一人暮らしにガスコンロは必要? IHとの違いは? 賃貸物件のコンロ事情と備え付けがないときの対処法まで解説

公開日 2024年02月16日
一人暮らしにガスコンロは必要? IHとの違いは? 賃貸物件のコンロ事情と備え付けがないときの対処法まで解説

一人暮らしで賃貸の部屋を借りるとき、備え付けのコンロがあるかは確認したい項目です。特に自炊をする人は、備え付けのコンロがあるのか、あった場合はガスなのかIHなのか必ずチェックしましょう。この記事では、賃貸物件に多いガスコンロやIHコンロに関する基礎知識のほか、都市ガスとプロパンガスの違い、コンロは何口あればいいのか、物件にコンロが付いていない場合、コンロをどう選べばいいのかなどを、部屋探しのプロである明光トレーディングの武澤さんに聞きました。

賃貸物件はコンロが備え付けられているとは限らない

コンロ備え付けの賃貸物件は東京で7割強

賃貸、分譲に限らず、コンロは部屋に備え付けの場合とそうではない場合があります。
具体的には、次の4パターンです。

  • コンロ(ガスまたはIHなど)が設備として備え付けられている
  • 取り外しが可能なコンロが設置されている
  • 前の居住者が残していったコンロが設置されている(部屋の設備ではない)
  • コンロの設置がない

「当社で扱う都市部の分譲マンションでは9割程度はガス、IH含めたコンロの備え付けがありますが、地域によってその割合に差はあります。備え付けがある中で、ガスとIH(電気コンロも含む)の割合は7:3くらいで、最近どちらかが増えてきたということはありません」(武澤さん)。

一方、首都圏の賃貸物件を見てみると、コンロ備え付け物件(ガス、IH含む)は東京・神奈川で7割程度、埼玉、千葉で6割強となっており、都市部で割合が高い傾向があります。また、「築年数が新しいほうがコンロ備え付け物件は多い印象で、高層マンションの高層階は火災が起こりにくいIHが多い傾向があります」(武澤さん)。

ガス、IHそれぞれでは、IH設備がある物件は関東では約52万件で、関東の賃貸物件数(約280万件)の2割弱、残りの8割強がガスとなっています。都市部を離れるに従いガスの備え付けの割合が増える傾向がありますが、築年数の新旧ではガス・IHの割合に差はないようです。
※SUUMO賃貸関東物件検索(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県)で、「IHコンロ」の項目のみで絞込み検索/2024年1月22日/SUUMO編集部調べ

一人暮らしの部屋に備え付けられたガスコンロ
都市部のほうがコンロ備え付け物件の割合は高い傾向がある(画像/PIXTA)

コンロが備え付けの場合は「部屋の設備」欄に記載あり

一人暮らしで自炊をしようと思っているなら、部屋をチェックする際にコンロが備え付けてあるか確認をしましょう。SUUMOでは、「絞り込み検索」から「室内設備」のキッチン欄に「ガスコンロ対応」「IHコンロ」のチェックボックスがあります。コンロの口数が2口以上欲しい場合も、絞り込み検索のチェックボックスに項目があるので物件を検索する際に絞り込むことが可能です。また、物件の写真の中にキッチンの写真がある場合も、コンロが何口あるか確認することができます。分からない場合は管理会社に聞くか、内見の際に確認しましょう。

SUUMOでは絞り込み検索画面から「ガスコンロ対応」と「IHコンロ」の物件を選ぶことができる
SUUMOの「絞り込み検索」画面上の該当項目

ガスコンロとIHコンロの違いとそれぞれのメリット

ガスとIHの違いと向いている人

ガスコンロとIHコンロの違いは、使用するのが火か電気なのか。つまりガス代がかかるか電気代がかかるかです。
それぞれ異なるメリットがあるので、自分の生活スタイルに合わせて選択するといいでしょう。例えば料理が好きで自炊をよくする人は、鍋やフライパンを少し離しても火が消えないガスコンロがいいかもしれませんし、反対に料理をする頻度が少なかったり、火を使いたくないという人はIHコンロを選ぶのもいいでしょう。

ガスコンロのメリット

ガスコンロとは都市ガスやプロパンガスなどを燃料としたコンロで、据え置け型のテーブルコンロと、システムキッチンなどに組み込むビルトインコンロがあります。ガスコンロのメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

