外壁塗装の相場は? 種類や色、耐用年数は? 外壁塗装・リフォームの基礎知識

最終更新日 2020年11月18日
外壁塗装の相場は? 種類や色、耐用年数は? 外壁塗装・リフォームの基礎知識

住まいの外壁はいつも美しくしておきたいですよね。そのためには外壁塗装など定期的なメンテナンスが欠かせませんが、外壁塗装は1回行うとどの程度持つのでしょう? 費用の目安は? 助成金や補助金は? そんな外壁塗装の知識を、リフォーム会社の東京ガスリノベーション リヴィングモア神奈川店・源田店長に教えてもらいました。

外壁塗装はなぜ必要?

外壁塗装が必要な理由とは?

現在の住宅の外壁に多く使われている素材(外壁材)は、モルタル(砂とセメントと水をまぜたもの)や、サイディング材(粘土・珪砂・石灰岩から高熱処理した窯業系とガルバリウム金鈑などの金属系)です。他には木材やタイルなどがあります。

タイル以外の外壁材には、いずれも新築時に塗装を施すことや、製品製造時に外壁材の上に塗膜をつくります。外壁材の上に塗膜をつくることで、風雨や太陽の紫外線から外壁材を守るためです。しかし塗膜も風雨や紫外線で次第に劣化していきますから、定期的に外壁塗装をやり直す必要があるのです。同様に屋根材(スレート材や金属材など)にも塗装が必要です。

もしも定期的な外壁塗装を怠って塗膜が劣化すると、外壁材が雨や紫外線によって傷みます。外壁材の色がくすんだり、汚れがつきやすくなって住宅の外観が汚れてしまうのはもちろん、外壁材そのものが水分を含みやすくなってしまい、湿気による構造体への悪影響も懸念されます。

そもそも柱などの建物の構造体はとても重要な部位ですから、水からは絶対に守らねばなりません。断熱材や木材、金属などは水に弱い素材です。ですから外壁材で守るわけですが、定期的な外壁塗装を怠ると、外壁材が壁の内側にある断熱材や木材、金属などを守れなくなってしまい、結果的に家の寿命を短くしてしまうのです。

外壁塗装の目安は?

塗り替えの目安は? 外壁がどんな状態になったら注意が必要?

一般的に外壁塗装は10年毎程度の塗り替えが目安と言われています。ただしあくまでも目安であり、塗装材によって多少異なるのはもちろん、雨量の多い地域と少ない地域、周辺環境や家の方角による紫外線の量などによっても違います。極端な話、同じ家でも東側と西側でも異なることがあります。また立地が交通量の多い幹線道路の目の前や線路脇ですと、日常的な微振動でヒビが入りやすくなることも考えられます。

そのため、少なくとも目安である10年ごとに再塗装を行うことが基本で、できれば日々外壁の状態を確認しておくようにしましょう。

その際、下記のような状態が外壁材にある場合は、早めの塗装が必要です。

・コケ
苔が生えた外壁の写真

大きなコケが外壁にあると、水分を含んでしまい、なかなか外壁が乾かない状態が長く続き、外壁材や屋根材の塗膜を傷め、雨漏りを引き起こす原因にもなります。薄いコケや藻の場合は、掃除で落とせるので、早めに掃除をするようにしましょう。

・チョーキング
チョーキングの状態の外壁の写真

表面が粉っぽくなっていて、触ると手につく状態をチョーキングといいます。粉に見えるのは劣化して、塗膜が粉化した状態を示し、外壁材を守るという役割を果たせていません。サイディングの場合も同様で、このようになっていないか確認しましょう。

・クラック
クラックのある外壁の写真

モルタルの外壁材や、サイディングのつなぎ目(シーリング)にできた亀裂やヒビをクラックといいます。ここから雨が浸入する危険があります。なお幅が0.3mm以下の細いヒビはヘアクラックといい、そこまで心配する必要はありません。

・剥がれ
塗料がはがれた外壁の写真

塗料が剥がれると、外壁材を守る役割を果たせなくなります。

外壁塗装の種類・耐用年数は? 各素材のメリット・デメリットは?

外壁塗装の種類・耐用年数は?

