オープンキッチンの種類別特徴を紹介!メリットやデメリット、後悔しないために施工前に知っておきたいポイントとは?

最終更新日 2025年08月06日
オープンキッチンの種類別メリットとデメリット。 後悔しないために施工前に知っておきたいポイント

キッチンが壁で仕切られず、開放的でおしゃれな雰囲気のあるオープンキッチン。調理をしているときでもリビングやダイニングにいる人たちとコミュニケーションが取りやすく、人気のレイアウトです。オープンキッチンにはいくつかの種類があり、それぞれ使い勝手が変わります。いざオープンキッチンにしてみたら「意外と使い勝手がよくなかった……」、なんて悲しいミスマッチを防ぐために、実際にあった後悔やその対策などをインテリアコーディネーターの住吉さやかさんに聞きました。施工プランづくりにお役立てください!

代表的なオープンキッチンのレイアウト&オススメの生活スタイル

「オープンキッチン」と一口にいっても、そのレイアウトはさまざま。それぞれ特徴が異なるため、どれを選べばいいかわからないという方も多いでしょう。これが一番人気でオススメといったものはあるのでしょうか。

「キッチンのレイアウトは、使う人のライフスタイルに合わせてベストなものを選ぶことが大切です。また、お部屋の広さによっても適したレイアウトが変わってきます」(インテリアコーディネーター・住吉さん、以下同)

「これにしたい!」と思うキッチンを見つけても、そのタイプが自分たちに使いやすいとも限らないようです。そこで、オープンキッチンのレイアウトごとに、家族構成や料理の頻度など、向いている生活スタイルを聞いてみました。ご自身と照らし合わせて検討してみてください。

アイランドキッチンのメリット&オススメの生活スタイル

アイランドキッチンは周囲を回遊でき、2人以上でキッチンを使ってもスムーズ

アイランドキッチンは、壁から離れて島のようにキッチンが独立しているタイプ。

アイランドキッチンのイラスト
(画像/SUUMO編集部作成)

「壁からキッチンが離れ、文字通りアイランド(島)のように独立したレイアウトです。みんなでキッチンに立ったりホームパーティーをしたりと、キッチンがコミュニケーションの中心になるご家庭に適しています。アイランドキッチンは周囲を回遊できるのが特徴で、2人以上でキッチンを使ってもぶつかりにくくスムーズに料理ができます。その分、広いスペースを必要とするので、お部屋の広さによっては圧迫感があることも。アイランドキッチンにするには、ある程度の広さのLDKが必要になります」。

アイランドキッチン
(画像/PIXTA)
アイランドキッチン
(画像/PIXTA)

ペニンシュラキッチンのメリット&オススメの生活スタイル

オーダー家具のような雰囲気で「かっこいいキッチンがほしい!」という方に

ペニンシュラキッチンは、アイランドキッチンの片方が壁付けになったタイプ。

ペニンシュラキッチンのイラスト
(画像/SUUMO編集部作成)

「ペニンシュラには半島という意味があり、アイランドキッチンの片方が壁付けになったタイプです。住宅設備というより造作家具(オーダー家具)のようなたたずまいが特徴で、インテリアにこだわりのある方や、個人的には、共働きの子どもなしの世帯で、あまり料理をしないけれど、かっこいいキッチンがほしい!という方にオススメです。アイランドとは異なり回遊動線はないので、2人以上でキッチンに立つことを想定するならば、バックカウンターまでの距離を広めに取るとよいでしょう」。

ペニンシュラキッチン
(画像/PIXTA)
ペニンシュラキッチン
(画像/PIXTA)

対面タイプI型のメリット&オススメの生活スタイル

コンロやシンク、手元をリビング・ダイニングから隠せる

対面タイプI型は、キッチン自体は壁付けで、つり戸棚はありません。リビングやダイニングの方を向いて(対面して)いるタイプで、カウンターが付いている場合が多いようです。

対面タイプI型キッチンのイラスト
(画像/SUUMO編集部作成)
対面タイプI型キッチンのイラスト
(画像/SUUMO編集部作成)

「対面タイプI型は、コンロ前が壁になっており、また、カウンターがあればその高さで、コンロやシンク、手元をリビング・ダイニングから隠せるのが特徴です。壁があることで、油はねや水はねなどを防ぐ機能性も兼ね備え、シンクをある程度見えにくくできます。LDKにおけるキッチンの存在感が少なくなるので、いつもきれいにしておかなければというプレッシャーが少ないのがうれしいですね。一方、上部にはつり戸棚がなく、開放感やリビング・ダイニングとのつながりなどのオープンキッチンのメリットは実現できています。共働き世帯や忙しい子育て世代にオススメのキッチンです」。

対面タイプI型キッチン
(画像/PIXTA)
対面タイプI型キッチン
(画像/PIXTA)

