子育て世帯には、中学卒業までもらえる児童手当や、ひとり親に対して支給される児童扶養手当、医療費助成制度など、各種手当金や給付金、自治体独自の子育て世帯給付金など、さまざまな制度があります。家を購入後、「隣の町だったら、給付金があったのに!」とがっかりすることのないよう、自治体の制度を事前に調べておくのがオススメです。損をしないためのチェックポイントを解説します。
私も3人の息子を持つシングルファーザーでしたが、ようやく三男も高校を卒業し、この春、鍼灸師になるための専門学校に通い始めました。
まだあと3年間、学費の負担はあるものの、子育てとしては、そのほとんどが終わりを迎えたような感じがしています。子育てが終わっていくというのは、嬉しくもあり、寂しくもあるものですね。
そんな私も、これまで、子育て世帯やひとり親世帯が受けられる補助金や給付金をいくつも受けてきました。今回は、そんな補助金や給付金について、損をしないためのチェックポイントに触れておきましょう。
まず、シンプルな結論から言うと、最も重要なことは、住まいのある市区町村役場のWEBサイトを定期的にチェックすること、もしくは、少なくとも年に1回以上は市区町村役場の子育て関連の窓口に行って、自分や子どもが受けられる補助金や給付金などの制度がないかどうかを問い合わせてみることです。
この2つを欠かさずにできれば、制度の存在を知らずに損をしてしまうことを避けられるでしょう。
子育て世帯がもらえる補助金や給付金、その他の優遇制度などは、大きく分けると、国の制度と自治体の制度があります。
国の制度の代表格が「児童手当」。中学校卒業まで支給されます。一定の所得制限はありますが、全国一律の制度となっています。
そして、ひとり親世帯等に支給される「児童扶養手当」は、国庫負担3分の1という国の支援のもと、都道府県が実施している制度で、支給額や所得制限等は全国一律になっています。
それから、一般に健康保険と呼ばれる公的医療保険については、小学校入学前までが「かかった医療費の2割の自己負担」、小学校入学後は「かかった医療費の3割の自己負担」が原則ですが、通常、自治体による医療費の助成制度が用意されています。
細かな取り扱いは自治体ごとに異なりますが、これまでは中学卒業までの子どもについて、医療費の自己負担が無料または低額(私の住まいのある千葉県柏市は1回あたり300円)となっている自治体が一般的でした。
それが令和5(2023)年4月以降は、東京都23区では高校卒業まで自己負担が無料、千葉県柏市でも高校生相当の年齢(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)まで1回あたり300円と、子どもの医療費の助成制度は拡大傾向にあるようです。
その他、以下のように自治体独自の子育て支援用の給付を行っているところもあります。
・東京都
0~18歳の子ども1人につき月5000円給付(2024年1月に2023年分の6万円が一括給付)
・岐阜県
第2子以降の出産時に1人あたり10万円のお祝い金。高等学校への進学を控えた中学3年生に3万円の準備金を支給
・秋田県
あきた出産おめでとう給付金事業。2022年4月以降に生まれた子ども1人につき2万円相当の給付(現金、クーポンなど支給の形態は市町村によって異なる)
また、過去には物価高騰対策支援金として以下のような臨時給付を行ったケースもあります。
・東京都千代田区 … 2004年4月2日~2022年12月31日生まれの子1人につき5万円
・東京都立川市 … 18歳以下の子ども1人につき1万円給付
・東京都羽村市 … 小中学生1人につき2万円給付
・埼玉県桶川市 … 中学生までの子ども1人につき3万円給付
・栃木県さくら市 … 高校3年生まで1人につき2万円給付
・広島県三原市 … 18歳以下の子ども1人につき1万5000円
・徳島県徳島市 … 中学生までの子ども1人につき1万円給付
なお、これらの制度は、自治体ごとに申請の必要性の有無、申請の期限などが異なる可能性があります。各自治体のWEBサイトなどで確認するようにしてください。上記以外の自治体でも実施しているところがあるはずなので、気になる自治体を、WEBサイトなどでチェックしてみましょう。
ちなみに、住宅関連で言えば、子育て世帯の「ZEH(ゼッチ)住宅購入やリフォーム」が補助金対象になる「こどもエコすまい支援事業」もスタートしています。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)レベルの住宅を取得する場合は、最大100万円の補助金が受けられるようです。住宅購入を考えている子育て世帯は要チェックでしょう。
政府は、まさに今が少子化阻止のラストチャンスと捉えているようで、児童手当の所得制限撤廃、出産費用の公的医療保険適用、授業料後払い制度など、さまざまな施策を検討しているようです。
少子化対策、子育て支援に本腰を入れるためもあってか、令和5(2023)年4月1日には「こども家庭庁」が創設され、「こども基本法」も施行されました。
「こども家庭庁」は、それまでの文部科学省、厚生労働省、内閣府、警察庁などが所管していた子どもを取り巻く行政事務を一元化することを目的として創設されました。なお、こども家庭庁は、内閣総理大臣の直属の機関として、内閣府の外局という位置づけです。
政府は、とにかく、今がラストチャンスで本腰を入れてやらないと、二度と少子化を止めることができなくなるという危機感を抱いているように感じられます。
子育て世帯にとっては、今後もさまざまな補助金や給付金、その他の特典などが出てくる可能性が、これまで以上に高くなってきたと言えるでしょう。今後も、こども家庭庁のWEBサイトや各自治体のWEBサイトは要チェックです。
子育て世帯がもらえる補助金や給付金などは、大きく分けて国の制度と自治体の制度がある
市区町村役場のWEBサイトを定期的に確認、または年に1回以上は市区町村役場の子育て関連の窓口に問い合わせをしよう
住宅購入を考えている子育て世帯は「こどもエコすまい支援事業」をチェック
イラスト/杉崎アチャ