者などに人気があります」と一般社団法人日本バイオエタノール暖炉協会は言います。
まだまだ耳新しいバイオエタノール暖炉ですが、バイオエタノールとは使用する燃料の名前です。従来の暖炉は燃料である薪を用意する必要があるほか、薪の保管場所に困ったり、適切に保管できずに薪が湿気ってしまったりといった問題点がありました。しかし、バイオエタノール暖炉は、トウモロコシやサトウキビなど植物由来の資源(バイオマス)からつくられるアルコールを燃やした炎で暖を取る暖炉なのです。
このバイオエタノールが燃焼すると二酸化炭素が発生し、植物に吸収され光合成によって生長する糧になります。つまり地球に優しいエネルギー循環をつくり続けるカーボンニュートラルな暖房だといえるのです。電気やガス、薪を使わないので、有害物質や煙、不快なにおいやススなども出ないので、煙突は不要ですし、複雑な配管工事も必要ありません。
もうひとつの特徴が二酸化炭素によって水蒸気が生まれる暖房であること。そのため部屋が乾燥することがありません。エアコン使用時のように加湿器の必要もなく、肌に良いという方もいらっしゃるそうです。
気になる暖める力ですが、バイオエタノール暖炉エコスマートファイヤーの場合なら、小さい製品だと15畳程度、大きな製品であれば35畳くらいの部屋を暖めることが可能だそう。それ以上の場合は2台置くことをおすすめしているのだとか。


炎を手軽に楽しめるバイオエタノール暖炉ですが、暖房として利用するにせよ、観賞用として利用するにせよ、よく使うものであれば、安全性やメンテナンスの面は非常に重要です。バイオエタノール暖炉を楽しむためにも、事前に選び方を押さえておくことをおすすめします。
手軽といっても火を扱う製品となるため、安全性は大きなポイントのひとつ。バイオエタノール暖炉にも安全規格があるため、選び方の目安としては、どのような安全規格認証を取得しているかをしっかりチェックするとよいでしょう。
また、埋込み型などの場合は、家具や壁などに設置するため、安全面は特に厳しくチェックを行いましょう。
インテリアとして大きな存在感を示すバイオエタノール暖炉。それだけにサイズや素材感、そして重要な炎の出方など、事前に十分にチェックしましょう。イメージ写真を見ているだけでは、思っていたのと違う、ということも。事前に設置する部屋の採寸はきちんと行っておきましょう。
よく使うものだからこそ、運用する上で手軽かどうかも重要なポイントです。台座となる容器は丈夫なものなのか、設置する上で問題点はないか、着火・消火は簡単に行えるのかなど、家に設置したあとをイメージしてチェックしましょう。
また、メンテナンス相談窓口などがあるかどうかもチェックしておくとよいでしょう。

そもそも暖炉も薪ストーブもバイオエタノール暖炉も暖房器具だけの目的で導入される人はそう多くはなく、「暖炉のあるゆとりがある暮らしをしたい」「炎を部屋に取り込んで楽しみたい」という方が大半とのこと。
「暖炉や薪ストーブを導入される方は、ログハウスや別荘などの家を建てる設計段階から置く位置や煙突などの設計を楽しみ、薪を自分で割り2年かけて乾燥させて使い、1年に1度は煙突掃除をするという手間さえも楽しんで暖炉のあるライフスタイルを楽しみます。一方、バイオエタノール暖炉を導入される方は、都心のマンションに暮らしながらも、自分の空間を好きな音楽や照明で彩るように、炎をインテリアのように楽しみながら特別な時間を過ごしたくて導入されている」のだと一般社団法人日本バイオエタノール暖房協会では教えてくれました。
こうしてみると、単純に暖を取るためだけの器具ではないことが見えてきます。使う目的を見極め、これは主暖房なのか、補助暖房なのか、調理に使いたいのか、インテリアや癒やしの道具なのかなど目的をはっきりさせることが大切です。
主暖房として使うならやはり暖炉や薪ストーブの熱出力は大きく、一度暖まると冷めにくいという良さがあります。「特に薪ストーブは、天板の上に置いた鍋で煮込み料理をするのに適しています。また炉内にある棚でダッジオーブン料理もできますから、まさにスローライフ・クッキングをしたい人に人気があります」と一般社団法人日本暖炉ストーブ協会は言います。
床暖房やエアコンがある場合の補助暖房としては、やはり暖炉型ヒーターのほうが素早く暖める能力は高いのですが、部屋全体を暖めるのには向いていないようです。
バイオエタノール暖炉は、料理などの実用性はありませんが、暖かさとインテリア性を手軽に享受できるという利便性が魅力です。

