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「単身赴任のために、引越しした場合も住民票を移さないといけないのか? 住民票を移さないと何が困る?」 と疑問に思う人も多いでしょう。単身赴任で住民票を移さないメリット、デメリットや住民税・住宅ローン控除・児童手当の扱い、住民票の移し方について社会保険労務士の川部さんにお話を伺いました。
目次
住民票とは、住民の居住関係を市区町村が管理するための公的な登録簿のことで、住民基本台帳法に基づいて作成されます。住民票には、氏名、住所、生年月日、性別、世帯主との続柄などの基本情報が記録されており、自分がその市区町村の住民であることを証明する重要な書類です。
引越しによって住所が変わると、その変更を住民票にも反映させる必要があります。引越し前の市区町村の役所で転出届を提出し、引越し先の市区町村の役所に転入届を提出することで、住民票の移動が完了します。
ここからは、単身赴任に伴う住民票の手続きについて、さらに詳しく紹介します。
「面倒だから移したくないと思う人も少なくない住民票の手続きですが、住所を移したら、原則住民票を移さないと法律違反になってしまいます。ただし、単身赴任の場合、必ずしも移さなくてもいいケースもあります」と川部さん。
入学・就職・転勤等に伴う引越しで住所を移した場合、転居した日から、原則14日以内に、役所へ住民票の住所変更の届出が必要です。これは、法律上の義務で、正当な理由がなく住民票を移さないでいると、5万円以下の過料に処されることがあります(過料とは、行政法規上の義務違反に対して少額の金銭を徴収するという罰則です)。
住民基本台帳法より抜粋
・転入をした者は、転入をした日から十四日以内に、市町村長に届け出なければならない。
・正当な理由がなく、届出をしない者は、五万円以下の過料に処する。
原則として、引越ししたのに、住民票を移さないのは、法律違反ですが、「正当な理由」があれば、住民票を移さなくてもよいとされています。住民票の異動が任意となる「正当な理由」とは以下のふたつです。
単身赴任の場合、週末に家族のいる家に帰るなど生活の拠点が変わらなければ、住民票を移さなくてもよいとされています。
住民票を移さない場合、住民税や住宅ローン控除、児童手当の扱いはどうなるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。
住民税については、その年の1月1日に居住していた市区町村で課税することになっています。住民票を移さない場合は、元の自宅、移した場合は、新住所での課税になります。旧住所と新住所の両方で課せられることはありません。

児童手当は、住民票を移さなければ、受給者の変更などの手続きはいりません。(ただし、海外への単身赴任の場合は、代わりに手当を受け取る人が新たに特例給付認定請求書を提出しなければいけません)。児童手当については、住民票を移すと手続きが面倒だと考える人が多いようです。
住宅ローン控除の条件は、原則として対象となる住宅に住み続けていること。住民票を移さなければ、引き続き、摘用されます。また、単身赴任が理由の別居で家族が元の住所に住んでいる場合も同様です。家族全員で引越しして住民票を移せば、住宅ローン控除は受けられません。ただし再び対象の住宅に戻ってきたとき、残りの期間の控除を受けることは可能です。

単身赴任で引越し後に住民票を移さない場合、どのような注意点があるのでしょうか。
住民票(住民基本台帳)は、国民健康保険、国民年金、児童手当、選挙人名簿への登録など各種行政サービスの基礎となっています。そのため、住民票を移さないと、住んでいる市区町村で、十分な行政サービスを受けられなくなる場合があります。
■住民票を移さない場合のデメリット
住民票を移さないままでいると、選挙の投票や運転免許証の更新手続き(書き換え)のために、元の自宅のある旧住所地まで行かないといけません。住民票の交付や印鑑証明書も、旧住所の役所での発行になります。遠方に引越した場合は、旧住所地に行くため、時間もお金もかかってしまうというデメリットがあるのです。
過料以外にこのような住民票を移さないデメリットがありますが、運転免許証の住所変更やパスポート申請は、住民票を移さなくても新住所で手続きができます。

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単身赴任は生活の実態によって必ずしも住民票を移す必要はありませんが、住民票を移さない場合のデメリットや不便さが気になるようなら、住民票を移したほうがよいでしょう。届け出は、原則14日以内ですが、過ぎてしまっても、受理してもらえます。引越しした時に住民票を移していなくても、不便に感じた時点で届け出をすることが可能です。

