延床面積とは ―含まれない部分はどこ? バルコニー、吹き抜けは?部屋を広くできる?―

最終更新日 2024年03月04日
延床面積とは ―含まれない部分はどこ? 部屋を広くできる?―

家を建てる際、「なるべく広い部屋にしたい」という人は多いでしょう。建築の際、必ず目にするのが「延床面積」という用語。家の広さを決める要素です。そこで、延床面積の基本から広い部屋をつくるための方法を一級建築士の佐川旭先生に聞きました。

そもそも延床面積ってなに?

延床面積とは、2階建ての家なら、1階、2階の床面積の合計で、住宅全体の面積を表しています。広々とした家にしたいなら面積を広くするのが基本になります。ただ面積が大きくなる分、「施工費用や使用部材の費用がかかるので、価格が高くなります」(佐川さん、以下同)

建てる地域によって都市計画法による制限があります。それが「建ぺい率(建蔽率)」、「容積率」という数字です。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合を表すもの。2階建ての一般的な形状の家であれば、1階と2階のうちどちらか大きなほうの面積です。この建築面積の敷地に対する割合を決めるのが「建ぺい率」です。例えば建ぺい率が60%と指定された地域にある100m2の敷地には60m2までの建物が建築できます。

次に出てくるのが「容積率」です。これは敷地面積に対する延床面積の割合になります。例えば容積率100%で100m2の敷地には、1階60m2、2階40m2の合計100m2までの建物が建てられます。一部緩和される規定がある土地もありますが、上記をベースに考えてください。

ちなみに家づくりの際に出てくる面積のワードは、「延床面積」のほかにも「建築面積」「建物面積」「土地面積」があります。表を参考に基本を押さえておきましょう。

家づくりの際に出てくる「面積」ワード早見表

延床面積 建物の各階の床面積の合計
建築面積 建物を真上から見たときの外周で求めた面積(水平投影面積)。一般的な住宅では、1階部分の面積が概ね 該当
施工面積 延床面積に含まれないバルコニーなども含む面積
土地面積 「敷地面積」とも呼ばれる。真上から土地を見たときの投影面(水平投影面積)。斜面にある土地は「土地面積」が実際よりも小さくなることがある

土地と建物双方の面積の内容を押さえて、上手に家づくりを

延床面積に含まれないものを活用して、より開放的な家を建てよう

次に、希望の土地を見つけていよいよプランニング。広々した家がいいのだけれど、費用や土地の制限から、「延床面積」を増やせないという場合に役立つ情報を紹介します。「ポイントは延床面積に算定されず、視覚の広がり、抜けを感じられる空間を設けることです」(佐川さん)

1.吹抜け

「吹抜け」は、なかでも代表的な空間だそうです。「横だけでなく縦に空間が広がるので、例えば同じ面積のリビングでも、開放感がまるで違います。また、吹抜けに窓を設けることができれば、通風や採光が得られるので、より心地よくくつろげる空間にもなります」

イラスト

2.バルコニー

もうひとつは「バルコニー」です。「ベランダやバルコニーは外壁からの出幅が2m以下の部分は延床面積には含まれません。また、庇などの壁で囲まれていない外側の空間も2m以下であれば含まれず、2m以上出している部分が延床面積に入ります。この2mは例えばテーブルセットを置けるなどかなりの奥行きがあるので、有効に利用したいですね。配置はリビングに隣接させることが効果的。リビングからの抜けがよくなり、視覚効果が大きくなりますし、開口部を全開口サッシなどにしてリビングと一体感を高めれば、セカンドリビングのように使うこともできます。ちなみにDIYでも人気の高いウッドデッキも延床面積に入らないので、おすすめです」

イラスト

3.小屋裏収納(ロフト)

「天井高が1.4m以下、ロフトがある階の2分の1以下の面積、はしごが固定されていない場合には床面積に含まれません。小屋裏収納は、居室として利用することはできません」

4.その他できることは?

