災害に強いマンション 2012

災害に強いマンション

マンションの地震対策Q&A

今回お話を伺ったのは・・・

日建ハウジングシステム 設計部長 吉田和弘さん  理事 技師長 浅野美次さん
日本有数の設計会社で数多くのマンション設計を手がける。吉田さんは主に防災対策を、浅野さんは構造を担当。

Q1 新築マンションの耐久性は?

A 震度6強でも倒壊しない

今の住宅はすべて国の耐震基準を満たして建てられており、震度6強程度の大地震でも倒壊しない耐震構造になっている。「大地震でも住む人の命が守られることが大前提です。ただし建物が揺れたり、ひび割れたりすることはあるでしょう。家具が倒れたり建物が損傷する被害を抑えるため、制振構造や免震構造を採用するケースもあります」(浅野さん)

■地震対策には3つの構造がある

耐震構造

●耐震構造=揺れても倒れない
柱や梁、壁などで建物をガッチリ支え、地震の揺れに耐える構造。地震が大きいと揺れも強くなる

制振構造

●制振構造=装置で揺れを制御
建物内に設置した制振装置で、地震の揺れを素早く制御する。高層マンションの風対策にも有効

免震構造

●免震構造=足元で揺れを低減
地震の揺れが建物に伝わりにくいよう、基礎部分の免震装置で低減。大地震でも揺れは激しくない

耐震等級1でも大地震に耐えられる

国が基準を定めた住宅性能表示制度では、地震への強さを耐震等級でランク付けしている。今の住宅は最低でも等級1の基準を満たし、大地震でも耐えられる。等級が上がれば強度が増すが、建築コストもアップする。

等級 1 2 3
基準 数百年に一度程度発生する地震力(※)に対して倒壊・崩壊しない程度 数百年に一度程度発生する地震力(※)の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度 数百年に一度程度発生する地震力(※)の1.50倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度

※東京を想定した場合、震度6強から7に相当

Q2 地盤が弱い場合の対策は?

A 固い地盤まで杭を打って建物を支える

地震の揺れ方は地盤にも大きく左右される。同じ震度でも、地盤が柔らかい場所は揺れ方が大きく、建物が沈んだり壊れたりするリスクも高まるのだ。マンションを建てるときは地盤調査を綿密に行い、軟弱な場所であれば対策が打たれることになる。「地中深くの支持層と呼ばれる固い地盤まで杭を打ち、建物の基礎を支えるケースが一般的です」(浅野さん)

地盤の強さに応じた対策が打たれている

●A=直接基礎(地盤にじかに乗る)
支持層と呼ばれる固い地層が地表近くにある場合は、基礎を直接乗せる

●B=杭基礎(地中に杭を打つ)
地盤が軟弱な場所では地中深く支持層まで杭を打ち、基礎を下から支える

液状化対策が実施されることも

先の大震災では地盤の液状化による被害も広がった。だが、液状化のリスクがある場所にマンションを建てるときには多くの場合対策が打たれるため、建物そのものが被害を受けたケースはほとんどなかったといえる。

対策を打てば液状化は防げる

液状化対策は機械で地盤を固めたり、固い砂の杭を打つ方法が多い

Q3 地震で家の中に閉じ込められたりしない?

A 建物がゆがんでも玄関ドアが開く仕組みに

大地震では建物が倒壊しなくても、ひび割れたりゆがんだりする可能性はある。建物がゆがむと玄関などのドアが開かなくなるリスクがあるが、今のマンションはほとんど対策がとられているという。「ドアの枠や丁番が耐震仕様となっており、ゆがんでも開けやすい仕組みです。構造上、玄関ドアがゆがみにくい位置にプランニングしているケースもあります」(吉田さん)

対震ドア枠なしタイプ

玄関ドアが対震枠でないと、地震で建物がゆがんだときに枠とドアが当たって開かなくなることも

対震ドア枠ありタイプ

枠がゆがんでも隙間があるので開閉できる。大きく変形しても強く押せば開くよう設計されている

Q4 倒れた家具や食器でヘガしない?

A 家具固定用の壁の下地や扉のロック機能も

大きな地震で建物が揺れたとき、家具が倒れたり食器が飛び散るとケガをする危険がある。こうした室内での事故のリスクを減らすため、対策を打つケースも増えている。「家具を固定できるよう、壁に下地材を入れることもあります。地震の際に食器棚の扉がロックされる耐震ラッチも一般的になりました」(吉田さん)

家具転倒防止策

室内の壁に予め下地材を入れて金具などで家具類を固定しておけば、転倒のリスクが小さくなる

耐震ラッチ

キッチンの吊り戸棚が地震で開くと食器が飛び出て危険。耐震ラッチ付きなら自然に開くことはない

※画像提供/ D:三井不動産レジデンシャル
※撮影協力/ E:YOKOHAMA ALL PARKS、長谷工コーポレーション

Q5 ライフラインは大丈夫?

A 配管の損傷を防ぐ対策も

配管の地震対策

液状化などで敷地と外部を分ける道路境界線に段差ができると、水道管やガス管などのライフラインが壊れることがある。そこで管の素材を工夫する対策が有効だ。「敷地の内外を結ぶ管のつなぎ目に柔軟性のある材料を使うことで、損傷を抑えるケースも出てきました」(浅野さん)

汚水を貯める敷地内の最終マスと敷地外の公共マスを、 柔軟な「可とう継手」でつなげば損傷を低減できる
※画像提供/ G:三井不動産レジデンシャル

Q6 火災が起きたら?

