「コンパクトな間取りだから、少しでも居室を広く使いたい」と思っている人は多いはず。そこで注目したいのが「階段下」のスペースだ。階段下を上手に活用するだけで、+αの魅力的な空間をつくることができる。書斎やスタディコーナー、キッズスペースなど階段下のスペースの使い方のアイデアや、プランニングのポイントについて、一級建築士の佐川旭さんに伺った。
階段下のスペースを有効活用すると、魅力的な空間をつくることができる。
「階段下はデッドスペースと思いがちですが、積極的に使えば+αの魅力的な空間にすることができる場所。間取りの中で階段をどこにもってくるかによって、階段下の使い方や可能性も変わります」(佐川さん、以下同)。
プランニングの際は、子どもの成長や家族構成の変化など、長年住む中でライフスタイルの変化に合わせて、階段下のスペースもいろいろな使い方ができるように工夫しよう。階段下のスペースの天井は段差になっているため、段差をそのまま活かすか、段差を無くして真っすぐなスロープのようにするのかによっても空間の雰囲気は変わる。また、階段下は構造的な制約はないため、後付けで棚などを設置することは可能だが、配線まわりは追加工事しづらいため、建築時に用途に合わせて換気計画やコンセントと照明の配置はしっかり決めておこう。
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階段下スペースは適度におこもり感があるため、書斎やワークスペースなどにも適している。壁や天井の色をダークトーンの色味でコーディネートし、電球色の照明にすると、落ち着いた雰囲気を演出することができる。
「階段の踊り場は子どものスタディコーナー、階段下は書斎やワークスペースというように、家族がそれぞれ過ごす場所を緩やかにつなげることもできます。階段下を書斎やワークスペースとして利用する場合は、床下を掘り下げて掘りごたつのように使うのか、椅子を使うのかによって必要な高さが変わります。床に座って使う場合は、床暖房を入れると冬場暖かいですよ」
リビング階段の場合は、LDK全体のまとまりやアクセントの付け方にも配慮を。絵的に映える家具や収納をセレクトしたり、書斎近くには観葉植物を置いて空間の切り替えを演出すると良い。
階段下をキッズスペースにする場合は、プレイスペースとしてだけではなくおもちゃ置き場を兼ねたスペースにすると良い。空間内の一部を黄色などポップな色味でアクセントウォールにしたり、蛍光色の照明などで快活な空間を演出しよう。
「キッズスペースは明るい空間にして動きをつけてあげることで、子どもの気持ちが前向きになって楽しく過ごすことができます」
大きなケージを廊下やリビングに置くと空間が圧迫されるので、階段下をペットのためのスペースにするのもオススメ。ケージとして使う場合は、既存のケージを使用するのか、扉の有無など、ペットの性格やルーティンに合わせてプランニングを。
「階段下をペットのためのスペースにする場合は、におい対策がマスト。換気扇を付けるなど工夫を。柵の開閉スペースもしっかり確保しましょう」
階段下のスペースはおこもり感があるため、ミニバーのような空間をつくったり、ヌックとしてのんびり過ごす空間にするなど、いろいろな使い方ができる。ミニバーにする際は、冷蔵庫やワインセラーなどを置くスペースとコンセントの配置を忘れずに。
また、階段下のスペースを利用してテレビを置いたりすることも。
「テレビは基本的に何もない壁に設置する方がいい。階段はギザギザの線がたくさんあるので、目が疲れやすくなります。階段下にテレビを置く場合は、階段の色を壁と同系色にして馴染ませると良いでしょう」
階段下のスペースを書斎(ワークスペース)、キッズスペース、ペットのためのスペースなどに有効活用すると、デッドスペースではなく+αの魅力的な空間にすることができる
プランニングの際は、ライフスタイルの変化に合わせて、階段下のスペースをいろいろな使い方ができるように工夫しよう
階段下への配線まわりは追加工事しづらいため、建築時に用途に合わせた換気計画やコンセントと照明の配置は決めておこう