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近隣住民も集う マンションの日曜喫茶

近隣住民も集う マンションの日曜喫茶

100円でコーヒーにトーストと卵までついてくるモーニングセットを提供するカフェが京都市右京区の西京極大門ハイツの敷地内にある。"日曜喫茶"の名称で毎週日曜日の午前8時半から11時半まで開かれているこのカフェは、マンションの共用部を居住者だけでなく、地域の人へも開放しているコミュニティカフェだ。

2004年に敷地内に新築した集会所を有効利用するため、さまざまなイベントを開催して活用方法を模索していたところ、軌道に乗った取り組みがこの日曜喫茶だったそうだ。住民同士だけでなく、近隣住民にもこのマンションに住む人と交流してもらおうと、2008年からスタートしたこのカフェは口コミで評判となり、今では6組あるテーブルが入れ代わり立ち代わり満員になるほどの盛況ぶりだ。

このコミュニティカフェが人々に愛される理由は、普通のカフェにはない、まるで近所の友人の家に遊びに来たようなアットホームな雰囲気。利用者の評判を聞いて、近隣で同様の取り組みをはじめる施設もあり、見学にきたこともあるそうだ。

「マンション居住者だけでなく、近隣に住んでいる常連さんも多いですよ。近くの飲食店のマスターが、開店前にふらっとコーヒーを飲みに来たり、わざわざバスで来てくれたりする人もいます。マンションに家族が住んでいて、子どもや孫が遊びに来るというケースもありますね」と西京極大門ハイツ管理組合法人理事の佐藤さんが教えてくれた。この日も、マンション内に娘さんが住んでいるという女性や、おばあちゃんの家に遊びに来たという子どもたちなど、居住者以外の利用者が自然にマンションに住む人たちと交流していた。

そもそも、どうやったらこのような低価格が実現できるのか不思議だが、その理由は"ほぼ原価"でメニューを提供できているというカフェ運営の仕組みにある。光熱費はマンションの管理費で賄われている上、接客などは住民のボランティアなので、人件費は0円。 とはいえ、「少しも利益が出ない価格設定にすると、マンション住民のためだけのカフェにしかできません。ほんの少しでも利益がでるような価格にして初めて、"外に開いたカフェ"というものが成立するんです」と佐藤さんは言う。

ほんの少しの利益は年に一度「無料喫茶の日」を設け、還元するようにしている。この日にマンション内の防災訓練も同時に行っているので、普段は喫茶を利用していない住民も多数集まるそうだ。

西京極ハイツは築40年のマンション。居住者の中心世代はシニアで、単身の人も多い。日曜喫茶のようなゆるやかな交流の場があることは、そういったシニアの見守りの場としても有効だ。実際、常連のシニア女性が日曜喫茶に顔を見せず、気になって家を訪ねたところ、体調を崩していたことに気付けたという事例もあったそうだ。

シニアだけでなく、子どもたちもこの日曜喫茶を楽しみにしているという。「早起きした朝は、子どもたちが自分から行きたいって言いだすんですよ」と話す2児のママもいた。日曜喫茶に来れば、子どもたちをかわいがってくれる周囲の人の目があるので、家でひとり、子どもたちの面倒を見るよりも、ゆったりとした気分で朝食をとることができるそうだ。

さらに、このマンションでは日曜喫茶のほかにも、絵本を借りられる"カンガルー文庫"が月1回外部に開かれている。地域コミュニティとのつながりや世代間の交流が自然と生まれる仕組みがあることは、子育て世代からシニアまで、住む人にとって心強い環境に違いない。

佐藤さんいわく、この日曜喫茶という取り組みも、実はこのマンションの価格維持に一役買っていると言えるそうだ。「日曜喫茶がマンション内の良好なコミュニティ形成によい影響を及ぼしているのはもちろん、このように外に開かれた場を通して、近隣の人にこのマンションの住みやすさを知ってもらうことが、一種のマンションのブランディングにもなっているのかもしれません」実際に西京極大門ハイツは、築40年でありながら、売買価格が維持されている、稀有(けう)なマンションと言われている。