外壁塗料はいくつか種類があり、それによって耐用年数やメリット・デメリットが異なります。主な外壁塗料とその耐用年数、特徴を比較してみましょう。

主な外壁塗料の耐用年数と特徴
塗料の種類 耐用年数の目安 特徴
アクリル系塗料 5年くらい ・アクリル樹脂が含まれている塗料
・価格が手ごろ
・他と比べると耐候性が低く、汚れやすい
ウレタン系塗料 7年くらい ・ウレタン樹脂を含んだ塗料
・塗膜が柔らかいため密着性が高い
・耐久性と価格のバランスがいいが、最近はシリコン系塗料のほうが人気のため、使われる頻度が減っている
シリコン系塗料 10年くらい ・アクリルシリコン樹脂を含んだ塗料
・ウレタン系より耐久性・耐候性があり、ウレタン系と比べて価格も少し高い程度なので、最近は人気が高い
ラジカル塗料 15年くらい ・そもそもの劣化因子であるラジカルを抑える塗料
・高耐候酸化チタンと光安定剤が配合
・高い耐候性と価格のバランスに優れる
フッ素系塗料 15年くらい ・フッ素系樹脂を含んだ塗料
・汚れが雨で落ちやすい
・ウレタン系やシリコン系より耐久性・耐候性が高いが、その分価格が高い
光触媒塗料 15年くらい ・太陽光で汚れを分解して浮かせ、その汚れを雨で流すというセルフクリーニング機能がある
・価格が高い

いずれも塗料も、どんな外壁の色にも対応できます。「既製のカラーがない場合でも、少し費用がかかりますが特色としてつくることもできます」

上記表内の「ラジカル塗料」は、従来の塗料と値段はあまり変わらず、高耐候性を発揮する新しいタイプの塗料です。塗膜を劣化させる原因のことを「ラジカル」と言いますが、このラジカルの発生を極力抑えて、長期間塗膜の劣化を防ぐ塗料です。

ラジカル塗料には高耐候酸化チタンと光安定剤が配合されています。高耐候酸化チタンがラジカルをバリアする能力を持ち、ラジカルを発生させてしまう酸化チタンを制御します。一方光安定剤は、発生してしまったラジカルの発散を制御する効果をもっています。この2つの成分によって、高耐候性を実現することが可能になります。

ただ、まだ比較的新しい塗料ですので、現段階では知名度が低く施工実績が少ないのが実情です。しかし、これから実例が確実に増えて来ることが予想されますので、今後注目したい塗料です。

外壁の色を変えた例
淡いブルーグレーの家の写真
濃いブルーグレーの家の写真
サイディングの外壁の色を淡いブルーグレー(1枚目)から濃いブルーグレー(2枚目)に変更した例(画像提供/東京ガスリノベーション)

外壁塗装の費用の目安は?

例えば同じシリコン系塗料でも塗料メーカーによって価格は異なりますし、同じ塗料メーカーのシリコン系塗料にも種類がたくさんあります。そのため一概に費用はいくらとは言えないのですが「現在、最もよく使われているシリコン系塗料で建坪が30坪の木造2階建ての場合、100万~120万円というのが目安です。また塗料の価格は費用の約3割で、残りのほとんどは主に足場(※)の設置や作業の人件費などになります」

※足場/高いところで作業を行うために組み立てる構造物

塗料の価格の目安は、上記表で一番上のアクリル系が最も安価で、下にいくほど高くなり、光触媒が最も高価となります。「主流のウレタン系とアクリル系の価格はあまり差がありません。一方、光触媒塗料は最も手ごろなウレタン系の約2倍くらいです」。

塗料の価格でもう一度整理すると、安価な順に
アクリル系<ウレタン系<シリコン系<フッ素系<光触媒
となります。

ツートーンカラーに変更した例
白のモルタル壁の家の写真
ブルーとグレーのツートンの家の写真
白のモルタル壁(1枚目)を、2階をブルーに、1階をグレーがかった白に塗り替えた例(2枚目)(画像提供/東京ガスリノベーション)

外壁塗装を行う際の注意点は?

雨樋や雨戸も塗装したほうがいい

外壁塗装というと壁だけを塗装すればよいと思いがちですが「例えば雨樋や雨戸(フレームはアルミでも雨戸や戸袋正面の板部分はスチール製のため雨に比較的弱い)といった付帯設備も一緒に塗装したほうがいいでしょう。2階部分の軒樋や戸袋などは足場を組まないと塗装できませんが、外壁塗装と別々にやると、足場を2回組まなくてはなりませんから」。足場の費用を2回分払うよりも、塗る部分が増えた分の塗料の費用のほうが断然安上がりです。

その意味では、外壁とともに屋根も一緒に塗装することがオススメです。「屋根の塗装は5年に一度くらい手を入れるのが理想です。しかし、5年毎に屋根の塗装をする方はなかなか少ないと思いますので、外壁塗装をする際に一緒に屋根の塗装をしたほうが経済的です」

屋根の塗装についてもっと詳しく
屋根の塗装をしたい! 単価の相場は? DIYできる?

