庭の植栽、どんな種類を植えたらいい? 外への目隠しになる? 植栽の基本知識

庭の植栽、どんな種類を植えたらいい? 外への目隠しになる? 植栽の基本知識

庭に緑がほしいけれど、どんな植物を植えたらいいんだろう? 家の中をのぞかれないように植栽で目隠しするには? 植物を植えたら暮らしが快適になる? そんな植栽の基本的な知識を住友林業緑化の小川洋生さんに教えてもらいました。

植栽とは? 植栽に何を求めるか?を考えよう

目隠しやリラックス効果のほか、暮らしを豊かにする効果も

植栽とは、門廻りやアプローチ、庭などに植えられた樹木や草花のこと。植物にはリラックス効果があるとよく言われていますから、眺めたい木や、香りの良い木などを植えたいという人もいるでしょう。また道路や隣家との境に、目隠しとしての生垣を植えたいという場合もあるでしょう。

しかし「リラックス効果や目隠し目的だけではもったいないと思います。私たちがお客様に植栽をご提案する際には、次の3点を説明しています」と小川さん。

これらがどういうことなのか、さらに詳しく見ていきましょう。

●庭の植栽を決めるときのポイント
(1)住まいの快適さがアップする
(2)住まいが美しく見える
(3)五感が刺激されて暮らしが楽しくなる

(1)住まいの快適さがアップする

住まいの快適さがアップするというのは、夏は涼しく、冬は暖かい住まいを、植栽でもサポートできるということです。「私たち住友林業グループでは『涼温房(りょうおんぼう)』という考え方に基づいて、家だけでなく、植栽も考えます。涼温房とは風や太陽、緑という自然の恵みを活かして、夏のそよ風や冬の日だまりのような心地よさを生み出す設計方法です」

例えば南側リビングの目の前にある庭に落葉樹を植えると、夏はリビングに日陰をつくってくれます。冬になれば葉が落ちるので、温かな日差しがリビングに差し込みます。こうした植栽の効果で、心地よい暮らしが送れるだけでなく、エアコンなどの光熱費も節約できるというメリットもあります。

道路や隣家の境に目隠しとして植栽することも、外からの視線を気にせず暮らせるという意味で「住まいの快適さがアップする」要素の一つです。ほかにも太陽の照り返しを抑えたり、最近よく話題になっている「緑のカーテン」も同様です。

植栽で目隠しをつくる「緑のパーティション」
植栽で目隠しをつくる「緑のパーティション」
道路や近隣からの目線をさえぎるだけでなく、道路からの放射熱の侵入も抑制できる(画像/PIXTA)
植栽で涼しさをつくる「緑のカーテン」
植栽で涼しさをつくる「緑のカーテン」
太陽の光と熱を遮断するだけでなく、打ち水と同じ様な原理で、植物の葉から水蒸気が放出される際の気化熱を利用して涼しさをつくる(画像/PIXTA)

(2)住まいが美しく見える

住まいが美しく見えるというのは、植栽で建物の見た目を引き立てるという考え方です。「シンボルツリーを植えたいという方は多いと思いますが、シンボルツリー以外にもシンボルツリーを補い、調和をとるサブツリーや低木、窓の近くなどに植えて外からの視線をさえぎるブラインドツリーなどをバランスよく組み合わせ、建てられたご自宅の美しさを、さらに引き立てることができます」

特に重要になるのはファサード(建物の正面)の植栽です。美しさを引き立てるにはシンボルツリーをはじめとした、さまざまな樹木のバランスが大切になります。

ファサードの植栽が自宅の美しさを左右する
ファサードの植栽が自宅の美しさを左右する
住まいのシンボルとなる樹木がシンボルツリー。そのほかシンボルツリーを補い、調和をとるサブツリーや、建物側面に備えるサイドツリー、窓の近くなどに植え、視線・目線をさえぎるブラインドツリーなどがある(画像提供/住友林業)

玄関の周囲に植えるシンボルツリーは、住まいの印象を大きく左右します。植栽計画の中心となり、建物の高さとのバランスや生長後の大きさも考慮する必要があります。また植栽する玄関の向きによっても植える樹木の種類が異なります。例えば北側玄関の場合は、北側でも生育のよい樹木を、南側玄関なら木陰をつくれる落葉樹の高木を、といった具合です。

サブツリーは、シンボルツリーが映えるような樹高と樹種を選ぶのがポイントです。片方が落葉樹ならもう一方は常緑樹にするなど2本セットで考えて、バランスを保てるようにするといいでしょう。サイドツリーは建物裏側にある設備や物置などを視線から隠すことができます。ほかにもブラインドツリーや低木、灌木(かんぼく)・下草類を上手く組みあわせることで建物を美しく映えさせることができます。

エントランスの印象がゲストの第一印象に
エントランスの印象がゲストの第一印象に
玄関周りやアプローチに沿って色鮮やかな緑や花を植えると、訪れる人々の目を楽しませる効果がある(画像提供/住友林業)

(3)五感が刺激されて暮らしが楽しくなる

五感が刺激されて暮らしが楽しくなるとは、植栽によって毎日の暮らしが楽しくなるということです。「目で見て楽しめるのはもちろんですが、例えば揺れる葉の音を楽しめる樹木もたくさんあります。花や実の香りの種類も豊富ですし、実りの果実を食す楽しみのある樹木もあります」