集会所の有効活用という目的からはじまった日曜喫茶は、今やマンション内外の多世代交流の場としてなくてはならないものになっている。マンションの外に住む人にとっても、この場所で過ごした時間がいい記憶として残ることが、マンションの未来にとってなんらかのいい影響を与えてくれるに違いないと信じていると佐藤さんは語ってくれた。日曜喫茶はこのマンションという"街"が住みよい場所であり続けるための未来への投資でもあるようだ。

  • 100円のモーニングセット
    ドリンクを選べる楽しさも
    100円モーニングのセット内容はコーヒー、紅茶、ジュースのどれか1杯、トースト1枚、ゆで卵1個、そしてジャムかマーガリン1個といったもの。
    100円のモーニングセットドリンクを選べる楽しさも
  • 住民同士はもちろん外に住む家族とつながる場にも
    住民同士はもちろん
    外に住む家族とつながる場にも
    「おしゃべりもできて、楽しいですよ」と談笑する女性たちの最年長はなんと90代!週に一度集まる場があることで、住民同士ゆるやかに見守り合う効果も。外に住む孫と共に利用するシニアも多いそう。
  • 無理のない当番制で
    お互い助け合う
    準備や配膳はコミュニティ委員会のメンバーと、十数人のボランティアによる当番制。2カ月に1度ほど当番が回ってくる仕組みだ。予定のある日は当番の日を交代するなど、助け合いの精神で進めているそう。
    無理のない当番制でお互い助け合う
  • 子どもたちが来たくなるのびのび遊べる一角も用意
    子どもたちが来たくなる
    のびのび遊べる一角も用意
    大人たちがゆったり朝食をとったり、談笑したりする間、子どもたちは退屈することなく、キッズスペースでのびのび遊べる。壁の本棚にはさまざまな種類の本が並べられており、自由に閲覧できるのもうれしい。
  • 卵などサイドメニューはセルフサービス。当番が忙しいときは、常連さんが手伝うことも。

    卵などサイドメニューはセルフサービス。当番が忙しいときは、常連さんが手伝うことも。

  • マンション入り口すぐの所に、カフェが入る建物が。住民以外も気軽に入りやすい。

    マンション入り口すぐの所に、カフェが入る建物が。住民以外も気軽に入りやすい。

  • ひと目でオープンしていることが分かるよう、建物の入り口にはオリジナルの看板が。

    ひと目でオープンしていることが分かるよう、建物の入り口にはオリジナルの看板が。

  • 建物隣のコミュニティホールには、地域住民も利用できる

    建物隣のコミュニティホールには、地域住民も利用できる"カンガルー文庫"が。

かかった費用は?

集会場を利用しているため、トースターやコーヒーポット、消耗品など小物類の購入代金のみ。

アドバイスとこれからの展望

「強制的に当番が当たるわけでも、日曜喫茶を運営するために管理費が上がるわけでもない。そういう状態であることが、長く続けていくコツですね。マンションのように、さまざまな人が暮らす場所で何か取り組みをする場合、全員の賛同を得てからやろうとしたり、全員に無理やり取り組ませたりしようとするとうまくいかないものです。例えば、協力の声掛けはするけれど、『やろうかな』と前向きに思ってくれた人たちで当番を回し強制にはしないなど、頑張りすぎない、大らかな運営をするのがいいと思いますよ」

間取りとDATA

間取り

空いてるスペース

開いているスペースの面積 約57m2
住所 京都府京都市右京区
営業時間 毎週日曜8:30~11:30
建物形態 マンション

取材・文/島田美那子 撮影/河原大輔 間取りイラスト/tokico

情報掲載日/2016年6月15日

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メディア掲載履歴

2013年11月28日
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2013年10月19日
「“自宅で自分らしく働く”ワーキングスタイル&マネー術」公開セミナーを開催しました。

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更新情報

2016年6月15日
【実例追加】 近隣住民も集う マンションの日曜喫茶
2016年5月25日
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2016年4月28日
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