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2人家族のマンションを購入したり、借りたりする場合、広さや間取りは大きなポイント。新婚やDINKS、これから子どもを考えている夫婦など、ライフステージによっても異なる後悔しない物件選びを紹介。不動産仲介の経験も豊富な不動産エージェントの山本直彌さんに話を聞きました。
暮らしていて快適だと感じられるマンションの広さは人それぞれ。また、同じ人でも家族構成や年代、そのときどきのライフスタイルによっても必要な広さは異なります。そのため、一応の目安ということになりますが、国土交通省の「住生活基本計画」で示されている居住面積を紹介しましょう。
居住面積の水準として挙げられている面積には、2種類あります。1つは「健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積」で「最低居住面積水準」と呼ばれるもの。もう1つは「豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積」で「誘導居住面積水準」と呼ばれるもの。下の表のように、居住する人数が多いほど面積水準は大きくなり、大人の2人暮らしの場合、最低居住面積水準は30m2、誘導居住面積水準は55m2とされています。
| 最低居住面積水準 | 誘導居住面積水準 | |
|---|---|---|
| 1人暮らし(大人×1人) | 25m2 | 40m2 |
| 2人暮らし(大人×2人) | 30m2 | 55m2 |
| 3人暮らし(大人×3人) | 40m2 | 75m2 |
では、最低居住面積水準の30m2の広さがあれば2人家族には十分なのでしょうか?
「最低居住面積水準の広さのマンションは、実際には非常に狭く感じるはずです。本当に最低限の床面積です。物件探しをする際などの1つの目安にするには誘導居住面積水準のほうが良いといえるでしょう」(山本さん、以下同)
実際に購入されているマンションは、2人家族の場合はどれくらいの広さなのでしょうか?2024年3月15日にリクルートが発表した「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」では、2023年に首都圏で新築分譲マンションを契約したマンションの平均専有面積は64.7m2。そのうち、「夫婦のみ世帯」は66.7m2、「シニアカップル世帯」は66.8m2が平均となっています。実際に購入されているマンションは、国土交通省の誘導居住面積水準よりも広いという結果が出ています。
マンションに必要な広さや間取り(居室の数など)は、そこに住む人数だけでなく、ライフスタイルによっても異なります。例えば、2人家族であってもリモートワークの頻度が高ければ、LDKと寝室の他にもう一つ独立した居室が必要と考える人もいるでしょう。夫婦がそれぞれに個室が欲しいという場合は、1LDKでは居室が足りず、2LDK~3LDKが必要になります。
理想的なLDKの広さや収納スペースの広さもその世帯ごとに異なります。現在の住まいのLDKや収納スペースの広さに不満がある場合は、今よりも広いLDK、収納スペースのある物件を探すといいでしょう。
「収納スペースは広さも大切ですが、各居室に設けられていることが重要です。収納スペースのない部屋は収納家具を置くため、使うことのできる有効面積が小さくなり部屋の使い勝手に影響するからです」
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共働きカップルなら、当初は利便性の良いコンパクトなマンションを購入し、将来的、家族構成に変化が起きたら広めのマンションや郊外の戸建てへ住み替えるという方法もあります。住み替え前提で購入するなら、通勤に便利な都心の駅近物件など、売却しやすいマンションから探すのがいいでしょう。2人家族をターゲットにしたコンパクトな間取りは、広いファミリータイプよりも価格が抑えられているメリットがあります。また、自分たちが暮らしている間も通勤に時間がとられない分、オンもオフもゆとりのある暮らしが叶います。
なお、購入する物件の登記簿上の床面積によっては住宅ローン控除の対象外になります。住宅ローン控除を受けるには、50m2以上(2024年末までに建築確認を受けた新築住宅で、合計所得が1000万円以下の場合は40m2以上)が必要。コンパクトマンションを購入する場合は注意しましょう。
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2人家族でも、広めのマンションを選んでおけば将来、家族が増えても狭く感じることがないというメリットがあります。マンションは増築できませんが、広さがあればリフォームで間取り変更をすることで家族構成が変わっても住みやすい空間をつくることも可能です。
「大は小を兼ねるといいますし、広めの住戸を選んだほうが将来の変化に対応しやすいといえます。一方で気をつけなくてはいけないのがコストです。今は、不動産価格が上がっていて、特に広い住戸は希少性が高く高価格。将来、そのエリアで高くても購入したい、という人がいなければ売却をする場合に苦労する可能性があります。また、管理費や修繕積立金は専有面積が大きくなるほど高くなります。広すぎる住戸を選んでしまうと、割高なランニングコストの負担がずっと続くことにも注意が必要です」
購入する際の価格や、所有している限り支払うことになるランニングコストが自分たちにとって大きな負担にならないかを考えた物件選びが大切です。
マンションを購入するのではなく、賃貸マンションで暮らすという選択肢もあります。2人家族なら、賃貸マンションも検討してみるべきなのでしょうか?
「将来、子どもは何人になるのかなど家族構成が決めきれない、今後も転勤が多いなど、ライフスタイルが決めきれていない、あるいは決められない状況にあるDINKSの方たちは、焦って購入するのではなく、賃貸マンションでの暮らしを選ぶという選択肢も考えることが大切です。
また、財産を引き継ぐ子どもがいないため、自宅を売却して賃貸マンションで暮らすというシニアの方もいらっしゃいます。この選択肢もありですが、注意したいのは安定した収入がないと賃貸契約時の保証会社の審査が通らないことが意外に多いということ。シニアになってからの賃貸への住み替えは難しいこともあります」
2人家族のマンションで多く選ばれるのが1LDK~3LDKのマンション。ここから、間取りによってどんな特徴があるのか、向いているのはどんな2人家族なのかを紹介しましょう。
1LDKは8畳以上のLDK(リビング、ダイニング、キッチン)のほかに、1つの居室がある間取り。広さは、40m2~50m2台が目安です。夫婦や親子の2人家族に適している間取りです。少し狭めではありますが、収納スペースが広ければ家具をあまり置かずに済み、コンパクトでも機能的に暮らすことができます。

