南西向きマンション住戸は日当たりの良さで人気?価格は高め?後悔しない部屋の選び方

公開日 2023年10月02日
南西向きマンション住戸は日当たりの良さで人気?価格は高め?後悔しない部屋の選び方

南西向きのマンション住戸には、南と西から太陽の光が差し込むため、長時間部屋の中が明るい特徴があります。明るい部屋は気分がいいものです。でも、南西向きならではのデメリットもあります。新築マンションや中古マンションを購入する際に知っておきたいメリットやデメリット、南西向きの部屋での暮らしはどんな人に向いているかなどのほか、資産性についても解説。マンション管理コンサルタントで不動産エージェントの山本直彌さん(さくら事務所、らくだ不動産)にお話を伺いました。

南西向き、といわれるのはどんな住戸?

リビングの開口部が南西を向いているのが南西向きマンション

マンションを購入する際、北向きの住戸よりも南向き、南東向き、南西向きを希望する人は多いでしょう。この記事で解説する南西向きは、リビングの開口部(バルコニー)が南西を向いている住戸のことを指します。朝日は東から昇るため、南西向きの部屋は朝にはあまり光が入りませんが、午後から夕方にかけては太陽の日差しが部屋を明るく照らします。北向きの部屋よりも明るく、暖かいイメージがあるため人気の住戸です。

なお、真南や真西を向いた住戸でも、角部屋で南と西に窓が設けられている場合は、南西向きのマンションと同じように、南と西からの採光が期待でき、昼間は長時間明るい部屋になります。

南西向きリビングの間取りのメリットは?

午後からの明るさが南西向き住戸のメリット

南西向きにリビングやダイニング、キッチンがあるマンションの住戸には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

・昼間、部屋が明るい時間が長い
南西向きのマンションの良さは、なんといっても室内が明るいこと。朝日が差し込む南東向きに比べると、南西向きのリビングは朝の時間帯はそれほど明るくはありませんが、午後からは長時間、室内が明るくなります。

・西日が入るため冬は暖かい
午後から西日が部屋に入る南西向きのマンションは、冬の暖かさが大きなメリットです。冬の太陽は早い時間帯に沈んでしまいますが、空の低い位置を移動するため部屋の奥まで光が届きます。日差しが入りにくい北向きの住戸や、午後からは少し陰ってしまう南東向きの住戸に比べると、日没まで日差しが届く南西向きの住戸は冬は暖かく、暖房費を抑える効果も期待できます。

「マンションは気密性が高い造りになっているため、一般的な戸建て住宅に比べると、冬でも暖かい暮らしができます。しかし、日当たりによる気温差というのは、南向きと北向きでは圧倒的な違いがあります。私自身、どちらの向きの住戸にも住んだことがあるのですが、北側を向いた住戸よりも、南側を向いた南向き、南東向き、南西向き住戸は、冬は2~3度程度は暖かい感覚があります」(山本さん、以下同)

・洗濯物が乾きやすい(特に午後)
午後からの日差しが長い時間入る南西向きの部屋やバルコニーでは、洗濯物が乾きやすいメリットもあります。マンションの管理規約でバルコニーに洗濯物を干せないタワーマンションなどの場合、洗濯物は部屋干しか乾燥機で乾かすことになります。洗濯物の量が多い子育てファミリーの場合、乾燥機の機種によってはその日の洗濯物を全て乾かせないことも。午後からの部屋干しでも乾きやすいのは本当に助かります。

・窓から夕焼け空や夕日が楽しめる
窓からの景色の良い住戸は人気があります。西の空が眺められるマンションの楽しみは夕方の空。季節や天候によって表情が変わる西の空の夕焼けは、毎日見ても飽きることがありません。また、周辺に高い建物が少なく、眺望が遮られない中層階や高層階なら夕日が西側に沈んでいく景色も楽しむことができます。

立地が採光に影響することも。後悔しない物件の選び方は?

