機械式駐車場の基本~仕組み、使い方、メリット・デメリット~

機械式駐車場の基本~仕組み、使い方、メリット・デメリット~

マンションはもちろん、都市部の個人宅でも見かけることのある機械式駐車場。しかし、ひと言で機械式駐車場といっても種類がたくさんあります。それぞれどんなメリット・デメリットがあるのでしょう? そこで公益社団法人立体駐車場工業会に機械式駐車場の基本を教えてもらいました。

機械式駐車場の種類とそれぞれのメリット・デメリット

ショッピングセンターなど商業施設で使われる機械式駐車場ではなく、マンションで使われる機械式駐車場は大きく分けると5つあります。また個人宅の場合はこのうち、ほぼ(1)地上二段式の1種類です。それぞれの特徴と、利用する側のメリット・デメリットを見てみましょう。

(1)地上二段式
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車を上下に2台とめる駐車場。個人宅に機械式駐車場を備える場合は、主にこのタイプになります。イラストでは柱が4本ですが、最近は右か左の二本のみで、フォークリフトのようにパレット※を昇降します。(画像出典/国土交通省『「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き』)

※パレット……車を載せる台のこと

メリット
・上段にとめる車は、いたずらや盗難の危険が減ります。
・下段にとめる車は、日光によるボディ色の褪色を防ぎやすくなります。
・ほかで駐車場をもう1台分借りるより、たいてい安く駐車台数を2台に増やせます。

デメリット
・下段の車を出さないと、上段の車の出し入れができません。
・マンションなどの集合住宅には向きません。

(2)ピット二段式
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ピット(pit)とは穴のこと。(1)地上二段式と同じ要領で、車を上下に2台とめる駐車場ですが、下段を地下に収めます。このため下段の車を移動しなくても、上段の車の出し入れができます。ピット(穴)に2段分収めるようにすれば、上下3段にすることができます。(画像出典/国土交通省『「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き』)

メリット
・上段や下段の車の有無に関係なく車の出し入れができます。
・地上に接する段の車は、他の段に比べて出し入れが簡単です。
・地下に収まる段の車はいたずらや盗難の危険が減ります。また日光によるボディ色の褪色を防ぎやすくなります。

デメリット
・地下に収納する車は大雨による地下への浸水被害に注意が必要です。
・地下に収納する車は、機械を作動させる必要があるため、入出庫時に待ち時間が発生します。

(3)昇降横行式
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最初から一台分の空きスペースがあり、そのスペースを利用して必要なパレットをパズルのように上下左右に動かして、任意の車(を乗せたパレット)を出す駐車場です。3段以上にしても車がとまっている位置に関係なく出せます。またイラストのように1~2段を地下に収めるピット併用式や、ピットがなくすべて地上に設置するタイプがあります。(画像出典/国土交通省『「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き』)

メリット
・とめる位置に関係なく車の出し入れができます。
・地上に接する段の車以外は、いたずらや盗難の危険が減ります。
・地下に収納する車は、日光によるボディ色の褪色を防ぎやすくなります。

デメリット
・パズルのように動かすため、車の位置によっては出し入れに時間がかかります。
・地下に収納する車は大雨による地下への浸水被害に注意が必要です。
・地下に収納する車は、機械を作動させる必要があるため、入出庫時に待ち時間が発生します。

(4)垂直循環方式
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車を載せるパレットを垂直方向に循環させることで、車の出入口までパレットを移動する駐車場です。マンションの場合はたいてい1階部分に出入口を設けたタイプになります。(画像出典/国土交通省『「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き』)

メリット
・全ての車でいたずらや盗難の危険が減ります。また日光によるボディ色の褪色、雨風による汚れを防ぎやすくなります。
・(5)エレベーター方式よりシンプルな構造で部品点数も少ないため、不具合の発生が比較的少ないです。

デメリット
・車の位置によっては出す際に時間がかかります。
・機械の作動音・振動音に対する騒音問題に注意が必要です。

(5)エレベーター方式
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車をとめる駐車室を上下左右に配置し、車を収める場合は出入口で載せた車を目的の高さまで上げてから左右どちらかの駐車室に収める(車を出す場合はこの逆の動きをする)駐車場です。(画像出典/国土交通省『「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き』)

メリット
・全ての車でいたずらや盗難の危険が減ります。また日光によるボディ色の褪色、雨風による汚れを防ぎやすくなります。
・稼働時の騒音が小さく、騒音問題が比較的ありません。

デメリット
・車の位置によって出す際に時間がかかりますが、一般的には(4)垂直循環方式よりは時間がかかりません。
・(4)垂直循環方式より部品点数が多く、制御も複雑になるので、きちんとした保守点検が必要になります。

