リビングの壁紙を変えて、家の雰囲気を一新したいけれど、どうやって選べばいいの? アクセントにする壁紙を選ぶコツって? 失敗しないリビングの壁紙の選び方をリフォーム会社の東東京ガスリノベーション リヴィングモア浦和店・松本店長に教えてもらいました。
壁の一面だけ色を変える、アクセントクロスを施すインテリアが人気となって久しいですが、こうしたトレンドをうけ、壁紙はこの数年で飛躍的に色や柄が豊富になっています。「印刷技術の進化が大きな要因でしょう。例えば同じ赤い色でも濃淡のバリエーションが豊富で、ひと昔前なら輸入品でないと選べなかったような色あいの赤色も、国産メーカーで選べるようになりました。輸入品の場合、幅の短い壁紙が多かったのですが、国産メーカー品ならタップリとした幅の壁紙もありますので、きれいに施工しやすくなっています」
材質感についても木目柄からレンガ、タイル、石壁などバリエーションがたくさんあります。しかも古びた感じのレンガなら、角が欠けて目地部分も崩れている部分までリアルに表現された壁紙もあります。
「最近はシャビーシックやブルックリンスタイル(※)など、インテリアテイストの幅も広がっていますが、そうしたテイストにも取り入れやすい壁紙が増えています」
※シャビーシックとは、使い込んだことで出てきた味や品のあるものを取り入れたインテリアのこと。ブルックリンスタイルとはニューヨークにある建物やカフェのように、倉庫を改装したようなインテリアのこと
例えば本物の木の板を張らなくても、壁紙で同様のインテリアを完成させることができます。「本物の木と比べたら、壁紙のほうが汚れを拭き取ることが簡単ですし、本物の木と違い腐食する心配もないのでメンテナンスも簡単です。打ちっ放しのコンクリート壁の壁紙もありますが、これなら本物と違い壁の裏に断熱材を入れられますから、部屋の断熱性を高めやすくなります」
壁紙でさまざまなインテリアテイストをかなえられますが、やはりリビングのように広い空間で冒険するのは、少し勇気がいるという人は多いでしょう。その点壁の一面だけなど、部屋の一部に印象的な壁紙を使う方法なら、トライしやすく、それでいて部屋の雰囲気が随分と変わるのでオススメです。
「アクセントクロスを使う方法は、壁一面だけとは限りません。例えば壁ではなく天井にアクセントクロスを入れても面白いですよ。あるいはシェルフの背面部分のみや、ニッチの背面など一部だけ取り入れても効果はありますし、気軽にトライしやすいのではないでしょうか」
色や柄、素材感などと同様、最近の壁紙は機能もたくさんありますから、家族構成や暮らし方に合わせて壁紙を選ぶことができます。主な機能を下記に挙げてみましょう。
●汚れに強い、落ちやすい
水や油を弾く(撥水性・撥油性)といった機能を備えた壁紙です。汚れがつきにくく、ついたとしても水や洗剤を使って落とすことができます。
●キズに強い
キズがつきにくい丈夫な壁紙です。中にはたとえ地震で下地がズレても壁紙自体はヒビ割れないほどの強度を持っているタイプもあります
●消臭機能
消臭剤や酵素、光触媒など、消臭効果のある材料を練り込んだ壁紙です
●抗アレルギー機能
アレルギーの原因となる花粉やハウスダストなどのアレル物質を低減する機能を備えた壁紙です
●リラックス効果
マイナスイオンを発生するなどして、リラックス効果を生む壁紙です。
●調湿機能
一般的な壁紙の数倍~数十倍の湿気を取り込むことができる壁紙や、高い透湿性で湿気を排気する機能などを備えた壁紙です。
そのほかにも投写された映像や文字がハッキリと見える「プロジェクター用」や、「画鋲やピンを刺しても跡が残りにくい壁紙や、マグネットが利用できる壁紙もあります。これらはお子さんの絵や習字を飾ったり、学校からの連絡などを張っておきやすくて便利です」
こうした機能を複数持つタイプもあり、例えばペット対応の壁紙には「汚れに強い、落ちやすい」×「キズに強い」の機能を備えたものや、「汚れに強い、落ちやすい」×「消臭」という壁紙もあります。
ただしあまり機能にこだわると、選べる色や柄が少なくなりがちです。また、より高い機能を求める場合、壁紙ではなく別の素材を使用したほうがいいでしょう。例えば調湿でいえば、厚さ数ミリの壁紙よりもエコカラットなどの壁材や珪藻土や漆喰(しっくい)のほうが高い効果を望めます。
リビングは家族みんなでくつろぐ場所であり、ゲストを招いて会話を楽しむ場所でもあります。トイレや洗面室と比べて壁紙の施工面積も広く、冒険してみて「やっぱり違う」となっても、やり直しがしにくいため、最初に入念な検討が必要です。まずは家族で、どんな雰囲気のリビングにしたいのか話し合ってみましょう。
その際に、言葉だけでなく、施工事例の写真などを見ながら話し合うといいでしょう。インターネットで見つけた部屋の写真でも構いません。そういった写真を見ながら話し合うことで、少しずつ意見が整理されていくはずです。そうした話し合いを経た上で、例えばバリのリゾートホテル風とか、カフェ風といったテーマが見えてくると思います。
「テーマが決まったら、それをよく表している写真をいくつか選んでみましょう。その写真をもとに施工会社と打ち合わせをすれば、言葉で伝えるよりも相手に伝わりやすくなります」
寝室やトイレと違い、リビングは家具や、ドアなどの建具、照明など、壁紙と合わせる要素が増えます。また壁の面積も大きいほか、面積の大きい床材との相性も考える必要があります。そのため大胆な柄や素材感の強い壁紙は、アクセントクロスとして壁一面のみに使用したり、柱など一部のみに用いるほうが、家具等のコーディネートが簡単になります。
種類が豊富ゆえに、選ぶのが大変な壁紙。色の取り入れ方や機能についてはすでに述べた通りですが、実際に壁紙をショールームなどで選ぶ際にも注意が必要です。
「照明の色が変わると、壁紙の印象も変わります。照明には主に電球色・温白色・昼白色の3つがありますが、電球色では本来の色よりやや赤味がかって、温白色・昼白色では白っぽく見え、温白色は電球色と昼白色の中間の色味に見えます。できればリビングに備える照明の電球色と同じ環境か、少なくともダウンライトを当てて絵や写真を飾りたい壁の色だけでも、同じ電球色で確認しておいたほうがいいでしょう」
色の確認用にA4サイズのサンプルを取り寄せますが「色は面積が広くなると若干薄く感じられます。ですから、サンプルよりも少し薄くなるということを頭に入れて選ぶといいでしょう」
このように最近はインテリアテイストが急速に増え、それに合わせて壁紙のバリエーションが一気に豊富になってきました。そのため、例えば「シャビーシック」といっても中にはそれがどんなテイストなのか、よく知らない施工会社もあります。それを防ぐためにも、施工を依頼する会社のホームページなどで施工事例などを確認して、安心して任せられそうか見ておくといいでしょう。