住民票を移すためには、役所へ届け出をする必要があります。
住民票の異動に関する届け出には、転出届・転入届・転居届があります。どこからどこへ引越しをするかによって、それぞれ、手続きや提出する場所、提出期限が異なります。
現在住んでいる場所と別の市区町村へ引越しをする人は、転出届が必要です。
手続き終了後に交付される「転出証明書」は、転入届時に必要になります。
| 届け出る場所 | 引越し前の市区町村の役所 |
|---|---|
| 提出期限 | 引越し日前後2週間以内 郵送可。マイナンバーカードがあればオンラインで対応しているところもあるので、居住している自治体にご確認ください |
| 必要なもの | ・転出届(役所にあります) ・本人確認書類(運転免許証、パスポート、住民基本台帳カード、マイナンバーカード等) ・国民健康保険証や乳幼児医療証等(元の市区町村役所が発行している場合のみ・返却や記載内容の変更が必要な場合があります) ・印鑑(自治体によっては自著で可) ・印鑑登録証(あれば) |
次の手続きは、住民票の届け出と一緒に行うと役所の訪問が一度で済むので便利です。
・マイナンバーカードの住所変更
住民票の届け出と同時に、マイナンバーカードの住所変更をする必要があります。提出期限は、引越しした日から14日以内です。もし、転出届の後、転入届を出していたのに、90日以内に住所変更手続きを行わなかった場合、マイナンバーカードが失効してしまいます。マイナンバーによる行政手続きや証明書の発行、マイナポイントの利用などができなくなってしまうので、忘れずに行いましょう。
「マイナンバー通知カード」の住所変更はできない
マイナンバー通知カードは、令和2年(2020年)5月25日をもって廃止されました。そのため、通知カードに記載された住所の変更手続きはできません。通知カードは、記載された住所が住民票と異なると、マイナンバーを証明する書類として使用できなくなりました。
引き続きマイナンバーを証明する書類を必要とする方は、引越し先でマイナンバーカードを申請しましょう。通知カードは、マイナンバーカードの受け取り時に返納する必要があるので、捨てずにとっておいてください。
・印鑑登録の抹消
印鑑登録は各市区町村で登録されているので、「転出届」を出す際に「印鑑登録証」を持っていけば、転出の届けと印鑑登録の抹消が同時にできます。抹消後は、転居先で新規登録してください。(「転出届」を出すと自動的に印鑑登録が抹消される自治体もあります。その場合も、新規登録は必要です)
・「世帯主変更届」の提出
引越しから14日以内に、「世帯主変更届」を提出する必要があります。届出人の本人確認書類の提示が必要です。
現在住んでいる場所と別の市区町村へ引越しをする人は、転入届が必要です。
| 届け出る場所 | 引越し前の市区町村の役所 |
|---|---|
| 提出期限 | 引越し日前後2週間以内 郵送・オンラインでの届け出不可 |
| 必要なもの | ・転入届(役所にあります) ・転出証明書(引越し元の市区町村の役所で発行されたもの) ・本人確認書類(運転免許証、パスポート、住民基本台帳カード、マイナンバーカード等) ・印鑑(自治体によっては自著で可) |
現在住んでいる場所と同じ市区町村内で引越しをする人は、転居届が必要です。
※同一市内の別区への引越しは、転入届のみでよい場合があります。また、各自治体によって必要書類が多少異なりますので、引越し前に届け出先の役所に確認をしておきましょう。
| 届け出る場所 | 引越し前の市区町村の役所 |
|---|---|
| 提出期限 | 引越し日前後2週間以内 郵送・オンラインでの届け出不可 |
| 必要なもの | ・転居届(役所にあります) ・本人確認書類(運転免許証、パスポート、住民基本台帳カード、マイナンバーカード等) ・国民健康保険証や乳幼児医療証等(市区町村の役所が発行している場合のみ・返却や記載内容の変更が必要な場合があります) ・印鑑(自治体によっては自著で可) |
引越しに必要なダンドリをチェック
引越し完全マニュアル(新居決定、荷造り、諸手続き、当日作業、など)
各種手続きの必要書類で、「住民票の写し」の提出を求められることがあります。「住民票の写し」とは、住民票原本に記載されている事項を写したものです。住民票原本は持ち出せないため、役所が発行するものは「住民票の写し」になります。したがって、そのまま提出すればよいのです。間違って、「住民票の写し」のコピーを提出してしまう場合がありますので、注意してください。
単身赴任で引越ししたら、住民票を移さないと、デメリットがあります。移さなくてもいいケースに該当しない場合、住民票を移さないと不便な場合は、速やかに手続きをしましょう。
1年未満の単身赴任や週末に家に戻る場合は、住民票を移さなくてもよい
住民票を移さない場合、新住所地の行政サービス利用が制限されるなどデメリットもある
住民票異動の手続きには、転出届、転入届、転居届があり、提出先や期限が異なる