もちろんこれら以外にも、利用用途や設置場所に応じて多数のバリエーションがありますが、よく目にする主な機械式駐車場の構造は上記の5つになります。

機械式駐車場のマンションを選ぶ際の注意点

上記で見たように、例えば(2)ピット二段式では上の段のほうが出し入れしやすいなど、駐車位置によって不公平感が出がちです。そのため多くのマンションでは定期的に抽選によって駐車位置の変更や、契約料金に差を付けるなどしています。希望のマンションではどうしているのか確認しましょう。

また駐車場のメンテナンス費用は駐車場使用料や管理費などに反映されるため、そちらの金額に目が行きがちですが、メンテナンス体制についても確認が必要です。

「駐車場使用料や管理費を抑えるために、駐車場のメンテナンス会社を安易に変更してしまうことが増えています。しかし、価格だけで判断せずにメンテナンスの内容で判断してほしいと思っています。メンテナンスがきちんとされていないと、かえって大きな故障の原因になったり、会社によっては点検費用を抑える一方で交換が必要な部品代を多額に請求する場合も。機械である以上、不具合が起こることの想定は必要です。目先の金額ではなく、メンテナンス体制や緊急時の体制も含めて駐車場のメンテナンス会社を選ぶ必要があります」(立体駐車場工業会、以下同)

実はこうしたトラブルが目立つようになってきたため、2018年7月に国土交通省が「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」を発表したほど。マンション購入時には駐車場使用料や管理費だけでなく、どんな会社がメンテナンスを担当するのかなど、メンテナンス体制のチェックが大切です。

さらに最近は都市部のマンションでは車を所有する人が減っているため、想定より駐車場使用料が高くなるケースもありますから、購入したいマンションのエリア性(車が不可欠な場所か、など)にも注意が必要です。

なおミニバンが人気であることや、モデルチェンジの度に大きくなっていく最近の車のサイズに合わせて、機械式駐車場もとめられるサイズが大きくなっていますが、駐車できる車のサイズは確認するようにしましょう。

日常の使用時や、災害対応に関する注意点

以上は機械式駐車場を備えたマンションを選ぶ際に、押さえておきたい基礎知識ですが、一方で平面式駐車場や自走式駐車場ではなく「機械式駐車場を選ぶこと」の注意点についても知っておきましょう。

「機械が動く場所」であることのリスクを忘れずに

機械式駐車場は文字通り「機械が動く場所」です。そのため特に子どもにとっては興味をそそられる場所であり、しかも大変危険な場所であるという認識が必要です。実際、機械式駐車場で遊んでいたり(例えばピット二段式の場合、平地に車がとまっているだけに見える)、車を降りた直後に機械に近寄ってしまったため昇降するパレットに挟まれるなど、危険性があるのも事実。

また、大人がうっかり事故を招くケースもあります。例えば子どもが車の中で寝てしまったため「後で起こしにこよう」とそのまま車に乗せて入庫操作をしたら、目を覚ました子どもが慌ててドアを開けて……というケースも実際に起こっています。

「もちろん機械式駐車場には各種センサーが備えられて事故を防ぐ対策は行われていますが、国土交通省をはじめ関係各所から注意喚起を促すパンフレットなどが頻繁に発行されているということは、それだけ危険性が高く事故も多いという証でもあります」

このように機械式駐車場は、ルールさえ守って利用すれば大変安全な装置ですが、平面式や自走式にはない事故のリスクがあることをまず頭に入れておく必要があります。

ゲリラ豪雨や地震対策に注意

最近は豪雨が頻繁に起こるため、特にピット式での浸水被害の危険があります。ピット二段式の場合、豪雨や台風が近づいてきたら一時的に全車を地上に上げることができますが、その操作は不用意な事故を防ぐために駐車場の管理者しか行えません。特にさっきまでは晴れていたのに急に大雨が降る「ゲリラ豪雨」では、素早い対応が必要になりますから、大雨の際の駐車場の管理体制について確認したほうがいいでしょう。

また地震の多い日本ですから、マンションの建物だけでなく、駐車場の耐震性についても確認したほうがいいでしょう。東日本大震災では、エレベーター式でパレットが落下するという例もありました。それを受けて最近は耐震性を強化した機械式駐車場も登場しています。

このように、平面式や自走式にはないリスクもある機械式駐車場ですが、一方で上記の特徴で見たように、とめる位置や駐車場の種類によっては、愛車に対するいたずらや盗難の危険がなくなり、ボディ色の褪色も防げるというメリットもあります。また、とめる位置がきちんと決まっているため、平面式や自走式と比べて幅寄せされて出し入れしづらいとか、ドアの開閉で隣の車を傷つけるなどといった心配が減ります。

こうしたメリットやリスクをあらかじめ知ってから、機械式駐車場を選ぶようにしましょう。

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取材・文/籠島康弘 
公開日 2018年10月05日
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