このように手軽に暖炉のある生活が楽しめそうなバイオエタノール暖炉ですが、価格やその後のランニングコストはどうなのでしょう?
ストーブのようにリビングにポンと置くものから、暖炉のようなスペースに入れるもの、壁にはめ込むものまで多種多様ですが、手軽なものなら20万円台から、設置工事が必要なものになると200万円台までという価格バリエーションが目安です。一方、本格的な暖炉になると本体と煙突材料費に工事費用で150万円台から300万円台というのがひとつの価格目安です。暖炉の周囲をもっと凝りたい方の化粧工事などの費用は別途かかります。また、薪ストーブは本体と煙突工事で100万円前後が目安です。
また気になる燃料費ですが、バイオエタノール10Lあたり約5300円。1時間あたり160円~580円くらいの燃料費がかかります。薪ストーブと比べてもそんなに高くはないのですが、やはり電気やガスと比べると高いのでは?と思う人もいるはずです。
暖炉、暖炉型ヒーター、薪ストーブ、バイオエタノール暖炉の特徴を一覧表にしてみましたので、参考にしてください。

暖炉・暖炉型ヒーター・薪ストーブ・バイオエタノール暖炉(※)の比較表
※バイオエタノール暖炉はエコスマートファイヤーで比較
| 暖炉 | ・薪が燃料 ・開放式構造のため、煙突効果により6割ほど熱を奪われるが炉からの輻射(遠赤外線放射)は効果大 ・壁への埋め込み式が多い |
|---|---|
| 暖炉型ヒーター | ・暖炉を模した電気ヒーター ・設置型や壁掛け型などがある ・ガラス部分は熱くならない ・炎はLEDやハロゲンで演出 |
| 薪ストーブ | ・薪が燃料 ・本体は鋳鉄や鋼鉄製 ・本体を居室に直に設置する ・空気を調整でき、暖房効果大(遠赤外線放射) |
| バイオエタノール暖炉(※) | ・電気、ガス、薪を使わずにバイオエタノールを燃料とする暖炉 ・手軽に部屋の中で、本物の炎を楽しめる新しい暖炉 |
| 暖炉 | 本体+煙突材料費+施工費用で、150万円~300万円 |
|---|---|
| 暖炉型ヒーター | 1万円~(本体価格のみ) |
| 薪ストーブ | 本体+煙突材料費+施工費用で100万円前後 |
| バイオエタノール暖炉(※) | 20万円~200万円(施工費含む) |
| 暖炉 | 薪1束 500円~800円(約2時間分) |
|---|---|
| 暖炉型ヒーター | 1500w/1時間 約40円、600w/1時間 約16円 (※1) |
| 薪ストーブ | 薪1束 500円~800円(約2時間分) |
| バイオエタノール暖炉(※) | 160円~580円/1時間 バイオエタノール10Lあたり 5300円 |
| 暖炉 | ・煙突、床の補強や壁の不燃化など専門的な工事が必要 ・工事期間:約1カ月で設置可能 ・マンション不可 |
|---|---|
| 暖炉型ヒーター | ・設置型:重量があり、設置後の移動はむずかしい ・壁掛け式:壁の下地の状況など場所を選ぶ |
| 薪ストーブ | ・煙突、床の補強や壁の不燃化など専門的な工事が必要 ・工事期間:約1カ月で設置可能 ・マンション不可 |
| バイオエタノール暖炉(※) | ・煙突や配管が不要 ・マンションにも後から設置可能 ・設計の制約を受けず、自由度が高い ・設置期間:1週間~2カ月(※2) |
| 暖炉 | 薪(乾燥したもの) |
|---|---|
| 暖炉型ヒーター | 電気(340w前後) |