セパレートタイプのメリット&オススメの生活スタイル

シンクとコンロがわかれているので、2人でキッチンに立つことが多い世帯に

セパレートタイプは、作業スペースとコンロやシンクがわかれていて、片方は壁に、もう片方はリビング・ダイニング側に開かれています。

セパレートタイプキッチンのイラスト
(画像/SUUMO編集部作成)

「シンクとコンロがわかれているので、2人でキッチンに立つことが多い世帯に向いています。コンロが壁付けなので、換気扇が取り付けやすく、かつ油はねが抑えられます。カウンターを広く取れる一方で、オープンやペニンシュラに比べて収納スペースが少なくなりがちなので、別途パントリーを設けるなどの工夫が必要です。こちらもキッチンスペースを広く取れる家にオススメです」。

セパレートタイプキッチン
(画像/PIXTA)

L型のメリット&オススメの生活スタイル

効率よく動けて、油はねしにくく料理好きにも人気

L型は、L字型のキッチンで、片方にコンロ、もう片方にシンクがあるのが一般的です。

L型キッチンのイラスト
(画像/SUUMO編集部作成)

「効率よく動けるのでお料理が大好き!という方に向いているキッチンです。セパレートと同様にコンロが壁付けできるので、換気扇が取り付けやすく、油はねしにくいレイアウトです。両側を壁付けのLにせず、片側をペニンシュラのようにすることで、ダイニングとのつながりもよくなります」。

L型キッチン
(画像/PIXTA)

セミオープンキッチンのメリット&オススメの生活スタイル

キッチンは独立させたい、でも家族とのコミュニケーションは大事と思う方に

セミオープンキッチンは、一部が壁でリビング・ダイニングからは見えず、一部はリビング・ダイニングとつながっていて、コミュニケーションが取りやすく、料理や食器の受け渡しができないレイアウト。オープン型とクローズ型の中間のようなタイプです。

セミオープンキッチンのイラスト
(画像/SUUMO編集部作成)
セミオープンキッチンのイラスト
(画像/SUUMO編集部作成)

「オープンキッチンと比べて、リビング・ダイニングとのつながりが控えめです。空間的にはキッチンが独立しているので、キッチンはあまりオープンにしたくないけれど、リビング・ダイニングとのつながりはほしい、という方に向いています。複数人でキッチンに立つことが難しいので、キッチンに立つのは基本1人という世帯、ご夫婦のみ、シングルなどに向いています。キッチンのニオイがほかの部屋に流れづらいのもメリットです」。

オープンキッチンのデメリット対策

では、オープンキッチンはどのような方やご家庭に向いているのでしょうか。種類別にご紹介します。

オープンキッチンの種類 向いている人、ご家庭
アイランドキッチン
  • リビングの面積が広め
  • 2人以上で料理をする機会の多いファミリー、夫婦(カップル)
ペニンシュラキッチン
  • インテリアとの調和を重視したい
  • 2人以上で料理をする機会の多い夫婦(カップル)
対面タイプI型
  • 食器や調理器具が多いご家庭
  • 忙しい共働き世帯、子育て世代
セパレートタイプ
  • リビングの面積が広め
  • 2人以上で料理をする機会の多いファミリー、夫婦(カップル)
L型
  • 料理をする機会が多い
  • 家事効率を重視したい方
セミオープンキッチン
  • どちらか1人だけで調理することが多い夫婦(カップル)
  • 単身者

種類ごとの違いはありますが、開放的なオープンキッチンでは、総じて整理整頓や小まめな掃除が欠かせません。掃除や収納をルーティン化できる方、キッチン・リビング間でコミュニケーションを取りたいファミリーや夫婦(カップル)、オープンで明るいキッチンをつくりたい方にオススメです。

オープンキッチンのデメリット対策

目隠しがなくて、丸見えなのが気になる

オープンキッチンは開放的であるがゆえに、リビング・ダイニング側からもキッチンの様子が丸見えです。仕方ないと諦めるしかないのでしょうか。

「手元を隠したいのか、キッチン特有の生活感が気になるのかによって、対策は異なります。手元を隠したいという場合には、洗っていない食器がシンクにたまっている状態を見せたくないという理由が多いので、可能な限り食洗機をオススメします。海外製の大きなものは、お鍋やフライパンも入れられて便利です。また、対面I型のカウンターを高くするのも効果的です。

キッチン周りにものがあふれがちで、調味料やストックなど生活感のある物を隠したいならば、パントリーを設けたり、キッチン収納をしっかり計画したりすることで、解消できます。自分にぴったりのキッチン、好みのキッチンなら、お片付けもたのしくなるはずです。また、家電の存在感も大きいので、色をそろえたり、ぎちぎちにみえないよう余白を設けて配置したりするとスッキリしますよ」

収納が少ない

「食器棚(バックカウンター)をつくり付けるのがオススメです。オープンキッチンの場合、キッチン上のつり戸棚がないことがほとんどですので、背面でしっかりと収納スペースを確保することが重要です。

オープンキッチンの場合、リビング・ダイニングから見えないキッチンの面材よりも、バックカウンターのつり戸棚の面材の方が目立つことが多いので、ここはインテリアを選ぶような感覚で色を選んでみてはいかがでしょうか。キッチンと合わせなければいけないわけではないので、自由に選んでOKです」

油はね・水はねが、リビングの方まで広がる

オープンキッチンは囲いが少ないので、油はねと水はねのカバー面では弱く、「油はねが部屋に広がってしまう」「掃除が大変」など悩みを持つ方もいるようです。

油はねについて

・壁付けコンロにすれば部屋側へ油はねしないため、対面タイプI型・II型やL型がオススメ
・油はねガードは前方への油はねに大きな効果を発揮するので、ペニンシュラキッチンにはぜひ取り入れて!

