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3LDKでの暮らしやインテリアの置き方は、間取りの特徴によってどう変わるのでしょうか?マンションの3LDKにはどんな間取りのレイアウトがあるのか、タイプによってどのような部屋の使い方ができるのかなどをインテリアコーディネーターの住吉さやかさんに聞きました。新築マンション・中古マンションの購入や賃貸マンション探しの参考にしてください。
マンションの間取りとしてはポピュラーで、販売される戸数も多いのが3LDKです。3LDKとは、リビング(Living)、ダイニング(Dining)、キッチン(Kitchen)と、ほかに居室が3つある間取りのことをいいます。新築マンションのモデルルームで、また、賃貸マンションや中古マンションを探しているときには不動産仲介会社で、3LDKのことを「3L」と略して使われることもあります。
マンションの3LDKの広さは物件によってさまざま。地域によっても違いがあり、同じ価格帯なら東京の都心部よりも郊外や地方都市の方が専有面積は広い傾向にあります。
では、首都圏で供給されている新築マンションはどれくらいの広さなのでしょうか。「2021年首都圏新築マンション契約者動向調査」(株式会社リクルート調べ)によると、新築分譲マンションの平均専有面積は66.0m2、ボリュームゾーンは70~75m2(33%)です。3LDKはマンションの間取りタイプの主流ですから、多くの3LDKが、60m2台後半から70m2台後半の広さと考えられます。1坪は約3.3m2ですから、65~75m2は約19.7~22.7坪となります。
3LDKは3~4人家族のファミリー層に人気がある間取りですが、シングル世帯や2人家族、5人以上の家族などで暮らす場合もあるでしょう。とはいえ、一人暮らしの場合は「自宅兼オフィスとして使用」「モノが多いので部屋数が必要」などのケース以外は、使わない部屋をもてあましてしまいそうです。家族の人数が多い場合は「狭い」「収納スペースが足りない」「トイレや洗面室が渋滞する」「自分の部屋が持てない」などの不満が起こりがちです。
3LDKで何人住めるのかは、住む人の暮らし方や住空間に求める広さ次第ですが、参考までに、目安として国土交通省による誘導居住面積水準を見てみましょう。国土交通省の住生活基本計画にある「誘導居住面積水準※」では、都市の中心とその周辺のマンションの場合、必要と考えられる住宅面積の水準(都市居住型誘導居住面積水準)は、シングルで40m2、2人以上の世帯は20m2×世帯人数+15m2。つまり、3人家族なら75m2が必要と考えられる広さ。ちょうど、一般的な3LDKの広さと合致します。4人家族なら95m2ですから、広めの3LDKや、一部屋多い4LDKが適しています。
5人家族で子ども3人の家の広さは115m2という計算になり、一般的な3LDKでは狭く感じるかもしれません。子ども3人目を考えるなら間取りは、子どもが1人一部屋ずつ使える4LDK以上か、2人で一部屋を使うなど、家選びや部屋の使い方に工夫が必要です。
※誘導居住面積水準とは、豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準。世帯人数に応じて計算される

ひとことで3LDKといっても、リビング・ダイニングの形や部屋の配置はさまざまです。ここでは、主な間取りタイプと、それぞれどのような暮らし方に合うのかなどを紹介します。
玄関から廊下をはさんで居室や水回りスペースが並び、奥にリビングがあるタイプ。玄関近くには独立性の高い2つの居室、リビングの横にも居室が配置されているタイプです。間口をリビングと居室で分けるため、リビング・ダイニングはバルコニーに対して「タテ長」になります。
「3LDKのマンションで多いタイプです。特に最近は、リビング・ダイニングに隣接する4.5畳程度の広さの部屋が、壁ではなく引き戸で仕切られている間取りがよく見られます。小部屋部分は、子どもが小さいうちは引き戸を開放してプレイルームとして使い、大きくなったら個室として与えるなど、ライフステージの変化にも最小限の模様替えで対応できる点がメリット。小さい子どもがいるファミリーにおすすめのタイプです。小部屋は、テレワーク用の書斎としても使いやすいと思います」(住吉さん、以下同)
タテ長リビング型の特徴

バルコニーに面した間口いっぱいにリビング・ダイニングが配置されたタイプ。採光のよい方向にバルコニーがある住戸なら、明るい時間帯のリビングで快適に過ごせます。日中も家族が家にいる世帯や、休日に家でくつろぎたい世帯が暮らしやすい間取りタイプといえます。
「タテ長リビング型と同様、リビング・ダイニングに隣接した部屋が、引き戸などを開放するとリビング・ダイニングと一体となって開放感が出ます。リビングに続く部屋を子ども部屋にすると、個室を与えても親の目が届きやすい反面、深夜の音問題には配慮が必要です。親が夜遅く帰宅してリビングで過ごすとき、子どもを起こしてしまわないよう親が気を使ってリラックスしにくいかもしれません」
ヨコ長リビング型の特徴

