ゼネコンとデベロッパーの違いとは? 役割や仕事内容、協力関係まで詳しく解説

最終更新日 2025年04月24日

ゼネコンとデベロッパーの違いとは? 役割や仕事内容、協力関係まで詳しく解説

マンションの購入を考えて物件探しをしているときなど、「ゼネコン」や「デベロッパー」という言葉を耳にします。よく聞く言葉ですが、違いがよく分からない人もいるのでは? ゼネコンもデベロッパーも、私たちの暮らしや住まいに密接にかかわっている業種。マンション購入をするうえで知っておきたい、それぞれの事業内容と主な違いや両者の関係性について紹介します。

ゼネコンとデベロッパーの定義

まずは、基本となるゼネコンとデベロッパーの定義から解説します。

ゼネコン(総合建設業)とは

「ゼネコン(総合建設業)」は、ゼネラル(general=総合)コントラクター(contractor=契約者)という英語の略称。もともとはアメリカで使われていた言葉で、一般的には「特定建設業許可を受けた総合工事業者」を意味しています。

特定建設業許可とは? 「一般建設業許可」との違い

建設工事を請け負うには建設業の許可が必要です。建設業許可には「一般建設業許可」と「特定建設業許可」があります。一般建設業許可は、許可を受けている業種全ての建設工事を受注することができます。いくらで工事を請け負うかという下請契約金額の制限はありません。

一方、特定建設業許可は、1件の建設工事代金が4000万円以上、または建築一式工事代金が6000万円以上の工事を、下請けに出すときに必要な許可のことです。ゼネコンが請け負う工事の規模の大きさが分かります。

建築工事の風景
高層ビルやマンション、道路、ダムなど規模の大きな建設工事、土木工事の発注を受けて、協力会社とともにつくりあげるのがゼネコン(画像/PIXTA)

デベロッパー(不動産開発業)とは

「デベロッパー(ディベロッパー)」は、英語のdeveloper=開発者のこと。さまざまな業界で使われる言葉ですが、不動産のデベロッパーというと、都市開発や再開発、宅地開発、マンション開発など、大規模な物件の開発事業を行う会社を指すのが一般的です。

同じ不動産デベロッパーでも、規模の大きな物件を扱う「総合デベロッパー」、特定の事業に特化した「専門デベロッパー」、都市開発やインフラ整備に携わる「公的デベロッパー」などに分類されます。

新築マンションの風景
新築マンションや都市開発の企画や開発を行うのがデベロッパー(画像/PIXTA)

ゼネコンとデベロッパーの主な違い

不動産業界において大きな柱ともいえるゼネコンとデベロッパーは、それぞれ異なる役割を担っています。業務内容やクライアント、企業規模などを比較してみましょう。

業務内容の違い

建築工事や土木工事などを請け負い、下請け業者への発注から管理までを担うゼネコンに対し、デベロッパーは土地や不動産の企画・開発に特化し、ビジネス戦略を策定した上で販売や運営、会社によっては賃貸業務にもかかわります。いずれも「建物を完成させて人に届ける」という目的は共通していますが、担当領域に大きな違いがあります。

クライアントの違い

ゼネコンのクライアントは国や自治体、民間企業など。その発注者から直接請け負った金額の大きな工事を、下請け業者(協力会社)に発注しています。一方、デベロッパーはその建物を利用する個人や法人から依頼されます。

企業規模と代表的な会社の違い

日本国内にゼネコンは数多くありますが、なかでも売上規模の大きな大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店はスーパーゼネコンと呼ばれています。同じくデベロッパーにもさまざまな会社があり、住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、三井不動産、三菱地所、野村不動産、森ビルなどがよく知られています。

売上高トップ3の企業を見ると、ゼネコンが鹿島建設2兆6651億円、大林組2兆3251億円、清水建設2兆55億円。対するデベロッパーが三井不動産2兆3832億円、三菱地所1兆5046億円、東急不動産1兆1030億円となっています。

ゼネコン デベロッパー
主な業務内容 工事を請け負い、下請け業者に発注して進行する 大規模な物件の企画・開発事業
クライアント 国や自治体、民間企業など 当該建物を利用する個人、法人
企業の規模 大手建設会社 最大手の不動産企業
代表的な会社 大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、長谷工コーポレーションなど(50音順) 住友不動産、東急不動産、東京建物、三井不動産、三菱地所、野村不動産、森ビルなど(50音順)

ゼネコンの役割と事業内容

ここからは、ゼネコンの役割と事業内容をより詳しく解説します。

建設工事の請負と管理

ゼネコンでは、請け負った工事の設計から実施、研究開発などを包括的に管理しています。各分野の専門工事業者に発注しながら、調査・計画、設計、施工、販売、アフターフォローまでを担い、案件全体を総合的にコントロールすることが主な役割です。

土木工事と建築工事の例

ゼネコンでは、総合的な企画、指導、調整を必要とする「土木一式工事」と「建築一式工事」を請け負っています。それぞれの工事例を見ていきましょう。

建築一式工事の例

  • 高層ビル
  • マンション
  • ホテル
  • 学校や駅などの公共施設
  • 工場など

土木一式工事の例

  • 道路
  • 鉄道
  • トンネル
  • ダムなど

一から建設するプロジェクトだけでなく、台風や地震など自然災害の被害を受けた道路やトンネルなどの復旧工事もゼネコンの重要な仕事です。

下請け業者(サブコン)との関係

ゼネコンから、下請け業者として工事の発注を受ける専門工事業者のことを「サブコン(Subcontractor)」といいます。主な企業として高砂熱学工業や大気社、新日本空調などがよく知られていて、ゼネコンとの関係性は契約方式によって次の3パターンに分類されます。