  • 停電しても使用可能
  • 鍋やフライパンなどの調理器具を選ばず使える
  • 自分で設置が可能

ガスコンロはガスを燃料としているので、停電の際にも使用可能です。IHはIH対応の調理器具が必要ですが、ガスコンロなら調理器具を選ばず使用可能なので、わざわざ調理器具を買い足す必要がありません。設置に関しても、テーブルコンロならコンロをガス台に設置してガス栓にガスホースをつなげる程度なので、比較的簡単に取り付け作業が可能です。火力が強いので火の通りが早く、調理時間が短縮できるので光熱費の節約にもなります。

一人暮らしの一口ガスコンロ
取り付けが簡単で、火力が強く調理の時短ができるガスコンロ(画像/PIXTA)

IHのメリット

IHコンロとは火を使用せず、電力のみで使用します。IHはInduction Heating(電磁誘導加熱)の略で、コイルに流れる電流を利用して発熱する仕組みです。IHコンロのメリットとしては、以下の4つが挙げられます。

  • 掃除しやすい
  • 換気扇の汚れが少ない
  • ガス漏れの心配がない
  • 見た目がスッキリでおしゃれ

IHは電気コイルの電流が発熱するので、ガス漏れの心配がありません。換気扇が汚れにくいことや、プレートがフラットなので五徳や汁受けを外して掃除する手間がなく、サッと拭くだけで掃除が完了するのも嬉しいメリットです。ガスコンロより見ためがスッキリしており、おしゃれな印象を与えます。ほかにも火を使わないので調理中に室温が上がらないことや、細かい温度設定ができることも自炊をする人にはメリットでしょう。

一人暮らしのIHコンロ
プレートがフラットなので掃除がラクなIHコンロ(画像/PIXTA)

賃貸物件でコンロをチェックする際のポイント

コンロが備え付けられているかは紙面上でも確認できますが、内見で実物を見ることも大事だそう。「最近は室内を確認できるVRでも、コンロのチェックができるでしょう」
「コンロが何口あるかはもちろんですが、コンロの並び方も確認したほうがいいですね。コンロが縦に並んでいるものは、実際に料理をするとフライパンや鍋の柄の部分が当たって使いにくいかもしれません。
並列か斜めに並んでいるもののほうが料理する際には使いやすいです。ほか、コンロの横にまな板を置いて作業するスペースがあるかどうかもチェックしておきたいポイントです。
最近は物価の高騰とともに自炊をする方も増えていて、備え付けコンロを希望する方の中には男性も多くいらっしゃいます。自炊する場合は2口コンロがおすすめです」(武澤さん)。

内見の際にはコンロの並び方などもしっかりと確認する
内見の際にはコンロの並び方にも注意して見てみよう(画像/PIXTA)

コンロは何口必要か考えよう!1口・2口コンロのそれぞれのメリット

コンロを購入する場合、まず「料理をするからガスコンロがいい」「おしゃれなキッチンがいいからIHにしたい」などそれぞれの希望に合わせてガスかIHかを選択します。

次にコンロ数ですが、料理をどれだけするかで変わります。

1口コンロのメリット、向く人

外食やお弁当、お惣菜を購入することが多いなど、普段あまり料理をしない人は1口で問題ないでしょう。

1口タイプを選ぶメリットは販売価格が安いこと、キッチンが狭くても設置しやすいことなどが挙げられます。ただし、機能や性能的には制限される場合が多いので注意しましょう。

2口コンロのメリット、向く人

炒め物をしながら味噌汁を同時に作れることは最大のメリットです。

また、自炊をする人、料理好きな人や入居前は料理を全くしなかったけれど、一人暮らしをスタート後に自炊する可能性がある場合には、2口コンロを選択しておくとよいでしょう。

自分の自炊スタイルに合わせて1口コンロか2口コンロかを決めるといい
自分の自炊スタイルに合わせてコンロの数を決めよう(イラスト/青山京子)

コンロを設置する際のポイントとは?