1LDKは都心部の中古マンションや新築分譲マンションで多く、共働きで利便性を優先させたいカップルに向いているといえます。子どもが独立して2人家族になり広い家を持て余しているシニアカップルの住み替え先にもいいでしょう。2LDK以上の広さの物件に比べると価格や家賃が安いメリットもあります。

個室が1つの1LDKの場合、一人になる時間や空間が確保しにくいのが難点。また、夫婦のどちらかが夜勤のある仕事や不規則な仕事の場合、睡眠や食事の時間が合わず、生活音にも気遣う生活がストレスになることがあります。また、どちらかがインフルエンザなどの感染症にかかった場合、部屋を分けられない点もデメリットです。
「新婚カップルの場合は共働きで家にいる時間が少ないケースが多く、1LDKでも快適に暮らせるでしょう。しかし、注意したいのはシニアカップル。また、残りの人生の生活の満足度を上げていくためには、趣味を楽しんだり、人を招いたりするスペースも必要です」
家で過ごす時間が長い2人家族の場合は、1LDKで本当に良いのかをよく考える必要があります。
1DKは4.5畳以上8畳未満のDK(ダイニング、キッチン)のほかに、1つの居室がある間取り。広さは、30m2~45m2台が目安です。ダイニングキッチンでの広さによっては、居室をリビング兼寝室として使うことになります。一人暮らし向きの間取りですが、下の間取図のようにダイニングキッチンにダイニングセットが置ける程度の広さがあれば、1LDKのような暮らしも可能でしょう。

1DKは分譲マンションの場合は中古物件、賃貸アパートや賃貸マンションに多い間取りです。1LDK以上の物件や、新築分譲マンションに比べると家賃や価格が安いのが大きなメリットです。二人で過ごす時間を楽しめるカップルに向いています。
「LDKでの食事や団らんで家族のコミュニケーションをとるファミリー層には向いていないのが、1DKや2DKといったリビングのない間取り。しかし、リビングがない分、居室が広く取れている物件もあり、その場合、在宅ワークが中心の世帯や介護ベッドを置いてある高齢者世帯のライフスタイルに合っているケースもあります」
1DKは一人になれる場所が取りにくいため、プライベートな時間や空間が必要な人がいる2人家族には向いていません。また、収納スペースも少ない傾向にあるため、持ち物が多い人は収納家具で室内がますます狭くなるケースがあるので注意が必要です。
マンションの1LDK間取りについてもっと詳しく
→1LDKのマンションを購入したい!売却しにくいのは本当?間取りの特徴も解説
2LDKは10畳以上のLDK(リビング、ダイニング、キッチン)のほかに、2つの居室がある間取り。広さは、60m2台が目安です。居室が2つあるため、それぞれの個室をもつこともできますし、1つを寝室に、もう一つを書斎や在宅ワーク用の部屋として使うこともできます。下の間取図のようにリビングに隣接している居室があれば、リビングとの間仕切りを開放して1LDKのように使うこともできます。

一人暮らしにも二人暮らしにも適している2LDKのマンションは、物件数が比較的多く、立地や間取りタイプ、広さなどの住まいへの条件をクリアした物件に出合いやすいといえます。それぞれに個室を持てるのでライフスタイルの違うカップル、プライベートな時間や空間を大切にした人などに向いています。