| 薪ストーブ | 薪(乾燥したもの) |
| バイオエタノール暖炉(※) | バイオエタノール(アルコール)。バイオマス(トウモロコシやサトウキビなど植物由来の資源)からつくられる |
| 暖炉 | 必要 |
|---|---|
| 暖炉型ヒーター | 基本必要なし |
| 薪ストーブ | 必要 |
| バイオエタノール暖炉(※) | 1時間に1回 |
| 暖炉 | 主暖房 |
|---|---|
| 暖炉型ヒーター | 補助暖房(※3) |
| 薪ストーブ | 主暖房 |
| バイオエタノール暖炉(※) | 主暖房になるが、インテリアとして使う人が多い |
| 暖炉 | ・開放型は爆ぜる火の粉のガードのためスクリーンが必要 ・室内負圧による煙の逆流あり |
|---|---|
| 暖炉型ヒーター | 機能として ・転倒オフ機能 ・高温安全装置・温度調整機能つきなどがある |
| 薪ストーブ | ・扉つきの製品が多い ・室内が負圧になると煙の逆流がある ・換気に注意 |
| バイオエタノール暖炉(※) | 有害な煙が出ず、一酸化炭素が出ないため中毒症状が発生しない |
| 暖炉 | 年に1回は煙突掃除が必要(5万円~8万円) |
|---|---|
| 暖炉型ヒーター | ほぼ必要なし |
| 薪ストーブ | 年に1回は煙突掃除が必要(5万円~8万円) |
| バイオエタノール暖炉(※) | ・大きなメンテナンス不要 ・バーナーの内側を水洗い |
| 暖炉 | ・部屋の格式や席次を決める調度品 ・薪保管場所も必要 |
|---|---|
| 暖炉型ヒーター | 電子レンジとの併用は電圧に注意 |
| 薪ストーブ | ・天板があるので、料理なども楽しめる ・薪保管場所も必要 |
| バイオエタノール暖炉(※) | ・炎を鑑賞する ・インテリアにもなる |
こうしてみると、最も手軽に火影を楽しむ暖房器具なら、暖炉型ヒーターだといえるかもしれません。電気やガスで使えるので、スイッチひとつで部屋を暖められ、ランニングコストも低く抑えられます。
ただし炎に見えるものは、LEDやハロゲンランプで演出したもの。バイオエタノール暖炉エコスマートファイヤーを使って、「実際の炎とLEDの炎を見た時の脳波の比較」を東京大学薬学部の池谷裕二教授が行ったところ、「エコスマートファイヤーの炎を見た人のほうに副交感神経が出てリラックス度が高くなる」という最新の研究結果が得られたといいます。これは1/fゆらぎ理論を証明するもので、やはり本物の炎の不規則なゆらぎのほうが、優しく人を癒やしてくれるようです。
参考論文:炎を見ることにより脳波に及ぼす影響(J. Neuronet., 417:1-9, 2019より改変)
東京大学 池谷裕二 教授


バイオエタノール暖炉は、煙突を使わず、電気・ガスも用いずに火を空間に取り入れるという今までになかった商品だけに安全性が気になるところです。
バイオエタノール暖炉エコスマートファイヤーは、アメリカのUL認証などを得て、安全面の担保のためにEU、英国、オーストラリアなどの安全基準にも即しているのだとか。ストーブと同じ気軽さで設置することで、自分の家にリラックス空間をつくれそうです。
こうしてみてくると自分の家のリビングに暖炉のある生活が憧れでなく、身近に手軽になってきたような気がしてきました。自宅でたき火をする贅沢な時間を手に入れるのは、非日常を部屋の中に再現できるという自分へのとっておきのおもてなしなのかもしれません。