A マンションの構造は延焼しにくい

配管の地震対策

地震では火事のリスクも高まるが、マンションは住戸ごとに細かく壁や扉で区切られているため、そもそも延焼しにくい構造だ。万一の場合ははしごなどの避難経路も2方向以上確保されている。「避難経路になる場所は内装なども燃えにくい材料が使われます」(浅野さん)

バルコニーに設置された避難はしご。いざというときは1階まで避難することができる

Q7 エレベーターに閉じ込められない?

A 地震を感知したら最寄階で降りられるものも

配管の地震対策

地震のときにエレベーターに閉じ込められる話をよく聞くが、最近のマンションでは対策も進んでいるという。「停電時や揺れを感知したら最寄階で停止し、ドアが開いて降りられるタイプが増えました。一定時間内に強い地震が来なければ自動で運転を再開するものもあります」(吉田さん)

最新型は初期微動(P波)や緊急地震速報を感知すると最奇階に停まるタイプもある

Q8 給水が止まってしまったら?

A 水の備蓄や生成など対策があることも

配管の地震対策

マンションでは災害で停電が発生すると、給水もストップする。そのため、飲料水を備蓄したり、井戸水や川の水などから飲料水をつくる装置を導入するケースが多くなっている。「敷地内に給水用の水槽があると水を貯めておけるので、あえて設置するケースもあります」(吉田さん)

防火水槽や井戸から飲料水をつくるシステムがあれば、備蓄しなくても水を確保できる

※東京を想定した場合、震度6強から7に相当

Q9 防災訓練をするマンションがあるって本当?

A 居住者の活動をサポートする売主も

配管の地震対策

先の大震災では、地震後の助け合いなど人と人とのつながりが見直された。マンションでも居住者によるコミュニティの形成が重要だ。そこで最近では、居住者が参加するイベントを開いたり、管理組合による防災訓練などをサポートする売主や管理会社も増えている。

居住者参加の防災訓練を売主や管理会社のサポートで実施し、防災設備の使い方や避難方法などを確認するケースも

※画像提供/ I :三菱地所コミュニティ

Q10 周辺の災害リスクは?

A ハザードマップなどを確認

配管の地震対策

マンションの周辺地域にどのような災害リスクがあるかは、行政が作成するハザードマップなどで確認できる。防災マップで避難場所などもチェックしたい。「例えば液状化リスクの高いエリアでは、自治体がどんな対策をしているか確認すると安心でしょう」(浅野さん)

●国土交通省 ハザードマップポータルサイト
http://disaportal.gsi.go.jp/

国土交通省のポータルサイトで各地のハザードマップが見られる

東日本大震災の前後で住まいの選び方が変わった!?

構造、地盤、立地のほか管理を重視する人が多い

東日本大震災の半年後に行われた意識調査では、住まいで重視する点について建物の耐震性や立地など、災害に対する強さを挙げる人が半数を超えた。いざというときの避難や震災後の暮らしに備え、管理などソフト面を重視する人も目立つ。こうした人々の意識の変化に対し、売主側も対応に動いているようだ。「構造や設備など、災害対策の基準を見直すデベロッパーが増えています」(吉田さん)

構造、地盤、立地のほか管理を重視する人が多い

※リクルート・カルチャースタディーズ共同調査「東京圏の将来像調査」より

進化しているマンションの防災対策

●太陽光発電+蓄電池で電力を確保

配管の地震対策

●昼間は太陽光で発電 夜は蓄電池を電源に
太陽光発電も震災後に導入が広がった設備の一つだ。最近では蓄電池と組み合わせるケースも出てきた。「蓄電しておけば、停電時でも夜間の照明などに利用することが可能です」(吉田さん)

省エネ用に設置される太陽光発電が災害時に威力を発揮するケースも

※画像提供/ J:三井不動産レジデンシャル

●非常用自家発電装置を強化

配管の地震対策

●停電に備え長時間動く設備を導入するケースも
停電時に電気を供給する非常用自家発電装置があると安心だ。「法令上の義務のない物件でも発電機を設置したり、法定より長い時間動く設備を導入するケースも増えています」(吉田さん)

エレベーター用の非常用自家発電装置を給水などに利用可能にする例も

※画像提供/ K:大京

●非常用自家発電装置を強化

配管の地震対策

●高層マンションでは複数階に設置することも
いざというときに備え、防災用品や飲料水などを備蓄する倉庫を設置するマンションも増えた。「高層物件の場合、行政によっては複数階に設置を義務づけている場合もあります」(浅野さん)

倉庫は1階や地下に設けるのが一般的だが、各階に設置する物件もある

※画像提供/ L:野村不動産

●防災グッズを配布

配管の地震対策

●懐中電灯やラジオを入居時に配布する例も
災害や停電に備えて懐中電灯やラジオ、携帯トイレなどの防災グッズを用意しておくことは大切だ。最近では入居時に各住戸に防災グッズを配布するマンションも登場している。

あると安心な防災グッズを、リュックなどにまとめて配布するケースも

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構成・取材・文/大森広司 撮影/中島康貴(A、B、E) イラスト/カズモトトモミ、長岡伸行
公開日 2012年03月28日
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