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長年の夢を叶えた、自宅ソーイングカフェ

開いたスペースとオーナー

オーナーアイコン
長年の夢を叶えた、自宅ソーイングカフェ

子育てがひと段落したら、自分の趣味を存分に楽しみたい。あるいは、趣味や特技を活かして小さなお店をやってみたい。時間と心にゆとりができたタイミングでさまざまなことにチャレンジしたいと考えている主婦の方には、参考になる事例※かもしれない。

埼玉県の住宅街にある「ちくぱく」は約2年前、主婦の榊原さんが自宅の一部を改装して開いた小さなソーイングカフェ。手づくりのランチやスイーツを提供するだけでなく、ミシンを利用できるスペースを提供したり、定期的にワークショップも開催。生活雑貨やアクセサリーなど、ものづくりの作家を招いて2時間程度の講座を行っている。

この日も午前中からカルトナージュ(厚紙で組み立てた箱に布を貼り付け装飾する手芸)の講師を招き、カップ型の小物入れづくりのワークショップを開催。オーナーの榊原さんを含む4人の参加者が、和やかな雰囲気のなか作品づくりに没頭していた。榊原さんはいち早く作品を仕上げて厨房へ。ワークショップ終了と同時に、ボリュームたっぷりのおいしいランチが参加者にふるまわれた。

「ワークショップをやるときはなるべく私も参加したいので、当日の朝はいつもより早めにランチの仕込みを始めます。はじめのうちは注文を聞いて料理をつくるので精いっぱいでしたけど、オープン半年後に初めてワークショップをやってみたら意外とうまくいって。それからは月2回くらいのペースで何かしらの講座をやっています。これまでに行ったのはがま口づくり、革工芸、リフトアップジュエリーなど。お招きする講師の方は、私自身がいろんなワークショップに参加していいなと思った人をスカウトしたり、知り合いの作家さんから『こういうのをやってみたいんだけど』と打診を受けることもありますね」

15年前に家を建てたときから「いつかはお店をやりたい」という希望があった榊原さん。「もともと趣味で洋裁をやっていてモノをつくるのは好きだったし、調理師の免許ももっていたので、どちらも活かせる場所ができたらいいなと思っていました」とのことだ。

そのため、建設当初から自宅の一角に "店舗スペース"をつくり、居住部分とは別の出入口も設けたという。しばらくは子育てに追われてなかなか一歩を踏み出せなかったが、息子が中学校に上がったタイミングで、まずはオーダーメイドで洋裁を請け負う店をオープンさせた。

「近くに幼稚園があるので、ご近所のママたちから子ども用のバッグや上履き入れなどを依頼されることが多かったです。バッグは幼稚園指定のサイズがあって、既製品だとなかなか売っていないので、ピークのときはワンシーズン100件くらいのオーダーを受けていましたね。当時の園児たちが持っていたバッグのほとんどを、私がつくったような気がします(笑)」

そして、2年前には念願のカフェをオープン。ちなみに改修費用は約200万円だという。

「新しく厨房やカウンターを設置したり、電気やガスを配備したり、思った以上にお金はかかりました。それでも、店舗スペース自体は最初から確保していましたし、増築したり別の場所に新しく店をつくったりするのに比べたら5分の1くらいのコスト。今は何とか利益も出ていて、親に借りた開業資金を返しつつ自分のお小遣いも少しは残るような状況ですね」

お店として続ける以上、利益は大事と考えている榊原さんだが、そのために回転を上げたり、営業時間を拡大したりするつもりはないようだ。あくまで、おしゃべりを楽しみながらゆっくりくつろぎ、楽しくものづくりができる空間が理想だという。今は自身も楽しみながら、ちょうどいいバランスをキープすることができているそう。

「ここで近所のママさんたちが集まって女子会をやることもあるんです。夕方から飲み始めて10時くらいまで。近所なのでみなさん基本スウェット、ノーメイクです。毎回、すごく盛り上がりますよ。私自身、人とおしゃべりをすることが好きですし、この場所を開いたことで毎日が充実しています。周りからも『楽しそうだよね』ってよく言われますね」