南西向きのマンションのメリットは、午後からの採光の良さ。しかし、窓の外に眺望を遮る建物が立っている場合、思っていたほど日当たりの良さは感じられないことも。また、南西側に駅や線路があって電車の通過音が早朝から気になる、近くにイベントが多い公園があってうるさい日があるなど、採光は良くても立地によっては住み心地に満足できないケースもあります。

「マンションは住戸だけでなく周辺環境の確認も大切。竣工済みの新築マンションや中古マンションなら購入を検討する住戸を内覧することができますから、窓からの眺望や周辺環境のほか、時間帯を変えていくことで日差しの入り方などもチェックしましょう」

午後から明るく室内干しの洗濯物が乾きやすい南西向きのマンションのイメージ
(イラスト/藤井昌子)

南西向きに部屋が並ぶマンションのデメリットは?

日当たりが良すぎて暑いのが大きなデメリット

午後からの採光がよく、明るい室内で過ごすことができる南西向きの間取り。しかし、夏の強い西日は暑すぎて快適とは言えなくなることも。

「天井から床までがガラス張りになったダイレクトウィンドウが採用されているタワーマンションなどでは、夏の昼間は暑すぎることがあります。日差しを遮る建物が周辺にないなど、立地によっては、南西向きよりも北向きの方が暮らしやすい物件もあります」

南西向きのマンションは、ほかにどのようなデメリットがあるのでしょうか。

・テレビやパソコンなど家具の配置に制約が出る
リビングに西日が入る場合、テレビやソファの置き方によっては画面が見えにくくなることも。テレワークをするデスクをリビングに置く場合も、パソコンの画面に光が当たりすぎないよう注意しなければなりません。そのため、家具の配置に制約が出ることがあるのがデメリットといえます。

・床や壁、家具などが西日で日焼けしやすい
窓からの紫外線はカーテンや家具、床、壁などの日焼けにつながります。特に、強い西日が当たる部分の床や家具などは変色してしまうことも。窓ガラスにはUVカット効果のあるものが採用されているかを確認しておくといいでしょう。自分でUVカットフィルムを貼ることで日焼けを防ぐ方法もあります。

・午前中は南向きや南西向きより部屋の中がやや暗めになる
午後は日差しがたっぷり入る南西向き。しかし、午前中の日差しは入りにくいのが特徴です。東向きや真南向きの住戸に比べると、室内はやや暗めになります。朝食は明るいダイニングで食べたい、という希望がある人にはデメリットです。

西日がまぶしい、暑いなどがデメリットになる南西向きのイメージ
西日がまぶしい、暑いなどがデメリットになる南西向きのマンション(画像/PIXTA)

南西向きのマンションが向いているのはこんな人

明るい住環境で暮らしたい人に向く南西向きの住戸

メリットだけではなく、夏は暑いなどデメリットもある南西向きのマンション。どんな人に向いているのでしょうか。

「南西向き、南東向き、南向きといった南側を向いた住戸は明るく暖かいため、子育て世帯や親御さんと同居している方など、在宅時間が長い家族がいらっしゃる世帯に合っていると思います」

・家にいる時間が長い家族がいる人
暗い部屋よりも、明るい暖かい部屋で暮らす方が気分も明るくなるものです。南西向きの部屋は午後から部屋が明るく、冬でも暖かいのが特徴。子どもや高齢者、現在仕事をしていない人など、在宅時間が長い人が家族にいる場合、南西向きのマンションは満足度の高い暮らしが得られます。

・暑さは苦手だけれど昼間は仕事や学校で留守が多い人
明るい部屋は好きだけれど夏の暑さは苦手、という人にとっては、南西向きの部屋に入る夏の西日は辛いかもしれません。しかし、昼間は仕事や学校で留守にする、土日は出かけることが多いという場合は、あまり影響はないでしょう。

・リモートワークで在宅時間が長い人
自宅が仕事場の人、コロナ禍以降、在宅での仕事が増えた人にとっては部屋の日当たりは重要。明るい環境で仕事をするのが好みなら午後からの明るさが長く続くリビングで、落ち着いた日差しの方が仕事が捗るのならリビングから離れた北向きなどの部屋で仕事をするといいでしょう。北向きの部屋を仕事場にしていても、休憩や食事、気分転換で過ごすリビングが明るいのはいいものです。

・洗濯回数が多い人
乾燥機よりも太陽の光で洗濯物を乾かしたい人、1日に何度も洗濯をする人は、午後からもバルコニーやリビングに太陽の光が入る南西向きの部屋がぴったりです。

西日の入る部屋でストレッチする親子
(イラスト/藤井昌子)

南西向きのマンションは他の住戸より高め?将来、売る場合は有利?

