大規模マンションなどでよく見かける共用施設の「ゲストルーム」。居住者やそのゲストが宿泊できるゲストルームとは実際にどんな施設なのでしょうか。料金や使い方などについて、新築マンションの販売企画・ブランディングに豊富な経験を持つ澄川さんに教えてもらいました。
マンションのゲストルームは居住者や、居住者のゲストが宿泊できる共用施設です。一つの物件に洋室タイプ、和室タイプなど複数のゲストルームが備えられていることもあります。
マンションには住居となる専有部以外に共用部があり、規模の大きいマンションになると、ゲストルームのほかにも、キッズルームやライブラリー、パーティールームなど、マンションの住人がみんなで使用できるさまざまな共用施設を備えているものも少なくありませんが、それらの共用施設を管理する費用は、住人が毎月支払う管理費から支払われることになります。
「ゲストルームを備えているのは総戸数の多い大規模物件のことが多く、総戸数が多い分、物件管理に関する1戸あたりの負担額は割安になります。ゲストルームなどの共用施設がついているからといって、管理費が高額とは限りません」(澄川さん、以下同)。
またゲストルームを利用する場合、月々の管理費とは別に使用する住人はその都度利用料を支払い、その利用料は管理組合の収入になります。
「ゲストルームの使用料は物件によりますが、1泊数千円程度が一般的な料金です。例えば、都心のマンションの場合、周辺の宿泊施設は1泊数万円ということもあるので、それに比べると格安な料金設定になっていることが多いです」。
都心の場合は料金面でホテルより格安で泊まれるというメリットがありますが、そもそもマンションが建つエリアの多くは住宅地のため、周辺に宿泊施設がないということも少なくありません。遠方から親族や友人などが遊びに来ることがある人にとって、ゲストルームは身近に気軽に泊まれる場所として人気の高い共用施設の一つとなっています。
親族や友人が来たのに近隣にホテルがない場合はもちろん、以下のようなときもゲストルーム利用を考えてみてはいかがでしょうか?
1.自宅の宿泊では不便な場合
自宅に泊まってもらう場合、お風呂・トイレの共用が不便に感じる方もいるのではないでしょうか?そのようなときにゲストルームの利用を考えましょう。
2.出産や病気療養の手伝いに来てもらう場合
出産後や病気療養の手伝いなどの場合、ゲストルームを利用すれば、手伝いに来た人もくつろげる時間を作れるはずです。なお、宿泊日数は一般的には2泊までとなっていますが、予約状況次第でそれ以上の宿泊が許可されるマンションもありますので、事前に規約等を確認し、管理組合に相談してください。
実際にマンションに住んで、ゲストルームを利用したことのある人の声から、ゲストルームの使い心地を見てみましょう(SUUMO編集部調べ)。
「自宅に人を泊めるとなると、一つしかないお風呂やトイレに対して使用する人数が増えて不便なもの。ゲストルームに泊まってもらえば、気にしなくていいのがうれしい」(50代・男性)。
一つしかないトイレを使いたいときに使いづらい、お風呂に入るタイミングが難しいなど、自宅に人を招くと日常とは違う環境に不便を感じることがあるかもしれません。ゲストルームに宿泊してもらえば、ゲストルームにトイレなどもついているのでそのような心配も不要です。
「産後、義母が手伝いに来てくれたときに活躍。家ではなく、ゲストルームに泊まってくれたおかげで、嫁姑気兼ねない距離感で数日過ごせました」(30代・女性)。
義父母が自宅に宿泊するとなると気疲れをすることもありますが、近所のホテルなどに泊まってもらうというのも気が引けるもの。ゲストルームがあれば、自宅でありながら空間的にも、時間的にもほどよい距離ができるので、産前産後など、親族のサポートが必要なときなどは、近居感覚で使用できる一室として重宝しそうです。
「来客のたびにシーツを洗ったり、布団を干したりするなど、人を招く際の準備の手間が省けて本当に助かります」(40代・男性)。
親しい人であっても自宅に泊まってもらうとなれば、掃除や洗濯など準備が大変なので、アメニティなどの最小限の準備で済むゲストルームがあれば、おもてなしのためにかかる時間を短縮できそうです。
親族や友人を招いてもてなす機会がある人にとって、マンションのゲストルームはとても便利な共用施設です。また招かれる方にとっても、友人・知人の自宅には気軽に泊まれなくても、ゲストルームがあれば、気兼ねなく遊びに行きやすいということがあるかもしれません。ぜひマナーを守って上手に利用したいものですね。
ゲストルームを利用する場合は事前の予約が必要です。管理室やフロントなどで直接予約する方法以外にも、マンションの居住者専用サイトなどから予約するケースもあります。
「年末年始、連休などは予約が取りづらいこともあります。また、連泊できるか、無制限に利用できるかなども管理組合によって利用ルールが異なるので、利用する際には確認が必要です」。
利用当日、ゲストルームを予約したマンションの居住者が管理室やフロントで鍵などを受け取ります。布団などのリネン類はこのときにレンタルできる場合が多いようです。
利用後はチェックアウト時間までに退室して鍵を返却します。ホテルや旅館とは違うため、ある程度は自分たちで清掃する必要があります。後になって揉めないよう、利用前にどこまで片付けておけばいいかを管理室・フロントで確認しておくことをオススメします。
ゲストルームにバスルームやトイレがあってもホテルとは違い、シャンプーや石けんなどのアメニティはついていないのが一般的です。タオルなども物件によっては自分で用意するケースもあります。
「通常、ベッドシーツなども含めた寝具は備え付けのものが使用できます。来客用の布団を家に常備しておく必要がないというのは、ゲストルームの大きなメリットの一つです。ただし、アメニティに関しては、ホテルのように備えられていないので、ゲストを招いて宿泊してもらう場合などは、忘れずに居住者自身で準備しておきましょう」。
ゲストルームの使用についてのルールはマンションの管理規約で決められています。ルールを知らず、不本意にトラブルになるような事態を避けるためにも、必ず使用に関するルールを確認するようにしましょう。
「例えば、自分のマンションのゲストルームだからといって、ゲストルームを民泊として勝手に貸し出すようなことは絶対にNGです。多くのマンションの管理規約には、ゲストルームの民泊利用について禁止するということが明記されているものですが、明記されていない場合もあります。しかし、管理規約で禁止されていないからといって、共用施設を個人の営利目的などで利用するのはもちろんマナー違反です」。
「また、予約が取りづらいこともあるゲストルームですが、年末年始などの人気が集中する日程に早い段階からあてもなく予約を入れておき、ぎりぎりにキャンセルをするなどは、ほかのマンション住人にとって迷惑な行為です。ゲストルームはあくまでも住人みんなで使用する施設なので、自分以外の人も気持ちよく使用できるような使い方を心掛けましょう。非常識な使い方をする人がいると、管理組合で問題になり、管理規約に新たなルールが追加されるということもあり得ます」。
居住者自身の使い方はもちろんですが、ゲストに使用してもらう場合も、ごみは持ち帰る、禁煙、騒がない、汚さないなど、マナーは守ってもらうよう、きちんと伝えてから利用するようにすると安心です。
マンションのゲストルームは、居住者や居住者のゲストが宿泊できる共用施設
利用するには使用料や予約が必要
マンションの管理規約を確認の上、マナーを守って上手に活用したい