細部にこだわるとさらに広さを感じられるとのことです。「例えば出窓です。一般的な45cm幅ほどを適所に設ければ、通風採光だけでなく、インテリアを楽しめるスペースも広がります。また人がよく通る動線上のドアの高さも、天井までの高いタイプを採用すると圧迫感を軽減できるでしょう」

緩和措置があるビルトインガレージも一考の余地あり

上記以外にも一定条件をクリアすれば延床面積に算定されない空間があります。「建物内に駐車スペースを設けるビルトインガレージです。車やバイクが趣味の人に人気ですね。ビルトインガレージは、全延床面積の5分の1以内であれば延床面積には入りますが、容積率は緩和措置があり対象からはずれます。超過した場合にその面積を算定します」。同様に地下室も一定の基準まで緩和されるので、興味のある人は調べてみましょう。

価格や税金、部屋数も……。延床面積の広さで変わるものって?

一般的な建築会社の場合、建物価格を知るには「坪単価」が目安となります。資料や広告などに『坪単価目安:30万円~』などを目にする機会があると思います。1坪=約3.3m2なので、坪単価が50万円で100m2(約30坪)の延床面積の場合、約1500万円~が建物価格の目安になります。当然延床面積が増えれば価格が上がります。

また、家を建てると税金がかかります。固定資産税と不動産取得税が代表的なものです。前者は、不動産(土地や家屋)をもっているとかかってくる税金で、もっているあいだ毎年かかります。後者は購入時にかかる税金です。税額を算定するのは、「固定資産税評価額」です。固定資産税評価は、建築費の40%~60%程度が評価水準となります。つまり一般的に建築費用が高ければ高いほど税金がかかるので、延床面積が広ければ広いほど税金も上がると考えておきましょう。(不動産取得税は一部特例があるので、詳細は各自治体の税務署に問い合わせてください)

『30坪の家』で“叶えやすいこと”“工夫が必要なこと”

最後に、なるべく延床面積を抑えながら広く開放的な家をつくるなら、ということで、ひとつの目安として『30坪の家で叶えやすいこと、工夫が必要なこと』を伺いました。

「30坪という広さは、住むには十分ですが、どういう暮らしがしたいかしっかりと優先順位をつけて取捨選択を行うことが求められる面積です。希望によってプランは大きく変わりますが、まず夫婦+子ども2人で、子ども部屋を2つ設けるという場合、LDKは15畳程度となるでしょう。吹抜けは設けられるので15畳でも開放的なリビングにすることは可能です。

主寝室は6畳、子ども部屋は4.5畳×2つ、さらにウォークインクローゼットは2畳程度であれば設けられます。ただ部屋をもう一部屋増やすと、当然ながら各居室が狭くなり、動線や水まわり設備の位置、面積に無理が生じやすいでしょう。その場合、1階2階にトイレを設けることを諦め、2階のトイレをなくすことも考えないといけないかもしれません。

ちなみに近年の植栽ブームの高まりから注目されるのが、サンルームやガーデンルームです。壁や屋根、扉などをガラス張りにして、自然光や風を取り入れられる空間です。こちらも延床面積に算定されますが、1.5畳~2畳ほどは確保できるでしょう。この程度なら税金もそれほどかからないので、開放的な家をつくるなら検討してもいいと思います」

佐川旭先生に聞く 『30坪の家』で “叶えやすいこと”、“工夫が必要なこと”

叶えやすいこと 工夫が必要なこと
3つの居室+LDKの間取り 広々LDK(20畳以上)
ファミリータイプの洗面浴室 6畳以上のキッチン+パントリー
トイレを2つ設置 1坪以上の浴室
大型収納をひとつ設置 4LDKの間取り

4人家族(夫婦+子ども2人)で、主寝室+子ども部屋を2つ設けることを想定

どのように延床面積に算定されない空間を設けられるかは、開放感や暮らしの充実につながってきます。上手に取り入れて、希望の家づくりに役立ててください。

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取材・文/山口俊介  イラスト/柏原昇店
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