居室が2つの2LDKは、将来、子どもが生まれても独立した子ども部屋を用意することができます。しかし、子どもが二人以上になった場合、子ども部屋が二人で1部屋では狭かったり、どちらかが受験期を迎えた時に勉強に集中できなかったり、といった問題が起きがち。
「最近は、子ども部屋よりもリビングで勉強するほうが集中できるお子さんもいますから、部屋数がいくつ必要かは世帯によってケースバイケース。とはいえ、将来の家族構成や部屋の使い方をイメージして間取りを選ぶことは大切です」
2DKは6畳以上10畳未満のDK(ダイニング、キッチン)のほかに、2つの居室がある間取り。広さは、30m2~50m2程度が目安です。1DKに比べて広めのダイニングキッチンで食事や団らんもしやすい間取りです。居室をそれぞれの個室にもできますし、1つを寝室に、もう1つを書斎や趣味、在宅ワーク用の部屋などに使うこともできます。下の間取図のような2DKならダイニングキッチンとバルコニーに面した居室の間仕切りを外せば、広めのLDKがある1LDKとしても使えます。

2DKのマンションは、2LDKに比べて家賃や価格が安い傾向にあります。また、居室が2つあることでプライベートな空間を設けたり、書斎にしたりと居室の使い方のバリエーションが1LDKよりも広がります。各居室に収納が設けられているケースが多いため、2DKには1DKや1LDKに比べて収納スペースが広い点もメリットです。
「LDKでの食事や団らんで家族のコミュニケーションをとるファミリー層には向いていないのが、1DKや2DKといったリビングのない間取り。しかし、リビングがない分、居室が広く取れている物件もあり、その場合、在宅ワークが中心の世帯や介護ベッドを置いてある高齢者世帯のライフスタイルに合っているケースもあります」
2DKのマンションは、築年数が古めの中古マンションが多いため水まわり設備の交換などにコストがかかるケースがあります。また、新築に比べて断熱性能などで満足できない可能性もあるので注意しましょう。将来、売却を考えている場合は、立地や眺望など、魅力となるポイントがあるかどうかも考えて物件選びをすることが大切です。
マンションの2LDK間取りについてもっと詳しく
→2LDKの間取りの特徴や、マンション探しのポイントを解説。購入も賃貸も住みやすい間取りは?
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3LDKは10畳以上のLDK(リビング、ダイニング、キッチン)のほかに、3つの居室がある間取り。
「広さは70m2台が目安でしたが、最近は不動産価格の高騰もあり、価格を抑えるために専有面積を狭くしたマンションが出ています。70m2台が3LDKの主流ではありますが、都市部では60m2台も珍しくありません。その場合、主寝室に6畳以上を確保しようとした結果、そのほかの居室が4~4.5畳と狭くなる傾向にあります」

2人家族で個室が3つあれば、今もこれからも、さまざまなライフスタイルに対応する暮らしが可能です。それぞれに個室が欲しいカップルも、在宅ワークの部屋が必要なカップルも、スペースが足りずに困るということはないでしょう。そのほか、将来、子どもが生まれても、親と同居することになっても3LDKであれば部屋割りのやりくりは難しくありません。アウトドア用品やスポーツ用具などトランクルームに入りきらないものがある世帯でも、1部屋を収納部屋として使えば収納問題は解決します。
二人で住むには3LDKでは部屋数が多いからと、広々とした1LDKにリフォームをしたり、新築分譲時のオプションで2LDKに間取り変更をしたりということがあるでしょう。実はこれ、将来、売却する場合に不利になる可能性があります。
「広さと間取りの相関性というのは資産性を考えるうえでとても重要なポイント。例えば、子どもたちが巣立っていったから、70m2の3LDKのマンションを1LDKやワンルームにリフォームしてしまうと、ニーズが減少することから流動性が落ちる傾向にあります。つまり、売却がしにくくなります」
2人家族になって使わない部屋ができたとしても、将来、売却をする予定があるなら極端なリフォームをせずに、夫婦がそれぞれの個室にする、収納スペースとして活用するなど3LDKを上手に使う工夫が必要です。
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→3LDKのマンションは何人住める?どんな間取りがわが家のライフスタイルに合う?
二人で快適に暮らせる間取りや広さはライフスタイルや年代によって異なります。自分たちの将来やどんな暮らしをしたいかを、二人でよく話し合いながら物件探しをしましょう。
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1LDKや1DKは共働きカップルなど、家での時間が生活の中心ではない世帯向き
2LDLや3LDKは将来、家族が増える予定のカップルに向いている
コンパクトなマンションは、床面積によっては住宅ローン控除の対象外になる点に注意
広めのマンションは管理費や修繕積立金が高めだが、将来の家族の変化に間取り変更などで対応しやすい
マンション・ビル管理、不動産仲介の経験を経て、マンション管理コンサルタント・不動産エージェントの業務に従事。これまでに50棟を超えるマンション管理フロント業務、500件以上の不動産仲介を経験。2020年4月 株式会社さくら事務所へ参画。2023年にはさくら事務所・執行役員、らくだ不動産・副社長執行役員に就任。マンション管理士、管理業務主任者、マンション維持修繕技術者、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。