葉が風にそよぐ音を楽しめる樹木の例
葉が風にそよぐ音を楽しめる樹木の例
ソヨゴ。風が吹くとこすれる音がすることから、そよぐ→ソヨゴと名が付いたという説も(画像/PIXTA)
柔らかな手ざわりの葉の例
柔らかな手ざわりの葉の例
ラムズイヤー。白い毛で覆われた葉は柔らかな手ざわりで、lamb’s ear(羊の耳)の名前にピッタリ(画像/PIXTA)

用途に合った樹木の選び方

目隠しは常緑樹、夏の日差しをさえぎるなら落葉樹

たくさんの樹木がある中から植える木を選ぶのは大変ですが、まずは上記の(1)~(3)を踏まえて選ぶとよいでしょう。また常緑樹/落葉樹の特性を使い分け、目隠しとして植樹するなら常緑樹、夏はリビングに日陰をつくりたいなら落葉樹、という風に選びましょう。

「どこに何を植えるかは、家ごとに適した庭の設計があります。広さや位置、駐車場や、アプローチに沿って植樹する場合もアプローチの形状によって選ぶ樹木が変わります」。もしも自分で選ぶのが難しいと思ったら植栽を依頼する会社に、例えば「シンボルツリーにはこんな樹木がいい」など、必ず植えたい樹木だけ伝えて、それを元に提案してもらうといいでしょう。

また樹木は生き物ですから、どうしても生長したり虫がついたりします。そのためメンテナンスは必須ですが、例えば生長が早い/遅い、虫がつきやすい/つきにくいなど、樹木によって特徴が異なります。メンテナンスが面倒であれば、その旨を伝えれば、そういった樹木を提案してもらえたり、メンテナンスのアドバイスを受けることができます。

注意しなければならないのが「植物は適切な場所に適切な樹木を選ばないと、枯れたり生長が芳しくなくなることがあります」。植える方位はプロのアドバイスを仰いだほうがいいでしょう。

「誕生日の樹」や、地元の自生植物を選んでみよう

家を建てた記念に記念樹を植える、という選び方もあります。新築のお祝いに縁起のいいナンテン(難を転ずる、の語呂合わせ)や、春を告げる樹木で縁起木とされているウメなどいろいろ候補がありますが「最近は誕生日の木、というのも人気です」と小川さん。日本植木協会では365+1日すべてに「誕生日の樹」を選定していて(※)、子どもが生まれた日の誕生日の木などを記念に植えるというものです。「その樹木が植栽する土地や、植栽計画に合うのであれば、記念樹は育てる楽しさも生まれやすいと思います」

※『記念樹 : 記念日と誕生日365日+1の樹』経済調査会

さらに、地域に自生する植物を選ぶという方法もあります。「植物にはさまざまな種があり、中には地域環境に悪影響を及ぼすような移入植物もあります。私たちは生物多様性に配慮した緑化提案を『ハーモニックプランツ』と名付け提案していますが、これに基づき生態系に対する影響などを踏まえ植栽計画地に応じた植物を選んで植栽計画をしています」

もともとその地域に自生している植物であれば、その土地に適していないわけがありません。その意味でも検討してみてはいかがでしょうか。

植栽する際の注意点とは?

生長した姿も想定して植栽計画を練る

落葉や、枝の張りだしなどでご近所とのもめ事が起こらないようにするためにも、どこに何を植えるかという念入りな植栽計画が大切です。その際「引き渡し時が庭の完成形ではなく、将来の生長を想定して計画するようにすることが重要です」。引き渡し時は大丈夫だと思っても、樹木が生長すると、思いのほか落葉したり枝が張りだしてしまいがちだからです。

また「植える場所に排水管が通っている場合、なかなか植えたいところに植えられないケースがあります。樹木は生長すると根で周囲の土を押し広げます。そこに排水管の配管があると、それらを損傷する可能性があるからです」

そのため本来は、家を建てる際に同時に植栽計画を立てるのがベストです。家を建てた後で植栽する場合は上記のようなケースもある旨を頭に入れて、植栽計画を立てるようにしましょう。

コストを左右する要因とは?

植栽のコストを左右する要因は、まず樹木の種類や大きさ、植栽する面積です。また「かつての和風建築の家にあるような仕立てた松など、樹木の枝振りにこだわるとコストがかかりがちです」

さらに植栽する「土地」も、コストに影響します。「例えば水はけの悪い土壌であれば、水が溜まって根を腐らせるため、土壌改良が必要です。高低差があるなど樹木の搬入や設置に手間がかかるところや、のり面(切土や盛土によってつくられた斜面)に植栽する場合は施工する費用がかかりがちです」

そのほかに石や灯籠など、庭の付帯設備の有無や種類などでもコストがかかるほか、「最近は庭の照明が人気です」

樹木は、昼だけでなく夜も楽しむことができます。最近はLEDになったことで、かつての電球よりも寿命が長くて電気代も安く抑えやすいため、人気のようです。「帰宅した際に自分の家が美しくライトアップされていると、気持ちが良いですし、ライトアップされた庭を眺めながらリビングでくつろぐ時間もできます」。確かに設計時にはコストはかかりますが、植栽に照明を備えることで、さらに帰宅したくなる家にできるのではないでしょうか。

きちんと計画すれば家を快適にしたり、美しい住まいにしたり、五感を毎日刺激してくれる植栽。お気に入りの樹木を植えて緑を眺めたり、生長を楽しむだけでなく、もっと植栽で住まいや暮らしを豊かにしてみませんか。

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取材・文/籠島康弘 
公開日 2019年11月01日
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