コートハウスのメリット・デメリットとは?後悔しない間取りにするためのプランアイデアを紹介!

公開日 2024年04月17日
コートハウスのメリット・デメリットとは?後悔しない間取りにするためのプランアイデアを紹介!

建物や塀にぐるりと囲まれた中庭のある住宅「コートハウス」は、プライバシーを確保しながら開放的な暮らしを実現できるのが魅力。そこで、後悔しない間取りにするために、コートハウスのメリット・デメリット、ロの字型・コの字型・L字型などレイアウト別の間取りプランアイデアについて、一級建築士の村田淳さんに話を伺った。

コートハウスの特徴は?

コートハウスとは、建物や塀にぐるりと囲まれた中庭のある住宅のこと。外空間でありながら周囲の目を気にせずプライバシーが確保できる。囲まれた中庭を居住空間の一部としてプラン二ングすれば、室内空間とつながりが生まれ、豊かな広がりをもたらすことができる。「外と内がつながる住まいは、暮らしを豊かにしてくれます」(村田淳建築研究室 村田さん、以下同)

家のいろいろな場所から中庭を眺められるコートハウス
コートハウスは、プライバシーを確保しながら緑に囲まれた暮らしを実現できる(画像提供/村田淳建築研究室)

コートハウスには、四方を建物に囲まれた「ロの字型」、三方を囲まれた「コの字型」、二方向に建物が接する「L字型」の3種類のレイアウトがある。「コートハウスはどうしても動線が長くなります。土地の広さやライフスタイルに合わせて効率的な動線を考えながらも、移動している時に中庭の景色を楽しめるようなレイアウトにすることが大切です」

ロの字型

住まいの中心に中庭を設置し、建物で四方を囲うタイプのレイアウト。プライバシーを重視したい場合におすすめ。コンパクトな中庭の場合、風が通りづらくなるため通風面への配慮が必要。中庭の水はけやメンテナンス面についても検討を。

ロの字型の間取りイメージ
ロの字型の間取り(イラスト/藤井昌子)

コの字型

三方向を建物で囲い、一方向を開放したタイプのレイアウト。プライバシー面やメンテナンス面などのバランスが良い。

コの字型の間取りイメージ
コの字型の間取り(イラスト/藤井昌子)

L字型

最も開放的なレイアウト。敷地条件なども緩いためコートハウスを取り入れやすい。「L字型やコの字型のレイアウトはロの字型に比べるとオープンですが、建物で囲まれていないところを塀や植栽で目隠しすることもできます」

Lの字型の間取りイメージ
Lの字型の間取り(イラスト/藤井昌子)

コートハウスのメリットとは?

コートハウスは、外に向かって閉じ、内に向かって開くため、プライバシーを守りながら外空間を身近に感じられる。「中庭に面した窓を大きく開放することができるので、採光や通風を確保しながら周囲の視線を気にせず快適に暮らすことができます。気軽に中庭に出られるので、子どもやペットを安心して遊ばせられたり、アウトドアリビングとしてランチを楽しんだりと、外空間での過ごし方の幅が広がります。中庭に植栽をすれば、日常的に緑を感じながら明るく快適に過ごせます」

また、中庭の窓越しに家の端から端まで見通せることで、実際よりも住まいに奥行きや広さを感じられるのもメリットの一つ。「反対側にある居室の気配も感じられるので、適度な距離で緩やかなつながりをつくりたい二世帯住宅にもおすすめです」

コートハウスのメリット
  • プライバシーを守りながら快適な外部空間をつくることができる
  • 植栽をすれば、日常的に緑を感じられる
  • 中庭の窓越しに他の部屋まで見通せて、実際以上の奥行きや広がりを感じられる

コートハウスのデメリットとは?

中庭を囲う形状のコートハウスは、単純な箱型の家と比べると複雑な形状になるため、外壁の面積が増えて建築コストが高くなることが多い。プランによって一概には言えないが、中庭を設けない単純な箱型の家の場合と比べると、2~3割高くなることも。
中庭をぐるりと囲むように窓など開口部を多く取る間取りになることから、耐震強度や断熱性の確保が必要になる。

「庭と建物それぞれの広さのバランスや、中庭へのメンテナンス用の動線を確保したりと、敷地全体を考えながら計画を進める必要があります。また、コンパクトな中庭に植栽を入れる場合は、中庭に湿気がこもると植物の生育にも良くないので、風の抜けや排水計画も考慮する必要があります。成長が早くて大きくなる木は、室内が暗くなってしまうので注意を。剪定方法なども考慮して植栽を選びましょう」