自分で設置する際、大家さんに連絡は必要なし

コンロが備え付けられていない場合、必要であれば自分でコンロを設置しますが、引越し費用とは別にコンロ本体と設置費用がかかります。この場合、管理会社や大家さんにコンロ設置の許可を取る義務はありません。

「コンロが設置されている場合は修理代が家賃に含まれますが、備え付けがない場合は住む人が好きなコンロを設置し、退出の際に撤去するのが基本です」(武澤さん)。

前の住人が残したコンロは物件の設備ではなく残置物なので、大家さんに修繕義務は発生しません。また、初めからコンロが設置されている場合は自由に交換できませんので、不具合があったら勝手に交換せず、まず大家さんか管理会社に連絡をします。許可なく交換した場合、大家さんや管理会社に費用を請求できないことがありますので注意してください。

ガスの場合、都市ガスかプロパンガスかを確認する

ガスコンロを選ぶ場合、使用されるガスは都市ガスとプロパンガスの2種類があります。それぞれに対応するガスコンロが販売されているので、自分が借りる物件でどちらが使われているか確認してから購入しましょう。対応するコンロを間違えると、火災が起きたり一酸化中毒を引き起こす可能性があるので注意しましょう。

都市ガスとプロパンガスの違い

都市ガスは液化天然ガス(LNG)、プロパンガスは液化石油ガス(LPG)を原料・主成分としています。

都市ガスは地下を通るガス導管から、プロパンガスは各物件に設置されているガスボンベから供給され、都市ガスは主に都市部、プロパンガスは全国で使われています。

特徴としては都市ガスの成分である液化天然ガスは空気より軽く熱量はプロパンガスよりも小さい、プロパンガスの成分である液化石油ガスは空気より重く熱量は都市ガスより大きいことが挙げられます。プロパンガスは「LPガス」と呼ばれることもあり、物件情報に「LPガス」と記載がある場合はプロパンガスを指しています。

都市ガス プロパンガス
原料・成分 液化天然ガス(LNG) 液化石油ガス(LPG)
供給方法 地下を通るガス導管 各物件に設置してあるガスボンベ
重さ 空気より軽い 空気より重い
熱量 小さい 大きい
供給エリア 都市部 全国
災害時の復旧 時間がかかる 比較的早い
料金 プロパンガスと比較すると安い 都市ガスより高い
都市ガスとプロパンガスの違い(表作成/SUUMO編集部)

コンロのサイズを確認する

メーカーによっても違いはありますが、テーブルタイプのガスコンロは横幅が60cmの標準タイプと56cmのコンパクトタイプがあります。設置したい場所とコンロのサイズが違うと設置できないので、購入前に設置できるサイズを採寸しておきましょう。

必要な機能で選ぶ

コンロにはさまざまな機能が付いているものもあります。例えば魚焼きグリルがあれば、焼き魚のほか、肉を焼いたり、グラタンを調理したりと魚を焼く以外の料理にも利用することが可能です。また、調理をする最中にスマホやゲームに熱中してしまいそうな人は、消し忘れ消火機能があるものを選べば鍋の空焚きや煮込み料理の焦げ付き、火災の防止に役立つでしょう。+αの機能がつくと金額も高くなります。一人暮らし後の生活スタイルを想像し、+αの機能を付けるかどうか検討をしてください。

料理中の消し忘れを防げるように消し忘れ消化機能があるコンロなどもおすすめ
料理中の消し忘れを防げるように消し忘れ消化機能があるコンロもおすすめ(イラスト/青山京子)

自炊をしないなら、電気コンロやカセットコンロなども代用可

自炊しない人は、使いたいときだけカセットコンロを使用してもいいでしょう。ただし、電子レンジやお湯を沸かす電気ケトルはあったほうが便利かもしれません。数種類のプレートが付いたホットプレートは、普段の調理以外に友達とたこ焼きパーティーや鍋などもできるでしょう。入居当初はカセットコンロを利用し、自炊するようになったらコンロを購入してもOKです。

自分は自炊をしなくても、友達が来たときに簡単なものを作りたいなどがあれば、コンロはついていたほうが便利です。これからの生活を考えて、備え付けがない場合には自分に合った器具の購入を考えましょう。

自炊しない人は使いたいときだけ使うカセットコンロもおすすめ
使いたいときだけ使えるカセットコンロなども便利(画像/PIXTA)
まとめ

コンロ備え付け物件(ガス、IH含む)は東京・神奈川で7割程度、都市部のほうが比率は高い

賃貸物件のコンロは、口数、コンロの並び方を事前にチェック(縦に並んでいるタイプは使いにくいことも)

コンロが備え付けられていない場合は住む人が好きなコンロを設置し、退出の際に撤去するのが基本

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取材・文/荒川文乃 イラスト/青山京子
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