油はねガードは、横はねには弱いので、コンロ横がオープンになっているアイランドタイプには向いていません。料理の際に出る水蒸気や油の粒子は、換気扇で吸い取ることで空気をきれいに保って、ニオイが部屋に充満するのを防いでくれます。

換気扇は、加熱調理をする直前ではなく、料理をはじめるタイミングで回しておくと、気流が生まれて効果が高まりますから、ぜひ試してみてください。換気扇の性能もどんどん高くなっているので、正しく使うことでかなりの効果が出ます。終わった後も少し回しておくようにしてみてくださいね。

水はねについて

・タッチレス水栓にすると、カウンタートップに水がかかるのを軽減できる
・食洗機を付ければ食器をシンクで洗う機会が減り、結果的に水はねの機会も減少する

タッチレス水栓のほかにも、水が飛び散りにくいタイプの水栓があります。施工会社に相談してみましょう。

油はね・水はねに共通しますが、アイランドやペニンシュラのカウンターの奥行きも重要です。
コンロやシンクからカウンターの端までの奥行きが浅いようだと、はねた油や水が床に落ちてしまって掃除が大変です。奥行きをしっかり取ることで、床が汚れづらく日々のお掃除が楽になります」。

オープンキッチン
(画像/PIXTA)

理想のキッチンづくり イメージを伝えるコツ

一度キッチンを施工したら、あとで欠点にきづいてもなかなか変えることはできませんし、仮にレイアウトを変えるとなると、大変な手間とお金がかかります。だからこそ業者にはできるだけ自分の理想を間違いなく伝えたいものですね。希望のキッチンをつくるためには、相談時にどのような点に気を付ければよいでしょうか。

「リフォームの場合、新築時と違って制約があり、どうしても希望がかなわないこともあります。そのため、依頼先と相談しながら一緒に進めていくスタンスがよいでしょう。キッチンリフォームに限っていえば、今のキッチンの不満をリストアップすることが役立ちます」。

相談時には、キッチンの使い方も伝えられるようにまとめておくとよいでしょう。

・一人で使うのか
・同時に二人以上で使うのか
・外食が多く、ほとんど料理をしない
・パーティーなどの大人数の料理をつくる
・パンやお菓子づくりが趣味 など

「ライフスタイルをしっかり伝えることで、最適なキッチンを手に入れることができます。家具や食器、調味料などのキッチンで使うものの量もざっくり把握しておきましょう。今より大きい冷蔵庫にしたいという方も多いと思いますので、どのくらいのサイズを希望しているかあらかじめ伝えておくと安心です」。

機能面はもちろん大事ですが、デザインも気になります。

キッチンの見た目を左右する壁などの仕上げ材。タイルやパネル、クロスなど自由に選べることが多いので、気に入ったキッチンの写真などを見せてイメージを伝えましょう。細部の写真だけでなく、キッチン全体やお部屋まで写っている写真の方が、全体の希望イメージが伝わります細部の写真だけでなく、キッチン全体やお部屋まで写っている写真の方が、全体の希望イメージが伝わります。オープンキッチンはインテリアの一部としてコーディネートするのが成功の秘訣です」。

「ただし、仕上げ材は費用との兼ね合いも出てきます。気に入ったものがキッチンに向かない素材である可能性もあります。ここでも自分のライフスタイル(掃除が好き、嫌い、経年変化を楽しめるか、きれいなまま使いたいかなど)を理解しておくことで、優先順位を付けやすく、満足度の高いリフォームになります」。

オープンキッチンには、ご紹介したタイプだけではなくほかにもさまざまなレイアウトがあります。理想のキッチンを実現するためにはご自身の心配事や不満な点を明確にすることからはじめましょう。悩みを専門家に相談することで、対策のアイデアも得られベストな選択ができるはずです。

オープンキッチン
(画像/PIXTA)
まとめ

オープンキッチンはさまざまなタイプがあり、家族構成・料理の頻度・生活スタイルなどによって、向き不向きが決まってくる。

オープンキッチンは開放的だが、目隠しがない・収納が少ない、油はねなどの心配点も。

心配点はオープンキッチンのレイアウトで軽減が可能。心配事や今のキッチンの不満点をまとめておこう。

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取材・文/大竹香織
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