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建物の一番下部にくるのが基礎。「耐震性にとっては非常に大事な部分。地盤対策が必要な場合は、それを行ったうえで基礎をその地盤に載せることが大事です」と日本住宅・木材技術センター所長の岡田さん。また、基礎が建物に対して果たしている役割として、「上に載る建物をがっちりまとめ一体化するのと壁をしっかり支える役割があります。地震の際などに構造部がバラバラにならないよう下で固めているのです」と説明。
「構造部については、構造を支える壁(耐力壁)の量が重要です。さらにその壁が家全体にバランスよく配置されることで、建物を揺れから守ります」と岡田さん。
わが国で多く用いられている木造軸組工法については、壁の量や配置に関して、これまでの耐震基準の改正によって、壁の量の規定と配置の計算方法が示されている。「計算の方法にしたがって設計すると、バランスのとれた配置ができるようになりました」と岡田さん。
こうした改正によって、「現行基準を守れば、一定の耐震性が確保されるようになった」という。
木造軸組工法に関して、「もう一つ重要なのは、木材同士の接合部。柱や筋交いが揺れで引き抜かれないように堅結しなければなりません。そのため補強金物を用いるようになりました」(岡田さん)。これについても基準によって「金物を用いる場所と金物の形が規定されているので、それを守ればよい」とのこと。「基礎、壁量、接合部の緊結、この3つをきちんとやれば、木造軸組住宅の耐震性は確保されます」と岡田さんは話している。
標準的な基礎の仕様は「布基礎」と「ベタ基礎」
基礎は鉄筋コンクリートが一般的。また、基礎の仕様は建物の外周部などに連続した布基礎とするか、強固な盤面とするベタ基礎(図参照)がある。「面で固めるベタ基礎のほうがより一体感が増す」(岡田さん)という。

木造軸組では筋交いの入った耐力壁が重要
木造軸組工法は柱と梁などの木材の「軸」で構造体を構成する工法。この場合、耐力壁と呼ぶ筋交いなどの入った壁を家全体にバランスよく配置することで耐震性を確保する。この壁は、地震の揺れなど水平力(横から加えられる力)に対して抵抗する壁だ。建物の4隅を耐力壁で固め、壁量が面によって偏らないようにすることが大事。耐力壁には、筋交いの代わりに、構造用合板などでできた面材を用いる場合もある。

用いる金物が部位ごとに決められている
木造軸組工法の場合、木材同士を組み合わせたうえで、その接合部を補強金物で止めるのが基本。「過去の震災で接合部が引き抜かれたケースが多かったため、補強金物は、どの部位をどの金物で止めるのかまで、建築基準法関連の告示で細かく決められています」(岡田さん)。それによって接合部を強固にし、地震の揺れなどで金物が外れ、接合部がバラバラになることを防止している。

構造体を支える方法がそれぞれ異なる
本文では、日本の木造住宅に多い「木造軸組工法」について耐震性のポイントを述べてきたが、他工法ではポイントがそれぞれ異なる。例えば2×4工法は「面」で構造体を構成し、その配置のルールを細かく決めることで耐震性を確保。またRC造の低層住宅に多い壁式構造も、同じように「面」で構成し、外せない構造体としての壁で支えている。そのほか重量鉄骨造のように太い柱と梁のラーメン構造で支える工法もある(一部木造でも筋交いのいらないラーメン構造がある)。これらの工法の場合、建築会社によく説明を聞くのがよいだろう。