  • 一括請負:クライアントがゼネコンに工事一式を発注し、受注したゼネコンからサブコンへ発注がなされる契約方式
  • 別途工事:工事ごとにゼネコンとサブコンそれぞれに分離発注される契約方式
  • コストオン工事:契約についてはゼネコンとサブコン間で結ばれるが、クライアントが依頼するサブコンを選び、金額や条件面などを協議する

どの契約パターンであるかによってゼネコンとサブコンのかかわり方も変化しますが、いずれのケースでも両者は連携しながらプロジェクトを進行します。

デベロッパーの役割と事業内容

続いて、デベロッパーの役割と事業内容を詳しく見ていきましょう。

主な開発事業の種類

デベロッパーの主な開発事業としては、大きく「街の開発・再開発」「新築マンション開発」「宅地開発」の3つが挙げられます。

街の開発・再開発

活用されていなかった土地を活かしての街の開発や、既存の市街地や工場地などを再整備する再開発。再開発の例としては、現在進行中の渋谷駅周辺や、工場跡地にタワーマンションが次々と出現した武蔵小杉駅周辺がイメージしやすいでしょう。

新たな街の開発や再開発が行われる場合には、オフィスビルやマンションの新築だけでなく、車や人の流れがスムーズになり、駅などへのアクセスがしやすいように道路の拡張や変更を行うなどインフラ整備も一体として計画されることが多くなっています。商業施設や医療施設の誘致のほか、公共施設が移転してくる場合もあり、住みやすい、働きやすい街として完成します。

武蔵小杉駅周辺の風景
武蔵小杉駅周辺の風景。駅直結のショッピングモールも整備されている(画像/PIXTA)

新築マンション開発

マンション開発では、デベロッパーが用地を仕入れ、どんなマンションを建てるかを計画し、ゼネコンが建築を行います。どんなマンションが求められるかは立地によって違ってきます。そこで、デベロッパーでは、都心からの距離や、地域の特性、周辺環境などさまざまな項目についてマーケティングを行います。その結果を踏まえて、自社のどのマンションブランドを建てるのか、どんな間取り、どんな仕様にするかなどを検討します。

下はマンションデベロッパーの一部と、主なマンションブランド(マンションシリーズ)名。同じデベロッパーのマンションでも、価格帯やデザインなどの特徴が異なるブランドを用意しています。

【住友不動産】シティハウス、シティタワー、シティテラス、グランドヒルズ、ガーデンハウス
【大京】ライオンズ、ザ・ライオンズ
【東急不動産】ブランズ、ブランズタワー、マジェス(ハイ・リノベーションマンション)
【東京建物】ブリリア、ブリリアタワー
【三井不動産】パークマンション、パークコート、パークタワー、パークホームズ
【三菱地所】ザ・パークハウス、ザ・パークハウス グラン、ザ・パークハウス アーバンス、スタイルハウス
【野村不動産】プラウド、プラウドタワー、プラウドシティ、オハナ

大規模なマンションでは、複数のデベロッパーが共同で開発を行うこともあります。たとえば、「グランアルトシリーズ」は大京と住友不動産が共同開発するマンションに付けられるシリーズ名です。つまり、マンション名からは、価格帯や特徴の目安のほか、どのデベロッパーが建てたマンションなのかが分かるのです。気になるマンションを見つけたとき、どのデベロッパーが企画開発したのかもチェックすると、自分の好みが見えてくるかもしれません。

新築マンションの風景
立地やエリアのニーズ、地域特性などによって、マンションの価格帯や間取りなどが違ってくる(画像/PIXTA)

宅地開発

土地を仕入れて、宅地の販売や建売住宅の企画・販売を手がけるのもデベロッパーの事業のひとつ。宅地は施工会社を指定した建築条件付きで販売したり、建売住宅は販売会社に販売を依頼したりなど、デベロッパーによって販売の仕方は違います。

開発の規模はデベロッパーによって違いますが、大手デベロッパーの場合、10区画程度や数十区画以上など、まとまった広さの開発を行うのが一般的です。何年にもわたって造成と販売を行う宅地開発の場合は、複数のデベロッパーが共同で事業を進めるケースも多く、駅の新設や商業施設、医療施設の誘致も含めた大規模な街づくりとなります。

住宅街
外観デザインや外壁の色調に統一感を出し、緑を計画的に配置するなど、街並みの美しさに配慮した宅地開発も(画像/PIXTA)

ゼネコンとデベロッパーはパートナーの関係

ゼネコンもデベロッパーも、私たちの暮らす社会や街をつくり、支えている会社。たとえば、新築マンションを開発する場合、デベロッパーが建築用地を確保し、どんな建物を建てるのか、大規模な土地の場合はどんな「街」に開発するのかを検討します。その企画の建築の発注を請けるのがゼネコンです。

関係性でいうとデベロッパーが発注者、ゼネコンが下請け業者ということになりますが、大規模なプロジェクトの場合、デベロッパーとゼネコンが共同事業者として企画や開発を進めることもあります。両者は同じゴールを目指す、パートナーのような関係だといえるでしょう。

まとめ

ビルや道路、ダムなど大規模な建設工事や土木工事などを受注して形にするのがゼネコン

都市開発やマンション開発など大規模な案件・物件の企画開発がメインのデベロッパー

ゼネコンとデベロッパーの違いは「担当領域」で、会社ごとに事業内容も異なる

新築マンション開発で、デベロッパーとゼネコンはパートナーとして事業に携わる

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取材・文/田方みき、SUUMO編集部
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