LDKと独立した3つの個室がある3LDK。そのうち、下の間取図のようにLDKを通らず各個室に入れるタイプが、居室の独立性が高い個室重視型です。
「寝室はリビングとは離れた場所にある方が、生活時間帯が異なる家族が一緒に暮らしていてもお互いに快適に過ごせます。家族がみんな大人の年齢で、それぞれに個室が欲しいという場合は、LDKと居室が分離していて玄関やトイレから各居室に直接アクセスできる間取りが理想的です」
個室重視型の特徴

採光の良いバルコニー側にリビングと3つの居室が横並びに配置。全ての部屋が明るく、家族でくつろぐ時間も自分の部屋にいる時間も、どちらも快適に過ごせる間取りタイプです。
「家族全員が大人の世帯や、子どもたちが個室を欲しがるファミリーなら、居室3室はリビングとは仕切られた独立性の高い居室になっているといいですね」
どの居室も快適性が高いことで、「自分の部屋だけ北向きで日が入らない」「共用廊下に面していて落ち着かない」などの不満が生まれにくい点は大きなメリットです。
横並び型の特徴

2階建ての戸建てのように、住戸内が上階と下階に分かれているメゾネット型。家族が集まるLDKと、プライバシーが重視される個室が分かれ、どちらの時間も大切にできる間取りタイプです。
3LDKのマンションの場合「LDKと水回りのフロア+居室3つのフロア」「LDKと水回りと居室1つのフロア+居室2つのフロア」「LDKとトイレと居室1つ+浴室と居室2つ」などさまざまなプランがあります。LDKとは別のフロアにある居室や浴室は、来客中でもくつろぎやすいのがメリットです。一方、冷暖房効率が悪く光熱費がかかることや、高齢になったりケガをしたりすると階段の上り下りが大変になる点に要注意です。
「子どももそうですが、大人にとっても、1人になれる自分の部屋があるのは良いものです。メゾネット型は、個室を重視するファミリーに向いている間取りタイプです」
メゾネット型の特徴

他にも間取りのバリエーションはいろいろ。詳しくは下の記事へ
「ファミリー向けマンション」とは?2LDKから4LDKの間取り例や特徴を教えて!
リビングの形は、インテリアの配置に影響します。マンションでは主流のタテ長とヨコ長のリビングの違いを知っておきましょう。
バルコニーに面したLDKと、リビングに隣接する居室が並ぶタテ長リビング型。最近は、隣接の居室が引き戸の間仕切りを開放できるプランが主流です。
「隣接の居室は間仕切りを閉めて独立した部屋(1)として使えるのですが、ほとんどの方が開放して使われています。そのため、このタイプの間取りのリビング・ダイニングは壁面が少なくなり、家具を置ける場所が限られてしまうのです」
結果として、家具の置き方はほとんどの場合、キッチンのカウンター前にダイニングテーブルと椅子、バルコニー側の壁にテレビボード、テレビと向かい合う位置にソファとローテーブルというパターンになるのだとか。
では、リビングに隣接した居室を活かして、インテリアの配置のバリエーションを広げることはできないのでしょうか。
「インテリアコーディネートのご相談にいらっしゃる方のほとんどが、隣接する居室をリビングと一体の空間として使いたいとおっしゃいます。ところが、リビングとして広く使おうとソファやテーブルを隣接の居室に配置すると、テレビとの距離が空き過ぎてしまうなど意外に難しいのです。そこで、隣接した居室は、お子さんが小さいなら遊び場にする、成長したら勉強スペースやテレワークのスペース、家族のライブラリー、子どもの個室など、さまざまな使い方ができます。リビングやダイニングとは直接関連のない、フレキシブルなスペースとして使うのがおすすめです」

バルコニーに面してリビング・ダイニングが配置されているのがヨコ長リビング型。タテ長リビング型に比べて、壁面が多いのが特徴です。角住戸で2面に掃き出し窓が設けられているプランもありますが、両隣に住戸がある中住戸の場合や、2方向に窓があっても一つは腰高の窓の場合は、壁が多い分、家具を置けるスペースが多く確保できます。
「横長の空間の両端に、壁に三方向を囲まれた空間があれば、カウンターを作り椅子を置いて家族のスタディーコーナーにしたり、壁一面をテレビも置ける造作の壁面収納にしたりがしやすくなります」
ほかにも、ファブリックパネルやタペストリー、子どもの描いた絵などを飾るなど、壁面を活かす楽しみを家族で探すのもいいでしょう。

同じ3LDKでも間取りにはさまざまな特徴があります。リビング・ダイニングの形や、3つの居室は独立性が高いのか、または、リビングに隣接しているのかなどで、部屋の使い方や家具の置き方も異なります。
3LDKの間取りでマンションを探す際には、今の暮らしに合うかだけでなく、将来の部屋の使い方もイメージすることが必要です。子どもにそれぞれ個室が必要になったとき、子どもが独立して部屋が空いたとき、趣味用の部屋が欲しくなったときなど、さまざまな変化に対応できるか、または、リフォームをすることでライフスタイルの変化に合わせられるかなども考えておくといいでしょう。
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