プランニング時に植栽計画を立てたものをベースに、建築中に植木業者に建物の採光面や通風面を確認してもらい、最終的にどの植物にするかを決めよう。

また、ロの字型のレイアウトにする場合は、中庭が建物に囲まれている状態になるため、排水ルートをしっかり確保しないと集中豪雨などの際に雨水があふれて居室に浸水する可能性もあるので注意が必要だ。

コートハウスのデメリット
  • 単純な箱型の家と比べると複雑な形状になるため、コストが高くなる
  • 開口部を多く取る間取りになることから、耐震強度や断熱性の確保が必要
  • コンパクトな中庭の場合、湿気がこもりやすいので注意が必要
  • ロの字型の場合は、排水ルートをしっかり確保しないと居室に浸水する可能性も

レイアウト別・コートハウスの間取りプランアイデア

【ロの字型】各居室からいつでも緑を感じられる

「カーテンが不要の生活をしたい」「基本的な生活は1階で完結させたい」という要望から、ロの字型の平屋のコートハウスに。外部と繋がる開口部は最小限に留め、中庭をぐるりと囲むレイアウトで開放感たっぷりの住まいを実現。室内の開口部に面した部分は中庭に設けた庇(ひさし)と同一の素材を使用し、同じ高さに揃えることで一体感を演出している。
中庭を挟んだ向かい側にプライベートスペースを設け、中庭を挟むことで物理的な距離を取りつつ、フラットな空間の中で役割を切り替えている。

ぐるりと回遊できるロの字型のコートハウス
ロの字型の中庭があることで、住まい全体が明るく、風通しも良く、快適な空間に。中庭には雨天時に備えて排水溝を設置(画像提供/平成建設)
プライベートスペース側から見た中庭
中庭に植えたシンボルツリーのオリーブの古木はどこからでも眺めることができる(画像提供/平成建設)

【コの字型】プライバシーを守りながら世帯間をつなぐ

緑が立体的につながり、周囲を気にすることなく緑と親しむことができるコートハウス型の完全分離型の二世帯住宅。1・2階で世帯を分け、3階には共用の屋上庭園を設けている。各階の緑を立体的に連続させることで、お互いのプライバシーを守りつつ世帯間をほどよい距離感でつなぐ。南側を平屋にすることで、1階でも十分な採光が得られる。また、世帯共用の広い屋上庭園は、街と緑を「シェア」できるように、道路からも雰囲気を垣間見えるようになっている。

さまざまなプランに対応しやすいコの字型のコートハウス
中庭にはヒメシャラを植え、1・2階どこからでも中庭の風景を眺めることができる(画像提供/村田淳建築研究室)

【L字型】ウッドデッキの中庭から花や緑を楽しむ

ウッドデッキの中庭をL型に囲んだコートハウス。南には広い駐車場、東西は隣家という立地であることから、窓の位置に制限がありながらも中庭でプライバシーを確保しながら身近に自然を感じられる。リビングは吹抜けになっているため中庭とのつながり感が生まれ、広々とした空間に。

コンパクトな土地でも取り入れやすいL字型のコートハウス
中庭の主木はモクセイ科トネリコ属の落葉高木でシンボルツリーとして人気のアオダモ、周囲を囲む板塀にはつるバラを絡ませている(画像提供/村田淳建築研究室)

コートハウスをプランニングする時に気をつけるポイント

コートハウスのプランニングにおいて、効率的な動線を考えることはとても重要なポイント。

「コートハウスはどうしても動線が長くなるので、トイレなど使用頻度の高いものをどこにレイアウトするかというように、生活動線や家事動線をしっかり考慮してプランニングする必要があります。
動線の長さをメリットに感じるか、デメリットに感じるかは人それぞれではありますが、家の中を移動している時に中庭の景色を楽しめるようにプランニングすると、おうち時間がより豊かになります。中庭はなるべく生活感を出さないように、洗濯物は2階のバルコニーやランドリースペースなどに干すなど、別空間に切り分けると良いでしょう」

まとめ

コートハウスとは、建物にぐるりと囲まれた中庭のある住宅のこと。外空間でありながら周囲の目を気にせずプライバシーが確保できる

中庭の窓越しに他の部屋まで見通せて、実際以上の奥行きや広がりを感じられる

四方を建物や塀に囲まれた「ロの字型」、三方を囲まれた「コの字型」、二方向に建物が接する「L字型」の3種類のレイアウトがある

単純な箱型の家と比べると複雑な形状になるため、外壁の面積が増えて建築コストが高くなることが多い

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取材・文/金井 さとこ 
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