何せ15年にもおよぶ構想をカタチにした空間。長い年月をかけて積み上げたその思いも相まって、榊原さんにとってかけがえのない居場所になっているようだ。

※子育てママならではの視点を活かしたプチ開業『ママ喜業

  • ランチ付のワークショップが大人気!
    「午前中にワークショップ」→「ランチ」→「スイーツを食べながらおしゃべり」、というのがいつもの流れ。「回転を増やすのではなく、常連のお客さんにゆっくりとくつろいでもらいたい」と榊原さん。
    ランチ付のワークショップが大人気!
  • オーナーも参加する和やかなワークショップ
    オーナーも参加する
    和やかなワークショップ
    これまでに開催したワークショップには、オーナーの榊原さん自身も参加。その作品も店内に飾られている。写真は榊原さんが着色したというカラフルな招き猫。洋裁の心得があるだけに、さすが器用だ。
  • 野菜たっぷりのボリュームランチは
    会社員にも人気
    野菜たっぷり、ボリュームたっぷりの日替わりランチは800円。祖母が食堂を営んでいたこともあり「今思えば、小さいころからハイカラなメニューを食べていた」とのこと。その経験が、メニューづくりにも役立っているようだ。
    野菜たっぷりのボリュームランチはサラリーマンにも人気
  • お店をやることを見据え建築時からきっちり設計
    お店をやることを見据え
    建築時からきっちり設計
    15年前、注文住宅で建てた自宅。右側がカフェスペースだ。当時から将来お店をやることを見越して住宅とは別の入口を設けたほか、外観の色も明るめにしたという。
  • 毎週金曜日にはこの場所でミシンの貸し出しも。馬力のある業務用ミシンで、デニムの裾上げなどを行いに来る人が多いという

    毎週金曜日にはこの場所でミシンの貸し出しも。馬力のある業務用ミシンで、デニムの裾上げなどをしに来る人が多いという

  • 知り合いの作家の作品も展示・販売。洋裁店の時代から、知人の作家などに活動場所を提供していた

    知り合いの作家の作品も展示・販売。洋裁店の時代から、知人の作家などに活動場所を提供していた

  • 「ちくぱく」の由来は、裁縫の「ちくちく」と、食の「ぱくぱく」から

    「ちくぱく」の由来は、裁縫の「ちくちく」と、食の「ぱくぱく」から

  • いつも笑顔が絶えない榊原さん。「カフェに来てくださったお客様には、もれなく私のおしゃべりがついてきます」とのこと

    いつも笑顔が絶えない榊原さん。「カフェに来てくださったお客様には、もれなく私のおしゃべりがついてきます」とのこと

かかった費用は?

床の張り替え、厨房やカウンターの設置などに200万円。壁は友人と一緒にDIYで塗り、改修費用を抑えた。

アドバイスとこれからの展望

「やるのであれば家族に負担をかけないことが前提。特に飲食店の場合は長い時間拘束されてしまいますが、それを言い訳にして家事をおろそかにしてはいけないと思っています。だからどんなに疲れていても、家族が帰宅するまでには家の中をきれいにし、夕飯をつくっておくようにしていますね。
今までは外部から講師を招いてのワークショップが中心でしたが、これからは私自身も洋裁などの講座をやっていきたいと思っています。バレンタインの時に試しにチョコレートづくりのワークショップをやってみたら意外とうまくいったので、自信になりました。例えば、子どものためのバッグや巾着づくり教室なんていいですね。ただ、それも自分のペースを守って、無理のない範囲でやっていけたらと思っています」

間取りとDATA

間取り1

空いてるスペース

施主名 榊原 温美さん
構想期間 15年
開いているスペースの面積 約12m2
開いているスペースの% 約20%
住所 埼玉県さいたま市
ホームページ http://chikupaku.jp/
建物形態 一軒家

取材・文/榎並紀行<やじろべえ> 撮影:飯田照明 間取りイラスト/tokico

情報掲載日/2015年5月13日

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メディア掲載履歴

2013年11月28日
TBS「Nスタ」で紹介されました。
2013年10月19日
「“自宅で自分らしく働く”ワーキングスタイル&マネー術」公開セミナーを開催しました。

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更新情報

2016年6月15日
【実例追加】 近隣住民も集う マンションの日曜喫茶
2016年5月25日
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2016年4月28日
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  • 住活マニュアル 賃貸部屋探し編
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