北側を向いた住戸より10%くらい価格は高め

デメリットといえば夏の午後、西日が入って暑いこと。それ以外は、明るく冬は暖かい南西向き住戸は人気。

「新築マンションでは、南西向き、南東向きの住戸は、床面積や階数などが同条件の北向きの住戸に比べると、価格は10%くらい高めに設定されると言われています」

しかし、すべての南西向き住戸が北向きよりも暮らしやすいか、というと周辺環境や暮らす人のライフスタイルによって評価は変わります。また、売却する際には方角以外にもさまざまな要素が価格に影響します。

いくらで売れるかは、方角以外にもさまざまな要素が影響

購入したマンションが、将来、いくらで売れるかは気になるところです。南西向きや南向き、南東向きなど、人気の南側向きで眺望もいい住戸は、新築でも中古でも評価はとても高くなります。他にも、さまざまな要素が不動産の価値に影響します。採光面(開口部)が南、東、西、北の順で居住快適性は高くなりますから、南西向きは北側を向いた住戸に比べると人気があり売却に有利な面はもちろんあります。しかし、低層階なのか高層階なのか、眺望を遮るビルやマンションはないか、角部屋かどうか、ランドマーク的な建造物や夜景、花火大会など見えることが眺望の付加価値になっているかなど、さまざまな条件のバランスも将来の売却のしやすさに影響します。

将来、売却する可能性や予定があるなら、マンションの資産性はどのようなポイントで評価されるものなのかを知っておくといいでしょう。

「不動産の資産価値は『いくらで売れるか』という視点で図られるのが一般的です。その、資産価値を構成するのは新築マンションの場合は、相場価格、居住快適性、持続可能性、流通可能性。中古マンションは立地、建物の仕様、管理状況、相場妥当性。さくら事務所の『FACTORS 4』(新築マンション中古マンション)というサービスでは、この4つを軸(下表参照)にマンションの資産性を評価しています」

マンションの資産性への評価は、どのような人に役立つのでしょうか。

「これから購入する物件を比較検討中の人や、今住んでいるマンションの売却を検討している人はもちろんですが、新築マンションを購入して引き渡しを待っている段階の人や、売却予定はないけれど中古マンションを所有している人にもメリットがあります。購入した不動産の評価を知っておくことで、例えば、資産性があまり高くない物件だったから管理組合の活動をきちんとして資産性を上げていこうとか、資産性が高かったから良いタイミングで売却しようとか、今後の不動産との付き合いを検討する指針になるからです」

新築マンション、中古マンションの資産性を評価する4つのポイント

新築マンション

・相場価格
同じような条件のマンションに対して、高い査定額がつきやすいか

・持続可能性
資産性を維持し続けていく管理や修繕はどうか

・居住快適性
暮らす場所として快適に過ごせる建物仕様(スペック)になっているか

・流通可能性
建物の仕様に対して妥当なランニングコストになっているなど、価格にはあらわせない魅力があるか

中古マンション

・立地
駅からの距離などの利便性のほか、災害リスクの有無など

・建物仕様
共用部のスペックのほか、専有部分のリフォーム履歴など

・管理状況
管理組合の活動状況や、修繕積立金が確保されているか、長期修繕計画が定められているかなど

・相場妥当性
妥当な売り出し価格かどうか

参考:さくら事務所ホームページ

採光の良い南西向きマンションは人気ですが、メリットが多い一方、デメリットもあります。自分のライフスタイルには合っているのか、周辺環境はどうかなど、物件探しの際にはさまざまな視点からチェックすることが大切です。

まとめ

南西向きマンションはリビングの開口部が南西を向いている住戸

南西向きマンションは午後からの採光がよく、冬には暖かいのがメリット

西日が強いため、夕方や夏は室内が暑くなるデメリットがある

在宅時間の長い人がいる世帯に向いている

暮らしやすさは方角だけでなく、周辺環境などさまざまな要素が影響する

新築時には北向きの住戸よりも価格は高めに設定される

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取材・文/田方みき イラスト/藤井昌子
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