3回塗りが基本、工期は10日~2週間くらい

塗料によっては塗る回数などを指定しているものもありますが、基本的に外壁塗装は下塗り材を1回塗って、その上に仕上げ材を2回塗ります。塗料が乾いてから次を塗るので、工期としては10日~2週間ほどかかります。

まれに、仕上げ材を2回塗るところを1回で済ませて人件費を浮かし、その分外壁塗装の費用を安くする施工会社があるようです。塗りの回数が減れば、耐久性も落ちてしまいます。「仕上げ材を1回塗っただけか2回塗ったのかは、プロが見ないと見分けがつきません」。できれば毎日現場を見て確認するか、工事の順番を写真で撮ってもらい、下塗り1回+仕上げ2回の3回塗りをしているか確認するといいでしょう。

そのほか、サイディングの場合なら、つなぎ目(シーリング)部分の施工方法にも注意が必要です。「本来は、経年劣化してヒビ割れたりした古いシーリングを取り除いてから、新しいシーリング材を充填します。その方がシーリングが肉厚になって、長持ちするからです」。サイディングの場合、ボード部分の塗装の劣化よりも、シーリング部分の劣化のほうが壁の内側に水を通す危険が高いので、シーリング部分は入念に確認しましょう。

上記のような工事内容を比較するためにも、見積もりは1社だけでなく、2社以上にもらうのがオススメです。

外壁塗装の補助金制度はある?

外壁塗装をするだけで補助金や助成金がもらえることはありません。ただし外壁を塗装するだけでなく、外壁の省エネリフォームや耐震リフォームを合わせて行うことで、国や各自治体の補助金制度を利用できます。各補助金制度によって補助金額や、利用出来る条件は異なりますが、足場を1回組んだら塗装だけでなく、外壁の断熱や耐震工事も合わせてやったほうが費用は安く済みますし、そもそも家の省エネ性や耐震性が上がるわけですから、検討してみてはいかがでしょうか。

外装の素材を変えることはできる?

モルタル壁にサイディングを貼る

かつて住宅の壁はモルタルが主流でしたが、最近の住宅はサイディングが増えてきました。塗装するのではなく、いっそサイディングなど他の外壁材に変えようかなと検討している人もいるのではないでしょうか。

モルタル壁からサイディングに変える場合、2つの方法があります。1つはモルタル壁の上からサイディングを貼る方法、もう1つは既存のモルタル壁を一度剥がしてから改めてサイディングを貼る方法です。モルタルの上からサイディングを貼るほうが、モルタルを剥がす作業が減りますから費用が安く済みますし「モルタルとサイディングの間に空気層をつくることができます。この空気層が建物の断熱効果を高めてくれます」。ただし、モルタル壁に加えてサイディングボード分の重量も加わりますから「特に金属系より重量のある窯業系は耐震性能に不利になる場合があります」。施工会社と相談してどちらにするか決めるといいでしょう。

窯業系のサイディング以外にも、ガルバリウムのサイディングもあります。ガルバリウムは錆びにくく耐候性も高く、非常に軽い外壁材です。もともと屋根材として採用されるようになり、最近は外壁材にも用いられるようになりました。ただし窯業系サイディングよりも費用がかかります。

またモルタル壁の場合、塗料のように壁面に吹き付けて凹凸模様をつけるスタッコ仕上げと、スタッコより目の細かいリシン仕上げという方法もあります。一般的にスタッコ仕上げの耐用年数は10年、リシン仕上げは8年程度です。

リシン仕上げの外壁の写真
スタッコ仕上げの外壁の写真
1枚目がリシン仕上げ、2枚目がスタッコ仕上げ

そのほかモルタル壁を落として、タイルや板張りなどにすることも可能です。外壁材の選び方については、下記を参考にしてください。

このように外壁塗装を定期的に行うことで、家がキレイになるだけでなく、家の寿命を延ばしてくれます。外壁塗装は、末永く快適に暮らすために欠かせないメンテナンスなのです。

まとめ

外壁塗装を定期的に行うことで、断熱材や構造体の腐食などを防ぎ、家の寿命を延ばすことができる

一度足場を組んだら、屋根の塗装や付帯設備、省エネ・耐震リフォームなどできるだけ一緒にやると、トータルでの費用を抑えやすくなる

3回塗りや付帯設備への塗装、シーリングの再充填など細かい部分もきちんとしてくれる施工会社を選ぶことが大切

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取材・文/籠島康弘 
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